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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編

第3話:中級職へジョブチェンジ

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「では~、まずはリズさんから行きましょうか~」
 緊張しつつ前に出るリズ。
「『ジョブチェンジ』~」
 受付嬢さんが呪文を唱えると、リズの前のウインドウに四つの職業が浮き出る。

『中級探検家』『レンジャー』『トレジャーハンター』『ワンダラー』

 随分と選択職業が狭まったな。
 初級職から下級職にジョブチェンジする時は、八つほど選択肢があったはずけど下級職から中級職になる時は四つまで絞られている。
 ジョブの級が上がるにつれて、能力が段々と強力になる代わりに固定化していくものなのだろうか。
 そりゃあ、バリバリの剣士系ジョブの上位に魔法使い系ジョブとかがあったらおかしいからな。
 リズは、うんうんと悩みながら、各ジョブの説明を受付嬢さんから聴いている。
「決めた!! あたし『レンジャー』になる!!」
 リズが宣言する。
 アイテム探しに特化する『トレジャーハンター』、ダンジョン踏破に特化する『中級探検者』、フィールドワークに特化する『ワンダラー』、そして戦闘面の強化特化を図れる『レンジャー』。
 どれも、探検家としての能力を高めつつどれを伸ばすかということだが、リズが選んだのは戦闘面だった。
 ここには、出会った頃のように戦えなくて俯いていた彼女はもういない。
 俺たちは彼女の意見に賛同し、リズは晴れて『レンジャー』となった。

「次はシレイドさんですね~」
「ん……」
 シレイドがてくてくと前に出る。
 シレイドに示されたジョブは次の四つだ。

『チェイサー』『忍者』『エクゼキューター』『アベンジャー』

「シレイド……これにする……!」
 シレイドは迷うことなく『チェイサー』を選ぶ。
 あくまで素早さ重視のジョブを選ぶようだ。
 自分の最大の強みだと理解しているらしい。
 奇怪な術を使える『忍者』や、それぞれ近接戦闘での破壊力に優れている『エグゼキューター』や『アベンジャー』にはあまり興味はないらしい。
 まあ、彼女の戦い方は力で潰したり意表をつくというよりも、素早い動きで翻弄し一撃で仕留めるというやり方だからな。
 こうして、シレイドも滞りなく『チェイサー』への道を選んだ。

「次は~、キアラさんです~」
「うむ、だが、エルフ特有のジョブを替えることはできるのか?」
「はい~、冒険者の中にもエルフの方はたくさんいますので~。ですが、普通の受付嬢にはちょっと難しいですね~、でもぉ、わたしならいけますよぉ~……むむぅ、これは難解な術式が必要ですねぇ……ですがぁ、えいっ! 『ジョブチェンジ』~」
 キアラの心配をよそに、一発でジョブ表示を成功させる受付嬢さん。
 そして、現れた職業は……。

『エルフランサー』『精霊槍士』『グリーンガードナー』『ガイアガードナー』

 なるほど、どれも人族では就けそうにないジョブだ。
『エルフ流槍術士』のレベルが下級職上限のLv30でMAX表示だったから、この四つは中級職扱いだとは思うが。
 さて、キアラは何を選ぶのだろうか……真剣に説明を聞きながら、彼女が出した結論は——。
「よし。私は『精霊槍士』になることにする」
 なんでも、『エルフランサー』は槍技術が上がる分、小回りが利かないらしい。
『グリーンガードナー』『ガイアガードナー』はそれぞれ『木属性魔法』『地属性魔法』という基本属性から外れた魔法が使えるようになるらしいが、キアラ自身魔力がそんなに高く無いらしく、魔法を会得してもほとんど意味がないとか。
 残ったのは『精霊槍士』、これは精霊術という世界に根付く精霊たちの力を借りて戦うエルフ特有のジョブらしい。
 精霊の力で身体能力を増幅させたり、魔法に似た攻撃を繰り出したり、場合によっては回復までできるらしい。
 精霊術の適性に関しては、霧の森で大樹と会話したりできていたので問題ないだろう。
 こうしてキアラは『精霊槍士』にジョブチェンジした。

「最後はレオさんです~」
 俺は少し緊張しつつ前に出る。
 受付嬢さんの呪文を受けて、ジョブチェンジ可能な職が表示される。

『真魔剣士』『灼熱剣士』『凍水剣士』『天風剣士』『仙岩剣士』

 あれ……? 俺だけ五つ表示されたぞ……?
 受付嬢さんも驚いた顔をしている。
「お、驚きました~。本来、魔剣士職の方は各属性の特化型しかジョブチェンジできないはずなんですが~『真魔剣士』というのは初めて見ましたね~、おそらく、レオさんの剣と魔法適性、さらに各属性との相性の良さから追加されたものかと考えられます~」
 なるほど、『真魔剣士』以外は各属性特化ということだが、名前を見ればどの属性に特化しているのかすぐに分かる。
 対して『真魔剣士』は恐らく『魔剣士』の正当進化という形だろう。
 俺としても属性特化を選んで、他の属性の威力が弱まったり、使えなくなるのは避けたい。
 受付嬢さんも初めて見るようで、説明できないみたいだが……飛び込んでみるか。
 最悪、合わなかったらまたジョブチェンジすればいいんだし、やってみよう。
「決めました。『真魔剣士』でお願いします」
「は、はい~。ではぁ、『ジョブチェンジ・エンター』!!」
 俺の中にある力の色合いがグッと濃くなったのを感じる。
 そして、新たな技も覚えたようだ。
 その名も『エリアルエッジ』。
 名前もそうだが、放ち方も分かっているためどんな技なのかは大体理解できている。
 実戦で使うのが楽しみだ。
 こうして、俺たちの中級職へのクラスチェンジは、無事に終了した。
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