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第1章:病弱青年とある女冒険者編
第9話:作戦会議
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部屋の前に置かれてあった朝食を食べながら、リズと今後について話す。
メニューはパンとあっさりした野菜スープ、素朴な味わいだ。
ちなみに朝食は二膳、俺の部屋の前に置かれており、なぜか洗体用の湯を張った桶と布も二つずつ置かれていた。
夕食の食器を女将さんの元に返しに行くと、肩に手を置かれ、サムズアップされた。
つまり、女将さんには昨日の情事はバレバレということだ。
一連の出来事にリズと顔を真っ赤にして、思わず俯いてしまったのだった。
「さて、じゃあ、今後の活動についてだけど……」
俺が話し出すと、リズはキラキラした真剣な面持ちで見つめてくる。
仲間と作戦会議なんて初めてなのだろう『ワクワク』という気持ちが透けて見える。
ちなみにリーダーが俺と決まったのは単純な強さからだ。
この世界の知識的なことは、その都度リズが教えてくれるらしい。
「しばらくは平原を中心に魔物を狩り、フィールドでアイテムを採集しながら進もうと思う」
「ええ!? 森に行かないの!?」
俺の言葉にリズが声を上げる。
「ぶっちゃけ、俺は転生したばかり。レベルも低いし、魔法は使えるがどこまで戦えるか未知数だ。リズも戦いは得意じゃない。そんな状態でいきなり行動範囲を変えるのは危険すぎる」
昨日の魔物との戦いや、女神との会話でも思ったことだ。
この世界の冒険は魔物や賊といった存在がある限り、少しの油断で死に直結する。
現代日本のような平和な世界ではないのだ。
「平原ならリズがいれば、怖れることは無い。一年も探索し続けてきたんだからな」
「う、嬉しいような、悲しいような、複雑……」
俺の言葉にリズは、なんとも言えない顔をしている。
「まあ、でもそうだよね。強い魔法が使えるからって、初心者が背伸びするのは危険すぎるよね……」
リズも理解自体はちゃんとしているようだ。
「はぁ……『平原の王女様』返上はまだ先か……」
自分の気持ちを御しきれてない感じはあるが。
「それより、ギルドで俺が出したプロフィールって、リズのも見れるのか?」
「もちろん見れるわよ。見てみる? ちょっと恥ずいけど……」
リズは少し照れながら自分の胸に手を当てて『鑑定』と唱えた。
受付嬢の魔法とは別の魔法のようだ。
すると、リズの手から青い枠が飛び出て、文字が浮かび上がる。
名前:リズ・オレイア
年齢:19歳
ジョブ:採集者Lv12
能力:剣適性D、槍適性E、斧適性E、魔法適性E
年齢が19歳……俺と同い年か、よし、セーフだ。
何がとは言わないがセーフだ。
武器適性は俺よりも低い、が、気になるのは数だ、俺は剣と魔法適性しか表示されなかった。
だが、リズのプロフィールには槍と斧の適性も表示されている。
「リズ、武器適性って増えるのか?」
「うん、その武器で魔物を倒した時に適性が表示されるようになるの。任意で非表示にもできるんだけどね。あたしの場合、最初は魔法でスライムを倒したんだけど、適性を確認して向いてないのが分かったから基本的な剣、槍、斧を買って、それぞれ試したの。それでも最大で剣適性Dまでしか行かなくて。戦闘は向いてない、仕方ないから採集者になるかってことで、村人からジョブチェンジしたわけ」
なるほど、俺の場合、魔法でスライムを、リズを助ける時に剣でゴブリンを倒したから剣と魔法の適性が表示されたわけか。
「つまり、色んな武器を試したら適性がもっと合うのが見つかるかもしれないって事だろ?」
俺の言葉に目を丸くするリズ。
「まあ、そうだけど……基本的に剣・槍・斧以外の武器は『一般的ではない武器』にカテゴライズされるから、値段が高かったり、弓矢とかだとどうしても消費が多くて経済的においしくないんだ。特に、あたし自身、魔物と戦う冒険者っていう職業にこだわりが無かったし、すぐ仲間を見つけて一緒に冒険すればいいやと思ってたんだけどね」
「そうだったのか」
戦いに向いてないのに無理に前線に出るのは、危険だ、命だって落としかねない。
それよりは支援型のジョブに就いて、仲間と共に冒険した方が現実的だ。
まあ、リズはその仲間がなかなかできなくて困ってたわけだけど。
「明るくて可愛いリズなら、すぐに仲間、見つかりそうだけどな」
ポツリと言った言葉が嬉しかったのか、ポッと顔を赤くするリズ。
「ほ、ほら。ルクシアの町は初心者が多いから。リスクに重きを置いちゃって、どうしても採集者ではなくて、戦える冒険者とか戦いを支援できる援護者が人気になっちゃうのよ」
なるほど、少しでも戦える採集者なら仲間は見つかるだろうけど、リズのように戦いに適性がほとんど無い上に、消極的な採集者は邪魔なだけということか。
ギルドを見る限り悪そうな人はあまりいなかったが、仲間選びに関しても命にかかわるからシビアになっているということだろう。
こんなに可愛いのに……。
俺があれこれ思案してると、リズが不安そうに俺を見つめてくる。
「あ、あたしを仲間にするの、イヤになっちゃった……?」
「そんなわけないよ。リズは大切な俺の仲間だ」
この『冒険者としての自分』に関しての自信の無さはいずれどうにかしてあげたいなと思いながらリズの頭を撫でてやる。
猫のように目を細める彼女を大切にしたいと思った。
「さてと、じゃあ平原に行きますか」
「あ、ま、待って」
俺が大きく伸びをして立ち上がると、リズが呼び止める。
「まずは、レオの武器と防具を揃えよう? お金はあたしの貯金から出すから。レオが危ない目に遭うのイヤなの」
いじらしいことを言ってくれる。
確かに丸腰で敵と戦うのは危険だ、魔法だって何発も撃てるもんじゃないだろう。
おそらくMPのようなものがあるはずだ。
それが尽きた時、攻撃手段は無くなってしまう。
現に昨日は単純魔法を三発撃っただけで、疲れ果てて爆睡してしまった。
第二、第三の戦闘方法を考え、魔物と戦うに当たっては、慎重すぎるくらいでいいだろう。
お金は後で、ちゃんと返せばいい、魔物の素材がどのくらいの価値かは分からないけど、昨日換金した感じでいうと悪い稼ぎにはならないはずだ。
「分かった、ありがとう、リズ……」
「んちゅ……も、もう、レオったら」
お礼代わりにキスをしてやると、リズが顔を赤くして「仕方ないな」という表情を浮かべる。
なんだか、とんでもないジゴロになった気分だ。
メニューはパンとあっさりした野菜スープ、素朴な味わいだ。
ちなみに朝食は二膳、俺の部屋の前に置かれており、なぜか洗体用の湯を張った桶と布も二つずつ置かれていた。
夕食の食器を女将さんの元に返しに行くと、肩に手を置かれ、サムズアップされた。
つまり、女将さんには昨日の情事はバレバレということだ。
一連の出来事にリズと顔を真っ赤にして、思わず俯いてしまったのだった。
「さて、じゃあ、今後の活動についてだけど……」
俺が話し出すと、リズはキラキラした真剣な面持ちで見つめてくる。
仲間と作戦会議なんて初めてなのだろう『ワクワク』という気持ちが透けて見える。
ちなみにリーダーが俺と決まったのは単純な強さからだ。
この世界の知識的なことは、その都度リズが教えてくれるらしい。
「しばらくは平原を中心に魔物を狩り、フィールドでアイテムを採集しながら進もうと思う」
「ええ!? 森に行かないの!?」
俺の言葉にリズが声を上げる。
「ぶっちゃけ、俺は転生したばかり。レベルも低いし、魔法は使えるがどこまで戦えるか未知数だ。リズも戦いは得意じゃない。そんな状態でいきなり行動範囲を変えるのは危険すぎる」
昨日の魔物との戦いや、女神との会話でも思ったことだ。
この世界の冒険は魔物や賊といった存在がある限り、少しの油断で死に直結する。
現代日本のような平和な世界ではないのだ。
「平原ならリズがいれば、怖れることは無い。一年も探索し続けてきたんだからな」
「う、嬉しいような、悲しいような、複雑……」
俺の言葉にリズは、なんとも言えない顔をしている。
「まあ、でもそうだよね。強い魔法が使えるからって、初心者が背伸びするのは危険すぎるよね……」
リズも理解自体はちゃんとしているようだ。
「はぁ……『平原の王女様』返上はまだ先か……」
自分の気持ちを御しきれてない感じはあるが。
「それより、ギルドで俺が出したプロフィールって、リズのも見れるのか?」
「もちろん見れるわよ。見てみる? ちょっと恥ずいけど……」
リズは少し照れながら自分の胸に手を当てて『鑑定』と唱えた。
受付嬢の魔法とは別の魔法のようだ。
すると、リズの手から青い枠が飛び出て、文字が浮かび上がる。
名前:リズ・オレイア
年齢:19歳
ジョブ:採集者Lv12
能力:剣適性D、槍適性E、斧適性E、魔法適性E
年齢が19歳……俺と同い年か、よし、セーフだ。
何がとは言わないがセーフだ。
武器適性は俺よりも低い、が、気になるのは数だ、俺は剣と魔法適性しか表示されなかった。
だが、リズのプロフィールには槍と斧の適性も表示されている。
「リズ、武器適性って増えるのか?」
「うん、その武器で魔物を倒した時に適性が表示されるようになるの。任意で非表示にもできるんだけどね。あたしの場合、最初は魔法でスライムを倒したんだけど、適性を確認して向いてないのが分かったから基本的な剣、槍、斧を買って、それぞれ試したの。それでも最大で剣適性Dまでしか行かなくて。戦闘は向いてない、仕方ないから採集者になるかってことで、村人からジョブチェンジしたわけ」
なるほど、俺の場合、魔法でスライムを、リズを助ける時に剣でゴブリンを倒したから剣と魔法の適性が表示されたわけか。
「つまり、色んな武器を試したら適性がもっと合うのが見つかるかもしれないって事だろ?」
俺の言葉に目を丸くするリズ。
「まあ、そうだけど……基本的に剣・槍・斧以外の武器は『一般的ではない武器』にカテゴライズされるから、値段が高かったり、弓矢とかだとどうしても消費が多くて経済的においしくないんだ。特に、あたし自身、魔物と戦う冒険者っていう職業にこだわりが無かったし、すぐ仲間を見つけて一緒に冒険すればいいやと思ってたんだけどね」
「そうだったのか」
戦いに向いてないのに無理に前線に出るのは、危険だ、命だって落としかねない。
それよりは支援型のジョブに就いて、仲間と共に冒険した方が現実的だ。
まあ、リズはその仲間がなかなかできなくて困ってたわけだけど。
「明るくて可愛いリズなら、すぐに仲間、見つかりそうだけどな」
ポツリと言った言葉が嬉しかったのか、ポッと顔を赤くするリズ。
「ほ、ほら。ルクシアの町は初心者が多いから。リスクに重きを置いちゃって、どうしても採集者ではなくて、戦える冒険者とか戦いを支援できる援護者が人気になっちゃうのよ」
なるほど、少しでも戦える採集者なら仲間は見つかるだろうけど、リズのように戦いに適性がほとんど無い上に、消極的な採集者は邪魔なだけということか。
ギルドを見る限り悪そうな人はあまりいなかったが、仲間選びに関しても命にかかわるからシビアになっているということだろう。
こんなに可愛いのに……。
俺があれこれ思案してると、リズが不安そうに俺を見つめてくる。
「あ、あたしを仲間にするの、イヤになっちゃった……?」
「そんなわけないよ。リズは大切な俺の仲間だ」
この『冒険者としての自分』に関しての自信の無さはいずれどうにかしてあげたいなと思いながらリズの頭を撫でてやる。
猫のように目を細める彼女を大切にしたいと思った。
「さてと、じゃあ平原に行きますか」
「あ、ま、待って」
俺が大きく伸びをして立ち上がると、リズが呼び止める。
「まずは、レオの武器と防具を揃えよう? お金はあたしの貯金から出すから。レオが危ない目に遭うのイヤなの」
いじらしいことを言ってくれる。
確かに丸腰で敵と戦うのは危険だ、魔法だって何発も撃てるもんじゃないだろう。
おそらくMPのようなものがあるはずだ。
それが尽きた時、攻撃手段は無くなってしまう。
現に昨日は単純魔法を三発撃っただけで、疲れ果てて爆睡してしまった。
第二、第三の戦闘方法を考え、魔物と戦うに当たっては、慎重すぎるくらいでいいだろう。
お金は後で、ちゃんと返せばいい、魔物の素材がどのくらいの価値かは分からないけど、昨日換金した感じでいうと悪い稼ぎにはならないはずだ。
「分かった、ありがとう、リズ……」
「んちゅ……も、もう、レオったら」
お礼代わりにキスをしてやると、リズが顔を赤くして「仕方ないな」という表情を浮かべる。
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