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5章
12話 側室追加
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公王はあの後もゴネたけど、ベアトリクスさんの「お父様、嫌いになりますよ」という言葉で大人しくなった。
場所を謁見の間からヴィルヘルミーネさんたちの執務室に移し、細々とした話を詰めることになった。
僕は疲れたから拠点に帰りたいよ。
アリスとテレスに癒されたい。
そんな僕の思いとは関係なく、気がついたら、話題はユリアーナたちが調べた王樹の生態になっていた。
なんでも、王樹の生態に関して、多くの人が勘違いをしているのだそうだ。
僕が知ってる王樹は、地中を流れるマナの流れである地脈の吹き出し口に生える樹で、地脈の流れが濃い場所でしか育たない。
そういった場所は、町造りに適していて、大都市になりやすい。なので、王樹がある場所に王都が建設される。と言われている。
これは間違いではないのだけど、少し違うらしい。
王樹とは、地脈を制御する制御装置である。というのが、ユリアーナたち、というか主に縁の意見だ。
「地脈の上に王樹が生えるのではなく、王樹が生える場所に地脈が流れるの。で、地脈さえあれば、世話をしなくても十年に一本くらいのペースで勝手に増えるそうよ」
試しに、『幻想農園』にベンケン王国からパク、貰った王樹を五本植えてみたそうだ。
『幻想農園』の中央に一本。
東西南北にそれぞれ一本ずつ。
合計五本を植えて、地脈の代わりに、僕が無意識に垂れ流してるプラーナをマナに変換して流してみたら、王樹の下を流れる地脈となり循環したそうだ。
ちなみに、プラーナをマナに変換する技術は、縁が片手間で作った技術。ユリアーナが言うには、本来なら【創造神】でなければ辿り着けないレベルの技術なんだそうだ。うちの義妹はどこに向かってるんだろう。
「中央に続く地脈は問題ないんだけど、一ヶ所当たりの王樹が一本と少ないためか、東西南北の間で淀みができてしまってるのよ」
北東部は山を創ったせいなのか、淀みが他より酷く、反対に、南西部は巨大な湖のお陰なのか淀みが殆ど見られないらしい。水が影響するの?
「で、貰った四本の王樹を、北東、北西、南西、南東に植えて、四角形になってる地脈の循環を円にしたら、『幻想農園』内が安定するし、作物もよく育つようになるらしいの」
縁の受け売りみたい。まあ、『幻想農園』という魔道具の全貌は、縁にしかわからないらしいからしょうがない。
【創造神】にも理解できない物を創るなよ。
てか、ユリアーナさん。縁の手柄を自分の手柄のように言うなよ。
「地脈の循環が上手くいったら、『幻想農園』の中の時間を十年進めてみて、本当に王樹が増えるか試してみたい……って、ユカリが言ってた」
僕の視線に耐えかねたのか、それとも、さすがのユリアーナも縁の手柄を横取りする罪悪感に耐えかねたのか、最後に功労者の名前を出した。
「なあ、ユリアーナ。ひょっとして、王樹って、世界、というか、この星を維持するのに必要なんじゃないの?」
神が世界を維持するのに刺した楔のように思えてきた。
「うん。この世界から去った神々は、この世界を中途半端な状態で手放したの。そのままだと世界が崩壊してしまうから、急遽、アガテーが応急手当て的に創ったのが王樹ってわけ。世界にマナが循環するようにして、辛うじて存在してる世界なの」
「世界は中途半端なままなの?」
「んー、マゴイチがいた世界で言う、天動説が信じられていた頃の世界に似てる」
地球は球体ではなく平らで、亀の甲羅の上に乗ってる、っていうアレですか。
「亀の上には乗ってないけど、世界は平らで、確認してないけど水平線も真っ直ぐなはず」
「今現在も天地創造の真っ最中?」
「エネルギー不足で、遅々として進んでないけどね」
「女神アガテーは天地創造で忙しい?」
だとしたら、マーヤを救えなかったことを赦してもいい。
「んー、そうでもないかなぁ。そのために王樹を創って、マナを循環させて、それにより世界が余剰エネルギーを産み出せるようして、放っておいても天地創造が進むようにしたの」
ギルティ。
寝てても天地創造できるんなら、マーヤを救えたはずだ。
「天地創造って、どれくらいで終わる予定だったの?」
「ユカリが言うには、なにもなければ千年くらいで終わるはずだって」
なにかあったから、終わってないのか。
「ひょっとして、ダンジョン?」
「うん。余剰エネルギーが人の負の感情を取り込んでできたのがダンジョン。だから、女神教では、積極的にダンジョンを討伐するように推奨してるのよ」
殆どの国で、ダンジョンが生み出す利益に目が眩んでしまい、討伐ではなく管理に一生懸命だけどね。
「世界中にあるダンジョンのコアを使えば、天地創造もすぐに終わるわ。なんせ、たった一個のダンジョンマスターのコアで、『幻想農園』という異世界を創れたんだから」
それを創ったのは【創造神】でもない縁なんだけどな。
……アガテーって無能なの?
縁が凄いのかアガテーが駄女神なのか、ちょっと判断が難しい。
「言っとくけど、アガテーは駄目な子じゃないわよ。この世界を創った神々は、創りかけのこの世界を見捨ててバックレたから、あの女神がいなければ、そこでこの世界が終わっていたわ。比較対象をユカリにしちゃダメよ」
そっか。世界のために頑張ってくれたんだな。
「まあ、楽しようとしたら、ダンジョンに余剰エネルギーを奪われて、対応しようにもリソース不足で、これ以上ダンジョンができないようにしようとしたら失敗して、ますますリソース不足になって、なにもできなくなってるけどね」
駄目な子じゃん。
「そんなアガテーから管理権限を奪ったって言ってたけど、この世界は大丈夫なの?」
「ん? んー、まあ、なんとか?」
なにその曖昧な返事は。
「大丈夫。大丈夫よ。その、ユカリが【創造神】になってくれたら……ああ、でも、今すぐどうこうなるわけじゃあないわよ。元々、放置していても世界が少しずつ構築されるようになってたから。けど、ユカリが【創造神】になって手伝ってくれたら、マゴイチが生きてる間に世界が完成すると思うのよ」
「つまり、ユリアーナも楽したい、と?」
「そうとも言う」
縁は傭兵団でなんでも屋みたいなポジションになってるけど、【創造神】になったら世界のなんでも屋になってしまうのでは?
「ま、それは縁の意思を尊重するよ」
そう言って縁の意思に丸投げしながらテーブルのカップに手を伸ばすと、部屋の扉がノックされた。
第一王女自らが返事をして扉を開けると、いつか廊下で僕をひん剥いた侍女が恭しく頭を下げていた。
ヴィルヘルミーネさんが彼女を部屋に招き入れ、扉を閉める。
なぜか人が人を陥れる姿に見えた。
ヴィルヘルミーネさんが僕の対面に座り、ベアトリクスさんがその隣へ。侍女さんはベアトリクスさんの後ろに控える。
「えっと……彼女は?」
当然の疑問だと思う。
彼女はベアトリクスさんの側付きだったはず。
ベアトリクスさんが嫁ぐのに、彼女もついてくるのだろうか?
貴族社会では、令嬢が嫁ぐのと一緒に、平民出身の侍女も嫁ぎ先で雇ってもらうというのは、よくあることらしい。
けど、彼女は違う。というか、嫁ぐのが王族だと違う。
たとえ平民の侍女であっても、自国民以外の侍女が城内を彷徨くことになるから、宗主国から属国に嫁ぐ場合でも、侍女を連れて嫁ぐのは、良い顔をされない。
「彼女の名は、デリア・フラーケ。フラーケ男爵家の長女です」
貴族? なら、尚更、嫁ぐベアトリクスさんについてくるのはおかしいよね。
「実は、彼女の実家の家計、火の車なんです」
公国の貴族は一部を除いて大体貧乏だ。けど、借金まであるのごく一部。
ましてや、彼女は下級貴族でありながら第二王女の侍女に抜擢されるほどだ。彼女だけでなく親の身辺も調査されたはず。
「調査ミス?」
「いえ。デリアがベアト付きの侍女の候補に上がった時は、白でした。しかし、抜擢されてすぐに、ご両親に有象無象が集って、財産を騙し取られてしまったのです」
遣り甲斐のある仕事にかまけてしまい、最近までデリアさんも実家の状況を知らなかったそうだ。その辺りは、貴族としてか親としてか、どちらにしろプライドが邪魔して娘に相談できなかったのが原因だろう。
「それで? 借金と彼女がここにいる理由に関係が?」
「ええ。その借金、ユリアーナさんが返済したんですが……」
「マゴイチの名前で出したの」
「それって……つまり?」
どゆこと?
「父から、"姫様の夫となる方に、生涯お仕えしろ"と」
どゆこと?
「つまり、デリアもマゴイチに嫁ぐってこと」
どゆこと?
聞いてもわかんない。
「ああ、そのね、デリアのお父さんが、すんごい感謝して、"一族総出で恩返しさせてくれ"って、拠点に乗り込んできたのよ」
「私としては、弟のために、私とベアトが嫁いだ後の公国に信用できる貴族を残しておきたいから、"一族総出で"というのを遠慮してもらうように、フラーケ男爵へ内々にお願いしたんです」
「そしたら、その場で"なら、娘を姫様と一緒に嫁がせる"って言い出しちゃって」
「"恩を返せないのなら、自害を命じてください"って、ちょっと断れない雰囲気で……」
ベアトリクスさんもコクコクと頷く。その場にいたのだろう。
「それは、俺も断れない感じですか?」
ここまでお膳立てされてるんだから、聞くまでもないんだけど、一応、聞いておく。
返事はユリアーナの笑顔だった。
「そっすか」
「側室一名様追加でーす」
軽いなぁ。
本人にとっては人生の分岐点だよ?
「よろしくお願いします」
いいの?
デリアさんの僕を見る目に嫌悪感はない。
いいみたい。
いいのかぁ。
側室がこんなに増えても、女心がわかんないよ。
場所を謁見の間からヴィルヘルミーネさんたちの執務室に移し、細々とした話を詰めることになった。
僕は疲れたから拠点に帰りたいよ。
アリスとテレスに癒されたい。
そんな僕の思いとは関係なく、気がついたら、話題はユリアーナたちが調べた王樹の生態になっていた。
なんでも、王樹の生態に関して、多くの人が勘違いをしているのだそうだ。
僕が知ってる王樹は、地中を流れるマナの流れである地脈の吹き出し口に生える樹で、地脈の流れが濃い場所でしか育たない。
そういった場所は、町造りに適していて、大都市になりやすい。なので、王樹がある場所に王都が建設される。と言われている。
これは間違いではないのだけど、少し違うらしい。
王樹とは、地脈を制御する制御装置である。というのが、ユリアーナたち、というか主に縁の意見だ。
「地脈の上に王樹が生えるのではなく、王樹が生える場所に地脈が流れるの。で、地脈さえあれば、世話をしなくても十年に一本くらいのペースで勝手に増えるそうよ」
試しに、『幻想農園』にベンケン王国からパク、貰った王樹を五本植えてみたそうだ。
『幻想農園』の中央に一本。
東西南北にそれぞれ一本ずつ。
合計五本を植えて、地脈の代わりに、僕が無意識に垂れ流してるプラーナをマナに変換して流してみたら、王樹の下を流れる地脈となり循環したそうだ。
ちなみに、プラーナをマナに変換する技術は、縁が片手間で作った技術。ユリアーナが言うには、本来なら【創造神】でなければ辿り着けないレベルの技術なんだそうだ。うちの義妹はどこに向かってるんだろう。
「中央に続く地脈は問題ないんだけど、一ヶ所当たりの王樹が一本と少ないためか、東西南北の間で淀みができてしまってるのよ」
北東部は山を創ったせいなのか、淀みが他より酷く、反対に、南西部は巨大な湖のお陰なのか淀みが殆ど見られないらしい。水が影響するの?
「で、貰った四本の王樹を、北東、北西、南西、南東に植えて、四角形になってる地脈の循環を円にしたら、『幻想農園』内が安定するし、作物もよく育つようになるらしいの」
縁の受け売りみたい。まあ、『幻想農園』という魔道具の全貌は、縁にしかわからないらしいからしょうがない。
【創造神】にも理解できない物を創るなよ。
てか、ユリアーナさん。縁の手柄を自分の手柄のように言うなよ。
「地脈の循環が上手くいったら、『幻想農園』の中の時間を十年進めてみて、本当に王樹が増えるか試してみたい……って、ユカリが言ってた」
僕の視線に耐えかねたのか、それとも、さすがのユリアーナも縁の手柄を横取りする罪悪感に耐えかねたのか、最後に功労者の名前を出した。
「なあ、ユリアーナ。ひょっとして、王樹って、世界、というか、この星を維持するのに必要なんじゃないの?」
神が世界を維持するのに刺した楔のように思えてきた。
「うん。この世界から去った神々は、この世界を中途半端な状態で手放したの。そのままだと世界が崩壊してしまうから、急遽、アガテーが応急手当て的に創ったのが王樹ってわけ。世界にマナが循環するようにして、辛うじて存在してる世界なの」
「世界は中途半端なままなの?」
「んー、マゴイチがいた世界で言う、天動説が信じられていた頃の世界に似てる」
地球は球体ではなく平らで、亀の甲羅の上に乗ってる、っていうアレですか。
「亀の上には乗ってないけど、世界は平らで、確認してないけど水平線も真っ直ぐなはず」
「今現在も天地創造の真っ最中?」
「エネルギー不足で、遅々として進んでないけどね」
「女神アガテーは天地創造で忙しい?」
だとしたら、マーヤを救えなかったことを赦してもいい。
「んー、そうでもないかなぁ。そのために王樹を創って、マナを循環させて、それにより世界が余剰エネルギーを産み出せるようして、放っておいても天地創造が進むようにしたの」
ギルティ。
寝てても天地創造できるんなら、マーヤを救えたはずだ。
「天地創造って、どれくらいで終わる予定だったの?」
「ユカリが言うには、なにもなければ千年くらいで終わるはずだって」
なにかあったから、終わってないのか。
「ひょっとして、ダンジョン?」
「うん。余剰エネルギーが人の負の感情を取り込んでできたのがダンジョン。だから、女神教では、積極的にダンジョンを討伐するように推奨してるのよ」
殆どの国で、ダンジョンが生み出す利益に目が眩んでしまい、討伐ではなく管理に一生懸命だけどね。
「世界中にあるダンジョンのコアを使えば、天地創造もすぐに終わるわ。なんせ、たった一個のダンジョンマスターのコアで、『幻想農園』という異世界を創れたんだから」
それを創ったのは【創造神】でもない縁なんだけどな。
……アガテーって無能なの?
縁が凄いのかアガテーが駄女神なのか、ちょっと判断が難しい。
「言っとくけど、アガテーは駄目な子じゃないわよ。この世界を創った神々は、創りかけのこの世界を見捨ててバックレたから、あの女神がいなければ、そこでこの世界が終わっていたわ。比較対象をユカリにしちゃダメよ」
そっか。世界のために頑張ってくれたんだな。
「まあ、楽しようとしたら、ダンジョンに余剰エネルギーを奪われて、対応しようにもリソース不足で、これ以上ダンジョンができないようにしようとしたら失敗して、ますますリソース不足になって、なにもできなくなってるけどね」
駄目な子じゃん。
「そんなアガテーから管理権限を奪ったって言ってたけど、この世界は大丈夫なの?」
「ん? んー、まあ、なんとか?」
なにその曖昧な返事は。
「大丈夫。大丈夫よ。その、ユカリが【創造神】になってくれたら……ああ、でも、今すぐどうこうなるわけじゃあないわよ。元々、放置していても世界が少しずつ構築されるようになってたから。けど、ユカリが【創造神】になって手伝ってくれたら、マゴイチが生きてる間に世界が完成すると思うのよ」
「つまり、ユリアーナも楽したい、と?」
「そうとも言う」
縁は傭兵団でなんでも屋みたいなポジションになってるけど、【創造神】になったら世界のなんでも屋になってしまうのでは?
「ま、それは縁の意思を尊重するよ」
そう言って縁の意思に丸投げしながらテーブルのカップに手を伸ばすと、部屋の扉がノックされた。
第一王女自らが返事をして扉を開けると、いつか廊下で僕をひん剥いた侍女が恭しく頭を下げていた。
ヴィルヘルミーネさんが彼女を部屋に招き入れ、扉を閉める。
なぜか人が人を陥れる姿に見えた。
ヴィルヘルミーネさんが僕の対面に座り、ベアトリクスさんがその隣へ。侍女さんはベアトリクスさんの後ろに控える。
「えっと……彼女は?」
当然の疑問だと思う。
彼女はベアトリクスさんの側付きだったはず。
ベアトリクスさんが嫁ぐのに、彼女もついてくるのだろうか?
貴族社会では、令嬢が嫁ぐのと一緒に、平民出身の侍女も嫁ぎ先で雇ってもらうというのは、よくあることらしい。
けど、彼女は違う。というか、嫁ぐのが王族だと違う。
たとえ平民の侍女であっても、自国民以外の侍女が城内を彷徨くことになるから、宗主国から属国に嫁ぐ場合でも、侍女を連れて嫁ぐのは、良い顔をされない。
「彼女の名は、デリア・フラーケ。フラーケ男爵家の長女です」
貴族? なら、尚更、嫁ぐベアトリクスさんについてくるのはおかしいよね。
「実は、彼女の実家の家計、火の車なんです」
公国の貴族は一部を除いて大体貧乏だ。けど、借金まであるのごく一部。
ましてや、彼女は下級貴族でありながら第二王女の侍女に抜擢されるほどだ。彼女だけでなく親の身辺も調査されたはず。
「調査ミス?」
「いえ。デリアがベアト付きの侍女の候補に上がった時は、白でした。しかし、抜擢されてすぐに、ご両親に有象無象が集って、財産を騙し取られてしまったのです」
遣り甲斐のある仕事にかまけてしまい、最近までデリアさんも実家の状況を知らなかったそうだ。その辺りは、貴族としてか親としてか、どちらにしろプライドが邪魔して娘に相談できなかったのが原因だろう。
「それで? 借金と彼女がここにいる理由に関係が?」
「ええ。その借金、ユリアーナさんが返済したんですが……」
「マゴイチの名前で出したの」
「それって……つまり?」
どゆこと?
「父から、"姫様の夫となる方に、生涯お仕えしろ"と」
どゆこと?
「つまり、デリアもマゴイチに嫁ぐってこと」
どゆこと?
聞いてもわかんない。
「ああ、そのね、デリアのお父さんが、すんごい感謝して、"一族総出で恩返しさせてくれ"って、拠点に乗り込んできたのよ」
「私としては、弟のために、私とベアトが嫁いだ後の公国に信用できる貴族を残しておきたいから、"一族総出で"というのを遠慮してもらうように、フラーケ男爵へ内々にお願いしたんです」
「そしたら、その場で"なら、娘を姫様と一緒に嫁がせる"って言い出しちゃって」
「"恩を返せないのなら、自害を命じてください"って、ちょっと断れない雰囲気で……」
ベアトリクスさんもコクコクと頷く。その場にいたのだろう。
「それは、俺も断れない感じですか?」
ここまでお膳立てされてるんだから、聞くまでもないんだけど、一応、聞いておく。
返事はユリアーナの笑顔だった。
「そっすか」
「側室一名様追加でーす」
軽いなぁ。
本人にとっては人生の分岐点だよ?
「よろしくお願いします」
いいの?
デリアさんの僕を見る目に嫌悪感はない。
いいみたい。
いいのかぁ。
側室がこんなに増えても、女心がわかんないよ。
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