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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編
第4話:オルガの依頼書
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ジョブチェンジを終え、ギルドに併設されている酒場で昼食を取る。
これから、どのダンジョンを目指すのかを具体的に話すためだ。
「思えば、私とシレイドが新しいスキルを覚えた時点でジョブレベルはMAXになっていたのかもしれないなぁ」
野菜炒めをパンで挟んでかぶりつきながら、そんなことを言うキアラ。
「ん……きっとそう。普段はいちいちレベルなんか気にしないから……どうしても気づくのが遅くなる」
「鑑定を人に対して行うのは、基本的に失礼とされてますからね。仕方ないですよ」
シレイドの言葉に、セーラが応える。
確か、キブラの屋敷突入前に二人はスキルを覚えたんだったな。
あの時点でジョブチェンジが可能なのを知れれば、あの戦いも楽になったのかもしれないが……ある程度、経験値があぶれるのは仕方のないことだとも思う。
ゲームのようにレベルが上がるごとにファンファーレが鳴って知らせてくれるとかもしないしな。
それに、セーラが言うように人に対しての鑑定が推奨されないのがこの世界の常識だ。
パーティのプロフィールなどの確認はギルドで手続きする時くらいしかしないだろう。
前に俺とリズがジョブチェンジした際は、たまたまシレイドが気づいたのだったか。
リーダーとして、時々は鑑定でプロフィール確認をした方がいいのだろうか。
「それで、次はどのダンジョンを目指すの? 四属性ダンジョンに挑むのは決定事項としても、まずは適当なダンジョンで新しいジョブの戦い心地もみておきたいんだけど」
「ああ、それについては一つ考えていることがある」
うずうずしているように話を振ってくるリズ。
俺は組み立てた予定をみんなに話す。
「四属性ダンジョンについては、まず一番難易度が低いとされる『灼炎の祠』を攻略することにする。だが、その前にこの依頼を受けようと思う」
俺が取り出した一枚の依頼書に視線が注がれる。
『魔獣の森の皮素材』
依頼主:オルガ工房店主オルガ
依頼内容:魔獣の森のボスモンスターであるヘルズホーンの皮を三枚納品
メッセージ:あるお客さんから『地獄犀の皮』が欲しいと言われてね。提供したいんだが材料がないんだよ。報酬は払うから採ってきてくれないかい。
報酬:3万5000G
「オルガの依頼!?」
「ああ。パーティとしても世話になってるからな。助けてあげたい」
声を上げるリズに答える。
「受付嬢に尋ねてみたところ、難易度については霧の森の一つ上くらいらしい。出現モンスターは、名の通りすべて獣系の魔物だ。洞窟みたいに瘴気が濃くないし、俺のワープですぐに町に帰って来られるだろう」
「うん! 助けてあげないと! それに、新しい仲間を迎えるためにパーティに足りない部分も戦って理解しないといけないしね!」
「うむ、私も構わないぞ。獣相手ならマッドドールやリトルゴーレムのように物理攻撃が効かないことも無いだろう」
「私も構いませんよ。日頃からお世話になっている方なら助けて差し上げないと」
俺の説明を聞いて、リズとキアラ、セーラが賛成する。
「……なんか……おかしい……」
シレイドは何か納得いってないようだ。
そして、しきりに依頼書の匂いを嗅いでいる。
「シレイド、どうかしたか?」
「んー……分からない……でも、シレイドも賛成……魔獣の森で戦う……」
しばらく考えていたシレイドだが、魔獣の森攻略には賛成のようだ。
「よし、決まりだな。早速、明日から攻略に移るか」
俺の言葉にみんな、「おー!」と声を上げた。
その日の夜、『バー・ラックステラ』で俺はジュリアたちに次の目標が決まったことを報告していた。
「ふーん、じゃあ……次の目標は『魔獣の森』なんだぁ」
「ああ。中級職にジョブチェンジもしたし、身体をジョブに馴染ませておかないとって感じだな」
相変わらず、腕に絡みついてくるボニーに答える。
「『魔獣の森』には毒の爪を持った魔物もいるからね。毒消し対策はしておくんだよ?」
「ああ。ほとんど使っていないポーション詰め合わせがあるから、そこは大丈夫だと思う」
以前、依頼で貰ったポーションの詰め合わせだが、差し迫った危機があまりなかったのでそのまま持っている。
いざないの洞窟、ささやきの洞窟は余裕だったし、霧の森も歯ごたえはあったが、ワープですぐに戻って来れたしな。
それに今となっては、回復魔法の使えるセーラが仲間になったのだ。
普段使いはせずに、MPが枯渇したり、回復が間に合わない状況でポーションを使うのが妥当だろう。
「そうだ、ジュリアさん。ヴィヴィを紹介してくれて、ありがとう。おかげでいい値段で素材を取引できたよ」
「そうかい。それは良かった。面白い子だったろう? 腕も愛嬌もピカイチで、商売におけるおもてなしもキチンと理解している」
「ああ。少なくとも、やり手っていうのは分かったよ。鑑定も早いし、終始、いい気分でやり取りできた。最初店を見た時は、なんかギラギラで気後れしたけど……」
「あっはっは。あれはあの娘の趣味だからねぇ。品揃えとかのセンスはいいのに、美的センスだけはなんだか壊滅的でねぇ」
俺の言葉に愉快そうに笑うジュリア。
「え、えっとー、お兄さん? ……それでぇ、四属性ダンジョンにはいつ行くつもりなのかなぁ……?」
自分の気持ちが漏れないように、できるだけフラットに訊いてくるボニー。
もちろん、隠せてないが。
「『魔獣の森』を攻略して、奴隷商館で仲間を見つけた後『灼炎の祠』に挑戦する予定だ。しっかり攻略して、ボニーを彼女にしたいからな」
「あはっ♪ そっか、そっかぁ♪ うんうん、頑張ってねぇ、ルーキーくん♪」
俺の言葉に上機嫌で頬をツンツンしてくるボニー。
自分で条件を提示したくせに、そんなに喜んでいたら俺への好意がまるわかりな気もするんだが……。
まあ、一流になるためにも、いずれは踏破しなければいけないダンジョンだ。
腹をくくって、頑張るとするか。
そんな俺とボニーの様子を見て、ジュリアは苦笑しながら息を吐いていた。
これから、どのダンジョンを目指すのかを具体的に話すためだ。
「思えば、私とシレイドが新しいスキルを覚えた時点でジョブレベルはMAXになっていたのかもしれないなぁ」
野菜炒めをパンで挟んでかぶりつきながら、そんなことを言うキアラ。
「ん……きっとそう。普段はいちいちレベルなんか気にしないから……どうしても気づくのが遅くなる」
「鑑定を人に対して行うのは、基本的に失礼とされてますからね。仕方ないですよ」
シレイドの言葉に、セーラが応える。
確か、キブラの屋敷突入前に二人はスキルを覚えたんだったな。
あの時点でジョブチェンジが可能なのを知れれば、あの戦いも楽になったのかもしれないが……ある程度、経験値があぶれるのは仕方のないことだとも思う。
ゲームのようにレベルが上がるごとにファンファーレが鳴って知らせてくれるとかもしないしな。
それに、セーラが言うように人に対しての鑑定が推奨されないのがこの世界の常識だ。
パーティのプロフィールなどの確認はギルドで手続きする時くらいしかしないだろう。
前に俺とリズがジョブチェンジした際は、たまたまシレイドが気づいたのだったか。
リーダーとして、時々は鑑定でプロフィール確認をした方がいいのだろうか。
「それで、次はどのダンジョンを目指すの? 四属性ダンジョンに挑むのは決定事項としても、まずは適当なダンジョンで新しいジョブの戦い心地もみておきたいんだけど」
「ああ、それについては一つ考えていることがある」
うずうずしているように話を振ってくるリズ。
俺は組み立てた予定をみんなに話す。
「四属性ダンジョンについては、まず一番難易度が低いとされる『灼炎の祠』を攻略することにする。だが、その前にこの依頼を受けようと思う」
俺が取り出した一枚の依頼書に視線が注がれる。
『魔獣の森の皮素材』
依頼主:オルガ工房店主オルガ
依頼内容:魔獣の森のボスモンスターであるヘルズホーンの皮を三枚納品
メッセージ:あるお客さんから『地獄犀の皮』が欲しいと言われてね。提供したいんだが材料がないんだよ。報酬は払うから採ってきてくれないかい。
報酬:3万5000G
「オルガの依頼!?」
「ああ。パーティとしても世話になってるからな。助けてあげたい」
声を上げるリズに答える。
「受付嬢に尋ねてみたところ、難易度については霧の森の一つ上くらいらしい。出現モンスターは、名の通りすべて獣系の魔物だ。洞窟みたいに瘴気が濃くないし、俺のワープですぐに町に帰って来られるだろう」
「うん! 助けてあげないと! それに、新しい仲間を迎えるためにパーティに足りない部分も戦って理解しないといけないしね!」
「うむ、私も構わないぞ。獣相手ならマッドドールやリトルゴーレムのように物理攻撃が効かないことも無いだろう」
「私も構いませんよ。日頃からお世話になっている方なら助けて差し上げないと」
俺の説明を聞いて、リズとキアラ、セーラが賛成する。
「……なんか……おかしい……」
シレイドは何か納得いってないようだ。
そして、しきりに依頼書の匂いを嗅いでいる。
「シレイド、どうかしたか?」
「んー……分からない……でも、シレイドも賛成……魔獣の森で戦う……」
しばらく考えていたシレイドだが、魔獣の森攻略には賛成のようだ。
「よし、決まりだな。早速、明日から攻略に移るか」
俺の言葉にみんな、「おー!」と声を上げた。
その日の夜、『バー・ラックステラ』で俺はジュリアたちに次の目標が決まったことを報告していた。
「ふーん、じゃあ……次の目標は『魔獣の森』なんだぁ」
「ああ。中級職にジョブチェンジもしたし、身体をジョブに馴染ませておかないとって感じだな」
相変わらず、腕に絡みついてくるボニーに答える。
「『魔獣の森』には毒の爪を持った魔物もいるからね。毒消し対策はしておくんだよ?」
「ああ。ほとんど使っていないポーション詰め合わせがあるから、そこは大丈夫だと思う」
以前、依頼で貰ったポーションの詰め合わせだが、差し迫った危機があまりなかったのでそのまま持っている。
いざないの洞窟、ささやきの洞窟は余裕だったし、霧の森も歯ごたえはあったが、ワープですぐに戻って来れたしな。
それに今となっては、回復魔法の使えるセーラが仲間になったのだ。
普段使いはせずに、MPが枯渇したり、回復が間に合わない状況でポーションを使うのが妥当だろう。
「そうだ、ジュリアさん。ヴィヴィを紹介してくれて、ありがとう。おかげでいい値段で素材を取引できたよ」
「そうかい。それは良かった。面白い子だったろう? 腕も愛嬌もピカイチで、商売におけるおもてなしもキチンと理解している」
「ああ。少なくとも、やり手っていうのは分かったよ。鑑定も早いし、終始、いい気分でやり取りできた。最初店を見た時は、なんかギラギラで気後れしたけど……」
「あっはっは。あれはあの娘の趣味だからねぇ。品揃えとかのセンスはいいのに、美的センスだけはなんだか壊滅的でねぇ」
俺の言葉に愉快そうに笑うジュリア。
「え、えっとー、お兄さん? ……それでぇ、四属性ダンジョンにはいつ行くつもりなのかなぁ……?」
自分の気持ちが漏れないように、できるだけフラットに訊いてくるボニー。
もちろん、隠せてないが。
「『魔獣の森』を攻略して、奴隷商館で仲間を見つけた後『灼炎の祠』に挑戦する予定だ。しっかり攻略して、ボニーを彼女にしたいからな」
「あはっ♪ そっか、そっかぁ♪ うんうん、頑張ってねぇ、ルーキーくん♪」
俺の言葉に上機嫌で頬をツンツンしてくるボニー。
自分で条件を提示したくせに、そんなに喜んでいたら俺への好意がまるわかりな気もするんだが……。
まあ、一流になるためにも、いずれは踏破しなければいけないダンジョンだ。
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