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婚約破棄をされた令嬢が幸福になる方法
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「三年待ったがお前は何も変わらなかった。
お前との婚約は破棄させてもらう。」
「………はい?」
今私の目の前で婚約破棄を言い渡した相手は、この国の第一王子ことアレク様だ。
そして私はその婚約者だった。
そう、今この瞬間までは。
「アレク様、私は貴方の妃になるために多方面に渡り勉学に励んでまいりました。
何も変わらなかった、とはどういう意味でしょう?」
恋愛結婚ではないが、私なりに将来夫となる人を支えるために努力を重ねてきたのだ。
一方的に婚約破棄をされるのはさすがに傷つく。
「私には足りない何かがあるのですか?」
「主に胸?」
「…………………………はい?」
「15才で婚約したからまだ伸びしろはあるはずだと、俺は三年も我慢したんだ。
だがお前の乳は育った様子もなく、いまだにツルペタじゃないか。
俺はもっとグラマラスな女が好みなんだ。」
ツルペタ………ですか……。
「後で父上にも言っておく。
じゃーな。」
人として、というより女としてダメ出しされたのかしら?私。
茫然自失、とはこういうことを言うのだろう。
ツルペタが理由で婚約破棄だなんて、口が裂けても人様には言えやしない……。
そして男性優位の貴族社会では、婚約破棄は一方的に女性のせいになってしまう。
貴族社会の法律や風潮を作るのは男性の役割だからだ。
私は第一王子の婚約者だった娘なのだから、これからどんな難癖つけられるか分かったものではない。
結婚もままならなくなるだろう。
……お父様になんて説明しよう……。
そんな風に物思いに耽っていると、ふと優しい声に話しかけられた。
「どうしたんだい?エヴェリーナ。
今日はアレクと話し合いがあると言ってなかったかい?」
「グリフォス様………。」
彼はアレク様の叔父にあたる方で、国王陛下の弟君だ。
国王陛下とは年が離れたご兄弟で、私より10才ほど年上の美丈夫な方だ。
理由は知らないが一生結婚なさらないのだそうで、多くのご令嬢達が涙で枕を濡らしたらしい。
麗しいだけでなく優しい彼は、実は私の初恋の人だ。
「話し合いはもう済みました。
アレク様は私との婚約を破棄するそうです…。」
「……なんだって?
何が原因なんだい?」
……女のプライドに関わることなので言いたくはないが、グリフォス様はいつも私を守り助けてくれた。
恥を忍んで誠実にお答えしなければならないだろう。
「……実は私のお胸が寂しいからと……豊満なお胸の方がアレク様はお好きなのだそうです……。」
「アイツはそんな理由で破棄すると言ってきたのか……。
ふざけやがって!!」
いつも穏やかなグリフォス様が、私のために怒ってくれている。
私はこれから修道院に行くか、ご婦人を亡くされたご高齢の貴族の後妻に収まることになるだろうが、怒ってくれる人がいるだけで充分ではないかしら?
少なくともグリフォス様だけは私の味方でいてくれるんですもの。
「……待てよ、これはチャンスなのか?」
「え?今なんと仰いましたの?」
「いや、何でもないよ。
エヴェリーナ、アイツを見返したいとは思わないかい?」
「え?」
「貴女さえよければ、私が貴女の胸を大きくする手伝いをして差し上げたいのだが。」
「ま、まぁ!お胸を大きくする方法があるのですか!?
でもご迷惑では?」
「迷惑なものか。
寧ろご褒美だ。」
「え?最後は何て?」
「いや、何でもないよ?」
迷惑なものかの後の言葉が、独り言のように小さく仰ったので聞き取れなかった。
「エヴェリーナ、胸を大きくするには時間がかかるんだ。
一日でも早く取り掛かったほうがいいのだが……。」
「是非お願いしますわ!」
グリフォス様はなんて親切な方なんだ!
アレク様と婚約破棄するのは構わないが、女としては一矢報いたいじゃないか。
こうして私はグリフォス様の暮らす離宮に赴くことになったのだった。
その後、どうなったかというと。
お胸を大きくする方法は私の口から語れない。
グリフォス様の暮らす離宮に連れていかれた後、あの手この手であれよあれよといってる間に裸に剥かれてしまい、美味しくいただかれてしまったのだ。
事後に「もうお嫁にいけない」とさめざめ泣いてると、グリフォス様は
「大丈夫、私が貴女をお嫁さんにするから♡」
とかつてないほど上機嫌で私の頬にキスをしたのだった。
グリフォス様は生まれたての私に一目惚れだったのだそうで、私の父に何度も婚姻の申し入れをしたのだそうだ。
そう、0才の赤ん坊に、10才の少年が。
父は最初こそ子供の戯言でそのうち忘れてしまうだろうと思っていたのだが、申し入れは15年に渡って続き、さすがにグリフォス様が本気であることを察したらしい。
でもまあ王弟であるグリフォス様なら問題なかろうと承諾しようとした矢先、何も知らないウッカリ屋の母がアレク様の言った「お前は俺の好みの顔をしているな、妃にしてやる。」という言葉を鵜呑みにしてさっさと婚約を取り付けてしまったらしいのだ。
激怒したグリフォス様と婚約を許可した国王陛下の間で一悶着あったらしいのだが、一度した婚約を覆してしまうと私に悪評が立ってしまうことから諦めざるをえなかったのだとか。
それで一生独身宣言をするあたり、グリフォス様の一途さには感心せざるをえない。
執念深さを感じてちょっと引いたが、それだけ私を好いてくれているのだと分かり、私の乙女心は嬉しく感じたのだった。
そして現在、アレク様から婚約破棄されて、半年ほど経っていた。
「おい、エヴェリーナ!
随分胸が育ったな。
元々顔は好みだったんだし、もう一度婚約してやってもいいぞ。」
今日は国王陛下に所用があり王宮まで赴いていたのだが、偶然アレク様に出くわしてしまって真っ先に言われた台詞がこれだった。
俺様アレク様である。
どう返答しようか悩んでいると、グリフォス様が私を迎えにやってきて助け船を出してくれた。
「エヴェリーナ、遅いから心配したんだ。
アホはほっといて早く陛下に挨拶に行こう。」
「な!叔父上!アホとはどういう意味ですか!?」
「まぁ、グリフォス様お待たせしてごめんなさい。
迎えに来てくださって嬉しいですわ!」
「おい、お前も無視すんな!」
「アレク、お前の叔母上になる人にその口の利き方はなんだ。」
「はぁ!?
お、お前、まさか叔父上と不貞を働いたな!?」
「まぁ!不貞とは婚姻関係、もしくは恋人、婚約者が当てはまる言葉ですわ。
私とアレク様は晴れて婚約破棄が成立し、全く赤の他人ではありませんか。
私は貴方の所有物ではございませんのよ?」
「そうだぞ、アレク。
それにお前から破棄しておいて、今更再び婚約を結ぼうなどあり得ない。
エヴェリーナは私と結婚して、ゆくゆくはこの国の王妃となるんだ。」
「意味が分かりません!
王位継承権は、国王の第一子である俺にあるのです。
俺と婚姻した者こそ未来の王妃だ。
そんなことも知らないのですか?」
「お前こそ何も知らないのだな。
国王陛下は昔から、それはそれはエヴェリーナを可愛がっていて、彼女が義理の娘になるならその夫を王太子に任命すると仰っていた。」
「そ、そんなことが罷り通るわけが……。
そ、そうだ!法律上そんな無茶は通らない!」
「本当にアホだな、アレク。」
私はアレク様が少々不憫になってきた。
美丈夫で誰にでも優しいグリフォス様は、私の事になると人が変わったようになる。
アレク様と婚約破棄になったすぐ後くらいに、私に難癖をつけてきた貴族がいた。
彼は王都近隣の領地を持つ大貴族だったのだが、今は遠い田舎町の領主を務めながら細々と暮らしている。
彼は世の中には怒らせてはイケナイ人がいることを、身をもって学んだことだろう。
「法律は誰が決めるんだい?」
「………え?」
「この国の最高権力者だよ?兄上は。」
そしてそれは国王陛下とて変わらない。
国王陛下は常々「こんな娘が欲しかった!」と言っては私を可愛がってくださった。
この度アレク様が勝手に私に婚約破棄を言い渡した件で実は激怒していたそうで、「エヴェリーナちゃんがお嫁にきてくれなかったらどうしてくれるんだ!」と裏で大騒ぎをして臣下の貴族達を困らせていたとグリフォス様が教えてくれた。
そして息子がその気ならと、王位継承権がグリフォス様に移るよう法律を変えてしまったのだ。
国王陛下としては私がどちらと結婚しようが、結果として身内になれるので問題ないらしい。
私はどう転ぼうと王妃になる未来が決まってしまっていた。
私はグリフォス様がお嫁さんにしてくださるだけで充分幸せなのでそこまでしなくても……と言ったのだけど、二人には受け入れてもらえなかったのだ。
今度はアレク様が茫然自失となる番だった。
こうして私のプチ復讐劇は幕を閉じたのだった。
乙女のプライドを傷つけた罪は、海より深いと彼も学んだことだろう。
そして………。
「もう王位とかどうでもいいから俺と結婚してくれ!!」
「いい加減にしないか、アレク。
エヴェリーナはもう私の妻になったんだ。
諦めて他のご令嬢と結婚してくれ!」
アレク様にザマァをしたすぐ後くらいから、どういう心境の変化かアレク様は私に求婚してくるようになった。
一途な(執念深いともいう)血筋とは争えないもので、アレク様は私がグリフォス様と結婚した後もこうして言いよってくる。
お胸に不満はあったもののアレク様の好みのタイプが私だったことは間違いないらしく、もう手に入らないと分かってから漸く真実の愛に目覚めたのだという。
ぶっちゃけご令嬢方がパットでお胸の底上げをしボリュームのカサ増ししていた衝撃の事実を知って、理想とは儚いものだと学んだことも理由の一つだった。
「すまなかったエヴェリーナ!
どうか叔父上と離縁して俺とやり直してくれ!」
そんな彼に、私は過去の偉人が残した素晴らしい言葉を送ってやりたい。
後悔先に立たず、と。
※※※
チャンチャン♪
年内に一本どうしてもアップしたくて短編を書きました。
"BLゲームの~"を断念するお詫びになればいいのですが……。
エロシーンも書いてみたのですが、短編にしては長すぎだったので丸々カットしました。
いつかエロシーンも書いてみたいなぁ……。
読んでいただいてありがとうございました!
お前との婚約は破棄させてもらう。」
「………はい?」
今私の目の前で婚約破棄を言い渡した相手は、この国の第一王子ことアレク様だ。
そして私はその婚約者だった。
そう、今この瞬間までは。
「アレク様、私は貴方の妃になるために多方面に渡り勉学に励んでまいりました。
何も変わらなかった、とはどういう意味でしょう?」
恋愛結婚ではないが、私なりに将来夫となる人を支えるために努力を重ねてきたのだ。
一方的に婚約破棄をされるのはさすがに傷つく。
「私には足りない何かがあるのですか?」
「主に胸?」
「…………………………はい?」
「15才で婚約したからまだ伸びしろはあるはずだと、俺は三年も我慢したんだ。
だがお前の乳は育った様子もなく、いまだにツルペタじゃないか。
俺はもっとグラマラスな女が好みなんだ。」
ツルペタ………ですか……。
「後で父上にも言っておく。
じゃーな。」
人として、というより女としてダメ出しされたのかしら?私。
茫然自失、とはこういうことを言うのだろう。
ツルペタが理由で婚約破棄だなんて、口が裂けても人様には言えやしない……。
そして男性優位の貴族社会では、婚約破棄は一方的に女性のせいになってしまう。
貴族社会の法律や風潮を作るのは男性の役割だからだ。
私は第一王子の婚約者だった娘なのだから、これからどんな難癖つけられるか分かったものではない。
結婚もままならなくなるだろう。
……お父様になんて説明しよう……。
そんな風に物思いに耽っていると、ふと優しい声に話しかけられた。
「どうしたんだい?エヴェリーナ。
今日はアレクと話し合いがあると言ってなかったかい?」
「グリフォス様………。」
彼はアレク様の叔父にあたる方で、国王陛下の弟君だ。
国王陛下とは年が離れたご兄弟で、私より10才ほど年上の美丈夫な方だ。
理由は知らないが一生結婚なさらないのだそうで、多くのご令嬢達が涙で枕を濡らしたらしい。
麗しいだけでなく優しい彼は、実は私の初恋の人だ。
「話し合いはもう済みました。
アレク様は私との婚約を破棄するそうです…。」
「……なんだって?
何が原因なんだい?」
……女のプライドに関わることなので言いたくはないが、グリフォス様はいつも私を守り助けてくれた。
恥を忍んで誠実にお答えしなければならないだろう。
「……実は私のお胸が寂しいからと……豊満なお胸の方がアレク様はお好きなのだそうです……。」
「アイツはそんな理由で破棄すると言ってきたのか……。
ふざけやがって!!」
いつも穏やかなグリフォス様が、私のために怒ってくれている。
私はこれから修道院に行くか、ご婦人を亡くされたご高齢の貴族の後妻に収まることになるだろうが、怒ってくれる人がいるだけで充分ではないかしら?
少なくともグリフォス様だけは私の味方でいてくれるんですもの。
「……待てよ、これはチャンスなのか?」
「え?今なんと仰いましたの?」
「いや、何でもないよ。
エヴェリーナ、アイツを見返したいとは思わないかい?」
「え?」
「貴女さえよければ、私が貴女の胸を大きくする手伝いをして差し上げたいのだが。」
「ま、まぁ!お胸を大きくする方法があるのですか!?
でもご迷惑では?」
「迷惑なものか。
寧ろご褒美だ。」
「え?最後は何て?」
「いや、何でもないよ?」
迷惑なものかの後の言葉が、独り言のように小さく仰ったので聞き取れなかった。
「エヴェリーナ、胸を大きくするには時間がかかるんだ。
一日でも早く取り掛かったほうがいいのだが……。」
「是非お願いしますわ!」
グリフォス様はなんて親切な方なんだ!
アレク様と婚約破棄するのは構わないが、女としては一矢報いたいじゃないか。
こうして私はグリフォス様の暮らす離宮に赴くことになったのだった。
その後、どうなったかというと。
お胸を大きくする方法は私の口から語れない。
グリフォス様の暮らす離宮に連れていかれた後、あの手この手であれよあれよといってる間に裸に剥かれてしまい、美味しくいただかれてしまったのだ。
事後に「もうお嫁にいけない」とさめざめ泣いてると、グリフォス様は
「大丈夫、私が貴女をお嫁さんにするから♡」
とかつてないほど上機嫌で私の頬にキスをしたのだった。
グリフォス様は生まれたての私に一目惚れだったのだそうで、私の父に何度も婚姻の申し入れをしたのだそうだ。
そう、0才の赤ん坊に、10才の少年が。
父は最初こそ子供の戯言でそのうち忘れてしまうだろうと思っていたのだが、申し入れは15年に渡って続き、さすがにグリフォス様が本気であることを察したらしい。
でもまあ王弟であるグリフォス様なら問題なかろうと承諾しようとした矢先、何も知らないウッカリ屋の母がアレク様の言った「お前は俺の好みの顔をしているな、妃にしてやる。」という言葉を鵜呑みにしてさっさと婚約を取り付けてしまったらしいのだ。
激怒したグリフォス様と婚約を許可した国王陛下の間で一悶着あったらしいのだが、一度した婚約を覆してしまうと私に悪評が立ってしまうことから諦めざるをえなかったのだとか。
それで一生独身宣言をするあたり、グリフォス様の一途さには感心せざるをえない。
執念深さを感じてちょっと引いたが、それだけ私を好いてくれているのだと分かり、私の乙女心は嬉しく感じたのだった。
そして現在、アレク様から婚約破棄されて、半年ほど経っていた。
「おい、エヴェリーナ!
随分胸が育ったな。
元々顔は好みだったんだし、もう一度婚約してやってもいいぞ。」
今日は国王陛下に所用があり王宮まで赴いていたのだが、偶然アレク様に出くわしてしまって真っ先に言われた台詞がこれだった。
俺様アレク様である。
どう返答しようか悩んでいると、グリフォス様が私を迎えにやってきて助け船を出してくれた。
「エヴェリーナ、遅いから心配したんだ。
アホはほっといて早く陛下に挨拶に行こう。」
「な!叔父上!アホとはどういう意味ですか!?」
「まぁ、グリフォス様お待たせしてごめんなさい。
迎えに来てくださって嬉しいですわ!」
「おい、お前も無視すんな!」
「アレク、お前の叔母上になる人にその口の利き方はなんだ。」
「はぁ!?
お、お前、まさか叔父上と不貞を働いたな!?」
「まぁ!不貞とは婚姻関係、もしくは恋人、婚約者が当てはまる言葉ですわ。
私とアレク様は晴れて婚約破棄が成立し、全く赤の他人ではありませんか。
私は貴方の所有物ではございませんのよ?」
「そうだぞ、アレク。
それにお前から破棄しておいて、今更再び婚約を結ぼうなどあり得ない。
エヴェリーナは私と結婚して、ゆくゆくはこの国の王妃となるんだ。」
「意味が分かりません!
王位継承権は、国王の第一子である俺にあるのです。
俺と婚姻した者こそ未来の王妃だ。
そんなことも知らないのですか?」
「お前こそ何も知らないのだな。
国王陛下は昔から、それはそれはエヴェリーナを可愛がっていて、彼女が義理の娘になるならその夫を王太子に任命すると仰っていた。」
「そ、そんなことが罷り通るわけが……。
そ、そうだ!法律上そんな無茶は通らない!」
「本当にアホだな、アレク。」
私はアレク様が少々不憫になってきた。
美丈夫で誰にでも優しいグリフォス様は、私の事になると人が変わったようになる。
アレク様と婚約破棄になったすぐ後くらいに、私に難癖をつけてきた貴族がいた。
彼は王都近隣の領地を持つ大貴族だったのだが、今は遠い田舎町の領主を務めながら細々と暮らしている。
彼は世の中には怒らせてはイケナイ人がいることを、身をもって学んだことだろう。
「法律は誰が決めるんだい?」
「………え?」
「この国の最高権力者だよ?兄上は。」
そしてそれは国王陛下とて変わらない。
国王陛下は常々「こんな娘が欲しかった!」と言っては私を可愛がってくださった。
この度アレク様が勝手に私に婚約破棄を言い渡した件で実は激怒していたそうで、「エヴェリーナちゃんがお嫁にきてくれなかったらどうしてくれるんだ!」と裏で大騒ぎをして臣下の貴族達を困らせていたとグリフォス様が教えてくれた。
そして息子がその気ならと、王位継承権がグリフォス様に移るよう法律を変えてしまったのだ。
国王陛下としては私がどちらと結婚しようが、結果として身内になれるので問題ないらしい。
私はどう転ぼうと王妃になる未来が決まってしまっていた。
私はグリフォス様がお嫁さんにしてくださるだけで充分幸せなのでそこまでしなくても……と言ったのだけど、二人には受け入れてもらえなかったのだ。
今度はアレク様が茫然自失となる番だった。
こうして私のプチ復讐劇は幕を閉じたのだった。
乙女のプライドを傷つけた罪は、海より深いと彼も学んだことだろう。
そして………。
「もう王位とかどうでもいいから俺と結婚してくれ!!」
「いい加減にしないか、アレク。
エヴェリーナはもう私の妻になったんだ。
諦めて他のご令嬢と結婚してくれ!」
アレク様にザマァをしたすぐ後くらいから、どういう心境の変化かアレク様は私に求婚してくるようになった。
一途な(執念深いともいう)血筋とは争えないもので、アレク様は私がグリフォス様と結婚した後もこうして言いよってくる。
お胸に不満はあったもののアレク様の好みのタイプが私だったことは間違いないらしく、もう手に入らないと分かってから漸く真実の愛に目覚めたのだという。
ぶっちゃけご令嬢方がパットでお胸の底上げをしボリュームのカサ増ししていた衝撃の事実を知って、理想とは儚いものだと学んだことも理由の一つだった。
「すまなかったエヴェリーナ!
どうか叔父上と離縁して俺とやり直してくれ!」
そんな彼に、私は過去の偉人が残した素晴らしい言葉を送ってやりたい。
後悔先に立たず、と。
※※※
チャンチャン♪
年内に一本どうしてもアップしたくて短編を書きました。
"BLゲームの~"を断念するお詫びになればいいのですが……。
エロシーンも書いてみたのですが、短編にしては長すぎだったので丸々カットしました。
いつかエロシーンも書いてみたいなぁ……。
読んでいただいてありがとうございました!
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