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第3章:エルフの国と優しい女王編
第36話:ガラテアからの帰郷
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今日の狩りで試してみたいことが二つあった。
一つ目は、新しい武具の使用具合の確認だ。
ガラテアを救った褒美として、俺は『風霊の剣』、シレイドは『白銀のダガー』を貰ったが、それぞれの切れ味を見たい。
そして、リズの『新緑のマント』の効果も。
俊敏性が上がるらしいがどれほどのものなのか一度試してみる必要があるだろう。
二つ目は『ルーンブレード』についてだ。
レッドオークを倒した時に使ったきりだが、できれば使い勝手を確認しておきたい。
俺たちは森を進み、魔物を探した。
ちょうどいいところに、グレイベアが三体現れた。
「よし、リズ、シレイド、それぞれ一匹ずつ倒すぞ。シレイドは白銀のダガーを使って、リズは新緑のマントの効果を使って、敵を翻弄しながら戦ってみてくれ」
俺の言葉に二人が首肯する。
まず、リズが森を駆けていく。
速い。
確かにスピードが上がっているようだ。
「ふっ……!!」
直後、リズは跳躍しながらクロスボウを放っていく。
四方八方から矢が飛んでくるので、グレイベアは混乱しているようだ。
リズの姿を見て、追いかけようとしているものの、その速さについていけずにオロオロしているのが見て取れる。
そして、その矢は的確にヒットして確実に体力を奪っていく。
「ぐ、グウゥ……!」
ドシンと大きな音を立てて、グレイベアが息絶える。
続いて、シレイドが飛び出す。
シレイドはパッシブスキル『高速移動』を持っている。
先ほどのリズと同程度の速さで、グレイベアの攻撃をヒュンヒュン躱しながら、周りを回っている。
グレイベアの動きが鈍くなる。
身体中にシレイドが与えた傷口がある。
暗殺者であるシレイドの攻撃速度は目を見張るものがある。
グレイベアの動きが完全に止まったところで、シレイドが首元目がけてダガーを振る。
こちらもグレイベアを難なく倒す。
次は俺だ。
俊敏性を上げる装備も、スキルも持っていないが、グレイベアに向かい駆けていく。
グレイベアの振り下した爪を横に避けて、そのまま灰熊の腹を切り裂く。
ザクンッ!!
「ギャアオオオ!!」
グレイベアは叫び声を上げて、そのまま、倒れた。
一撃だ。
この剣……凄まじい切れ味だ。
斬るときの力がほとんど要らなかった。
そして、最初持った時に思った通り、やはり軽い。
今さっきも、もう一撃振れるくらいの余裕があった。
「レオ! このマントすごいよ!! 身体がすっごく軽いの! バク宙だってできちゃうよ! ほら!」
リズがひらりとバク宙をする。
すごいマントだな。
「シレイドのダガーもすごくいい……素早い動きにも上手く馴染んでくれる……戦いやすい……♪」
シレイドも上機嫌だ。
どうやら、これらの装備で、俺たちの戦闘力はさらに向上したようだ。
次は『ルーンブレード』の使い勝手だ。
レッドオークの際は、魔力全部を使って放ったが、あれじゃあコスパが悪過ぎる。
通常の戦闘で使うのは難しいだろう。
となれば、込める魔力を調整する必要がある。
「次の魔物で『ルーンブレード』の調整をする。戦闘は俺に任せてくれないか?」
「ええ、分かったわ」
「ん……シレイド、いつでも動けるようにしておく……」
「分かった。レッドオークを葬った技だな、確かに使えるようになればかなり楽になる。頑張って使えるようにすればいい」
三人の了承を得て、森を歩く。
しばらく歩くとシルバーウルフ三匹が現れた。
数が少し多いかとも思ったが、先程の剣の感覚からして、十分立ち回れるだろう。
俺は、銀狼三匹と対峙した。
シルバーウルフたちは俺を見つけた途端、全力疾走で飛びかかってくる。
俺は魔力を風霊の剣に注ぐ。
「『ルーンブレード』!」
刀身が白く光り、熱を帯びているのが分かる。
そして、そのまま飛びかかってくる銀狼を振り払う。
ジュイン!!
剣先が銀狼の爪に当たる。
直後、銀狼の爪がサックリと飛んでいく。
「ぎ、銀狼の爪を斬った!?」
「弾くことさえもしないとは、凄まじい技だな」
後ろでリズとキアラが声を上げる。
爪が焼き切れたシルバーウルフをそのまま叩き斬る。
続いて、牙を剥き出しにして飛びかかってきたシルバーウルフの顔を目がけて剣を振る。
シュイン!!
またも焼ききれるようにシルバーウルフの牙がパックリと二つに分かれる。
二匹目の腹もかっ捌き、三匹目に備える。
銀狼たちの亡骸を見て三匹目は怯えたように震えだし、逃げていく。
「ふん!!」
魔力をさらに強く込めると、光の刀身がビュウン!と伸びる。
そのまま振り払うと、離れたシルバーウルフも簡単に切り裂くことができた。
レッドオークの時は魔力全てを注いだからな。
刀身が伸びきった状態だっただろう。
風霊の剣よりも遥かに大きいレッドオークの巨体を真っ二つにできたのも、これで納得ができた。
十分効果は分かった。
ルーンブレードは刀身に魔力を帯びさせて切断力を高める技。
牙だろうが爪だろうが関係なく綺麗に斬ってしまう。
武装していたレッドオークを簡単に真っ二つにしたのだからその破壊力はかなりのものだろう。
なおかつ、込める魔力の量に応じて光の刀身は伸び縮みする。
いい技を扱えるようになった。
「すごい! すごいよ! レオ! すっごくカッコよかったよぉ!!」
リズが後ろから飛びついてくる。
「ありがとう。だが、やはり結構MPを使うな……乱発は難しいだろう」
体の中の魔力がなかなかに減った感覚がする。
使いどころを考える必要があるな。
その後、森の魔物を順調に狩っていく。
シレイドとキアラを前線に立たせて、リズを後方支援として置けば、ほぼ無双状態だ。
一通り森を回り、辺りの魔物を掃討した後、帰路につく。
その途中、キアラが提案してきた。
「なあ、レオ。君の剣技は大したものだ。だが、型が無いからか、その強さは野性的で時に危なっかしい。対して、私の槍はエルフの武道の型を用いたもの、型にはまらない本能的な動きの敵に対応しにくいという側面がある。そこでだ、時々でいいから一緒に稽古をつけてみないか? 共に剣を交わらせていけば私たちはもっと強くなれるだろう」
確かに、俺は剣道なんか習ったことが無いし、ぶっちゃけて言うと、ただ単純に剣を振り回しているだけである。
今まで魔物と戦ってこられたのは、高い適性に頼ってきたところが大きい。
キアラと鍛錬すれば、型というものを覚えられるし、そうすれば、戦闘がもっと楽になる。
となると、答えは決まっている。
「ああ、もちろんだ。よろしく頼む!」
俺はキアラの申し出を快く了承した。
朝は冒険に出かけ、昼は町の人と交流したりキアラと鍛錬したり、夜はリズたちと眠るときもあれば女王様に呼び出されて身体を重ねることもある。
追加依頼を受けている以上、長い時間、ガラテアを離れることはできないが合間を見つけては、ルクシアに戻って可愛い彼女たちに顔を出した。
ラズベリーは酔い潰れて、俺にフニャフニャになっている所を見られたのが相当恥ずかしかったのか、飲む時の量がかなり減ったようだ。
本人に聞くも「あの夜の私は忘れてください」と顔を赤くして目を逸らすだけだった。
まあ、可愛かったから、別に飲み過ぎて絡まれても全然いいのだが。
そんな時間はあっという間に過ぎて、約束の一週間半が経った。
「本当にルクシアに戻ってしまわれるのですか?」
女王の間にて、追加依頼完了及びガラテアからの帰還を報告すると、ルーティアは眉をハの字に曲げて悲しそうな顔をする。
なんだか、ものすごく後ろ髪を引かれるが。
「ルーティア女王。俺たちは冒険者です。まだまだ、色んな所に行き研鑽を積んで高みに上っていきたいと考えています」
「……そうですか。ですが、忘れないでください。あなた達はこの国の英雄だということを。いつでも帰ってくる場所があることを」
「はい、ありがたく胸に刻みます」
女王の優しい言葉に俺たちは深く感謝した。
「キアラ、しっかりと外の世界を見て、強くなってきなさい。ガラテアはあなたが立派な戦士となり帰ってくる日を楽しみにしています」
「はい! 日々鍛錬に励み、必ずやガラテアを護れる戦士となり帰ってきます!」
キアラも別れの挨拶が済んだ。
俺たちは頭を下げて、女王の間を出ていく。
昨日のうちにルクシアに帰る準備は済ませていた。
俺たちは、そのまま町に出る。
すると、町中の人が見送りに家の外に出てきてくれていた。
「冒険者様! 寂しくなるぜ! またいつでも帰って来いよな!」
「もっといればいいのに……まあ、何もないところだけどねぇ」
「レオ様ぁ! あたしも、連れて行ってよぉ!」
「ゴブリンの巣穴から助け出してくださりありがとうございました! 治療も受けて、今は普通に生活できるまで回復しました!」
「シレイドねーちゃん! これ、おかし! るくしあにかえってもミィたちのことわすれないでね!」
思い思いの言葉で見送ってくれる。
「ありがとう! ガラテアのみんな! また来るよ! それまで、元気でな!」
「ガラテアを護れてあたしも嬉しいよ! 料理も美味しかった! ありがとう!」
「むふー……♪ ガラテア、好き……また来る……」
俺たちも別れを惜しむように住民たちに応える。
「キアラ! 国の為に、強くなるんだぞ……! それまで、私たちがこの国を護るから」
「ありがとうございます、団長! 行って参ります!」
キアラも美男美女ぞろいの兵士団に見送られて、晴れやかな顔をしている。
「レオ様、リズ様、シレイド様、キアラ……あなたたちにガラテアの加護を!」
ルーティア女王が城のバルコニーから高らかに叫ぶ。
俺たちの旅立ちを祝福するように森がさらさらと歌い輝く。
「さよならー!!」
町を離れながら、住民たちが見えなくなるまで手を振った。
こうして、俺たちの三週間に及ぶ、エルフの国ガラテアでの生活が幕を閉じたのだった。
一つ目は、新しい武具の使用具合の確認だ。
ガラテアを救った褒美として、俺は『風霊の剣』、シレイドは『白銀のダガー』を貰ったが、それぞれの切れ味を見たい。
そして、リズの『新緑のマント』の効果も。
俊敏性が上がるらしいがどれほどのものなのか一度試してみる必要があるだろう。
二つ目は『ルーンブレード』についてだ。
レッドオークを倒した時に使ったきりだが、できれば使い勝手を確認しておきたい。
俺たちは森を進み、魔物を探した。
ちょうどいいところに、グレイベアが三体現れた。
「よし、リズ、シレイド、それぞれ一匹ずつ倒すぞ。シレイドは白銀のダガーを使って、リズは新緑のマントの効果を使って、敵を翻弄しながら戦ってみてくれ」
俺の言葉に二人が首肯する。
まず、リズが森を駆けていく。
速い。
確かにスピードが上がっているようだ。
「ふっ……!!」
直後、リズは跳躍しながらクロスボウを放っていく。
四方八方から矢が飛んでくるので、グレイベアは混乱しているようだ。
リズの姿を見て、追いかけようとしているものの、その速さについていけずにオロオロしているのが見て取れる。
そして、その矢は的確にヒットして確実に体力を奪っていく。
「ぐ、グウゥ……!」
ドシンと大きな音を立てて、グレイベアが息絶える。
続いて、シレイドが飛び出す。
シレイドはパッシブスキル『高速移動』を持っている。
先ほどのリズと同程度の速さで、グレイベアの攻撃をヒュンヒュン躱しながら、周りを回っている。
グレイベアの動きが鈍くなる。
身体中にシレイドが与えた傷口がある。
暗殺者であるシレイドの攻撃速度は目を見張るものがある。
グレイベアの動きが完全に止まったところで、シレイドが首元目がけてダガーを振る。
こちらもグレイベアを難なく倒す。
次は俺だ。
俊敏性を上げる装備も、スキルも持っていないが、グレイベアに向かい駆けていく。
グレイベアの振り下した爪を横に避けて、そのまま灰熊の腹を切り裂く。
ザクンッ!!
「ギャアオオオ!!」
グレイベアは叫び声を上げて、そのまま、倒れた。
一撃だ。
この剣……凄まじい切れ味だ。
斬るときの力がほとんど要らなかった。
そして、最初持った時に思った通り、やはり軽い。
今さっきも、もう一撃振れるくらいの余裕があった。
「レオ! このマントすごいよ!! 身体がすっごく軽いの! バク宙だってできちゃうよ! ほら!」
リズがひらりとバク宙をする。
すごいマントだな。
「シレイドのダガーもすごくいい……素早い動きにも上手く馴染んでくれる……戦いやすい……♪」
シレイドも上機嫌だ。
どうやら、これらの装備で、俺たちの戦闘力はさらに向上したようだ。
次は『ルーンブレード』の使い勝手だ。
レッドオークの際は、魔力全部を使って放ったが、あれじゃあコスパが悪過ぎる。
通常の戦闘で使うのは難しいだろう。
となれば、込める魔力を調整する必要がある。
「次の魔物で『ルーンブレード』の調整をする。戦闘は俺に任せてくれないか?」
「ええ、分かったわ」
「ん……シレイド、いつでも動けるようにしておく……」
「分かった。レッドオークを葬った技だな、確かに使えるようになればかなり楽になる。頑張って使えるようにすればいい」
三人の了承を得て、森を歩く。
しばらく歩くとシルバーウルフ三匹が現れた。
数が少し多いかとも思ったが、先程の剣の感覚からして、十分立ち回れるだろう。
俺は、銀狼三匹と対峙した。
シルバーウルフたちは俺を見つけた途端、全力疾走で飛びかかってくる。
俺は魔力を風霊の剣に注ぐ。
「『ルーンブレード』!」
刀身が白く光り、熱を帯びているのが分かる。
そして、そのまま飛びかかってくる銀狼を振り払う。
ジュイン!!
剣先が銀狼の爪に当たる。
直後、銀狼の爪がサックリと飛んでいく。
「ぎ、銀狼の爪を斬った!?」
「弾くことさえもしないとは、凄まじい技だな」
後ろでリズとキアラが声を上げる。
爪が焼き切れたシルバーウルフをそのまま叩き斬る。
続いて、牙を剥き出しにして飛びかかってきたシルバーウルフの顔を目がけて剣を振る。
シュイン!!
またも焼ききれるようにシルバーウルフの牙がパックリと二つに分かれる。
二匹目の腹もかっ捌き、三匹目に備える。
銀狼たちの亡骸を見て三匹目は怯えたように震えだし、逃げていく。
「ふん!!」
魔力をさらに強く込めると、光の刀身がビュウン!と伸びる。
そのまま振り払うと、離れたシルバーウルフも簡単に切り裂くことができた。
レッドオークの時は魔力全てを注いだからな。
刀身が伸びきった状態だっただろう。
風霊の剣よりも遥かに大きいレッドオークの巨体を真っ二つにできたのも、これで納得ができた。
十分効果は分かった。
ルーンブレードは刀身に魔力を帯びさせて切断力を高める技。
牙だろうが爪だろうが関係なく綺麗に斬ってしまう。
武装していたレッドオークを簡単に真っ二つにしたのだからその破壊力はかなりのものだろう。
なおかつ、込める魔力の量に応じて光の刀身は伸び縮みする。
いい技を扱えるようになった。
「すごい! すごいよ! レオ! すっごくカッコよかったよぉ!!」
リズが後ろから飛びついてくる。
「ありがとう。だが、やはり結構MPを使うな……乱発は難しいだろう」
体の中の魔力がなかなかに減った感覚がする。
使いどころを考える必要があるな。
その後、森の魔物を順調に狩っていく。
シレイドとキアラを前線に立たせて、リズを後方支援として置けば、ほぼ無双状態だ。
一通り森を回り、辺りの魔物を掃討した後、帰路につく。
その途中、キアラが提案してきた。
「なあ、レオ。君の剣技は大したものだ。だが、型が無いからか、その強さは野性的で時に危なっかしい。対して、私の槍はエルフの武道の型を用いたもの、型にはまらない本能的な動きの敵に対応しにくいという側面がある。そこでだ、時々でいいから一緒に稽古をつけてみないか? 共に剣を交わらせていけば私たちはもっと強くなれるだろう」
確かに、俺は剣道なんか習ったことが無いし、ぶっちゃけて言うと、ただ単純に剣を振り回しているだけである。
今まで魔物と戦ってこられたのは、高い適性に頼ってきたところが大きい。
キアラと鍛錬すれば、型というものを覚えられるし、そうすれば、戦闘がもっと楽になる。
となると、答えは決まっている。
「ああ、もちろんだ。よろしく頼む!」
俺はキアラの申し出を快く了承した。
朝は冒険に出かけ、昼は町の人と交流したりキアラと鍛錬したり、夜はリズたちと眠るときもあれば女王様に呼び出されて身体を重ねることもある。
追加依頼を受けている以上、長い時間、ガラテアを離れることはできないが合間を見つけては、ルクシアに戻って可愛い彼女たちに顔を出した。
ラズベリーは酔い潰れて、俺にフニャフニャになっている所を見られたのが相当恥ずかしかったのか、飲む時の量がかなり減ったようだ。
本人に聞くも「あの夜の私は忘れてください」と顔を赤くして目を逸らすだけだった。
まあ、可愛かったから、別に飲み過ぎて絡まれても全然いいのだが。
そんな時間はあっという間に過ぎて、約束の一週間半が経った。
「本当にルクシアに戻ってしまわれるのですか?」
女王の間にて、追加依頼完了及びガラテアからの帰還を報告すると、ルーティアは眉をハの字に曲げて悲しそうな顔をする。
なんだか、ものすごく後ろ髪を引かれるが。
「ルーティア女王。俺たちは冒険者です。まだまだ、色んな所に行き研鑽を積んで高みに上っていきたいと考えています」
「……そうですか。ですが、忘れないでください。あなた達はこの国の英雄だということを。いつでも帰ってくる場所があることを」
「はい、ありがたく胸に刻みます」
女王の優しい言葉に俺たちは深く感謝した。
「キアラ、しっかりと外の世界を見て、強くなってきなさい。ガラテアはあなたが立派な戦士となり帰ってくる日を楽しみにしています」
「はい! 日々鍛錬に励み、必ずやガラテアを護れる戦士となり帰ってきます!」
キアラも別れの挨拶が済んだ。
俺たちは頭を下げて、女王の間を出ていく。
昨日のうちにルクシアに帰る準備は済ませていた。
俺たちは、そのまま町に出る。
すると、町中の人が見送りに家の外に出てきてくれていた。
「冒険者様! 寂しくなるぜ! またいつでも帰って来いよな!」
「もっといればいいのに……まあ、何もないところだけどねぇ」
「レオ様ぁ! あたしも、連れて行ってよぉ!」
「ゴブリンの巣穴から助け出してくださりありがとうございました! 治療も受けて、今は普通に生活できるまで回復しました!」
「シレイドねーちゃん! これ、おかし! るくしあにかえってもミィたちのことわすれないでね!」
思い思いの言葉で見送ってくれる。
「ありがとう! ガラテアのみんな! また来るよ! それまで、元気でな!」
「ガラテアを護れてあたしも嬉しいよ! 料理も美味しかった! ありがとう!」
「むふー……♪ ガラテア、好き……また来る……」
俺たちも別れを惜しむように住民たちに応える。
「キアラ! 国の為に、強くなるんだぞ……! それまで、私たちがこの国を護るから」
「ありがとうございます、団長! 行って参ります!」
キアラも美男美女ぞろいの兵士団に見送られて、晴れやかな顔をしている。
「レオ様、リズ様、シレイド様、キアラ……あなたたちにガラテアの加護を!」
ルーティア女王が城のバルコニーから高らかに叫ぶ。
俺たちの旅立ちを祝福するように森がさらさらと歌い輝く。
「さよならー!!」
町を離れながら、住民たちが見えなくなるまで手を振った。
こうして、俺たちの三週間に及ぶ、エルフの国ガラテアでの生活が幕を閉じたのだった。
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