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第七章 双子の光と影
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中学のその事件の後に。
そうして気づいた色々な現実に、亜樹は暫くして髪を伸ばしはじめ、また周囲と積極的に付き合うようになった。
距離を置くことは逆に噂が噂を呼び、厄介な事態を招くだけ。
そう気づいてまず興味を他に逸らしてしまおうと考えたのである。
それは見事な効果を発揮した。
亜樹自身が周囲にいた人々の好奇心の的となったからだ。
自分から進んでアイドルになりたがらない亜間が、周囲にアイドル扱いされたり、マスコット扱いを受けるのは、これ以後の話だった。
これまでの亜樹は確かにずば抜けた美貌と、その優秀な成績から、いつも注目の的だった。
孤高を気取っているつもりはないのだが、自分から周囲と打ち解けようとしなかったので、誰も騒げなかったのである。
亜樹が周囲を受け入れなかったのは、散々ピアスのことで揶揄われ、母親がいないことで虐められて来たからだった。
現実は現実として受け止めで普通に扱ってくれたのは翔だけ。
そこには翔も過去に似たような境遇にいたことが関係していたのだが、この当時は亜樹も杏樹も、そのことは知らなかった。
だが、翔がすべての現実を無視して亜樹と杏樹という個性を見てくれたのは事実である。
しかしその他の人々ははじめ亜樹を敬遠し、事有るごとに気味悪がったり、母がいないことで揶揄ったりしてきた。
それが興味を惹く要素が出てきたからと、いきなり掌を返す人々を受け入れられるわけもない。
なのに中学に入ってすぐの事件でまたまた脚光を浴びてしまい、どうにか興味を逸らさないことには、日常生活も難しくなってきた。
結果として選んだ方法が、亜樹をアイドル化させてしまったわけである。
そんなことまでは翔は知らなかったが。
髪を伸ばしたのも亜樹なりの自衛の方法だと知って、少なからずショックを受けた。
傍にいてやりたかったと、本心からそう思う。
杏樹はため息をついた後で、自分なりの推測を打ち明けた。
「だからね、多分お母さんは目本人じゃなかったんだと思う。ううん。もしかしたら地球人でさえなかったのかもしれない」
「杏樹‥‥‥」
「そう考えると頭樹ちゃんのピアスが、こちらの宝石であったことも納得ができるし、色々と辻褄が合わなかった現実に答えが出るんだよ。だからね? エルダ神族の人たちが亜樹ちゃんの性別について、色々と言っているみたいだけど、多分当たってるんだと思うよ」
「‥‥‥」
「いいの?」
見上げて真っ直ぐに問われて、翔は強く息を飲み込んだ。
「亜樹ちゃんを奪われちゃうよ? あの人たちは本気だよ? 本気で亜樹ちゃんを奪う気だよ? あたしにだってわかることだもん。翔お兄ちゃんだってわかってるんでしょ? 呑気に構えていたら手遅れになるよ?」
「でも、亜樹は」
自分の気持ちにもイマイチ自信はない。
亜樹はずっと同性だと思ってきたし、気持ちが消えることはなかったが、その意味をずっと掴めずに来たから。
五月の連休を利用して亜樹に逢おうと思ったのは、確かに一樹を紹介したいという意味もあったが、翔の個人的な意見としては、亜樹に対する好きだという気持ちの意味を確かめたいという動機もあったのだ。
曖昧でありながら、ずっと胸を占めている気持ちの意味を知りたかった。
でも、それ以上にわからないのは亜樹の気持ちだ。
亜樹だって自分は男だとずっと思ってきたのだ。
今の段階で意識されているとは思えない。
寧ろ行動に出たあの三兄弟の方を亜樹は警戒しているだろう。
認めようと認めまいと、彼らが亜樹を手に入れようとしていることは事実。
行動に訴えられた亜樹が、まだのほほんと呑気に構えていられるわけがない。
そうして気づいた色々な現実に、亜樹は暫くして髪を伸ばしはじめ、また周囲と積極的に付き合うようになった。
距離を置くことは逆に噂が噂を呼び、厄介な事態を招くだけ。
そう気づいてまず興味を他に逸らしてしまおうと考えたのである。
それは見事な効果を発揮した。
亜樹自身が周囲にいた人々の好奇心の的となったからだ。
自分から進んでアイドルになりたがらない亜間が、周囲にアイドル扱いされたり、マスコット扱いを受けるのは、これ以後の話だった。
これまでの亜樹は確かにずば抜けた美貌と、その優秀な成績から、いつも注目の的だった。
孤高を気取っているつもりはないのだが、自分から周囲と打ち解けようとしなかったので、誰も騒げなかったのである。
亜樹が周囲を受け入れなかったのは、散々ピアスのことで揶揄われ、母親がいないことで虐められて来たからだった。
現実は現実として受け止めで普通に扱ってくれたのは翔だけ。
そこには翔も過去に似たような境遇にいたことが関係していたのだが、この当時は亜樹も杏樹も、そのことは知らなかった。
だが、翔がすべての現実を無視して亜樹と杏樹という個性を見てくれたのは事実である。
しかしその他の人々ははじめ亜樹を敬遠し、事有るごとに気味悪がったり、母がいないことで揶揄ったりしてきた。
それが興味を惹く要素が出てきたからと、いきなり掌を返す人々を受け入れられるわけもない。
なのに中学に入ってすぐの事件でまたまた脚光を浴びてしまい、どうにか興味を逸らさないことには、日常生活も難しくなってきた。
結果として選んだ方法が、亜樹をアイドル化させてしまったわけである。
そんなことまでは翔は知らなかったが。
髪を伸ばしたのも亜樹なりの自衛の方法だと知って、少なからずショックを受けた。
傍にいてやりたかったと、本心からそう思う。
杏樹はため息をついた後で、自分なりの推測を打ち明けた。
「だからね、多分お母さんは目本人じゃなかったんだと思う。ううん。もしかしたら地球人でさえなかったのかもしれない」
「杏樹‥‥‥」
「そう考えると頭樹ちゃんのピアスが、こちらの宝石であったことも納得ができるし、色々と辻褄が合わなかった現実に答えが出るんだよ。だからね? エルダ神族の人たちが亜樹ちゃんの性別について、色々と言っているみたいだけど、多分当たってるんだと思うよ」
「‥‥‥」
「いいの?」
見上げて真っ直ぐに問われて、翔は強く息を飲み込んだ。
「亜樹ちゃんを奪われちゃうよ? あの人たちは本気だよ? 本気で亜樹ちゃんを奪う気だよ? あたしにだってわかることだもん。翔お兄ちゃんだってわかってるんでしょ? 呑気に構えていたら手遅れになるよ?」
「でも、亜樹は」
自分の気持ちにもイマイチ自信はない。
亜樹はずっと同性だと思ってきたし、気持ちが消えることはなかったが、その意味をずっと掴めずに来たから。
五月の連休を利用して亜樹に逢おうと思ったのは、確かに一樹を紹介したいという意味もあったが、翔の個人的な意見としては、亜樹に対する好きだという気持ちの意味を確かめたいという動機もあったのだ。
曖昧でありながら、ずっと胸を占めている気持ちの意味を知りたかった。
でも、それ以上にわからないのは亜樹の気持ちだ。
亜樹だって自分は男だとずっと思ってきたのだ。
今の段階で意識されているとは思えない。
寧ろ行動に出たあの三兄弟の方を亜樹は警戒しているだろう。
認めようと認めまいと、彼らが亜樹を手に入れようとしていることは事実。
行動に訴えられた亜樹が、まだのほほんと呑気に構えていられるわけがない。
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