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第1章:病弱青年とある女冒険者編
第12話:冒険者初日の夜に
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ギルドに併設されている酒場は、夜になるにつれて繁盛してくる。
受付に向かおうとしていると、前から歩いてくる強そうな中年戦士がリズに声をかけてくる。
「おお、『平原の王女様』! 今日もご無事で何よりだー。そこの冒険者とパーティを組むことになったのかい? まあ、頑張りなよ!」
「うっさい、酔っ払い!! 『平原の王女様』って言うな!!」
ツインテールを揺らしてプリプリしながら横を通るリズの返しに、中年戦士だけではなく、周りの冒険者たちも笑っている。
俺が横を通る時、おもむろに中年戦士に肩を掴まれる。
「あんちゃん……リズちゃんのこと、ちゃんと守ってやってくれよ。適性も無く、一年も独りで平原だけを散策してたら普通なら冒険者を辞めちまう。けど、あの子は頑張り屋だからそれでも続けた。俺たちも自分たちの家族や仲間があるから、稼ぎのためにシビアになるしかなかった。頼んだぜ……」
そう言うと、中年戦士は酒場の席に戻っていく。
「なにしてんのよー、レオー! 早く換金しよー!!」
どんな気持ちで一年を過ごしてきたのかを推し量ろうとすればするほど、こともなげに俺を呼ぶ彼女が堪らなく愛おしくなった。
受付に今日採ったアイテムを差し出す。
「まずはリズさんですね。『グリーンリーフ』が二十枚400G、『イエローダンデ』が十本100G、『レッドアップル』が十個100G、『ポルの実』が三十個300G、そして『ブルーフェザー』が一枚50G。今回、依頼案件は無かったので、報奨金としてのお支払いは無し。換金額は合計950Gですね」
「ううっ……1000Gいかなかったか……」
リズはガックシ肩を落としている。
リズの昨日の換金額と今日の換金額を見るに、あの平原で採れる採集アイテムの価値は大体10~20Gくらい。
『ブルーフェザー』を見つけた時、リズは飛び跳ねて喜んでたくらいだから、あれは特別価値が高いのだろう。
「次はレオさんですね。『スライムの粘液』六つ300G、『スライムの核』六つ600G、『大蟻の顎』四つ160G、『角兎の皮』二つ200G、換金額は合計1260Gですね」
1000Gの大台を軽く突破した。
リズが一日中汗だくになって平原中のアイテムを採集していたのに対して、俺は五回しか魔物と戦っていないのに。
ちなみに換金額が一番高いとリズに教えてもらった『角兎の肉』一つを換金せずに持っている状態でだ。
魔物との遭遇も初日ということで極力控え、遠くにいる魔物は相手にしないようにしていた。
こうなると、魔物と戦わない採集者の不遇さが目に見えて分かった。
もっとも、世界中探せば魔物の素材より高価なフィールドアイテムもあるのだろうが。
「リズ、これ返すよ」
「え?」
肩を落とすリズに500G金貨一枚と100G銀貨四枚を差し出す。
「今日、買ってくれた装備の代金。あまりの50Gは少ないけど利子ってことで」
「で、でも、そしたら宿代明日また払えなくなっちゃうよ?」
「明日また戦って稼げばいいんだよ。俺たちは冒険者なんだからさ」
俺の言葉にリズはニッコリ微笑んで、元気に首を縦に振った。
宿に帰ると、女将さんが元気に出迎えてくれる。
「おかえり、お疲れさん二人とも!」
「ただいまー、はー疲れたー、お腹減ったー」
リズはまるで自分の家のような振る舞いだ。
「女将さん、これ今日の宿代です」
「おや? ちょっと多いよ?」
俺が一泊分300Gを渡そうとすると女将さんは悪い顔で笑う。
「はっはっは、あんたたち、昨日あれだけ仲良くしてたんだから、今日から二人部屋に泊まりな。一泊400Gさ。一人300G払うより安上がりだろう!」
女将さんがからかうように言うので、リズと顔を見合わせて二人で俯いてしまう。
「じゃ、じゃあ、それで……」
男は度胸だと言い聞かせて、三階にある二人部屋の鍵を受け取る。
「あ、そうだ……女将さん、これ『角兎の肉』です。今日の夕食に使ってくれませんか? 余った分は女将さんの好きにして構いませんから」
「おや、まあお肉なんて、やっぱり冒険者様は豪勢だねえ! 分かったよ、美味しい料理を作ってあげるさ。さあさあ、二人とも汗だくだろう? 洗体用の桶と布を持って来てあげるから、先に部屋で身体を拭きな」
女将さんが持ってきた、お湯を張った桶と布を持って、俺とリズは部屋に入った。
受付に向かおうとしていると、前から歩いてくる強そうな中年戦士がリズに声をかけてくる。
「おお、『平原の王女様』! 今日もご無事で何よりだー。そこの冒険者とパーティを組むことになったのかい? まあ、頑張りなよ!」
「うっさい、酔っ払い!! 『平原の王女様』って言うな!!」
ツインテールを揺らしてプリプリしながら横を通るリズの返しに、中年戦士だけではなく、周りの冒険者たちも笑っている。
俺が横を通る時、おもむろに中年戦士に肩を掴まれる。
「あんちゃん……リズちゃんのこと、ちゃんと守ってやってくれよ。適性も無く、一年も独りで平原だけを散策してたら普通なら冒険者を辞めちまう。けど、あの子は頑張り屋だからそれでも続けた。俺たちも自分たちの家族や仲間があるから、稼ぎのためにシビアになるしかなかった。頼んだぜ……」
そう言うと、中年戦士は酒場の席に戻っていく。
「なにしてんのよー、レオー! 早く換金しよー!!」
どんな気持ちで一年を過ごしてきたのかを推し量ろうとすればするほど、こともなげに俺を呼ぶ彼女が堪らなく愛おしくなった。
受付に今日採ったアイテムを差し出す。
「まずはリズさんですね。『グリーンリーフ』が二十枚400G、『イエローダンデ』が十本100G、『レッドアップル』が十個100G、『ポルの実』が三十個300G、そして『ブルーフェザー』が一枚50G。今回、依頼案件は無かったので、報奨金としてのお支払いは無し。換金額は合計950Gですね」
「ううっ……1000Gいかなかったか……」
リズはガックシ肩を落としている。
リズの昨日の換金額と今日の換金額を見るに、あの平原で採れる採集アイテムの価値は大体10~20Gくらい。
『ブルーフェザー』を見つけた時、リズは飛び跳ねて喜んでたくらいだから、あれは特別価値が高いのだろう。
「次はレオさんですね。『スライムの粘液』六つ300G、『スライムの核』六つ600G、『大蟻の顎』四つ160G、『角兎の皮』二つ200G、換金額は合計1260Gですね」
1000Gの大台を軽く突破した。
リズが一日中汗だくになって平原中のアイテムを採集していたのに対して、俺は五回しか魔物と戦っていないのに。
ちなみに換金額が一番高いとリズに教えてもらった『角兎の肉』一つを換金せずに持っている状態でだ。
魔物との遭遇も初日ということで極力控え、遠くにいる魔物は相手にしないようにしていた。
こうなると、魔物と戦わない採集者の不遇さが目に見えて分かった。
もっとも、世界中探せば魔物の素材より高価なフィールドアイテムもあるのだろうが。
「リズ、これ返すよ」
「え?」
肩を落とすリズに500G金貨一枚と100G銀貨四枚を差し出す。
「今日、買ってくれた装備の代金。あまりの50Gは少ないけど利子ってことで」
「で、でも、そしたら宿代明日また払えなくなっちゃうよ?」
「明日また戦って稼げばいいんだよ。俺たちは冒険者なんだからさ」
俺の言葉にリズはニッコリ微笑んで、元気に首を縦に振った。
宿に帰ると、女将さんが元気に出迎えてくれる。
「おかえり、お疲れさん二人とも!」
「ただいまー、はー疲れたー、お腹減ったー」
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「女将さん、これ今日の宿代です」
「おや? ちょっと多いよ?」
俺が一泊分300Gを渡そうとすると女将さんは悪い顔で笑う。
「はっはっは、あんたたち、昨日あれだけ仲良くしてたんだから、今日から二人部屋に泊まりな。一泊400Gさ。一人300G払うより安上がりだろう!」
女将さんがからかうように言うので、リズと顔を見合わせて二人で俯いてしまう。
「じゃ、じゃあ、それで……」
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「あ、そうだ……女将さん、これ『角兎の肉』です。今日の夕食に使ってくれませんか? 余った分は女将さんの好きにして構いませんから」
「おや、まあお肉なんて、やっぱり冒険者様は豪勢だねえ! 分かったよ、美味しい料理を作ってあげるさ。さあさあ、二人とも汗だくだろう? 洗体用の桶と布を持って来てあげるから、先に部屋で身体を拭きな」
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