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第2章:ルクシアの森と奴隷暗殺者編
第15話:一人での冒険・夜編
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「おーい! レオーーー!」
俺の姿を見たサマンサが牧場の前で出迎えてくれる。
ウルフの依頼ぶりに牧場を訪れたが、この辺りはやはりのどかでいい。
「よお、サマンサ。ごめんな、急に家に泊まらせてもらうことになって」
「何言ってんのさ! こっちは一人暮らしだし、レオならいつでも大歓迎だよ!」
サマンサには昨日のうちに『家に泊まらせてもらえるか?』という手紙を送った。
町との距離もそう遠くないため、返信はすぐに届き、手紙には一言『オッケー!』と書いてあった。
「ありゃ? レオ一人?」
「ああ。今回の主な目的は魔物退治だから、リズは置いてきた」
「ふーん……その様子じゃ、冒険中に何かあったね?」
森での一件を見透かすように、サマンサが訊いてくる。
「まあ、深くは訊かないさ。リズには悪いけど、こっちは、レオと二人でラブラブ生活できるから、それで十分だよ♪」
サマンサが腕に抱きついてくる。
「それで、いつ魔物退治に行くんだい?」
「今回は夜の魔物を倒そうと思ってるから、前と同じで活動は夜だな」
「じゃあ、昼間は存分にイチャイチャしようね♪ ダーリン♪」
俺が来たのが相当嬉しいのか、上機嫌なサマンサ。
家に入り、牛乳のおもてなしを受ける。
テーブルをはさんで、サマンサと他愛ない話をした。
「そうだ、これ、サマンサにプレゼントだ」
そう言って、残していた黄色蜂蜜を渡す。
彼女にした女の子は、全員大切にする。
心に決めたことだ。
「わぁ……黄色蜂蜜! これ、好きなんだよねー。贅沢品だから、あんまり買えないけど。あ、そうだ。ハニートーストにして明日の朝にでも食べよう?」
思いのほか、喜んでもらえてよかった。
「ああ、それがいいな」
彼女の明るい笑顔を見ながら、俺は首肯する。
同棲カップルのような新婚のような甘酸っぱい時間に、終始、癒された。
夜、サマンサ特製のシチューを食べて、魔物狩りに出かける。
「気をつけるんだよ? 今日は一人なんだから、無理せずに疲れたら帰ってきてね」
「ああ、分かった。明け方には戻るさ」
「んふふ、分かった。待ってる……じゃあ、いってらっしゃいのチュウ……んちゅ……♡」
愛しの彼女にキスをされて、見送られる。
童〇時代に夢見ていたシチュエーションだ。
俺は、心を高鳴らせながら、牧場を後にした。
夜の平原をじっくりと散策するのは初めてだ。
ウルフの依頼の時は、牛舎との間を魔物に遭わないように注意しながら往復していただけだったし、平原での冒険は昼間ばかりだったからな。
しばらく歩いていると、カサカサと草むらが揺れる。
のっそりと現れたのは、犬のような顔をした三匹の小人だ。
手にはククリナイフを持っていて、皮の鎧で武装している。
俺はすぐに『鑑定』を行った。
名前:コボルト
危険度:E+
説明:二足歩行の犬の魔物。好戦的で、武具を装備する知能を持つ。
素材:『コボルトの牙』
レア素材:『コボルトククリ』
なるほど、これがコボルトか。
ゲームや漫画なんかでは割とポピュラーな存在だ。
俺を見るなり襲い掛かってきたので、鋼の剣を抜いて斬り捨てる。
鑑定にあった『好戦的』というのは間違いないようだ。
一撃で倒せるが油断はしない。
先の森のようなことが起こることもあるかもしれない。
素材を回収して、気を引き締めて探索を続ける。
次に遭遇したのは豚のような顔をした紫色の大きな蝙蝠。
通常の蝙蝠の三倍くらいはあろうか。
驚いたのはその数の多さ、十匹はいるだろうか。
デカいし多いし、少し気持ち悪い。
パタパタと羽ばたきながら、こちらを警戒している。
とりあえず、初見の魔物には全部『鑑定』をかける。
名前:ビッグバッド
危険度:E+
説明:夜に現れる蝙蝠の魔物。敵に噛みつき血を吸う。十匹ほどの群れで行動し全員で一体の敵を襲う。
素材:『大蝙蝠の羽』
レア素材:『大蝙蝠の牙』
ちまちまと剣で戦う必要は無い。
群れはフレイムで一掃する。
難なく倒せた。
数が多いので、素材を剥ぎ取るのが面倒だが仕方ない。
素材を回収後、探索を続ける。
しばらく歩いていると、妙な気配がする。
辺りには魔物の姿は無い。
不思議に思っていると、地面から急に手が出てきて、足を掴まれる。
「なにっ!? う、動けない!?」
そうこうしていると、前方から黒い塊が飛びかかってきた。
「くっ!! 『ファイア』!!」
「オオオオオオン……」
前方の黒い塊に火球を喰らわせると、塊がしぼみ消える。
炎に驚いたのか、足を掴む力が弱くなったので、力任せに振りほどいて距離を取る。
足元にあった手がムクムクと大きくなり、俺の背丈と同じくらいの、黒い塊になる。
もぞもぞと蠢く、黒い塊に赤い点が二つ。
あれは、目玉だろうか。
「おそらくこいつだな……」
すぐさま『鑑定』を行う。
名前:シャドウ
危険度:E+
説明:夜に出現する影の魔物。音も立てず獲物に近づき、影の身体で丸飲みにする。体の形を自由自在に変化させることができる。
素材:『影の結晶』
レア素材:『シャドウオニキス』
ビンゴだ。
「オオオオオン……」
前方のシャドウは二匹。
後ろを振り向くと、シャドウは三匹立っていた。
なるほど、こうやって音もなく獲物を囲むのか。
戦闘メンバーが多ければ、こういう時も分散して戦うこともできるだろうが、生憎、今はソロだ。
俺は、シャドウがいない横方向に走る。
シャドウは怪しい呻き声を上げながら追ってくる。
一斉に一方向に追ってくるので当然、群れは固まってくる。
そこにフレイムをお見舞いすると、シャドウたちは呆気なく消えていくのだった。
倒した後に、地面に残された素材を回収する。
他の魔物と違って、シャドウは素材の剥ぎ取りをしなくていいから楽だ。
「これが『影の結晶』か」
小石のような形の、丸く黒い塊。
月明かりに照らせば、キラキラと綺麗に輝いている。
なかなか高く売れそうだ。
倒したシャドウの素材をすべて回収し、次に向かう。
遭遇したのは、ひらひらと舞う黒く大きな蝶二匹。
キラキラと光る粉を出しながら飛んでいる。
ここでもすかさず鑑定を行う。
名前:ナイトバタフライ
危険度:E+
説明:夜に出現する蝶の魔物。攻撃こそしてこないが、敵を眠らせる鱗粉を周囲に撒く。他の魔物と一緒に出現したら注意。
素材:『夜蝶の眠り粉』
同種で出てきてくれてよかった。
初見で他の魔物と一緒に出てこられたら、危険だったかもしれない。
眠っている間に命を落とす可能性もあるとか、考えただけでゾッとする。
違う種類の魔物と出てきた時は、真っ先に叩くことにしよう。
俺は遠距離からフレイムを撃ち、早々に戦闘を終わらせる。
羽に付いている『夜蝶の眠り粉』を吸い込まないように慎重に回収した。
その後も探索を続けたが、新しい魔物はそれ以上出てこなかった。
どうやら、ルクシア平原の夜に出てくる魔物は、今日遭遇した四種とウルフの合計五種類の魔物で固定されているようだ。
もっとも、シルバーウルフのようなイレギュラーな場合があるのは頭に入れておかなければいけないだろう。
明け方まで魔物を狩り続けて、俺はサマンサの家に帰った。
俺の姿を見たサマンサが牧場の前で出迎えてくれる。
ウルフの依頼ぶりに牧場を訪れたが、この辺りはやはりのどかでいい。
「よお、サマンサ。ごめんな、急に家に泊まらせてもらうことになって」
「何言ってんのさ! こっちは一人暮らしだし、レオならいつでも大歓迎だよ!」
サマンサには昨日のうちに『家に泊まらせてもらえるか?』という手紙を送った。
町との距離もそう遠くないため、返信はすぐに届き、手紙には一言『オッケー!』と書いてあった。
「ありゃ? レオ一人?」
「ああ。今回の主な目的は魔物退治だから、リズは置いてきた」
「ふーん……その様子じゃ、冒険中に何かあったね?」
森での一件を見透かすように、サマンサが訊いてくる。
「まあ、深くは訊かないさ。リズには悪いけど、こっちは、レオと二人でラブラブ生活できるから、それで十分だよ♪」
サマンサが腕に抱きついてくる。
「それで、いつ魔物退治に行くんだい?」
「今回は夜の魔物を倒そうと思ってるから、前と同じで活動は夜だな」
「じゃあ、昼間は存分にイチャイチャしようね♪ ダーリン♪」
俺が来たのが相当嬉しいのか、上機嫌なサマンサ。
家に入り、牛乳のおもてなしを受ける。
テーブルをはさんで、サマンサと他愛ない話をした。
「そうだ、これ、サマンサにプレゼントだ」
そう言って、残していた黄色蜂蜜を渡す。
彼女にした女の子は、全員大切にする。
心に決めたことだ。
「わぁ……黄色蜂蜜! これ、好きなんだよねー。贅沢品だから、あんまり買えないけど。あ、そうだ。ハニートーストにして明日の朝にでも食べよう?」
思いのほか、喜んでもらえてよかった。
「ああ、それがいいな」
彼女の明るい笑顔を見ながら、俺は首肯する。
同棲カップルのような新婚のような甘酸っぱい時間に、終始、癒された。
夜、サマンサ特製のシチューを食べて、魔物狩りに出かける。
「気をつけるんだよ? 今日は一人なんだから、無理せずに疲れたら帰ってきてね」
「ああ、分かった。明け方には戻るさ」
「んふふ、分かった。待ってる……じゃあ、いってらっしゃいのチュウ……んちゅ……♡」
愛しの彼女にキスをされて、見送られる。
童〇時代に夢見ていたシチュエーションだ。
俺は、心を高鳴らせながら、牧場を後にした。
夜の平原をじっくりと散策するのは初めてだ。
ウルフの依頼の時は、牛舎との間を魔物に遭わないように注意しながら往復していただけだったし、平原での冒険は昼間ばかりだったからな。
しばらく歩いていると、カサカサと草むらが揺れる。
のっそりと現れたのは、犬のような顔をした三匹の小人だ。
手にはククリナイフを持っていて、皮の鎧で武装している。
俺はすぐに『鑑定』を行った。
名前:コボルト
危険度:E+
説明:二足歩行の犬の魔物。好戦的で、武具を装備する知能を持つ。
素材:『コボルトの牙』
レア素材:『コボルトククリ』
なるほど、これがコボルトか。
ゲームや漫画なんかでは割とポピュラーな存在だ。
俺を見るなり襲い掛かってきたので、鋼の剣を抜いて斬り捨てる。
鑑定にあった『好戦的』というのは間違いないようだ。
一撃で倒せるが油断はしない。
先の森のようなことが起こることもあるかもしれない。
素材を回収して、気を引き締めて探索を続ける。
次に遭遇したのは豚のような顔をした紫色の大きな蝙蝠。
通常の蝙蝠の三倍くらいはあろうか。
驚いたのはその数の多さ、十匹はいるだろうか。
デカいし多いし、少し気持ち悪い。
パタパタと羽ばたきながら、こちらを警戒している。
とりあえず、初見の魔物には全部『鑑定』をかける。
名前:ビッグバッド
危険度:E+
説明:夜に現れる蝙蝠の魔物。敵に噛みつき血を吸う。十匹ほどの群れで行動し全員で一体の敵を襲う。
素材:『大蝙蝠の羽』
レア素材:『大蝙蝠の牙』
ちまちまと剣で戦う必要は無い。
群れはフレイムで一掃する。
難なく倒せた。
数が多いので、素材を剥ぎ取るのが面倒だが仕方ない。
素材を回収後、探索を続ける。
しばらく歩いていると、妙な気配がする。
辺りには魔物の姿は無い。
不思議に思っていると、地面から急に手が出てきて、足を掴まれる。
「なにっ!? う、動けない!?」
そうこうしていると、前方から黒い塊が飛びかかってきた。
「くっ!! 『ファイア』!!」
「オオオオオオン……」
前方の黒い塊に火球を喰らわせると、塊がしぼみ消える。
炎に驚いたのか、足を掴む力が弱くなったので、力任せに振りほどいて距離を取る。
足元にあった手がムクムクと大きくなり、俺の背丈と同じくらいの、黒い塊になる。
もぞもぞと蠢く、黒い塊に赤い点が二つ。
あれは、目玉だろうか。
「おそらくこいつだな……」
すぐさま『鑑定』を行う。
名前:シャドウ
危険度:E+
説明:夜に出現する影の魔物。音も立てず獲物に近づき、影の身体で丸飲みにする。体の形を自由自在に変化させることができる。
素材:『影の結晶』
レア素材:『シャドウオニキス』
ビンゴだ。
「オオオオオン……」
前方のシャドウは二匹。
後ろを振り向くと、シャドウは三匹立っていた。
なるほど、こうやって音もなく獲物を囲むのか。
戦闘メンバーが多ければ、こういう時も分散して戦うこともできるだろうが、生憎、今はソロだ。
俺は、シャドウがいない横方向に走る。
シャドウは怪しい呻き声を上げながら追ってくる。
一斉に一方向に追ってくるので当然、群れは固まってくる。
そこにフレイムをお見舞いすると、シャドウたちは呆気なく消えていくのだった。
倒した後に、地面に残された素材を回収する。
他の魔物と違って、シャドウは素材の剥ぎ取りをしなくていいから楽だ。
「これが『影の結晶』か」
小石のような形の、丸く黒い塊。
月明かりに照らせば、キラキラと綺麗に輝いている。
なかなか高く売れそうだ。
倒したシャドウの素材をすべて回収し、次に向かう。
遭遇したのは、ひらひらと舞う黒く大きな蝶二匹。
キラキラと光る粉を出しながら飛んでいる。
ここでもすかさず鑑定を行う。
名前:ナイトバタフライ
危険度:E+
説明:夜に出現する蝶の魔物。攻撃こそしてこないが、敵を眠らせる鱗粉を周囲に撒く。他の魔物と一緒に出現したら注意。
素材:『夜蝶の眠り粉』
同種で出てきてくれてよかった。
初見で他の魔物と一緒に出てこられたら、危険だったかもしれない。
眠っている間に命を落とす可能性もあるとか、考えただけでゾッとする。
違う種類の魔物と出てきた時は、真っ先に叩くことにしよう。
俺は遠距離からフレイムを撃ち、早々に戦闘を終わらせる。
羽に付いている『夜蝶の眠り粉』を吸い込まないように慎重に回収した。
その後も探索を続けたが、新しい魔物はそれ以上出てこなかった。
どうやら、ルクシア平原の夜に出てくる魔物は、今日遭遇した四種とウルフの合計五種類の魔物で固定されているようだ。
もっとも、シルバーウルフのようなイレギュラーな場合があるのは頭に入れておかなければいけないだろう。
明け方まで魔物を狩り続けて、俺はサマンサの家に帰った。
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