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5章
14話 ミッシングリンクを埋める
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後悔は先に立たない。
流水は源に返らない。
覆水も盆に返らない。
朝起きたら、隣に英語教師の赤坂咲耶先生が寝ていた。
全く覚えていないが、状況からすると、また、やらかしたんだと思う。見たまんま事後だし。
そういえば、昨夜は結構な量のお酒を呑んだような気がする。
僕みたいな奥さんが沢山いる男が、フェミニストの赤坂先生をどう口説いてここに連れ込んだのか、凄く気になる。後でストーカーに聞こう。
他にも犠牲者がいるかもしれないと思い、まずは、天井に吊るされてるエロフの中に見慣れない顔がないか調べ……祥子がいたけど、彼女はスルー。いや、彼女の年齢は自分ルールに抵触する。手を出してないか、後で要確認だ。
天井には他に異常はない。森人族が吊るされてるのは異常ではない。なので、異常なしだ。
色っぽい吐息に右隣を見る。
……灯台もと暗し。
右隣には、数学教師の高梨実里先生が寝ていた。こちらも見た感じ事後だ。
義妹の副担任がなぜいる? 口説いたのか?
そういえば、以前、酔った勢いで高梨先生を口説いたことがあったけど、その時は連れ込まなかったな。けど、今回は連れ込んだ。
なにか心境の変化が? その変化は僕の心境? それとも、先生の?
口説いた記憶がないので、考えても下手の考えになる。
それより、起きた時から気になってはいたけど、意識から意図的に外していたことに目を向けなければ。
僕の下半身に、全裸の誰かが抱きついて寝ている。
股間を枕にしてるから、最初はマーヤかと思ったけど、マーヤは現在、僕の足の指を嘗めている。見なくてもわかる。
どうでもいい特技だけど、足の指を嘗める舌の感触で、それが誰なのか当てられるようになった。本当に使い道のない特技だ。
マーヤでないとしたら誰だろう。
このムッチリした体は、御影さんの感触に似てるけど、妊婦の御影さんなら、お腹が出てるはずだ。
……見た方が早いね。
……そうきたかぁ。
僕は歳上が好きだ。
これは、母親の愛情を受けずに育ったから、母性を求めているんだと思う。
けど、四十四歳のマクシーネ・レーヴェニヒさんに手を出すかぁ。
確か、僕の母親が四十一だったはず。母親より歳上かぁ。
いやいや、それを言ったら、ベレニスは四百越えだ。イレーヌだって二百越えだ。まあ、見た目は美少女だけど。
んー、でもまあ、マクシーネさんも年齢より若く見えるんだよな。出会った頃はやつれていて年齢より上に見えたけど、今は美魔女ってやつだ。
日本にいる頃は、テレビで美魔女と呼ばれてるオバサンを見て鼻で嗤っていたのに、二十代に見えるマクシーネさんに手を出してしまうなんてね。
てか、胸、デカくね? 着痩せするの? 脱いだら凄いんだね。
下半身に全裸の美魔女を付けたまま上体を起こす。
うん。足の指を嘗めてるのはマーヤだ。
左右を見渡すと、いつもの死屍累々。
見慣れない顔はない。数人、俯せで顔がわからないけど、知ってる頭だ。
……あれ? エミーリエさんがいる。
あー、えっと……あの姿からすると、ヤってしまったんだろうねぇ。
昨晩は、デリアさんのご両親を送ってもらってから……見てない……よな? あ、デリアさんもいる。
これは早く縁から昨晩の顛末を聞かないと。
ノックもなく寝室の扉が開き、真弘が入ってくる。
「おはよう。いつものことだけど、凄いね」
なにが凄いのか聞くのはセクハラかな?
「縁ちゃんからの伝言で、"お風呂で待ってる"って。稽古の後でもいいみたいだけど……どうする?」
「じゃあ、稽古の後で」
昨晩の顛末が気になるけど、稽古を後にすると素振りの回数が増える。
「ん。そこのお風呂で待つって」
寝室のすぐ前には僕専用のお風呂がある。
僕らが戦場へ行ってる間に改築したらしい。
家の増改築を押し付けられた由香と由希に聞いたら、僕が「お風呂でイチャイチャしたい」と無意識に呟いたのを聞いたマーヤが、重量計算とか耐久力とか建築基準法とかを無視して、勝手に僕専用の大浴場を造ろうとしたので二人が止めたら、「では、お二人にお願いします」と丸投げされたんだそうだ。
マーヤは、僕のことに関して人を頼ろうとしなかったんだけど、人を頼るようになったんだねぇ。成長したねぇ。丸投げは、どうかと思うけどねぇ。
*
稽古を終えて、二階の寝室前のお風呂に入る。
汗を吸った運動着を脱衣場で脱ぐ。
洗濯籠に放り投げると、ビシャっと音がした。どんだけ汗かいてんだよ。
稽古を先にしたのに素振りの回数が増えたのは、ちょっと納得いかない。
というか、本当に強くなってるのか?
〈剣術〉スキルの取得は、勇者クラスがネックになってるから諦めているけど、剣の扱いが上手くなっているのかはわからない。
稽古の相手が、第一クラスに【剣神】をセットしたユリアーナが相手では、多少強くなっても誤差でしかない。
稽古に対するモチベーションが、少しばかり下がってるなぁ。だから、素振りの回数が増えたのかな?
鏡に映る自分の裸体を見る。
腹筋が割れている。
稽古の成果かわからないけど、ちょっと嬉しくなってポーズを取ってみる。
「兄さん。風邪ひきますよ」
気配もなく、浴場の扉から顔を覗かせた縁に、鏡越しに注意された。
……気まずい。
「私は、お腹プニプニの兄さんも好きですよ」
そうじゃない。気遣うのはそこじゃない。
兄が鏡の前で格好つけてても見なかったことにするのが、本当の気遣いだ。
まあ、それを縁に言っても理解できるのかなぁ。この子、頭が良すぎてバカだもんね。
*
妹に招かれ、二人並んで湯船に入る。一応言っておくと、縁は旧スク水。なぜ旧かは謎。
「では、昨晩の兄さんの武勇伝を見ましょう」
武勇伝じゃないよ。ミッシングリンクだよ。場合によっては黒歴史だよ。
「大丈夫です。十五分に編集しておきました」
わーい。それなら、お風呂でのぼせたりしないね。
「クライマックスは、ヴィルヘルミーネ姉さんとベアトリクス姉さんのお尻を攻める所です」
「え? 待って。あの二人にも手を出したの?」
ベッドにいなかったけど、床で倒れてる人はちゃんと調べなかった。
「兄さんが起きる少し前に、トイレに駆け込んでましたよ」
垂れてきたのかな?
「しかし、兄さんもやりますね。前は処女のまま、後ろから調教するなんて。しかも王族。滾りますね」
「え? 拡張もせずに挿れたの?」
括約筋が切れちゃうよ。垂れ流しになっちゃうよ。
「何度か切れて、イルムヒルデ姉さんが治してました」
強引な拡張も、魔法があれば安心。
「ちなみに、デリアさんも後ろの穴からです」
僕の性癖? 彼女の性癖?
「それでは兄さんの武勇伝を上映します」
いつの間にか出したスクリーンに、蛙のアニメーションが映し出される。あれか? 波しぶきのアレみたいなヤツか?
「ほら、酔い潰れたヴィルヘルミーネ姉さんとベアトリクス姉さんを置いて、マクシーネ姉さんを口説きますよ」
酔い潰れた二人を置いてくシーンはカットされてるけど、潰れた女性を放っておくなんて、出足から酷いな。
「あー……すっごい強引に迫ってるな」
「ええ。マクシーネ姉さんは押しに弱いですから、丁度いいです。むしろ、天然で相手の望む口説き方ができる兄さんが凄いですよ」
ここで「父親にそっくり」と言わないのは縁なりの気遣いか? もっと別の所でも遣ってほしい。
「あ、堕ちましたね」
「ん? 赤坂先生が……」
僕とマクシーネさんの間に割り込んで、僕を叱ってる。
「はい、ここで問答無用の性感強化です。悪どいです。凶悪です。魔王です」
赤坂先生がダメな顔になる。
この時、僕がどんなことを考えていたかわからないけど、それを知った赤坂先生の琴線に触れたのだろう。
「男にしろ女にしろ、平等に性欲があるんですから、いくらフェミニストでも性感を強化されて、相手の心をダイレクトに感じてしまったら、あっさり堕ちますよね」
性欲の前では男女同権か。
世界中のフェミニストに怒られそうな縁の意見はともかく、映像の僕がマクシーネさんと赤坂先生を侍らせて寝室へ向かう。
寝室の扉を開けたら、高梨先生が待っていた。
「はい、出会い頭の性感強化です。極悪ですね」
僕の両サイドにいる二人を見て、なにか言おうとした高梨先生がダメな顔になる。
魔王じゃ、魔王がおる。
そのまま三人をベッドに押し倒して、自分主演のエロ動画が始まる。
ここまで五分だけど、残り十分もコレが続くの?
あ、三人がダウンしたタイミングで、ヴィルヘルミーネさんとベアトリクスさんとデリアさんが乱入。
「はい、確保。お三人が興味津々だった性感強化です」
へー。興味津々だったのか。
「ちなみに、私も興味津々です」
「縁にはまだ早い」
「ふむ。"まだ"ですね?」
ここで肯定すると、言質を取られるような気がして黙ってしまった。
「まあ、いいです。外堀は埋まってるんですから」
マジで? 知らぬ間に埋まってんの?
「あ、報告に来たエミーリエ姉さんが、蟻地獄に堕ちますよ」
せめて、他の物に例えて。成虫になっても、すぐに死んじゃうよ。
「ウスバカゲロウって、一ヶ月くらい生きるそうです。三日で死ぬのは別のカゲロウですよ」
え? そうなの?
「あ、ほら、王女をほったらかして、エミーリエ姉さんをトロトロになるまで焦らしますよ。二時間ほど」
長っ!
焦らしプレイが長……いわけでもないか。鞘さん相手に、半日焦らしたこともあったな。最後は本気で泣かれたので、長時間の焦らしは控えるようにしているけど。
「そして、返す刀でヴィルヘルミーネ姉さんとベアトリクス姉さんのお尻攻め」
城攻めみたいに言うなよ。中国大返しかよ。
てか、シレっとイルムヒルデが混ざって、お尻攻めをサポートしてるよ。
「この後はいつも通り、エロフどもを縛って吊るしていたので、割愛しました」
エロフじゃないのも混じってたよ。
「祥子ちゃんには手を出してませんから、安心してください」
そう、それ。それが聞きたかったの。
「こっからはエンドロールです」
うん。出演者以外はお前の名前しかないけどね。
あと、スタッフロールの後ろで流れてる、お尻を押さえながら小走りで部屋を出ていくヴィルヘルミーネさんとベアトリクスさんは、某香港映画のNGシーン的な扱いか?
「まあ、なんにせよ、これでミッシングリンクが埋まったな」
大体理解した。
理解した上で、今度こそ決意する。
「お酒は程々にしよう」
ユリアーナの禁酒令は遵守する必要はないみたいだし、昨晩の宴会みたいに注意されないこともある。
なにより、呑みたい時もある。例えば今。
流水は源に返らない。
覆水も盆に返らない。
朝起きたら、隣に英語教師の赤坂咲耶先生が寝ていた。
全く覚えていないが、状況からすると、また、やらかしたんだと思う。見たまんま事後だし。
そういえば、昨夜は結構な量のお酒を呑んだような気がする。
僕みたいな奥さんが沢山いる男が、フェミニストの赤坂先生をどう口説いてここに連れ込んだのか、凄く気になる。後でストーカーに聞こう。
他にも犠牲者がいるかもしれないと思い、まずは、天井に吊るされてるエロフの中に見慣れない顔がないか調べ……祥子がいたけど、彼女はスルー。いや、彼女の年齢は自分ルールに抵触する。手を出してないか、後で要確認だ。
天井には他に異常はない。森人族が吊るされてるのは異常ではない。なので、異常なしだ。
色っぽい吐息に右隣を見る。
……灯台もと暗し。
右隣には、数学教師の高梨実里先生が寝ていた。こちらも見た感じ事後だ。
義妹の副担任がなぜいる? 口説いたのか?
そういえば、以前、酔った勢いで高梨先生を口説いたことがあったけど、その時は連れ込まなかったな。けど、今回は連れ込んだ。
なにか心境の変化が? その変化は僕の心境? それとも、先生の?
口説いた記憶がないので、考えても下手の考えになる。
それより、起きた時から気になってはいたけど、意識から意図的に外していたことに目を向けなければ。
僕の下半身に、全裸の誰かが抱きついて寝ている。
股間を枕にしてるから、最初はマーヤかと思ったけど、マーヤは現在、僕の足の指を嘗めている。見なくてもわかる。
どうでもいい特技だけど、足の指を嘗める舌の感触で、それが誰なのか当てられるようになった。本当に使い道のない特技だ。
マーヤでないとしたら誰だろう。
このムッチリした体は、御影さんの感触に似てるけど、妊婦の御影さんなら、お腹が出てるはずだ。
……見た方が早いね。
……そうきたかぁ。
僕は歳上が好きだ。
これは、母親の愛情を受けずに育ったから、母性を求めているんだと思う。
けど、四十四歳のマクシーネ・レーヴェニヒさんに手を出すかぁ。
確か、僕の母親が四十一だったはず。母親より歳上かぁ。
いやいや、それを言ったら、ベレニスは四百越えだ。イレーヌだって二百越えだ。まあ、見た目は美少女だけど。
んー、でもまあ、マクシーネさんも年齢より若く見えるんだよな。出会った頃はやつれていて年齢より上に見えたけど、今は美魔女ってやつだ。
日本にいる頃は、テレビで美魔女と呼ばれてるオバサンを見て鼻で嗤っていたのに、二十代に見えるマクシーネさんに手を出してしまうなんてね。
てか、胸、デカくね? 着痩せするの? 脱いだら凄いんだね。
下半身に全裸の美魔女を付けたまま上体を起こす。
うん。足の指を嘗めてるのはマーヤだ。
左右を見渡すと、いつもの死屍累々。
見慣れない顔はない。数人、俯せで顔がわからないけど、知ってる頭だ。
……あれ? エミーリエさんがいる。
あー、えっと……あの姿からすると、ヤってしまったんだろうねぇ。
昨晩は、デリアさんのご両親を送ってもらってから……見てない……よな? あ、デリアさんもいる。
これは早く縁から昨晩の顛末を聞かないと。
ノックもなく寝室の扉が開き、真弘が入ってくる。
「おはよう。いつものことだけど、凄いね」
なにが凄いのか聞くのはセクハラかな?
「縁ちゃんからの伝言で、"お風呂で待ってる"って。稽古の後でもいいみたいだけど……どうする?」
「じゃあ、稽古の後で」
昨晩の顛末が気になるけど、稽古を後にすると素振りの回数が増える。
「ん。そこのお風呂で待つって」
寝室のすぐ前には僕専用のお風呂がある。
僕らが戦場へ行ってる間に改築したらしい。
家の増改築を押し付けられた由香と由希に聞いたら、僕が「お風呂でイチャイチャしたい」と無意識に呟いたのを聞いたマーヤが、重量計算とか耐久力とか建築基準法とかを無視して、勝手に僕専用の大浴場を造ろうとしたので二人が止めたら、「では、お二人にお願いします」と丸投げされたんだそうだ。
マーヤは、僕のことに関して人を頼ろうとしなかったんだけど、人を頼るようになったんだねぇ。成長したねぇ。丸投げは、どうかと思うけどねぇ。
*
稽古を終えて、二階の寝室前のお風呂に入る。
汗を吸った運動着を脱衣場で脱ぐ。
洗濯籠に放り投げると、ビシャっと音がした。どんだけ汗かいてんだよ。
稽古を先にしたのに素振りの回数が増えたのは、ちょっと納得いかない。
というか、本当に強くなってるのか?
〈剣術〉スキルの取得は、勇者クラスがネックになってるから諦めているけど、剣の扱いが上手くなっているのかはわからない。
稽古の相手が、第一クラスに【剣神】をセットしたユリアーナが相手では、多少強くなっても誤差でしかない。
稽古に対するモチベーションが、少しばかり下がってるなぁ。だから、素振りの回数が増えたのかな?
鏡に映る自分の裸体を見る。
腹筋が割れている。
稽古の成果かわからないけど、ちょっと嬉しくなってポーズを取ってみる。
「兄さん。風邪ひきますよ」
気配もなく、浴場の扉から顔を覗かせた縁に、鏡越しに注意された。
……気まずい。
「私は、お腹プニプニの兄さんも好きですよ」
そうじゃない。気遣うのはそこじゃない。
兄が鏡の前で格好つけてても見なかったことにするのが、本当の気遣いだ。
まあ、それを縁に言っても理解できるのかなぁ。この子、頭が良すぎてバカだもんね。
*
妹に招かれ、二人並んで湯船に入る。一応言っておくと、縁は旧スク水。なぜ旧かは謎。
「では、昨晩の兄さんの武勇伝を見ましょう」
武勇伝じゃないよ。ミッシングリンクだよ。場合によっては黒歴史だよ。
「大丈夫です。十五分に編集しておきました」
わーい。それなら、お風呂でのぼせたりしないね。
「クライマックスは、ヴィルヘルミーネ姉さんとベアトリクス姉さんのお尻を攻める所です」
「え? 待って。あの二人にも手を出したの?」
ベッドにいなかったけど、床で倒れてる人はちゃんと調べなかった。
「兄さんが起きる少し前に、トイレに駆け込んでましたよ」
垂れてきたのかな?
「しかし、兄さんもやりますね。前は処女のまま、後ろから調教するなんて。しかも王族。滾りますね」
「え? 拡張もせずに挿れたの?」
括約筋が切れちゃうよ。垂れ流しになっちゃうよ。
「何度か切れて、イルムヒルデ姉さんが治してました」
強引な拡張も、魔法があれば安心。
「ちなみに、デリアさんも後ろの穴からです」
僕の性癖? 彼女の性癖?
「それでは兄さんの武勇伝を上映します」
いつの間にか出したスクリーンに、蛙のアニメーションが映し出される。あれか? 波しぶきのアレみたいなヤツか?
「ほら、酔い潰れたヴィルヘルミーネ姉さんとベアトリクス姉さんを置いて、マクシーネ姉さんを口説きますよ」
酔い潰れた二人を置いてくシーンはカットされてるけど、潰れた女性を放っておくなんて、出足から酷いな。
「あー……すっごい強引に迫ってるな」
「ええ。マクシーネ姉さんは押しに弱いですから、丁度いいです。むしろ、天然で相手の望む口説き方ができる兄さんが凄いですよ」
ここで「父親にそっくり」と言わないのは縁なりの気遣いか? もっと別の所でも遣ってほしい。
「あ、堕ちましたね」
「ん? 赤坂先生が……」
僕とマクシーネさんの間に割り込んで、僕を叱ってる。
「はい、ここで問答無用の性感強化です。悪どいです。凶悪です。魔王です」
赤坂先生がダメな顔になる。
この時、僕がどんなことを考えていたかわからないけど、それを知った赤坂先生の琴線に触れたのだろう。
「男にしろ女にしろ、平等に性欲があるんですから、いくらフェミニストでも性感を強化されて、相手の心をダイレクトに感じてしまったら、あっさり堕ちますよね」
性欲の前では男女同権か。
世界中のフェミニストに怒られそうな縁の意見はともかく、映像の僕がマクシーネさんと赤坂先生を侍らせて寝室へ向かう。
寝室の扉を開けたら、高梨先生が待っていた。
「はい、出会い頭の性感強化です。極悪ですね」
僕の両サイドにいる二人を見て、なにか言おうとした高梨先生がダメな顔になる。
魔王じゃ、魔王がおる。
そのまま三人をベッドに押し倒して、自分主演のエロ動画が始まる。
ここまで五分だけど、残り十分もコレが続くの?
あ、三人がダウンしたタイミングで、ヴィルヘルミーネさんとベアトリクスさんとデリアさんが乱入。
「はい、確保。お三人が興味津々だった性感強化です」
へー。興味津々だったのか。
「ちなみに、私も興味津々です」
「縁にはまだ早い」
「ふむ。"まだ"ですね?」
ここで肯定すると、言質を取られるような気がして黙ってしまった。
「まあ、いいです。外堀は埋まってるんですから」
マジで? 知らぬ間に埋まってんの?
「あ、報告に来たエミーリエ姉さんが、蟻地獄に堕ちますよ」
せめて、他の物に例えて。成虫になっても、すぐに死んじゃうよ。
「ウスバカゲロウって、一ヶ月くらい生きるそうです。三日で死ぬのは別のカゲロウですよ」
え? そうなの?
「あ、ほら、王女をほったらかして、エミーリエ姉さんをトロトロになるまで焦らしますよ。二時間ほど」
長っ!
焦らしプレイが長……いわけでもないか。鞘さん相手に、半日焦らしたこともあったな。最後は本気で泣かれたので、長時間の焦らしは控えるようにしているけど。
「そして、返す刀でヴィルヘルミーネ姉さんとベアトリクス姉さんのお尻攻め」
城攻めみたいに言うなよ。中国大返しかよ。
てか、シレっとイルムヒルデが混ざって、お尻攻めをサポートしてるよ。
「この後はいつも通り、エロフどもを縛って吊るしていたので、割愛しました」
エロフじゃないのも混じってたよ。
「祥子ちゃんには手を出してませんから、安心してください」
そう、それ。それが聞きたかったの。
「こっからはエンドロールです」
うん。出演者以外はお前の名前しかないけどね。
あと、スタッフロールの後ろで流れてる、お尻を押さえながら小走りで部屋を出ていくヴィルヘルミーネさんとベアトリクスさんは、某香港映画のNGシーン的な扱いか?
「まあ、なんにせよ、これでミッシングリンクが埋まったな」
大体理解した。
理解した上で、今度こそ決意する。
「お酒は程々にしよう」
ユリアーナの禁酒令は遵守する必要はないみたいだし、昨晩の宴会みたいに注意されないこともある。
なにより、呑みたい時もある。例えば今。
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