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第4章:エルゼリアと無骨なエルフ騎士編
第8話:いざエルゼリアへ
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出発までの十日間、俺たちは冒険を休み、移住に向けた身の回りの整理や、エルゼリア周りの情報収集に努めていた。
もちろん、腕が鈍らないように、時々、キアラとシレイドと組み手をしたり、リズはリズでお手製の的に矢を当てる訓練をしたり、戦闘面の準備も怠らない。
次のエルゼリア行きの馬車のチケットも買う。
団体で行きたいと言ったら、四人乗りの馬車を追加料金で用意してもらえるとのことだったので、お願いした。
電車やバスと違って、流石に、行きの二週間もの間、他の乗客と同じ狭い馬車に揺られるのは息が詰まってしまいそうだからな。
お金というのは使うべき時に使うために稼ぐものなのだ。
エルゼリアの観光冊子を見て、とりあえずの拠点も決めた。
町の中心にある「ラック・ステラ」という名前の宿屋だ。
三人部屋や四人部屋、はたまた五人部屋や六人部屋まである大きな宿。
昼はレストラン、夜は酒場の食堂が常設されており、便利そうだ。
リズ、シレイド、キアラの話し合いで、俺は常時二人部屋に泊まることとなった。
夜のローテーション周りの配慮らしい。
毎日休まず、カーニバルすることを意識した配置は、喜んでいいのだろうか。
あとは、サマンサ、ラズベリー、ミレーユ、ルーティアと各彼女たちへの報告も行った。
サマンサは、気前のいい彼女らしく、清々しいくらいに明るく送り出してくれた。
その代わり、時々牧場に来ることを約束した。
ラズベリーは、ギルドで話は聞いていたものの、やはり少し複雑な気持ちだったらしいが、存分に可愛がってやったら、蕩けた顔で「し、仕方ないですね……」と了承してくれた。
ミレーユは「彼氏クンが大舞台に挑戦するんだもの。応援してるわ……ただし、月に一回は私の所に来て夜を過ごすこと……♡」と、妖艶に言われた。
ルーティアに報告に行った際は、心配そうにしがみつかれてしばらく話にならなかったが、最終的には「彼女として、母として気持ちよく送り出しますね。ただし、たまにでいいですから顔を見せに来てくださいね」と言われた。
こんなに沢山の彼女に大きな愛を貰っている俺は幸せ者だと心底思った。
この幸せに甘え過ぎないように、これからも頑張ってみんなを愛していこう。
十日間の準備期間を終えて、ついにエルゼリアへの出発の朝になった。
俺たちは満を持して、ルクシアの町の馬車乗り場に向かう。
「ひゃあ……朝早いのにすごい人だね……」
リズが言うように馬車乗り場は人でごった返していた。
群衆をかき分けてエルゼリア行きの馬車乗り場につき、チケットを馬車の引手に見せる。
「おはようございます、レオ様ですね。二週間の馬車引きとして旅路をお供させてもらいます、ドントルと言います。こちらの馬車にどうぞ。あと十五分で出発しますので」
「ああ、よろしく頼む」
俺に続いて、リズたちもドントルに挨拶して、馬車に乗り込む。
思っていたより大きな馬車で、中は広く、この分だと窮屈な思いはしなくて済みそうだ。
テントのように上にも布が張られており、雨風もしのげそうだ。
俺とシレイドとキアラの分の乗車代で計6万G。
専用馬車の追加で4万G。
合計10万Gの出費だが、今の俺にとっては全然痛くなかった。
馬車の窓を開け放つと、朝の風が馬車の中に吹き込んできて気持ちいい。
後ろを見ると、俺たちと同じエルゼリア行きの馬車が連なっている。
魔物が出る以上、こうやって大勢で移動して危険を減らすようだ。
もちろん、護衛の騎士たち用の馬車も何台かある。
事前に調べた情報によると、これから行くエルゼリア周辺の魔物危険度はDからA。
油断は命取りになるのだ。
馬車に乗り込むと、俺はシャロンに貰った魔導書を取り出す。
「お、早速読むのか?」
「ああ、とりあえず後は移動するだけだと思うし、今のうちに読んでおこうと思ってな。エルゼリアについてから読むのは時間的にもったいないだろう」
「ふふ、だな。町についたら、観光に冒険に、やらなければならないことがたくさんあるからな」
キアラの問いかけに首肯した後、読み耽る。
『火』『水』『風』『土』の中級魔法までをこの二週間で習得しよう。
普段使いできる攻撃魔法として使えばいいだろう。
『ルーンブレード』はいざという時の切り札だ。
ちゃんと強くなっておかなければ。
俺はこのパーティのリーダーなのだから。
ちなみに、ルクシアの彼女たちの見送りは遠慮してもらった。
流石に、付き合っている彼女全員が集結は、心臓が持たなくなりそうだったからな。
馬車は定刻通りに出発する。
俺たちのエルゼリアへの旅路が始まった。
朝・昼・晩、三回の食事と二時間毎の休憩をはさみながら、馬車はひたすら進んでいく。
シャロンに貰った魔導書は一週間ほどで読んでしまった。
読んでしまった後は、リズ、シレイド、キアラと談笑しながら過ごす。
狭い馬車生活はなかなかに窮屈だったが、彼女たちと話していれば幾分か気が晴れた。
そうして、ようやくあと少しでエルゼリアに着くという所で、馬車が止まる。
「ん? 休憩か?」
「いや、休憩には早いと思うが……」
「なんだか、外が騒がしいね」
俺の言葉にキアラとリズが反応する。
シレイドがそっと窓を開けて、外の様子を見る。
「ご主人様……外、真っ白……何も見えない……」
「どういうことだ……? うおっ!?」
窓を開けるとシレイドの言う通り、目の前が真っ白になった。
これは、霧か?
馬車のドアをノックされたので、開けてやると馬車引きのドントルが、困り顔で立っていた。
「すみません、レオ様。ものすごい霧で、現在、進めない状態になっております」
「そうか、今どの辺だ?」
「この森を超えればエルゼリアなのですが……どうやらミストマタンゴが大量発生しているようで」
「ミストマタンゴ?」
「霧を生み出すキノコの魔物です。この森では奴らの出す胞子によって、よく霧が発生することがあるのですが、この濃さは異常で……」
「身体に害とかは無いのか?」
「吸っても特に問題はありません。ただの目くらましのようなものですから。ですが、いつ晴れるのかわかりません……護衛の騎士たちも敵が見えなければ対処しようがないので」
なるほど、つまり霧が晴れて敵が見えればいいんだな。
「なら、少し試したいことがある。いいか?」
「は、はあ」
鈍った身体をほぐすのにちょうどいい。
意気揚々と馬車を出る俺をリズたちとドントルが不思議そうに見てくるのだった。
もちろん、腕が鈍らないように、時々、キアラとシレイドと組み手をしたり、リズはリズでお手製の的に矢を当てる訓練をしたり、戦闘面の準備も怠らない。
次のエルゼリア行きの馬車のチケットも買う。
団体で行きたいと言ったら、四人乗りの馬車を追加料金で用意してもらえるとのことだったので、お願いした。
電車やバスと違って、流石に、行きの二週間もの間、他の乗客と同じ狭い馬車に揺られるのは息が詰まってしまいそうだからな。
お金というのは使うべき時に使うために稼ぐものなのだ。
エルゼリアの観光冊子を見て、とりあえずの拠点も決めた。
町の中心にある「ラック・ステラ」という名前の宿屋だ。
三人部屋や四人部屋、はたまた五人部屋や六人部屋まである大きな宿。
昼はレストラン、夜は酒場の食堂が常設されており、便利そうだ。
リズ、シレイド、キアラの話し合いで、俺は常時二人部屋に泊まることとなった。
夜のローテーション周りの配慮らしい。
毎日休まず、カーニバルすることを意識した配置は、喜んでいいのだろうか。
あとは、サマンサ、ラズベリー、ミレーユ、ルーティアと各彼女たちへの報告も行った。
サマンサは、気前のいい彼女らしく、清々しいくらいに明るく送り出してくれた。
その代わり、時々牧場に来ることを約束した。
ラズベリーは、ギルドで話は聞いていたものの、やはり少し複雑な気持ちだったらしいが、存分に可愛がってやったら、蕩けた顔で「し、仕方ないですね……」と了承してくれた。
ミレーユは「彼氏クンが大舞台に挑戦するんだもの。応援してるわ……ただし、月に一回は私の所に来て夜を過ごすこと……♡」と、妖艶に言われた。
ルーティアに報告に行った際は、心配そうにしがみつかれてしばらく話にならなかったが、最終的には「彼女として、母として気持ちよく送り出しますね。ただし、たまにでいいですから顔を見せに来てくださいね」と言われた。
こんなに沢山の彼女に大きな愛を貰っている俺は幸せ者だと心底思った。
この幸せに甘え過ぎないように、これからも頑張ってみんなを愛していこう。
十日間の準備期間を終えて、ついにエルゼリアへの出発の朝になった。
俺たちは満を持して、ルクシアの町の馬車乗り場に向かう。
「ひゃあ……朝早いのにすごい人だね……」
リズが言うように馬車乗り場は人でごった返していた。
群衆をかき分けてエルゼリア行きの馬車乗り場につき、チケットを馬車の引手に見せる。
「おはようございます、レオ様ですね。二週間の馬車引きとして旅路をお供させてもらいます、ドントルと言います。こちらの馬車にどうぞ。あと十五分で出発しますので」
「ああ、よろしく頼む」
俺に続いて、リズたちもドントルに挨拶して、馬車に乗り込む。
思っていたより大きな馬車で、中は広く、この分だと窮屈な思いはしなくて済みそうだ。
テントのように上にも布が張られており、雨風もしのげそうだ。
俺とシレイドとキアラの分の乗車代で計6万G。
専用馬車の追加で4万G。
合計10万Gの出費だが、今の俺にとっては全然痛くなかった。
馬車の窓を開け放つと、朝の風が馬車の中に吹き込んできて気持ちいい。
後ろを見ると、俺たちと同じエルゼリア行きの馬車が連なっている。
魔物が出る以上、こうやって大勢で移動して危険を減らすようだ。
もちろん、護衛の騎士たち用の馬車も何台かある。
事前に調べた情報によると、これから行くエルゼリア周辺の魔物危険度はDからA。
油断は命取りになるのだ。
馬車に乗り込むと、俺はシャロンに貰った魔導書を取り出す。
「お、早速読むのか?」
「ああ、とりあえず後は移動するだけだと思うし、今のうちに読んでおこうと思ってな。エルゼリアについてから読むのは時間的にもったいないだろう」
「ふふ、だな。町についたら、観光に冒険に、やらなければならないことがたくさんあるからな」
キアラの問いかけに首肯した後、読み耽る。
『火』『水』『風』『土』の中級魔法までをこの二週間で習得しよう。
普段使いできる攻撃魔法として使えばいいだろう。
『ルーンブレード』はいざという時の切り札だ。
ちゃんと強くなっておかなければ。
俺はこのパーティのリーダーなのだから。
ちなみに、ルクシアの彼女たちの見送りは遠慮してもらった。
流石に、付き合っている彼女全員が集結は、心臓が持たなくなりそうだったからな。
馬車は定刻通りに出発する。
俺たちのエルゼリアへの旅路が始まった。
朝・昼・晩、三回の食事と二時間毎の休憩をはさみながら、馬車はひたすら進んでいく。
シャロンに貰った魔導書は一週間ほどで読んでしまった。
読んでしまった後は、リズ、シレイド、キアラと談笑しながら過ごす。
狭い馬車生活はなかなかに窮屈だったが、彼女たちと話していれば幾分か気が晴れた。
そうして、ようやくあと少しでエルゼリアに着くという所で、馬車が止まる。
「ん? 休憩か?」
「いや、休憩には早いと思うが……」
「なんだか、外が騒がしいね」
俺の言葉にキアラとリズが反応する。
シレイドがそっと窓を開けて、外の様子を見る。
「ご主人様……外、真っ白……何も見えない……」
「どういうことだ……? うおっ!?」
窓を開けるとシレイドの言う通り、目の前が真っ白になった。
これは、霧か?
馬車のドアをノックされたので、開けてやると馬車引きのドントルが、困り顔で立っていた。
「すみません、レオ様。ものすごい霧で、現在、進めない状態になっております」
「そうか、今どの辺だ?」
「この森を超えればエルゼリアなのですが……どうやらミストマタンゴが大量発生しているようで」
「ミストマタンゴ?」
「霧を生み出すキノコの魔物です。この森では奴らの出す胞子によって、よく霧が発生することがあるのですが、この濃さは異常で……」
「身体に害とかは無いのか?」
「吸っても特に問題はありません。ただの目くらましのようなものですから。ですが、いつ晴れるのかわかりません……護衛の騎士たちも敵が見えなければ対処しようがないので」
なるほど、つまり霧が晴れて敵が見えればいいんだな。
「なら、少し試したいことがある。いいか?」
「は、はあ」
鈍った身体をほぐすのにちょうどいい。
意気揚々と馬車を出る俺をリズたちとドントルが不思議そうに見てくるのだった。
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