【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編

第10話:一か八か

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 俺とキアラはヘルズホーンの注意を引くためにあえて突撃を行う。
「はああああああっ!! 『エリアルエッジ』!!」
「せいやぁあああああ!! 『精霊砲突』!!」
 出し惜しみはしない。持ちうる力の全てをお見舞いする。
 風の刃がヘルズホーンの腕に当たり、パックリと裂ける。
 そこにキアラの放つ突きの光線が襲い掛かり、もう一本の腕にぶち当たる。
「グモオオオオオオッ!!」
 苛立ったようにこちらに突進してくる地獄犀。
 危険度Bということはマーダーベアと同じだ。
 ということは、斃せないことは無い。
「はあっ!!」
 風霊の剣で、黒光りする角を受け流すように突進を避ける。
 バランスを崩したヘルズホーンはそのまま転倒するが、すぐに態勢を立て直して二度目の突進をしてくる。
 その時——!!
 ドス! ドス! ドス!
「グモオォォ!!」
 後方からリズのレッドビーアローが三本飛んできて地獄犀の首元に当たる。
 かなり効いたようで、身体を仰け反らせて苦悶の叫び声を上げるヘルズホーン。
「よし! やったか!?」
 と、その時……!!
 ヘルズホーンの目の色が真っ赤に変わり、体中から瘴気を噴き出し始める。
「ご主人様……!! そいつヤバい……!!」
 シレイドが髪の毛を逆立てて注意を促した瞬間——!
 ヘルズホーンの巨体がキアラ目がけて突っ込んでいた!
「狙いは私か……!! 上手く受け流せればいいが……!! 『スピリットエンチャント』!!」
 強化付与を行い、突進を迎え撃つキアラ!
 ガキイイイイイイイイイイン!!
 槍と角がかち合う、鋭い金属音が響いた瞬間——!!
 キアラの槍『ガラテアランス』がバラバラに砕ける!
「しまっ——!!」
 直後、ヘルズホーンは角を高く振り上げてキアラを吹き飛ばす。
「がはぁああっ!!」
 空高く舞い、血を吐くキアラ。
「キアラ————!!」
 俺は本能的に反応して、落下してくるキアラを受け止めていた。
 幸い、くし刺しは免れたようだが、鎧のへこみ具合から、腹にかなりの衝撃が加わったようだ。
「キアラさん!! 今すぐ回復を!!」
 居ても立ってもいられなかったのか、ヒーラー役であるセーラが駆け寄ってくる。
「……いけない!! セーラ!! ……後ろに戻って!!」
 シレイドが叫ぶが時すでに遅し。
 ヘルズホーンはセーラに向かって突撃を開始する!!
「なんでよおおお!! 当ててるのに止まらないぃ!」
 後方からはリズがクロスボウで何度も地獄犀を射抜くが、突進の勢いはやまない。
 こうなれば……一か八かだ!!
 俺はセーラの元に駆け寄り、後ろ手に庇う。
「レオ様!?」
「大丈夫だ……俺が護る!!」
 ……あの勢いなら急な方向転換はできないはず……こんな使い方はしたことなかったが、上手く行けよ!!
 俺は風霊の剣に全力で魔力を注ぎながら前に突き出す。
 そのまま突進を受ければ、風霊の剣ごと粉々になりそうだが……これならどうだ!?
「『ルーンブレード』おおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
 MPがごっそりと減ったのが分かった。
 その直後、剣先から勢いよく光が一直線に伸びて地獄犀の腹部を貫く!!
「グボォオオオ!!」
 そのまま突進を続けるヘルズホーン。
 駄目か!?
 そう思った瞬間——。
 激突直前で、その巨体がぐらりとよろめき地に沈む。
 ズシイイイイン……!!
「エネミーカウント! 反応消滅! 倒せたよ!!」
 危険度Bといえど、流石に腹を貫かれながら突進はできなかったようだ。
 リズの言葉と同時に、みんながキアラの元に集まる。
 幸い、息はあるみたいだ。
「いますぐ、回復を!! 『モアヒール』!!」
 セーラがすぐに回復魔法をかける。
「キアラ……しっかりしろよ!」
「死なないで……!! キアラ!!」
 俺とリズがキアラの手を両側から握る。
 シレイドも心配そうに様子を見守っている。
 白い光がキアラをしばらく包んだ後、うっすらとキアラが目を開ける。
「あ、あれ? 私は……確か、ヘルズホーンの突進をくらって……」
「キアラ!!」
「よかった!! よかったよぉ!!」
 俺は安堵してへたり込み、リズはキアラに抱きつく。
 シレイドもホッと息を吐いた。

 しばらくみんなで無事を喜んだ後、ヘルズホーンの素材を回収する。
「確か、オルガの依頼は『地獄犀の皮』三枚だったな……こんな相手を周回するなんて嫌だぞ」
「ん……問題ない。……これだけ巨体なら素材として使える皮は何枚も取れる……周回はもっと強くなってから考えればいい……」
 シレイドが手際よく解体を行っていく。
「しかし、ガラテアの職人が鍛え上げた槍が砕けるとは……どれだけ硬い角なんだ。あれだけの戦いだったのに傷一つ付いていないぞ……この角」
 剥ぎ取った『地獄犀の黒角』を見ながら、呆れにも似た驚嘆の声を漏らすキアラ。
「あたしの毒矢も全然効かなかったね……こんなことならクイーンビーアローを出せばよかったかな……」
「リズに突進してきていたなら、迷わず使うべきだったと思うが、クイーンビーアローはリズの最終手段だろう? 取っておいてもいいさ」
 リズの言葉に俺は応える。
「ん……多分、毒が効きにくい相手だった……シレイドの麻痺毒ナイフも効いてなかったし……根本的に毒のパワーアップが必要」
 素材を剥ぎ取り終えたシレイドが言う。
 結局、『地獄犀の皮』は十枚ほど採取できた。
 黒角の方は言わずもがな一本だけだが、こちらの使い道は俺の中で定まっていた。
 こうして、ヘルズホーンになんとか勝利し魔獣の森を完全攻略した俺たちはエルゼリアの町に戻ったのだった。
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