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幸せは人それぞれ
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輪廻転生という言葉がある。
インドなどの宗教の思想で、生き物が死んだ後生前の行い、俗にいうカルマや業などによって多様な生物に生まれ変わるというあれである。
特に宗教家というわけではないが、何が言いたいのかというと実際私は生まれ変わった。
転生する際には魂が浄化されて、生前の記憶は真っさらに消去されるはずなのだが…なぜか私は綺麗に覚えている。
宗教でのそう考えられてるって概念だから、死後の世界は絶対こうなるっていう確定事項ではないのでそんなものかもしれない。
でも名前、容姿、趣味、思考もハッキリと思い出せるのもなかなか凄いと思うのだ。
これといった特技はないが、とにかく明るいだけが取り柄の前向き女子だった。
1歳のときに事故で両親を亡くし、孤児院で大人になるまで過ごしていた。
学習できる環境と毎日の食事の保証があるのは大変ありがたかった。
本当だったら両親と事故に巻き込まれて一歳でなくなるはずの命だったのだ。
生きてるだけで儲けものだ!
物心つく前に両親が亡くなっているので親の愛情と言われてもピンとこないし、初めからなかったので別段淋しさは感じたことがなかった。
孤児院には娯楽はないが優しい先生もいたし、美味しい食事もあった。
なんとも有難い話である。
ある日の仕事帰り、3~4才くらいの幼い子供が母親の背中を追って道路に飛び出している場面に遭遇してしまった。
すぐさま子供を助けるために道路に飛び出したのだけど…。
考えるより先に飛び出したのが幸いしたようで、車に轢かれる前に子供を抱き上げることができた。
が、そこはやはり飛び出しなので車は待ってくれないのが当たり前なわけで…。
子供の母親に向かって大声で叫ぶと、母親が振り向いてくれたので、些か乱暴ではあったけど子供を投げ渡した。
直後に大きな衝撃があり、意識がブラックアウトしていった。
状況を鑑みれば、私は車に轢かれてそのまま亡くなってしまったのだろう。
25才までしか生きられなかったのは残念ではあるけれど、小さな命を救う事ができて本当に良かった!
それだけでも生まれてきた価値があったというものだ。
そして今現在。
異世界転生をしてしまったようです。
世界観がまるで違うので多分そうだ。
僅か10才にして前世の記憶を思い出して早数年。
私は現在ガイアという国のツヴァイ公爵家の長女として生まれ変わりました。
母は身体が弱く病弱で、私を産んですぐ亡くなったらしい。
公爵という高い爵位を持つ父は、家督を継ぐ跡継ぎを設けなければいけない義務があり、致し方なく後妻を娶った。
が、この後妻が曲者で、気位ばかりが高いご令嬢で、前妻の娘である私の存在をとても疎んじてた。
彼女が跡継ぎである長男を出産してすぐ、父は王都での仕事が多忙なこともあり単身王都に戻っていった。
弟が生まれつき体が弱くすぐに熱を出してしまうので、田舎の領地で安静にしつつ療養していこうという運びとなったためだ。
建前上父の前では私に愛想よくしていた義母の裏の顔も知らず、また王都は都会なので物騒だからと私の身を案じ私も領地に残ることになったのだが…。
領地での生活が始まるとともに義母は豹変し、服、宝飾の類いを取り上げられることから始まり、私室を追い出され物置き部屋へと追いやられ、下働きの仕事をさせるようになったのだ。
リアルシンデレラとはこれいかに。
なかなか体験できることではない!
シンデレラが私で残念感が拭えないが、それはさておき。
特に口ごたえはしなかったが私は母によく似ているのだそうで、顔が気に入らないと何度も鞭で打たれた。
ミミズ腫れのような痕が身体中に残っているので、肌の露出のある服は着られません。
父は私の母のことを心から愛していたそうで、後妻の義母とは性格が合わず、同じ屋敷で生活することに苦痛を感じているようでした。
義母は気位が高い女性なので、前妻である母と比べられることを極端に嫌い、自分にチヤホヤしない父に対して常に不満を持っていたようだ。
そして私が疎まれるのも、納得はいかないがありえない話しではない。
資産相続を考えると分配が減るのだから、そりゃ目の上のタンコブだよね。
しかし死に至るようなあからさまな虐待は流石に相続権を失う危険もあるので踏み切れないようだ。
割り振られた部屋は物置き部屋。
朝早くに起き調理場の火をおこし、一通り洗濯物を手洗いしたら屋敷の窓を磨きあげるのが毎日の仕事です。
午後は床を磨いたり屋敷内に飾られた花を生け替えたり、シーツをアイロンがけしてベットメイキングします。
といった感じで働き通しの毎日です。
使用人と同じような働きだが、無給なうえ失敗をすれば鞭で打たれるので虐待といっていいのではないだろうか?
だがそのおかげ(?)で家事は完璧なので、いつ追い出されて平民になっても働き口はいくらでもあるでしょう。
まぁ見た目ガリガリで一目見たら虐待されてるとバレるし、外聞もよくないでしょう。
何より父に行方不明がバレたらマズイしね。
だから最低限の生活の保証はされてるし、追い出されることもない。
ありがたい話です!
屋敷を取り仕切る執事や侍女もおりますが、高収入の貴族の屋敷で働くのはなかなかに狭き門なのだそうで、私の待遇に口を挟むこともできなかった。
皆一様に気にかけてくれるのですが、私のせいでクビにされるのも忍びないので、関与しないよう言ってある。
貴族の肉や魚中心のバターをふんだんに使ったハイカロリー食事など興味ない。
う、羨ましくなんかないんだからね!
食事はパンとスープのみ。
だが普通の貴族と比べたら質素ではあるが、我が家の料理人が作るパンはフカフカで美味だし、スープは野菜クズをふんだんに使った健康的でこれまた美味なスープなのだ!
着飾ることに精を出し、お茶会という名の腹の探り合いに精神力を削られ、そのストレスをハイカロリーな食事や酒で紛らわす…。
そんな不健康な生活は想像しただけでガクプルです。
前世で贅沢な暮らしを夢みて一流企業の社長と結婚した友人は、夫の浮気三昧の愛のない生活で不幸になったと嘆いていた。
お金なんかあったって幸せになれるとは限らない。
幸せの定義は十人十色だが、少なくとも私の幸せはお金ではないのである。
インドなどの宗教の思想で、生き物が死んだ後生前の行い、俗にいうカルマや業などによって多様な生物に生まれ変わるというあれである。
特に宗教家というわけではないが、何が言いたいのかというと実際私は生まれ変わった。
転生する際には魂が浄化されて、生前の記憶は真っさらに消去されるはずなのだが…なぜか私は綺麗に覚えている。
宗教でのそう考えられてるって概念だから、死後の世界は絶対こうなるっていう確定事項ではないのでそんなものかもしれない。
でも名前、容姿、趣味、思考もハッキリと思い出せるのもなかなか凄いと思うのだ。
これといった特技はないが、とにかく明るいだけが取り柄の前向き女子だった。
1歳のときに事故で両親を亡くし、孤児院で大人になるまで過ごしていた。
学習できる環境と毎日の食事の保証があるのは大変ありがたかった。
本当だったら両親と事故に巻き込まれて一歳でなくなるはずの命だったのだ。
生きてるだけで儲けものだ!
物心つく前に両親が亡くなっているので親の愛情と言われてもピンとこないし、初めからなかったので別段淋しさは感じたことがなかった。
孤児院には娯楽はないが優しい先生もいたし、美味しい食事もあった。
なんとも有難い話である。
ある日の仕事帰り、3~4才くらいの幼い子供が母親の背中を追って道路に飛び出している場面に遭遇してしまった。
すぐさま子供を助けるために道路に飛び出したのだけど…。
考えるより先に飛び出したのが幸いしたようで、車に轢かれる前に子供を抱き上げることができた。
が、そこはやはり飛び出しなので車は待ってくれないのが当たり前なわけで…。
子供の母親に向かって大声で叫ぶと、母親が振り向いてくれたので、些か乱暴ではあったけど子供を投げ渡した。
直後に大きな衝撃があり、意識がブラックアウトしていった。
状況を鑑みれば、私は車に轢かれてそのまま亡くなってしまったのだろう。
25才までしか生きられなかったのは残念ではあるけれど、小さな命を救う事ができて本当に良かった!
それだけでも生まれてきた価値があったというものだ。
そして今現在。
異世界転生をしてしまったようです。
世界観がまるで違うので多分そうだ。
僅か10才にして前世の記憶を思い出して早数年。
私は現在ガイアという国のツヴァイ公爵家の長女として生まれ変わりました。
母は身体が弱く病弱で、私を産んですぐ亡くなったらしい。
公爵という高い爵位を持つ父は、家督を継ぐ跡継ぎを設けなければいけない義務があり、致し方なく後妻を娶った。
が、この後妻が曲者で、気位ばかりが高いご令嬢で、前妻の娘である私の存在をとても疎んじてた。
彼女が跡継ぎである長男を出産してすぐ、父は王都での仕事が多忙なこともあり単身王都に戻っていった。
弟が生まれつき体が弱くすぐに熱を出してしまうので、田舎の領地で安静にしつつ療養していこうという運びとなったためだ。
建前上父の前では私に愛想よくしていた義母の裏の顔も知らず、また王都は都会なので物騒だからと私の身を案じ私も領地に残ることになったのだが…。
領地での生活が始まるとともに義母は豹変し、服、宝飾の類いを取り上げられることから始まり、私室を追い出され物置き部屋へと追いやられ、下働きの仕事をさせるようになったのだ。
リアルシンデレラとはこれいかに。
なかなか体験できることではない!
シンデレラが私で残念感が拭えないが、それはさておき。
特に口ごたえはしなかったが私は母によく似ているのだそうで、顔が気に入らないと何度も鞭で打たれた。
ミミズ腫れのような痕が身体中に残っているので、肌の露出のある服は着られません。
父は私の母のことを心から愛していたそうで、後妻の義母とは性格が合わず、同じ屋敷で生活することに苦痛を感じているようでした。
義母は気位が高い女性なので、前妻である母と比べられることを極端に嫌い、自分にチヤホヤしない父に対して常に不満を持っていたようだ。
そして私が疎まれるのも、納得はいかないがありえない話しではない。
資産相続を考えると分配が減るのだから、そりゃ目の上のタンコブだよね。
しかし死に至るようなあからさまな虐待は流石に相続権を失う危険もあるので踏み切れないようだ。
割り振られた部屋は物置き部屋。
朝早くに起き調理場の火をおこし、一通り洗濯物を手洗いしたら屋敷の窓を磨きあげるのが毎日の仕事です。
午後は床を磨いたり屋敷内に飾られた花を生け替えたり、シーツをアイロンがけしてベットメイキングします。
といった感じで働き通しの毎日です。
使用人と同じような働きだが、無給なうえ失敗をすれば鞭で打たれるので虐待といっていいのではないだろうか?
だがそのおかげ(?)で家事は完璧なので、いつ追い出されて平民になっても働き口はいくらでもあるでしょう。
まぁ見た目ガリガリで一目見たら虐待されてるとバレるし、外聞もよくないでしょう。
何より父に行方不明がバレたらマズイしね。
だから最低限の生活の保証はされてるし、追い出されることもない。
ありがたい話です!
屋敷を取り仕切る執事や侍女もおりますが、高収入の貴族の屋敷で働くのはなかなかに狭き門なのだそうで、私の待遇に口を挟むこともできなかった。
皆一様に気にかけてくれるのですが、私のせいでクビにされるのも忍びないので、関与しないよう言ってある。
貴族の肉や魚中心のバターをふんだんに使ったハイカロリー食事など興味ない。
う、羨ましくなんかないんだからね!
食事はパンとスープのみ。
だが普通の貴族と比べたら質素ではあるが、我が家の料理人が作るパンはフカフカで美味だし、スープは野菜クズをふんだんに使った健康的でこれまた美味なスープなのだ!
着飾ることに精を出し、お茶会という名の腹の探り合いに精神力を削られ、そのストレスをハイカロリーな食事や酒で紛らわす…。
そんな不健康な生活は想像しただけでガクプルです。
前世で贅沢な暮らしを夢みて一流企業の社長と結婚した友人は、夫の浮気三昧の愛のない生活で不幸になったと嘆いていた。
お金なんかあったって幸せになれるとは限らない。
幸せの定義は十人十色だが、少なくとも私の幸せはお金ではないのである。
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