【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第5章:傲慢貴族と白衣の聖女編

第6話:オルガ工房【☆】

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『霧の森』攻略初日の午後——。
「ねえ、レオ。午後、ちょっとあたしに付き合ってくれない?」
 時間を持て余していた俺にリズがデートのお誘いをしてくる。
「ん? どこに行くんだ?」
「ちょっと鍛冶屋に頼んでたものがあってねー、それを取りに。あと……美味しい屋台を見つけたから、買い食いデートでもしたいなあと思って、あはは……」
 顔をポッと赤らめて、頬を掻くリズ。
「ああ、分かった。じゃあ、今日は二人で過ごそうか」
 彼女の頭をそっと撫でて言うと、彼女は幸せそうに笑った。

 宿を出て町を歩くこと十分。
 第一層の東地区にその店はあった。
「『オルガ工房』……」
 鉄の看板に力強く掘られた店名、カンカンという鉄を打つ音が外まで響き渡っている。
「オルガさーん! リズでーす! 頼んでたもの取りに来ましたー!」
 リズが店の奥に叫ぶ。
 すると、真っ赤な髪の女の人が、金槌を抱えて出てきた。
 黄色いつなぎに工具をたくさん差し込んだベルトを巻いて、端正な顔には煤がいくつか付いている。
「やあ! リズちゃん! いらっしゃい! 例の物だね! 出来てるよ!」
 白い歯を見せて屈託ない笑顔を浮かべた彼女は、どことなくリズの明るさに通じる魅力がある。
「ほら! 受け取りな!」
「わぁ! ありがとう! 凄い綺麗な矢ね!」
「そうでしょう、そうでしょう!」
 赤い矢の束をリズに差し出すオルガ。
 性格が似ているのだろうか。
 リズと女性はキャッキャと楽しそうに話し合っている。
「ところでリズちゃん、そちらの方は?」
「あたしのパーティのリーダーであり、あたしの愛しい彼氏! レオでーす!」
「れ、レオだ。よろしく」
 女の子特有のテンションの高い会話に、なんとか自己紹介をはさみ込む。
「あたしはオルガ! この町の鍛冶屋だよ! へぇ、あんたがリズちゃんの彼氏ねぇ……、話は色々聞いてるよぉ……♪」
「ちょ、ちょっと! もう、オルガさん! 余計なこと言わないでよぉ!」
 長身のオルガが俺に近づき、まじまじと見てくる。
 リズは、少々困惑するような、でもどこか楽しそうな表情でオルガを止める。
 よかった。エルゼリアに来て約一ヵ月、リズは順調に馴染めているようだ。
「それより、なんだ? その矢は?」
「ああ、これ? ガラテアの依頼の時に手に入れたレッドビーの毒針で作った矢だよ!」
「そう、オルガ特製の毒矢! 名付けて『レッドビーアロー』!!」
 そのまんまだな……。
 胸を張り、テンション高めに言い放つリズとオルガ。
 そうか。あの時、入手した毒針のほとんどはリズにあげたんだったな。
 どうやら、それを材料にしてクロスボウの矢を作ったようだ。
 ん? 待てよ……? だとしたら、もう一つ『矢』があるはずだ……。
「そして、これがぁ! クイーンビーの毒針で作った特別製の矢だよ!」
 俺の予想通り、オルガが木箱に入った矢を持ってくる。
 蜂をモチーフにしたと思われる、黄色と黒のツートンカラーの大きな矢。
 そう。あの時倒したのはレッドビーだけじゃない。
 その親玉、クイーンビーも倒して毒針素材を手に入れた。
「わぁ! スゴイスゴイ! なんか強そう!」
「名付けて『クイーンビーアロー』!!」
 やっぱり、そのまんまだな。
 まあ、楽しそうだからいいか。
「取り扱いには注意しなよー。その辺の魔物なら一発で仕留めるほどの毒性を持ってるからね。特に『クイーンビーアロー』は大型の魔物でも倒せるくらいさ、危ないことしちゃだめだからね」
「はーい! ちゃんと気をつけて使いまーす!」
 もらった毒矢を用意していた矢筒に入れて頬ずりするリズ。
「ありがとう、オルガさん! これで、もっとみんなの役に立てるよぉ!」
「はっはっは、どういたしまして。頑張りなよ、リズちゃん!」
 リズは感謝を述べつつオルガに代金を渡す。
「シレイドの防具も新調しないといけないね。あたしには『新緑のマント』があるし、キアラの防具も買ったから、ずっと同じ装備なのシレイドだけだし」
「ああ、それは俺も思っていた。近々、買いに行こうと思ってたところなんだ」
「買うくらいなら、作りなよ! 買うよりもずっと安価で丈夫なのが作れるからさ!」
 リズと俺の話に、目を輝かせてオルガがくいついてくる。
 まあ、キアラの時はすぐに必要だったから高い既製品を買ったが、オーダーメイドの方がいいかもしれんな。
「じゃあ、頼もうかな」
「ああ! 任せてくれよ!」
 俺の言葉に胸をドンと叩くオルガ。
「確か、リズちゃんたちは『霧の森』を踏破する予定なんだっけ?」
「ええ、今日から探索してるよ?」
「え? でも、ここにいるじゃん?」
「レオが『ワープ』を使えるのよ!」
 グイっと俺の腕を抱くリズ。
「へえ、そいつは便利なものだねえ。……とと、話が逸れるところだった。『霧の森』なら、そこに出現する『ファントムベア』の素材、『幻想熊の毛皮』を持ってきてくれないか? それで丈夫な防具を作ったげるよ!」
 オルガがサムズアップしてくる。
「ファントムべアか……名前からして強そうだな」
「ああ。『霧の森』のボスモンスターさ。なんでも、幻を操ってくるらしい。強いから気をつけるんだよ」
 俺の言葉に、真剣な顔で頷くオルガ。
「値段は?」
「2万Gぽっきりさ!」
 なるほど、確かにこの辺りの防具にしては安い。
 それに、ボスモンスターの素材から作るんだ。弱い防具ではないだろう。
「分かった。じゃあ、踏破して素材を手に入れたら本人を連れてくる」
「あいよ! 待ってるよ!」

 店を後にして、リズおすすめの屋台で買い食いする。
「ん! 美味い!」
「でしょー、豚の腸詰を茹でた物を挟んだ『ホットドッグ』だよ!」
 久しぶりに目にした懐かしい食べ物だ。
 俺はがっつくように食べていた。
 リズは膝に先ほど受け取った矢筒を抱えてホットドッグを食べていた。
「さっきの矢、それだけの量だ。ずいぶん、高かったんじゃないか?」
 俺が何気なく問いかけるとリズは考えるように答える。
「んー、3万Gくらいかな……でも、安い物だよ。最近じゃ、私の攻撃で魔物を仕留めることってあんまりないからさー」
 なるほど。また、気にし過ぎるリズが顔を出していたようだな。
 リズのクロスボウは、牽制や手傷を与えるために使うことが多い。
 俺やシレイド、キアラのような強力な一撃というものが与えにくい武器でもある。
 彼女はそこに、引け目を感じていたようだ。
 俺は黙って彼女を抱き寄せて撫でてやる。
「そんなこと、いちいち気にしなくてもいいのに。どんなことがあっても、リズは俺たちの仲間で、俺の第一彼女なんだからさ」
 そう言ってやると、リズはきょとんとした後、幸せそうに満面の笑みで頷いてくれた。
 よし、明日の冒険も頑張ろう。
 リズの気持ちに心を打たれて、俺は気持ちを新たにするのだった。

オルガ
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