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第50話 麻雀⑧ ムコウマルサトシ
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「(おいおい二人共やりすぎだ)」
タケシとコフィーは何でもありのルールを、ゴトーが理解してからは容赦がなかった。
いや、コフィーはその前からだったな。
二人は残り4回も半荘を消化しないといけないと分かっているのか?
既にゴトーはボロボロじゃないか。
この様子では4回はおろか、次の半荘も危うい……てか無理ぢゃね。
ゴトーがByteCoinで騙し取った金は一億エソだと言う。
ここまで逃亡や潜伏に加えて顔の整形までしたのだから、まるまる一億残っている訳ではあるまい。
逃亡・潜伏・整形全て裏のルートで行っていただろうから、掛かる金も表のそれとは違うはず。
この世界での表裏共に相場が分からないから、俺にはゴトーの残金がどれぐらい有るのかは全く分からない。
だが、この様子を見るとそれほど残ってはなさそうだ。
コフィーがByteCoinに投資した額は一千万エソと聞いた。
タケシとコフィーがこれまでゴトーから回収した点数は二人合わせて535,800点。
金に換算すると一千七十一万六千エソ。
プラストップ賞で四十万エソがタケシかコフィーに入る。
まぁ、トップ賞は誤差みたいな物だが十分回収できただろう。
問題はゴトーがそこまで払えるかだ。
用意できるだけの現金を持って来いとは言ったが、さすがに真に受けて手持ちの金を全額持ってきてはいまい。
持ってきた鞄の膨らみから見ると、一千万エソぐらいか。
なら、一千万エソを越えた分は後で回収となるのだが、ゴトーが逃げる可能性もある。
そうなると面倒だ。 非常に。
だから、ちょうど回収できるだけの額に治めてこの半荘を終えるのが理想で、まさに今がそのタイミングだ。
タイミングはちょうど良いのだが、タケシとコフィーがアツくなりすぎている。
これはもう金云々ではなく、お互いの技術と意地をぶつけ合っているようだ。
ゴトーからの回収を忘れていないのは、それだけゴトーに対して憤っている証だろう。
目的はほぼ達したようなものだから、残りのテープは俺の必要経費分のみでゴトーに渡してもいい。
残りの半荘を消化するのはゴトーには無理だろうからな。
次はゴトーが親でオーラスだ。
二人はゴトーからMAXに回収するだろうから、ダブル役満どころか、トリプル、クアドラプル役満を狙っているだろう。
そうなると、ゴトーの手持ち金はさらに足らなくなるのでは?との疑問が残る。
もし足りなければ、やはり後の回収となり面倒が過ぎる。
となれば、俺が安手で和了するのが最良なのだがそれが一番難しい。
実際に卓を囲んで痛感したのだが、タケシはバケモノだ。
それも想像を絶する。
とてもじゃないが、俺が太刀打ちできる相手ではない。
それにタケシだけじゃなく、コフィーも負けず劣らずバケモノだ。
聞いた話ではタケシに一度も勝った事がないと言っていたが、互角どころか逆にリードしている。
そんな二人を差し置いて俺が和了する?
アハハハ、乾いた笑いを漏らすしかない。
元いた世界でも色々な困難に遭遇してきたが、今程困難だと思った事はない。
てか、無理だよね、これ。
だが、最終局では俺が思っていた事態にはならなかった。
タケシが牌を全て伏せ、全方向に散らしてきたのだ。
これは、平で打つとのサイン。
いくらタケシでも、平となると簡単には役満を和了れないだろう。
それはタケシの意を汲んで同じ行動をし、了承の意を示したコフィーも同じだ。
だがそれは、ゴトーの振り込みは役満以下である可能性が高くなったのと同時に、俺が和了する可能性はさらに低くなった事を意味する。
二人がより本気になった事により、元々限りなく無いに等しかった可能性が、だ。
まぁ、俺が和了する必要があったのは、二人が役満以上を和了する前提だったからなのだが、二人が役満以上を和了る事はないだろう。
だから、俺が出来る事と言えば、出来るだけ低い点数で二人のどちらかが和了するのを願うだけだ。
そうして始まったオーラス。
やはり平打ちだとこれまでのように早い順目での和了はない。
おかげで、俺の手も順調に育ちテンパイした。
テンパイしたのだが、見事なフリテン。
自分の麻雀の下手さ加減に内心でため息をつく。
が、数巡後にツモってきた牌で手替わりをし、フリテンは解消。
解消されたのだが、待ちも悪くなり翻数も下がってしまった。
まぁ、いいか。
この安手でゴトーから和了できれば理想だがそうはいかないだろう。
タケシかコフィレが和了って終わり……か。
ゴトーの手持ちの金で足りればいいのだが。
「ロン」
ゴトーの捨て牌で宣言したのは、やはりタケシだった。
それも、満貫で。
これで、終わりだな。
理想はもっと安手での和了だったのだが、まぁ、役満よりは数倍マシだ。
タケシとコフィーの勝負も僅差でタケシの勝ち。
二人とも満足したのか笑顔だ。
ゴトーは……………………って、あれっ!?
その牌は──
「あっと、すまない」
俺は牌を倒す。
「頭ハネだ」
この言葉にタケシとコフィーは驚いた顔でフリーズ。
そんなに驚く事か?
満貫より安手だったので牌を倒したのだが、この和了は俺の下手さ加減が招いた結果、たまたま、偶然、タケシのロン牌と被っただけに過ぎないのに。
「え~っと、3,900点」
点数申告をしても二人のフリーズは解けない。
ゴトーは椅子にグッタリともたれ掛かり、ヘラヘラと泣き笑い。
おーい。
ゴトーは分かるが、タケシとコフィーはどうした?
帰ってこぉ~い。
「ゴ、ゴトー君点棒を」
そんな二人をとりあえずは後回しにし、ゴトーに点棒を催促する。
が、ゴトーは視点の合っていない目を天井に向けたまま反応はない。
俺は軽くため息をつき、ゴトーから打点分の点棒を卓に置く。
「二人に確認だ、間違いなく3,900点だな」
ゴトーが自発的に払ったのではなく、俺がゴトーの点棒を持ってきたんだ。
後で揉めない為にも確認は必要だと思い二人に尋ねる。
そんな俺の問いにハッと我に返る二人。
「あ、ああ、間違いない」
「え、ええ、3,900点で合ってるわ」
二人から確認もとれたので、この点棒は俺の物となった。
とにかくこれで。
「これで半荘終了だな。 精算するか」
ゴトーとの取り決めでは半荘終了毎に精算し、支払いが済めばテープを渡すと決めていた。
ゴトーは「せっ、精算!?」と驚いた様子だったが、さっきの取り決めの確認の際にも言っていたはずだ。
その事を告げると、ゴトーは立ち上がろうとする。
それを制したのは、ギルマスだった。
そして、鋭い目で。
「精算し清算を」
と、怒気を含んだ低い声を出す。
ギルドからすれば、客が清算をせず逃げたとなれば、ギルドの信用問題に係わる。
だから、客同士の清算はキッチリさせるのも仕事の内なのだろう。
怒気を含んでいるのは── まぁ、仕方ない、のか?
トップは持ち点が295,900点のコフィーで、30,000点返しだからプラスは265,900点。
それにトップ賞の20,000点が加算され+285,900点
二着はタケシで持ち点289,900点の+259,900点
三着は俺で、持ち点30,900点で+900点
ラスはゴトー。
持ち点は-516,700点の-546,700点となった。
そして、清算金だが。
コフィがプラス五百七十一万八千エソ。
タケシはプラス五百十九万八千エソ。
俺がゴトーとのサシウマ込みでプラス二十一万八千エソ。
そして、ゴトーがマイナス一千百十三万四千エソとなった。
最初の思惑ではコフィーが受けたByteCoinの損失を少しでも回収できればと思っていたが、二人がアツくなりすぎて全額以上の回収が出来た。
サトシとコフィーも文句はないだろう。
だが。
「ゴトー君、金を」
ゴトーが今払えるかだ。
鞄の大きさから一千万エソは持って来ていると俺は推測した。
それだと百万以上足りない。
あの鞄の大きさなら、あと数百万ぐらいは余裕で入りそうだが果たして。
「か、金?」
「半荘毎に清算する約束だっただろ? テープも清算時に渡すと」
「テ、テープ?」
ゴトーは混乱しているのか、どうも要領を得ていないようだ。
「君の今後が掛かったテープだ。 忘れたのか?」
そう言うとゴトーの顔がサッと青ざめた後、キョロキョロと周りを見たかと思えば、ギルマスを見て顔を止めた。
ギルマスは電話のハンドセットを持っている。
金が払えないなら、然るべき所へ通報するぞとの意思表示だ。
ゴトーは観念したようで、金の入っているであろう鞄に手を伸ばした。
通報されればその後どうなるか考えるだけの理性は残っていたようだな。
懸念していたゴトーの金の不足はなかった為、清算は滞りなく終わった。
不足はなかったが残金は底をついたようで、鞄の膨らみはすっかり薄くなった。
俺はテープを渡す。
「さて、二回戦を始めるか」
「にっ、二回戦!?」
「ああ、テープは後4本あるからな。 言っていただろう?」
俺の言葉にゴトーは突然頭を下げて、
「麻雀はもう勘弁してくれ!」
泣いて嘆願してきた。
「そうか…… 君がそう言うなら」
俺はそう言って手のひらを上に向けてゴトーに差し出すが、ゴトーは首を傾げる。
麻雀をしないのなら金を払うって事になるだろ?
「1本二百万エソだから、残り4本で八百万エソだな」
「!!!!!」
ゴトーに今払えるだけの手持ちはないだろう。
残金によってはそれで許してやってもいいが。
「……八百万なんてない」
予想通りの答えが返ってきた。
「そうか、なら残りのテープは渡せないな」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ」
「待ったら払うのか?」
「今は手持ちがない。 これから取ってくる」
「それは八百万エソを払いテープを買い取ると言う事だな」
ゴトーはコクリと頷く。
「待つのは構わないが、それで八百万で済まそうと言うのは少々図々しくないか?」
「ず、図々しい?」
まず、と、俺は指を一本立てる。
「ゴトー君が金を取ってくると言ってここを出て、戻ってくる保証がどこにある?」
「そっ、それは」
この反応を見るとゴトーは逃げるつもりだったようだな。
それならそれでテープを公表するだけだが、ゴトーはその事に頭が回らないのか?
まぁ、後でその事に触れてやろう。
そして次に、と、さらに指を一本立てる。
「借りた金の返済期日に間に合わなかった場合は遅延損害金が発生し上乗せされるだろ? 今回の例で言うと返済期限は今だ」
「なっ」
ゴトーは絶句する。
俺はゴトーに金を貸した訳ではないが、言いたい事は分かるだろう。
「話は少し戻るが、ゴトー君が戻ってこない場合、俺はテープを然るべき機関へ持っていくぞ」
「そっ、それは…………」
「だから君がとれる選択肢は限られている。 ちなみに今すぐ払える額はいくらだ?」
ゴトーは鞄の中を覗き込み中から金を出す。
百万の束が二つか。
思っていた以上に持っていたな。
だが全然足りない。
「今すぐ払えるのは、本当にそれで全部か?」
「………………」
ゴトーは俯いて何も言わない。
しかし少しすると、鞄からさらに百万の束を二つ出し、ポケットから財布を出したかと思えば鞄と共に差し出してくる。
中を検めろって事か。
ここまでするのなら、本当に今持っている全財産なのだろう。
「どうやら、本当にそれが今すぐ払える全額のようだな」
「…………はい」
「はぁぁ~~仕方がない、どれぐらいで戻ってこれる?」
「???」
ゴトーは首を傾げる。
「特別に遅延損害金は財布の中身だけで勘弁してやる、だから残りの金を取ってきて戻ってくるまでどれぐらい時間が掛かるかと聞いているんだ」
「ム、ムコウマル。 いえ、ムコウマルさん!」
「テープを俺が持っている事を忘れるなよ」
「はっ、はい! もちろんです!!」
ゴトーは笑顔で俺に頭を下げ「一時間もあれば」と言葉を残しギルドを出て行った。
「良いのか?」
タケシが俺を見て尋ねる。
ゴトーはこの場に居ないから、もう他人のフリをする必要はない。
「構わないさ」
「だが、確実に戻ってこないぞ」
「かもな」
「そう? 私は戻ってくると思うけどねぇ~」
俺もタケシと同意見だったが、ケタケタと笑いながらコフィーは戻ってくると言う。
その根拠を尋ねると、ゴトーが無いと言ってから百万の束を追加で四つ出したにも関わらず、俺がその分のテープを渡さなかった事。
その事にゴトーは気付かないどころか、嬉々とした表情でお金を取りに行った事を述べた。
なるほど、言われてみればその通りだな。
テープを渡さなかったのは単純に忘れていただけだが。
「あの表情はゴトーがサトッちゃんに心酔した証拠ねぇ~。 だから戻ってくるはずよ。 財布の中身で勘弁してやるって全然勘弁していないじゃない、もぉ、笑いを堪えるのが大変だったわ」
そう言うと、我慢していたのが爆発したのか、コフィーは大笑いしだした。
コフィーの笑いが伝染したのかタケシも、
「そうだぞサトシ、ゴトーが崩れ落ちた時、介抱しているように見せかけ卓に戻しただろ? あの時は思わず吹き出してしまったぞ」
「私もよぉ~。 それだけじゃなくって、他にも細々と私達を笑わそうとしていたわよねぇ~」
二人して大笑いだ。
いや、俺としては至って真剣で、二人を笑わそうなんて微塵も思っていなかったのだが二人にはそう見えたのか。
そう言えば昔、ミヅノにも同じ事を何度も言われたな。
大事な任務中なのに笑わさないでくれと。
俺としては全く自覚がなかったのだが良い機会だ。
直接本人に謝罪しよう。
「そうか、俺としては全くそんなつもりはなかったが、昔、同じ事を言われたよ。 すまなかったな、マシュウ」
そう言うと、タケシとコフィーは笑いながら首を傾げている。
俺が視線を向ける先にはギルマスが居る。
当のギルマスと目が合うが返事はない。
「これをギルマスに渡してくれ」
俺はゴトーの財布をまるごと渡す。
ザッと見た所、十数万エソの金が入っていそうだ。
「いえ、私は」
「いいから渡してくれ、ここのギルマスも協力してくれたのだろ?」
そうだろ?とタケシとコフィーを見ると二人共頷くが、頭にはクエスチョンマークが浮かんでいる。
「お前なぁ、俺はコーヒーを頼んだのに紅茶を持ってきただろ?」
そう言うとギルマスはピクッと反応する。
俺はコーヒーを飲めないのだ。
いや、飲めない事はないが、飲めば気持ち悪くなるから控えている。
だから、普段は紅茶だ。
だが、無性に飲みたくなる時もあるのだ。
今回は、その飲みたい時だったから頼んだ訳だが。
「聞き間違いかもと思いお替りを頼んだら、そのお替りも紅茶だった。 バレバレだ」
コーヒーが飲めなく、普段は紅茶だと知っている人間はミヅノとごく一部の人間しか知らない事だ。
そして、こっちの世界ではミヅノの記憶を持っているマシュウしか知らない。
「流石です、サトシさん」
笑顔で言葉を返すギルマス、いや、マシュウ。
マシュウは変装し、気づかれないように俺を護衛していたのだ。
その事をタケシとコフィーに説明するとマシュウは変装を解いた。
解いた変装を見て二人はさらに驚いていた。
本当にベップ君だと。
俺は、本物のギルマスを知らないが、二人が言うには本人そっくりだと言う。
まぁ、ミヅノは暗器使いだったから潜入する事も多かった。
ミヅノは「南国」の自警団組織に属していたから顔はある程度割れている。
そんな人物が潜入するには変装するしかなかったから、そのスキルは自然と上がったのだろう。
身体捌きから隠密のスキルは優れていると思っていたが、マシュウの変装スキルもミヅノと同等だったようだな。
「そんな事よりサトシ」
突然タケシが俺に真剣な目を向ける。
その目に何事だと疑問に思う。
「麻雀を打ってくれ」
「麻雀?」
「そうだ」
ついさっきまで麻雀は打っていたが。
それを改めて打ってくれとはどう言う事だ?
タケシの言葉がイマイチ理解できない俺は、首を傾げて聞いてみた。
タケシが言うには最終局で俺の和了形と捨て牌を見て、俺の麻雀レベルが相当高いと感じたそうだ。
「サトシは俺の手牌とゴトーの手牌を全て読んだ上で頭ハネを狙ったのだろ。 あの時は麻雀で初めて負けたと思った」
いやいや、何でそうなる。
アレは俺の下手さ加減が招いた偶然で、決して狙った物ではない。
勘違いもいい所だ。
「いや、勘違いしないで欲し──「アンタがそこまで言うのなら興味があるな」ってはい?」
タケシの勘違いを正そうとした俺に言葉を重ねてきた人物がいた。
その方を見ると。
「マシュウ?」
じゃ、ないな。
この顔は。
「ギルマス?」
それは、変装を解く前のマシュウの顔。
そう、この麻雀ギルドのギルドマスター本人だ。
マシュウの変装は凄いな。
声色までそっくりじゃないか。
でも、興味があるって?
「私が最強だと認めていた打ち手に負けを認めさせた男だ。 興味がない訳ないでしょう」
お前もか。
お前も勘違いしているのか。
「だから話を聞いて「始めるぞ」…………」
有無を言わさずってカンジか。
これ断ってもいいよね。
「すまないが断「何だって?」……」
「だから断「ああ!?」……」
この野郎。
断らせないつもりか。
コフィーも腹を抱えて笑ってないでタケシを止めてくれ。
そんな思いを込めてコフィーをジト目でみると、涙を拭いながら俺を見る。
「こうなったら何を言ってもタケさんは聞かないわよぉ~。 ギルマスもね」
そう言って、また大笑いしだした。
はぁぁぁぁぁ~~~~~。
俺はこれでもかと大きなため息をつき、卓に座り直すのだった。
タケシとコフィーは何でもありのルールを、ゴトーが理解してからは容赦がなかった。
いや、コフィーはその前からだったな。
二人は残り4回も半荘を消化しないといけないと分かっているのか?
既にゴトーはボロボロじゃないか。
この様子では4回はおろか、次の半荘も危うい……てか無理ぢゃね。
ゴトーがByteCoinで騙し取った金は一億エソだと言う。
ここまで逃亡や潜伏に加えて顔の整形までしたのだから、まるまる一億残っている訳ではあるまい。
逃亡・潜伏・整形全て裏のルートで行っていただろうから、掛かる金も表のそれとは違うはず。
この世界での表裏共に相場が分からないから、俺にはゴトーの残金がどれぐらい有るのかは全く分からない。
だが、この様子を見るとそれほど残ってはなさそうだ。
コフィーがByteCoinに投資した額は一千万エソと聞いた。
タケシとコフィーがこれまでゴトーから回収した点数は二人合わせて535,800点。
金に換算すると一千七十一万六千エソ。
プラストップ賞で四十万エソがタケシかコフィーに入る。
まぁ、トップ賞は誤差みたいな物だが十分回収できただろう。
問題はゴトーがそこまで払えるかだ。
用意できるだけの現金を持って来いとは言ったが、さすがに真に受けて手持ちの金を全額持ってきてはいまい。
持ってきた鞄の膨らみから見ると、一千万エソぐらいか。
なら、一千万エソを越えた分は後で回収となるのだが、ゴトーが逃げる可能性もある。
そうなると面倒だ。 非常に。
だから、ちょうど回収できるだけの額に治めてこの半荘を終えるのが理想で、まさに今がそのタイミングだ。
タイミングはちょうど良いのだが、タケシとコフィーがアツくなりすぎている。
これはもう金云々ではなく、お互いの技術と意地をぶつけ合っているようだ。
ゴトーからの回収を忘れていないのは、それだけゴトーに対して憤っている証だろう。
目的はほぼ達したようなものだから、残りのテープは俺の必要経費分のみでゴトーに渡してもいい。
残りの半荘を消化するのはゴトーには無理だろうからな。
次はゴトーが親でオーラスだ。
二人はゴトーからMAXに回収するだろうから、ダブル役満どころか、トリプル、クアドラプル役満を狙っているだろう。
そうなると、ゴトーの手持ち金はさらに足らなくなるのでは?との疑問が残る。
もし足りなければ、やはり後の回収となり面倒が過ぎる。
となれば、俺が安手で和了するのが最良なのだがそれが一番難しい。
実際に卓を囲んで痛感したのだが、タケシはバケモノだ。
それも想像を絶する。
とてもじゃないが、俺が太刀打ちできる相手ではない。
それにタケシだけじゃなく、コフィーも負けず劣らずバケモノだ。
聞いた話ではタケシに一度も勝った事がないと言っていたが、互角どころか逆にリードしている。
そんな二人を差し置いて俺が和了する?
アハハハ、乾いた笑いを漏らすしかない。
元いた世界でも色々な困難に遭遇してきたが、今程困難だと思った事はない。
てか、無理だよね、これ。
だが、最終局では俺が思っていた事態にはならなかった。
タケシが牌を全て伏せ、全方向に散らしてきたのだ。
これは、平で打つとのサイン。
いくらタケシでも、平となると簡単には役満を和了れないだろう。
それはタケシの意を汲んで同じ行動をし、了承の意を示したコフィーも同じだ。
だがそれは、ゴトーの振り込みは役満以下である可能性が高くなったのと同時に、俺が和了する可能性はさらに低くなった事を意味する。
二人がより本気になった事により、元々限りなく無いに等しかった可能性が、だ。
まぁ、俺が和了する必要があったのは、二人が役満以上を和了する前提だったからなのだが、二人が役満以上を和了る事はないだろう。
だから、俺が出来る事と言えば、出来るだけ低い点数で二人のどちらかが和了するのを願うだけだ。
そうして始まったオーラス。
やはり平打ちだとこれまでのように早い順目での和了はない。
おかげで、俺の手も順調に育ちテンパイした。
テンパイしたのだが、見事なフリテン。
自分の麻雀の下手さ加減に内心でため息をつく。
が、数巡後にツモってきた牌で手替わりをし、フリテンは解消。
解消されたのだが、待ちも悪くなり翻数も下がってしまった。
まぁ、いいか。
この安手でゴトーから和了できれば理想だがそうはいかないだろう。
タケシかコフィレが和了って終わり……か。
ゴトーの手持ちの金で足りればいいのだが。
「ロン」
ゴトーの捨て牌で宣言したのは、やはりタケシだった。
それも、満貫で。
これで、終わりだな。
理想はもっと安手での和了だったのだが、まぁ、役満よりは数倍マシだ。
タケシとコフィーの勝負も僅差でタケシの勝ち。
二人とも満足したのか笑顔だ。
ゴトーは……………………って、あれっ!?
その牌は──
「あっと、すまない」
俺は牌を倒す。
「頭ハネだ」
この言葉にタケシとコフィーは驚いた顔でフリーズ。
そんなに驚く事か?
満貫より安手だったので牌を倒したのだが、この和了は俺の下手さ加減が招いた結果、たまたま、偶然、タケシのロン牌と被っただけに過ぎないのに。
「え~っと、3,900点」
点数申告をしても二人のフリーズは解けない。
ゴトーは椅子にグッタリともたれ掛かり、ヘラヘラと泣き笑い。
おーい。
ゴトーは分かるが、タケシとコフィーはどうした?
帰ってこぉ~い。
「ゴ、ゴトー君点棒を」
そんな二人をとりあえずは後回しにし、ゴトーに点棒を催促する。
が、ゴトーは視点の合っていない目を天井に向けたまま反応はない。
俺は軽くため息をつき、ゴトーから打点分の点棒を卓に置く。
「二人に確認だ、間違いなく3,900点だな」
ゴトーが自発的に払ったのではなく、俺がゴトーの点棒を持ってきたんだ。
後で揉めない為にも確認は必要だと思い二人に尋ねる。
そんな俺の問いにハッと我に返る二人。
「あ、ああ、間違いない」
「え、ええ、3,900点で合ってるわ」
二人から確認もとれたので、この点棒は俺の物となった。
とにかくこれで。
「これで半荘終了だな。 精算するか」
ゴトーとの取り決めでは半荘終了毎に精算し、支払いが済めばテープを渡すと決めていた。
ゴトーは「せっ、精算!?」と驚いた様子だったが、さっきの取り決めの確認の際にも言っていたはずだ。
その事を告げると、ゴトーは立ち上がろうとする。
それを制したのは、ギルマスだった。
そして、鋭い目で。
「精算し清算を」
と、怒気を含んだ低い声を出す。
ギルドからすれば、客が清算をせず逃げたとなれば、ギルドの信用問題に係わる。
だから、客同士の清算はキッチリさせるのも仕事の内なのだろう。
怒気を含んでいるのは── まぁ、仕方ない、のか?
トップは持ち点が295,900点のコフィーで、30,000点返しだからプラスは265,900点。
それにトップ賞の20,000点が加算され+285,900点
二着はタケシで持ち点289,900点の+259,900点
三着は俺で、持ち点30,900点で+900点
ラスはゴトー。
持ち点は-516,700点の-546,700点となった。
そして、清算金だが。
コフィがプラス五百七十一万八千エソ。
タケシはプラス五百十九万八千エソ。
俺がゴトーとのサシウマ込みでプラス二十一万八千エソ。
そして、ゴトーがマイナス一千百十三万四千エソとなった。
最初の思惑ではコフィーが受けたByteCoinの損失を少しでも回収できればと思っていたが、二人がアツくなりすぎて全額以上の回収が出来た。
サトシとコフィーも文句はないだろう。
だが。
「ゴトー君、金を」
ゴトーが今払えるかだ。
鞄の大きさから一千万エソは持って来ていると俺は推測した。
それだと百万以上足りない。
あの鞄の大きさなら、あと数百万ぐらいは余裕で入りそうだが果たして。
「か、金?」
「半荘毎に清算する約束だっただろ? テープも清算時に渡すと」
「テ、テープ?」
ゴトーは混乱しているのか、どうも要領を得ていないようだ。
「君の今後が掛かったテープだ。 忘れたのか?」
そう言うとゴトーの顔がサッと青ざめた後、キョロキョロと周りを見たかと思えば、ギルマスを見て顔を止めた。
ギルマスは電話のハンドセットを持っている。
金が払えないなら、然るべき所へ通報するぞとの意思表示だ。
ゴトーは観念したようで、金の入っているであろう鞄に手を伸ばした。
通報されればその後どうなるか考えるだけの理性は残っていたようだな。
懸念していたゴトーの金の不足はなかった為、清算は滞りなく終わった。
不足はなかったが残金は底をついたようで、鞄の膨らみはすっかり薄くなった。
俺はテープを渡す。
「さて、二回戦を始めるか」
「にっ、二回戦!?」
「ああ、テープは後4本あるからな。 言っていただろう?」
俺の言葉にゴトーは突然頭を下げて、
「麻雀はもう勘弁してくれ!」
泣いて嘆願してきた。
「そうか…… 君がそう言うなら」
俺はそう言って手のひらを上に向けてゴトーに差し出すが、ゴトーは首を傾げる。
麻雀をしないのなら金を払うって事になるだろ?
「1本二百万エソだから、残り4本で八百万エソだな」
「!!!!!」
ゴトーに今払えるだけの手持ちはないだろう。
残金によってはそれで許してやってもいいが。
「……八百万なんてない」
予想通りの答えが返ってきた。
「そうか、なら残りのテープは渡せないな」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ」
「待ったら払うのか?」
「今は手持ちがない。 これから取ってくる」
「それは八百万エソを払いテープを買い取ると言う事だな」
ゴトーはコクリと頷く。
「待つのは構わないが、それで八百万で済まそうと言うのは少々図々しくないか?」
「ず、図々しい?」
まず、と、俺は指を一本立てる。
「ゴトー君が金を取ってくると言ってここを出て、戻ってくる保証がどこにある?」
「そっ、それは」
この反応を見るとゴトーは逃げるつもりだったようだな。
それならそれでテープを公表するだけだが、ゴトーはその事に頭が回らないのか?
まぁ、後でその事に触れてやろう。
そして次に、と、さらに指を一本立てる。
「借りた金の返済期日に間に合わなかった場合は遅延損害金が発生し上乗せされるだろ? 今回の例で言うと返済期限は今だ」
「なっ」
ゴトーは絶句する。
俺はゴトーに金を貸した訳ではないが、言いたい事は分かるだろう。
「話は少し戻るが、ゴトー君が戻ってこない場合、俺はテープを然るべき機関へ持っていくぞ」
「そっ、それは…………」
「だから君がとれる選択肢は限られている。 ちなみに今すぐ払える額はいくらだ?」
ゴトーは鞄の中を覗き込み中から金を出す。
百万の束が二つか。
思っていた以上に持っていたな。
だが全然足りない。
「今すぐ払えるのは、本当にそれで全部か?」
「………………」
ゴトーは俯いて何も言わない。
しかし少しすると、鞄からさらに百万の束を二つ出し、ポケットから財布を出したかと思えば鞄と共に差し出してくる。
中を検めろって事か。
ここまでするのなら、本当に今持っている全財産なのだろう。
「どうやら、本当にそれが今すぐ払える全額のようだな」
「…………はい」
「はぁぁ~~仕方がない、どれぐらいで戻ってこれる?」
「???」
ゴトーは首を傾げる。
「特別に遅延損害金は財布の中身だけで勘弁してやる、だから残りの金を取ってきて戻ってくるまでどれぐらい時間が掛かるかと聞いているんだ」
「ム、ムコウマル。 いえ、ムコウマルさん!」
「テープを俺が持っている事を忘れるなよ」
「はっ、はい! もちろんです!!」
ゴトーは笑顔で俺に頭を下げ「一時間もあれば」と言葉を残しギルドを出て行った。
「良いのか?」
タケシが俺を見て尋ねる。
ゴトーはこの場に居ないから、もう他人のフリをする必要はない。
「構わないさ」
「だが、確実に戻ってこないぞ」
「かもな」
「そう? 私は戻ってくると思うけどねぇ~」
俺もタケシと同意見だったが、ケタケタと笑いながらコフィーは戻ってくると言う。
その根拠を尋ねると、ゴトーが無いと言ってから百万の束を追加で四つ出したにも関わらず、俺がその分のテープを渡さなかった事。
その事にゴトーは気付かないどころか、嬉々とした表情でお金を取りに行った事を述べた。
なるほど、言われてみればその通りだな。
テープを渡さなかったのは単純に忘れていただけだが。
「あの表情はゴトーがサトッちゃんに心酔した証拠ねぇ~。 だから戻ってくるはずよ。 財布の中身で勘弁してやるって全然勘弁していないじゃない、もぉ、笑いを堪えるのが大変だったわ」
そう言うと、我慢していたのが爆発したのか、コフィーは大笑いしだした。
コフィーの笑いが伝染したのかタケシも、
「そうだぞサトシ、ゴトーが崩れ落ちた時、介抱しているように見せかけ卓に戻しただろ? あの時は思わず吹き出してしまったぞ」
「私もよぉ~。 それだけじゃなくって、他にも細々と私達を笑わそうとしていたわよねぇ~」
二人して大笑いだ。
いや、俺としては至って真剣で、二人を笑わそうなんて微塵も思っていなかったのだが二人にはそう見えたのか。
そう言えば昔、ミヅノにも同じ事を何度も言われたな。
大事な任務中なのに笑わさないでくれと。
俺としては全く自覚がなかったのだが良い機会だ。
直接本人に謝罪しよう。
「そうか、俺としては全くそんなつもりはなかったが、昔、同じ事を言われたよ。 すまなかったな、マシュウ」
そう言うと、タケシとコフィーは笑いながら首を傾げている。
俺が視線を向ける先にはギルマスが居る。
当のギルマスと目が合うが返事はない。
「これをギルマスに渡してくれ」
俺はゴトーの財布をまるごと渡す。
ザッと見た所、十数万エソの金が入っていそうだ。
「いえ、私は」
「いいから渡してくれ、ここのギルマスも協力してくれたのだろ?」
そうだろ?とタケシとコフィーを見ると二人共頷くが、頭にはクエスチョンマークが浮かんでいる。
「お前なぁ、俺はコーヒーを頼んだのに紅茶を持ってきただろ?」
そう言うとギルマスはピクッと反応する。
俺はコーヒーを飲めないのだ。
いや、飲めない事はないが、飲めば気持ち悪くなるから控えている。
だから、普段は紅茶だ。
だが、無性に飲みたくなる時もあるのだ。
今回は、その飲みたい時だったから頼んだ訳だが。
「聞き間違いかもと思いお替りを頼んだら、そのお替りも紅茶だった。 バレバレだ」
コーヒーが飲めなく、普段は紅茶だと知っている人間はミヅノとごく一部の人間しか知らない事だ。
そして、こっちの世界ではミヅノの記憶を持っているマシュウしか知らない。
「流石です、サトシさん」
笑顔で言葉を返すギルマス、いや、マシュウ。
マシュウは変装し、気づかれないように俺を護衛していたのだ。
その事をタケシとコフィーに説明するとマシュウは変装を解いた。
解いた変装を見て二人はさらに驚いていた。
本当にベップ君だと。
俺は、本物のギルマスを知らないが、二人が言うには本人そっくりだと言う。
まぁ、ミヅノは暗器使いだったから潜入する事も多かった。
ミヅノは「南国」の自警団組織に属していたから顔はある程度割れている。
そんな人物が潜入するには変装するしかなかったから、そのスキルは自然と上がったのだろう。
身体捌きから隠密のスキルは優れていると思っていたが、マシュウの変装スキルもミヅノと同等だったようだな。
「そんな事よりサトシ」
突然タケシが俺に真剣な目を向ける。
その目に何事だと疑問に思う。
「麻雀を打ってくれ」
「麻雀?」
「そうだ」
ついさっきまで麻雀は打っていたが。
それを改めて打ってくれとはどう言う事だ?
タケシの言葉がイマイチ理解できない俺は、首を傾げて聞いてみた。
タケシが言うには最終局で俺の和了形と捨て牌を見て、俺の麻雀レベルが相当高いと感じたそうだ。
「サトシは俺の手牌とゴトーの手牌を全て読んだ上で頭ハネを狙ったのだろ。 あの時は麻雀で初めて負けたと思った」
いやいや、何でそうなる。
アレは俺の下手さ加減が招いた偶然で、決して狙った物ではない。
勘違いもいい所だ。
「いや、勘違いしないで欲し──「アンタがそこまで言うのなら興味があるな」ってはい?」
タケシの勘違いを正そうとした俺に言葉を重ねてきた人物がいた。
その方を見ると。
「マシュウ?」
じゃ、ないな。
この顔は。
「ギルマス?」
それは、変装を解く前のマシュウの顔。
そう、この麻雀ギルドのギルドマスター本人だ。
マシュウの変装は凄いな。
声色までそっくりじゃないか。
でも、興味があるって?
「私が最強だと認めていた打ち手に負けを認めさせた男だ。 興味がない訳ないでしょう」
お前もか。
お前も勘違いしているのか。
「だから話を聞いて「始めるぞ」…………」
有無を言わさずってカンジか。
これ断ってもいいよね。
「すまないが断「何だって?」……」
「だから断「ああ!?」……」
この野郎。
断らせないつもりか。
コフィーも腹を抱えて笑ってないでタケシを止めてくれ。
そんな思いを込めてコフィーをジト目でみると、涙を拭いながら俺を見る。
「こうなったら何を言ってもタケさんは聞かないわよぉ~。 ギルマスもね」
そう言って、また大笑いしだした。
はぁぁぁぁぁ~~~~~。
俺はこれでもかと大きなため息をつき、卓に座り直すのだった。
0
※※※ ご注意 ※※※1.20歳未満の方は馬券を購入、または譲り受ける事はできません。2.パチンコ・パチスロ店は18歳未満の方は入場できません(高校生は不可)。3.ネットに溢れる攻略法はガセが多いと聞きますのでご注意下さい。
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