かつて青春を謳歌できなかった者たちへ

葛藤

久しぶりに見る彼女は私が知っている、彼女よりも少し大人びているようだった、相変わらず透き通るような色白ですらっとした体型に整った顔をしていた。
彼女は私が働いているボーイズバーに月に2.3回ほどのペースで飲みにきていた、特別誰かを好きで飲みにきていると言うよりは飲んでいる時の空間が好きなようで、本来想像しうるボーイズバーの楽しみ方とは少し違うようだった。
気づけば、彼女がくることを楽しみに待つことが仕事のモチベーションになり、飲みにきた際には必ず席について一緒にお酒を飲んだ、正直それまでの私は彼女のことを全く知らなかったし、知る機会もなかったが、一緒に同じ時間を過ごす中で、彼女の性格、たまに見せる仕草などを知っていくようになった。
知れば知るほど、私の中での彼女の存在は大きくなっていった。
彼女が店にき始めて3.4回目からになった頃、彼女の友達３人と私の家でゲームをしようと言う話になり仕事が終わりみんなで私の家に帰っていた最中、1件電話が入ったので、確認したところ登録欄には元カノの名前が映っていた。
それは今でも覚えている8時32分、ちょうどいい気温の清々しいほど天気の良い朝だった。