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第十七章 光の神子
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「もしオレがなにか病気とか怪我とかさ、そういうのになったら今度は、この世界だけでは済まないのかな? 至上の座を継いだら」
『オレが司っていたのはこの世界だから、影響はこの世界だけですんだ。でも、亜樹は至上の座を継ぐ者。継いだら影響はそれこそすべての世界に及ぶよ。だから、自分を大事にして言ってるわけ。わかる? はっきり言うけどかすり傷ひとつでも受けたら、絶・対・に連れ戻されるから!』
「嫌味な言い方するなよ、落ち込む」
『亜樹? 色々な物を背負わせて悪いけど、本当に自分を大事にして? ガーターが巻き込まれた以上、亜樹が連れ戻されるような事態になったら、この世界はとんでもないことになるからね。勿論が司である亜樹がいなくなったために起きる天災もあるよ? でも、同時に水神マルスもいなくなる。それはこの世界にとって滅んでくれっていうのも同じだから』
「はあ。なんて厄介な星の下に生まれたんだろ、オレって」
『ごめんね? でも、オレもずっとこの世界を護ってきたから愛着があるし、滅ぶなんてとんでもないし、そもそも連れ戻されるのもいやだから。今はオレと亜樹はこうして別々に存在しているけど、亜樹が完全にオレのすべてを継いだら、オレは亜樹の一部になる。感じるものもすべて同じだから、連れ戻されて胸が引き裂かれるような想いはしたくないね』
「セシル」
『なに?』
「おまえ、元々向こうに残ってて、素直に至上の座を継いでいたら、こんなややこしい目にあってないんじゃないのか? 至上の座を継ぐ者が、ひとつの世界の司だなんて前代未聞だよ。元々おまえは後継として存在していたんだし」
『!』
「逃げたんだろ? みんなの期待が重くて逃げ出した。違う?」
『言いにくいことズバッと言うね、亜樹も』
「まぁそれで王上の座を継ぐ者に‥‥‥ができたわけだしみんなにとっては結果オーライってところかな?」
「でも、この世界にきてよかったと思ってる。面白い世界だよね? 神々が世界を統べて世界の均衡を保っている。必ずらしい成り立ちだよ、実際』
「うん、まあね。だから、敢えて見逃したんじゃないか? セシルが選んだ世界がここだから、今の段階で敢えて言うと、こうなることを望んで賭けてみた。違うかな?」
『うん。それってあんまり嬉しくないかも』
「セシルが土壇場までいやだいやだを連発するから悪いんだよ。だから、条件なんて出されるんだ」
『痛いところを』
「どちらにしても早く力を取り戻さないと」
『そうだね。じゃあ、そろそろ消えるよ。亜樹? もう自分を犠牲にするような無茶をしたらダメだよ? 力さえ取り戻せは本質を封じることくらい、亜樹には簡単にできるんだから』
「わかってる。ちょっと落ちついて考えてみる。愚痴聞いてくれてありがと、ちょっと落ちついたよ、セシル」
『根本的に悪いのはオレだからね。それからあんまりガーターと喧嘩しないようにね!』
「セシルー」
亜樹は恨めしそうに名を呼ぶとセシルは笑いながら消えていった。
「逃げたな。いっつも都合が悪くなると逃げるんだから。これで後継? あんな性格悪い奴が」
ぶつぶつ呟く亜樹を、しばらくじっと見つめてから、一樹が声を投げた。
「もしかしてセシルと亜樹って、元々は別人なのか? 転生だから同一人物だと思ってたけど」
「ん? 別人っていうか。なんなんだろ? 確かに客観的にセシルのことは知ってたけど、それって同一人物とか、別人とか、そういう判断のできる次元じゃないし」
「言ってること意味不明だぞ、亜樹?」
「基本的には同一人物だよ。セシルはオレなんだ。ただ現段階では別人。セシルの意識はオレの内側に別に存在してるからね。オレが覚醒していないから。みんなのようにセシルには魂というものがない。あるのは意識」
「意識?」
「オレもそう。基本的には人とも神とも違う存在だからね。意識が重ならないとオレとセシルはひとつになれない。重なればセシルはオレでオレはセシルになる。元々オレはセシルの後継だし。後継として意識が存在したときに、セシルのことを知った。これが正しいことかな」
なんだが亜樹の言っていることは意味不明である。
順序立てて説明してもらわないと意味不明だ。
「セシルは何者なんだ? 至上の座を継ぐ身とか、なんか色々言ってたけど? それにおれを巻き込んだってどういう意味なんだ?」
「ごめん。その説明はしたくない」
「亜樹」
「一樹だって最初はオレに隠し事してただろ? わかってくれよ。知られたくないんだ」
『オレが司っていたのはこの世界だから、影響はこの世界だけですんだ。でも、亜樹は至上の座を継ぐ者。継いだら影響はそれこそすべての世界に及ぶよ。だから、自分を大事にして言ってるわけ。わかる? はっきり言うけどかすり傷ひとつでも受けたら、絶・対・に連れ戻されるから!』
「嫌味な言い方するなよ、落ち込む」
『亜樹? 色々な物を背負わせて悪いけど、本当に自分を大事にして? ガーターが巻き込まれた以上、亜樹が連れ戻されるような事態になったら、この世界はとんでもないことになるからね。勿論が司である亜樹がいなくなったために起きる天災もあるよ? でも、同時に水神マルスもいなくなる。それはこの世界にとって滅んでくれっていうのも同じだから』
「はあ。なんて厄介な星の下に生まれたんだろ、オレって」
『ごめんね? でも、オレもずっとこの世界を護ってきたから愛着があるし、滅ぶなんてとんでもないし、そもそも連れ戻されるのもいやだから。今はオレと亜樹はこうして別々に存在しているけど、亜樹が完全にオレのすべてを継いだら、オレは亜樹の一部になる。感じるものもすべて同じだから、連れ戻されて胸が引き裂かれるような想いはしたくないね』
「セシル」
『なに?』
「おまえ、元々向こうに残ってて、素直に至上の座を継いでいたら、こんなややこしい目にあってないんじゃないのか? 至上の座を継ぐ者が、ひとつの世界の司だなんて前代未聞だよ。元々おまえは後継として存在していたんだし」
『!』
「逃げたんだろ? みんなの期待が重くて逃げ出した。違う?」
『言いにくいことズバッと言うね、亜樹も』
「まぁそれで王上の座を継ぐ者に‥‥‥ができたわけだしみんなにとっては結果オーライってところかな?」
「でも、この世界にきてよかったと思ってる。面白い世界だよね? 神々が世界を統べて世界の均衡を保っている。必ずらしい成り立ちだよ、実際』
「うん、まあね。だから、敢えて見逃したんじゃないか? セシルが選んだ世界がここだから、今の段階で敢えて言うと、こうなることを望んで賭けてみた。違うかな?」
『うん。それってあんまり嬉しくないかも』
「セシルが土壇場までいやだいやだを連発するから悪いんだよ。だから、条件なんて出されるんだ」
『痛いところを』
「どちらにしても早く力を取り戻さないと」
『そうだね。じゃあ、そろそろ消えるよ。亜樹? もう自分を犠牲にするような無茶をしたらダメだよ? 力さえ取り戻せは本質を封じることくらい、亜樹には簡単にできるんだから』
「わかってる。ちょっと落ちついて考えてみる。愚痴聞いてくれてありがと、ちょっと落ちついたよ、セシル」
『根本的に悪いのはオレだからね。それからあんまりガーターと喧嘩しないようにね!』
「セシルー」
亜樹は恨めしそうに名を呼ぶとセシルは笑いながら消えていった。
「逃げたな。いっつも都合が悪くなると逃げるんだから。これで後継? あんな性格悪い奴が」
ぶつぶつ呟く亜樹を、しばらくじっと見つめてから、一樹が声を投げた。
「もしかしてセシルと亜樹って、元々は別人なのか? 転生だから同一人物だと思ってたけど」
「ん? 別人っていうか。なんなんだろ? 確かに客観的にセシルのことは知ってたけど、それって同一人物とか、別人とか、そういう判断のできる次元じゃないし」
「言ってること意味不明だぞ、亜樹?」
「基本的には同一人物だよ。セシルはオレなんだ。ただ現段階では別人。セシルの意識はオレの内側に別に存在してるからね。オレが覚醒していないから。みんなのようにセシルには魂というものがない。あるのは意識」
「意識?」
「オレもそう。基本的には人とも神とも違う存在だからね。意識が重ならないとオレとセシルはひとつになれない。重なればセシルはオレでオレはセシルになる。元々オレはセシルの後継だし。後継として意識が存在したときに、セシルのことを知った。これが正しいことかな」
なんだが亜樹の言っていることは意味不明である。
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