【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第5章:傲慢貴族と白衣の聖女編

閑話:豊乳草の力・サマンサ編

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「豊乳草?」
「そう、乳の出をよくする薬草なんだけどね。とある冒険者がルクシア平原で乱獲しちゃったみたいで出回ってないんだよ」
 キブラとの戦いが終わり、パーティ内で一週間の休暇を決めて、俺はいつものごとくルクシアの彼女たちの元に遊びに来ていた。
 今日は、サマンサの所だ。
 ウェルカムドリンクの牛乳を飲みながら、牧場での出来事を聞いていた。
 なんでも、牛の乳の出が悪く、豊乳草という薬草を探しているらしい。
「それならエルゼリアにあるかもしれないな。分かった、ちょっと行って買って来るよ」
「せっかく来てもらったのにごめんねー。使いっ走りみたいな事させちゃってさ」
「なに、構わないさ。自分の彼女が困っているなら助けるのは普通だろう?」
「レオ……♡」
 俺が頭を撫でてやると、サマンサはそばかすの頬をポッと赤らめて笑う。
 俺にはワープがあるから、町から町への移動など、造作も無いことだ。
 普通の薬草の類みたいだし、市場に行けば手に入るだろう。
 俺は、ワープを使ってエルゼリアに向かった。

 エルゼリアの市場に行くと、いつも通り大賑わいしていた。
 市場は町の第一層にあり、将来店を持ちたい商人たちがこぞって露店に商品を並べながら客引きをしている。
 第二層の商店街に行く手もあったが、そちらはどちらかと言えば冒険者御用達となっているため、一般家庭用の果物や野草などは逆に売ってないのだ。
 俺は、野草を取り扱っている露店を覗いてみる。
 料理用のハーブ、切り傷用の薬草などは見当たるものの、肝心の『豊乳草』が見当たらない。
 俺は、店主に声をかけた。
「店主。『豊乳草』は置いてあるか?」
「『豊乳草』? あー、乳の出をよくする薬草かい。あいにく、買い占められちゃってるねー。当分は入ってこないと思うよ。なんでも、ルクシア周辺で乱獲されて数が減っているらしくてね。転売して儲けようとするやつらがわんさかいるんだ」
 ムムム、そうなのか。
 元の世界でも、この世界でもそういう輩は少なからずいるものだ。
 こちらはちゃんとした理由で求めているのに、何とも歯がゆいな。
 だが、負けるわけにはいかない。頑張って探そう。
「分かった。別の所を当たってみるよ」
「悪いね」
 俺は次の露店へと向かう。
「いらっしゃい。何かお探しで?」
「ああ。『豊乳草』という薬草はあるかな」
「お客さん、ごめんよー。品切れだねー」
 うーむ、ここもか。
 そうして、露店を巡ること十軒、人波に流されて足が疲れ始めた頃、ついに——。
「ああ、あるよ。お客さん、運がいいねー。最後の一本だよ!」
「ああ。じゃあ、それを——」
「すみません!! ここに『ほうにゅうそう』ってありますか!?」
 俺がお金を払おうとした瞬間、二人の幼い兄妹が露店を訪れる。
「悪いねー。今、丁度売り切れちまった所さね」
「そんな……なんとか、なんとかなりませんか? おかあさんのおっぱいがもうふつかもでなくて、あかちゃんがなきやまないんです!! どこにも『ほうにゅうそう』がなくて……このままだと、あかちゃんが……!!」
 男の子が店主にすがるように言う。
 男の子の後ろに隠れている妹らしき女の子も目を潤ませながらコクコクと頷いている。
「う、うーむ……」
 店主が困ったように唸る。
「店主、構わない。その子たちに譲ってやってくれ」
「い、いいのかい? お客さん」
「ああ。どう見ても、その子たちの方が緊急だ」
 馬鹿な大人たちのせいで品薄になっているんだ。
 同じ大人として、尻拭いをさせてもらおう。
 これで、幼い兄妹は『豊乳草』を無事に手に入れることができた。
「ゆずってくれてありがとうございました! おにいちゃん!」
「ありがと……ござました……!」
 兄妹は頭を下げて俺に御礼を述べてスキップしながら去っていく。
「これで、母親の乳がちゃんと出たらいいな」
「あ、ああ。でも、お客さんの方は?」
「なに、俺の依頼主も同じ状況なら譲ってやったはずだ。『情けないが、手に入らなかった』ときっちり謝るさ」
 俺の話を聞いて、目を丸くしていた露店の店主が何かを決めたように頷く。
「よし!! お兄さんの漢気、気に入った!! 今から店をたたんで豊乳草を取りに行こう!!」
「い、いいのか? 商いの最中だろう?」
「なーに、ここでお兄さんを見捨てちゃあ、商人の名折れだ!! この先、商人なんかやってられねえさ!! ささ、平原に向かうぜ!!」
 店主はテキパキと店じまいして、俺を急かしてくる。
 こうして、俺たちは二人でエルゼリア平原に向かったのだった。

 平原を歩くこと二十分、俺たちは薬草の群生地に来ていた。
「ここは俺の秘密の収穫場所さ。本来、他の者に教えねえんだが、お兄さんは根っからのお人好しっぽいし……まあ、いいだろう」
「そうか。他の者にはくれぐれも内緒にしておくよ」
「ははは、そうしてくれると助かる」
 商人は俺の肩をポンと叩いて、薬草を探し始める。
 俺も、先ほどまで実物を見ていたものの、本当にただの草みたいだったので見分けがつかない。
 それっぽいものを、商人に確認しながら探すこと三十分。
「店主、これは?」
「ん……? お、おお!! それだ!! それだよ!! お兄さん!! よくやったじゃないか!!」
 ついに念願の『豊乳草』を手に入れることができた。
「さて、町に帰るとするか——」
 店主が腰を伸ばした瞬間、草むらから大きな影が飛び出した。
「危ない!!」
 俺は店主を抱えて影を避けるように横方向に飛ぶ。
「ギャアアス!!」
 キングリザードだ。
「な、なんで、キングリザードが!? 魔物除けの匂い袋をちゃんと持っていたのに……ああ!? この袋、そこが抜けて匂い玉が無くなっちまってる!!」
 店主が慌てたように叫ぶ。
「店主!! そこから動くな!!」
 幸い、敵は一体だけだ。
 魔法攻撃は周囲の薬草畑に影響するかもしれない。
 俺は剣を抜き、キングリザードと激突した。

 十分後——。
「店主、無事か?」
 難なくキングリザードを倒した俺は、縮こまっている店主に話しかける。
「あ、ああ。お兄さん、強いんだな……」
「まあ、伊達に冒険者はしていないさ」
 異界人で、戦った事すらなかった俺が、今じゃ一人でこんな大物を難なく仕留められるほどになったとは自分でもよくここまで来られたと思う。
「じゃあ、町に帰ろう。魔法を使ったら一瞬だ」
「ふええ、転移魔法まで使えるんか? すげえなあ!」
 商人の感嘆の声は止まない。
 俺はエルゼリアの市場に戻り、正式に『豊乳草』を貰う。
「お代は結構だ。キングリザードから助けてもらったしな。匂い袋を落としたまま、次の仕入れに出かけてたら、さらに大変なことになっていたし。お兄さんは俺の命の恩人さね!」
「そうか。じゃあ、遠慮なく。店主も元気でな。お互い、出世できるように頑張ろう」
「そうだな! 俺は大商人、お兄さんは大冒険者ってか!!」
 カッカッカと豪快に笑う店主。
 俺は笑顔で首肯し、気持ちよくサマンサの牧場へ戻った。

「おかえり!! 遅かったから、心配してたんだよ!」
 俺が帰ると、サマンサがすぐに駆け寄ってくる。
「すまない、少し手間取ってな。ほら『豊乳草』だ」
「そうそう! これだよー、はぁ、助かったよ。えっと、お代は?」
「要らないって、そんなの。これでもそこそこ良い暮らしさせてもらってるんだから」
「もー、レオぉ♡」
 俺がそう言って微笑むと、腕に抱きついてくるサマンサ。
 彼女の喜ぶ顔を見たら、これまでの苦労なんて無いのと同じだな。
 サマンサはすぐさま、鉢で豊乳草をすり潰し、問題の牛の口にそっと流し込む。
「ふぅ、これで乳の出も良くなるはずだよ」
 サマンサがそう言った直後、みるみるうちに牛の乳房が腫れだし、乳が漏れ出す。
「すごい効果だな」
「ああ。これだけの効果で、何の害も無いからね。人間にも使えるんだよ? これさえあれば、どんなに乳の出ない女の人もパンパンに乳が腫れて、ミルクがビュービュー出るようになるのさ」
「みたいだな。母の乳が出なくなったって兄妹が買いに来てたよ」
 ニッコリと笑う彼女に首肯する俺。
 待てよ……?
 ここで、一つの仮説が立てられる。
「なあ、サマンサ。それって、妊娠してない人でも乳が出るようになるのか?」
「え、ええ。一応そのはずよ……って、な、何? その不敵な笑みは……え、えええっ!?」
 俺は、瞬時にスライディング土下座を決め込んでいた。
「サマンサ!! 頼む!! 飲んでくれぇ!!」
「え、ええええーーーー!?」
 サマンサは顔を真っ赤にして大層驚いていたが、しばらく俺が頼み込むと目線を泳がせながら「しょ、しょうがないなぁ……♡」と承諾してくれたのだった。
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