【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第4章:エルゼリアと無骨なエルフ騎士編

第29話:リザードマンの尻尾

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 出ない! 出ない! 出ない! 出ないぃいいいい!
 転生前にハマっていたRPGで、モンスターからのドロップアイテムが出ずに無意味に町の近くをウロウロしまくっていた記憶がよみがえる。
 リザードマンを倒せど倒せど、尻尾が小さい! 細い! 無い! という散々な結果に終わっていた。
 もちろん、三階層を進むことを第一目標にしているが、サブ目標である『リザードマンの尻尾』は未だに入手できずにいる。
 幸い、リザードマン自体は接近戦でも魔法でも簡単に倒せるが、ここまで出ないと精神的にくるものがある。
 ついでに、外道であるインプとマッドドールも出現するので、ストレスがマッハだ。
「ふむぅ……ここまで手に入りにくいとはなぁ……」
「レア素材の入手率は魔物によって違うはずだからねー。ホーンラビットみたいに簡単にはいかないね」
 満身創痍の俺の横で、キアラとリズが話している。
 なるほどなぁ。例の貴族がこの素材をふっかけてきた理由が分かる。
 ここまで手に入らないんだから、持っている者も少ないだろう。
 いや、諦めるわけにはいかない!
「行くぞ! 何が何でも手に入れる!!」
「「「おー!!」」」
 半ばヤケになっている俺の号令に、三人が元気よく応える。
 進んで、倒して、進んで、倒して、進んで、倒して、進んで、倒してを繰り返す。
「三階層も、もうほとんど未踏部分が無いみたいだねぇ」
『マッピング』しているリズが教えてくれる。
 彼女の脳内には、洞窟の正確な地図が展開されている。
『いざないの洞窟』は全三階層のダンジョンだ。
 リズが言うなら、もうそろそろボス部屋だろう。
 洞窟踏破は目の前と言ったところだが……。
 どうしてもボニーの依頼は達成してあげたい。
 さもなくば、彼女は傲慢貴族の夫人にならなければいけない。
 それが嫌だから、俺に今回のことを依頼してきたんだろうし。
『好きでもない相手と無理矢理結婚させられる』なんてことを受け入れなきゃいけない、そんなの可哀想すぎるからな。
「リズ。同じところをグルグル回ることはできるか?」
「ん? うん! できるよ!」
「悪いな、それじゃあ頼む。一旦、進むのをやめる」
「ふふふ……分かったわ。やっぱり、レオは優しい冒険者ね……♪」
 俺の言葉にリズがニンマリと笑う。
「なんだ? それ?」
「んーん、何でもない♪」
 なぜか上機嫌のリズが先導して、俺たちは三階層をグルグルと回り続けて戦闘を繰り返す。
 そして、遂に——!!
「お! レオ! あのリザードマン、尻尾でかいぞ!!」
「おー……太い尻尾……丸太みたい……!」
 キアラが指さす先に、リザードマンが一匹。
 チロチロと舌を出しながらこちらをギロリと睨んでいる。
 太い! 尻尾が……太い!!
「ダラッシャアアアッ!! ヒャッハアアァァ!!」
 興奮しまくった俺は、リザードマンに飛びかかり、一気に袈裟斬りにする。
「……ご主人様……山賊みたい……」
「あははー……完全にハイになっちゃってるねー」
 彼女たちに若干、白い目で見られつつ尻尾を剥ぎ取る。

名前:リザードマンの尻尾
素材ランク:A+
説明:リザードマンの立派な尻尾。長い年月をかけて大きくなる。素材として扱える尻尾は希少。高級食材として使われる。

 やった……! 長かった……!
 一日の大半をつぎ込んでしまった……。
 何時間労働だ? これ?
 喜びに打ちひしがれ、しゃがみ込む俺の服の裾を、シレイドが引っ張ってくる。
「ご主人様……シレイドも『リザードマンの尻尾』食べたい……」
「こ、こここ、今度、来た時な……!」
 シレイドの容赦ない発言に、冷や汗をかきながら返答する。

 目的の品物が手に入ったところで、今日の探索を終えた。
 かなり時間がかかってしまったが、まあ、仕方ない。
 再び、たき火を囲いながら料理を食べて談笑する。
「明日は『いざないの洞窟』完全踏破を目標にするぞ」
「うん!」
「ん……」
「ああ。分かった」
 みんなが元気よく返事をする。
「あー、早くボニーに渡してやりたいな。苦労したのに、間に合わないと意味ないし」
「だな。さっさとボスを倒して、ダンジョンを出て、町に——」
「あああああぁぁぁっ!!」
 俺とキアラが話していると、リズが叫ぶ。
「レオ!! 『ワープ』だよ!! 『ワープ』!! なにも、ダンジョンで野宿なんてしなくてよかったじゃん!」
 まくしたてるように言うリズ。
「そうか! その手があったな! 普段使っているのに、ダンジョンで使うのを思いつかないとは、うっかりしてた! じゃあ、早速!! ワープ!!」
 エルゼリアの宿『ラック・ステラ』を思い描いてワープを唱える!
 ……が。
「出ないな」
「ん……出ない……もぐもぐ」
 いつもなら呪文と共に、入口となる白い空間が出てくるはずだが、出てこない。
 やめてくれ、シレイド。
 そんなムシャムシャしながら、かわいそうなものを見る目で俺を見ないでくれ。
「どうやら、ダンジョン内では使えないみたいだな」
「なんだぁ……残念。お風呂入れると思ったのにぃ」
 俺の言葉にリズが肩を落とす。
「ダンジョン内には『瘴気』と呼ばれる魔物が放つ気が流れている。『ワープ』はその影響を受けやすく、瘴気の強いところでは使えないのだよ」
 キアラが教えてくれる。
 感覚を研ぎ澄ませてみると、魔力とは違う嫌な空気をピリピリと感じる。
「なるほど、これが『瘴気』か」
「ふふ、感じるだろう? もっとも、ダンジョン内でも瘴気の少ない所ではワープを使えると思うがな」
「そうなのか?」
「ああ。ルクシアの森では瘴気は強くないから、普通に使えただろう。あとは……大きなダンジョンにある、魔物が現れない『レストエリア』という空間では使用可能だと聞いたことがある」
「なるほどな」
 キアラの言葉に聞き入っていると、隣でシレイドが大きなあくびをする。
「ふあぁぁ~~……シレイド、食べたら眠くなった……」
「ははは、そうだな。昨日と同じように交代で寝るか」
 俺たちは話を切り上げて、探索二日目を終えたのだった。
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