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プロローグ②
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「4国同盟」
それは、「東国」「西国」「南国」「北国」なる四つの極小国が近隣諸国に対抗する為に成された同盟。
4国は大陸間に位置した連なる国々である。
全ての国が島国であり、各々自治国として認められている。
4国は元来四つの島から出来た一つの国であった。
象徴君主制を掲げる国には豊富な天然資源が存在し、その豊富な天然資源は国を分裂させる理由に事足りた。
また、象徴であるはずの君主の不正が発覚したのも分裂への道を確固たるものにしたのだ。
4国は不仲で独立した訳では無かったが、決して友好的とも言えなかった。
象徴であった君主が失脚した今、各々の国があわよくば天然資源の独占を、と目論んでいたからだ。
では、友好的では無かった国々が何故同盟を結んだのか。
最新の調査で豊富なはずの天然資源があと十数年で枯渇すると判明したからだ。
ならば我が国が再び統一し資源の独占を、と目論むのはなんら不思議ではない。
さらに大陸と大陸を結ぶような列島は物流の重大中継拠点なのだ。
物流の重大中継拠点となれば自ずと人流は良くなる。
人の流れが良くなれば動くマネーも大きくなる。
となれば、利権を求めて他国が介入してくるのは明らか。
天然資源が十数年で枯渇するならば、いっその事と強奪もされかねない。
しかし、極小国である4国各々単体では他国への対抗は困難。
そこで他国に天然資源と利権を奪われるくらいなら4国が一つになり、共に守ろうと声を挙げた者がいたのだ。
この声には4国各国も納得せざるを得ず、各国の目論見は一旦沈静化。
利益は平等に分配し、同盟を結ぼうとなった次第である。
しかし、それに異を唱えたのが「南国」。
なぜなら、4国の中で最も利益を挙げていたのは「南国」。
「南国」は世界でも有数の観光スポット。
天然資源の他に世界一とも言われる観光資源があるのだ。
その中でも、ケタ違いの利益を挙げていたのがギャンブル。
おおよそ人が考えられるギャンブルは全て揃っていると言っても過言ではない。
厳しい規制が敷かれている世界各国のギャンブルと違い、「南国」でのギャンブルは規制が皆無な為、他国から見れば非合法なものまで合法となる。
よって一攫千金を夢見た者が後を絶たないのだ。
資源と利権を守るのに同盟を組むのは賛成だが、利益の平等分配は断固反対と主張。
言い分は尤もである。
一方、「北国」はその工業技術こそ世界に誇れるものの、その国土は4国で最も小さく人口も最小。
技術に妥協しない製品を製造する為大量生産は不可。 と言うか職人気質の技術者が大半を占めており大量生産をよしとしない。
そもそも国家元首からして職人気質な為、国がそれを許容しないのだ。
よって、「北国」は利益面では4国の中で最小。
4国同盟による利益の平等分配は諸手を挙げて賛成。
だが、技術の流出は避けたいのが本音である。
「東国」「西国」は天然資源を除くと目立った資源や工業技術は無いものの、大陸から最も近いと言う事が手伝い大陸側の物流拠点施設が充実。
そして、天然資源の他に4国に共通する資源がある。
それは水産資源。
「南国」は観光資源、「北国」は工業技術に重きを置き水産資源はそれほど重要視していないのだが「東国」「西国」両国は水産資源に注力している。
さらに国土も広く人口も多い。
人口が多ければ税収も多くなる。
つまり、国力は高いのだ。
マネーパワーの「南国」。
テクニカルパワーの「北国」。
マン&ナショナルパワーの「東国」と「西国」。
一見すると、パワーバランンスは均等、いや「東国」と「西国」が有利に見えるが実情はそうでは無い。
「南国」が突出している。
なぜなら、強力な軍事力を保有しているからだ。
合法、非合法(他国から見た)なギャンブルが入り乱れる「南国」の治安は良くはない。
ここで肝心なのは「悪い」ではない。
「良くはない」のである。
本来であれば他国から見た非合法が合法な国は荒れに荒れているはずである。
しかし、荒れたままでは観光客は訪れない。
そこで、「南国」は治安維持の為の組織を設立。
それも、ただの治安維持組織ではない。
マネーにものを言わせ、世界最強の治安維持組織の設立を目指したのだ。
「南国」は世界一の観光スポット。
世界中の富裕層は勿論、世界各国の要人が季節を問わず休暇中に訪れる為、治安の維持はやりすぎるぐらいでなければならない。
そこで、まずは武器弾薬を買えるだけ買おうと「南国」は試みる。
当初、武器弾薬を買えるだけ買おうとは言え、大した物量ではないだろうと鼻で笑っていた武器産出国だったが、「南国」が“手始めに”と提示してきた物量とそれに見合うマネーを楽々用意出来た事実に驚愕。
これには、世界の軍事バランスが崩れかねないと武器産出国は「南国」への武器の輸出を制限。
制限はしたもののそれは表向き。
各国は秘密裡に「南国」への武器弾薬、そして監視の意味を含めた人員を輸出派遣。
これにより、「南国」は治安維持組織どころか世界から一国の軍として認められる程の強力な軍事力を手に入れたのだ。
幸いな事に「南国」はその軍事力をあくまでも自国の治安維持、並びに自衛にしか使わないと宣言し、自国の法にもそう定めている。
スパイと宣言しているような人員を受け入れたのもそのような背景があったのだ。
話を戻そう。
「東国」「西国」「北国」の3カ国は落としどころを用意。
4国同盟の代表は「南国」から選出しても良いと言うのだ。
これは暗に「仮に4国統一が可能なのは「南国」ですよ~。てか、しちゃって下さい」と宣言しているようなもの。
しかし、それは本音ではない。
仮に3カ国が同盟を組み「南国」を支配下に置かんと蜂起しても、武力面ではとても「南国」には叶わないだろう。
それほど「南国」の軍事力は強力。
さらに、背後に武器産出国の影もある。
同盟を組む以上、代表を務める「南国」の軍事力は同盟国を守る為にも行使しなければならなくなる。
つまり、「南国」以外の3国は「南国」の軍事力を自国の治安維持と防衛に派遣分散させ、「南国」の弱体化を図ったのだ。
もちろん3国は「南国」を弱体化させるとは表明していない。
表向きは、先に述べたように「4国統一は「南国」に任せた」だ。
この提案に「南国」は了承。
当然ながら裏の事情は把握している。
そう……
3カ国は知らないのだ。
「南国」の本当のマネーパワーを。
それは、「東国」「西国」「南国」「北国」なる四つの極小国が近隣諸国に対抗する為に成された同盟。
4国は大陸間に位置した連なる国々である。
全ての国が島国であり、各々自治国として認められている。
4国は元来四つの島から出来た一つの国であった。
象徴君主制を掲げる国には豊富な天然資源が存在し、その豊富な天然資源は国を分裂させる理由に事足りた。
また、象徴であるはずの君主の不正が発覚したのも分裂への道を確固たるものにしたのだ。
4国は不仲で独立した訳では無かったが、決して友好的とも言えなかった。
象徴であった君主が失脚した今、各々の国があわよくば天然資源の独占を、と目論んでいたからだ。
では、友好的では無かった国々が何故同盟を結んだのか。
最新の調査で豊富なはずの天然資源があと十数年で枯渇すると判明したからだ。
ならば我が国が再び統一し資源の独占を、と目論むのはなんら不思議ではない。
さらに大陸と大陸を結ぶような列島は物流の重大中継拠点なのだ。
物流の重大中継拠点となれば自ずと人流は良くなる。
人の流れが良くなれば動くマネーも大きくなる。
となれば、利権を求めて他国が介入してくるのは明らか。
天然資源が十数年で枯渇するならば、いっその事と強奪もされかねない。
しかし、極小国である4国各々単体では他国への対抗は困難。
そこで他国に天然資源と利権を奪われるくらいなら4国が一つになり、共に守ろうと声を挙げた者がいたのだ。
この声には4国各国も納得せざるを得ず、各国の目論見は一旦沈静化。
利益は平等に分配し、同盟を結ぼうとなった次第である。
しかし、それに異を唱えたのが「南国」。
なぜなら、4国の中で最も利益を挙げていたのは「南国」。
「南国」は世界でも有数の観光スポット。
天然資源の他に世界一とも言われる観光資源があるのだ。
その中でも、ケタ違いの利益を挙げていたのがギャンブル。
おおよそ人が考えられるギャンブルは全て揃っていると言っても過言ではない。
厳しい規制が敷かれている世界各国のギャンブルと違い、「南国」でのギャンブルは規制が皆無な為、他国から見れば非合法なものまで合法となる。
よって一攫千金を夢見た者が後を絶たないのだ。
資源と利権を守るのに同盟を組むのは賛成だが、利益の平等分配は断固反対と主張。
言い分は尤もである。
一方、「北国」はその工業技術こそ世界に誇れるものの、その国土は4国で最も小さく人口も最小。
技術に妥協しない製品を製造する為大量生産は不可。 と言うか職人気質の技術者が大半を占めており大量生産をよしとしない。
そもそも国家元首からして職人気質な為、国がそれを許容しないのだ。
よって、「北国」は利益面では4国の中で最小。
4国同盟による利益の平等分配は諸手を挙げて賛成。
だが、技術の流出は避けたいのが本音である。
「東国」「西国」は天然資源を除くと目立った資源や工業技術は無いものの、大陸から最も近いと言う事が手伝い大陸側の物流拠点施設が充実。
そして、天然資源の他に4国に共通する資源がある。
それは水産資源。
「南国」は観光資源、「北国」は工業技術に重きを置き水産資源はそれほど重要視していないのだが「東国」「西国」両国は水産資源に注力している。
さらに国土も広く人口も多い。
人口が多ければ税収も多くなる。
つまり、国力は高いのだ。
マネーパワーの「南国」。
テクニカルパワーの「北国」。
マン&ナショナルパワーの「東国」と「西国」。
一見すると、パワーバランンスは均等、いや「東国」と「西国」が有利に見えるが実情はそうでは無い。
「南国」が突出している。
なぜなら、強力な軍事力を保有しているからだ。
合法、非合法(他国から見た)なギャンブルが入り乱れる「南国」の治安は良くはない。
ここで肝心なのは「悪い」ではない。
「良くはない」のである。
本来であれば他国から見た非合法が合法な国は荒れに荒れているはずである。
しかし、荒れたままでは観光客は訪れない。
そこで、「南国」は治安維持の為の組織を設立。
それも、ただの治安維持組織ではない。
マネーにものを言わせ、世界最強の治安維持組織の設立を目指したのだ。
「南国」は世界一の観光スポット。
世界中の富裕層は勿論、世界各国の要人が季節を問わず休暇中に訪れる為、治安の維持はやりすぎるぐらいでなければならない。
そこで、まずは武器弾薬を買えるだけ買おうと「南国」は試みる。
当初、武器弾薬を買えるだけ買おうとは言え、大した物量ではないだろうと鼻で笑っていた武器産出国だったが、「南国」が“手始めに”と提示してきた物量とそれに見合うマネーを楽々用意出来た事実に驚愕。
これには、世界の軍事バランスが崩れかねないと武器産出国は「南国」への武器の輸出を制限。
制限はしたもののそれは表向き。
各国は秘密裡に「南国」への武器弾薬、そして監視の意味を含めた人員を輸出派遣。
これにより、「南国」は治安維持組織どころか世界から一国の軍として認められる程の強力な軍事力を手に入れたのだ。
幸いな事に「南国」はその軍事力をあくまでも自国の治安維持、並びに自衛にしか使わないと宣言し、自国の法にもそう定めている。
スパイと宣言しているような人員を受け入れたのもそのような背景があったのだ。
話を戻そう。
「東国」「西国」「北国」の3カ国は落としどころを用意。
4国同盟の代表は「南国」から選出しても良いと言うのだ。
これは暗に「仮に4国統一が可能なのは「南国」ですよ~。てか、しちゃって下さい」と宣言しているようなもの。
しかし、それは本音ではない。
仮に3カ国が同盟を組み「南国」を支配下に置かんと蜂起しても、武力面ではとても「南国」には叶わないだろう。
それほど「南国」の軍事力は強力。
さらに、背後に武器産出国の影もある。
同盟を組む以上、代表を務める「南国」の軍事力は同盟国を守る為にも行使しなければならなくなる。
つまり、「南国」以外の3国は「南国」の軍事力を自国の治安維持と防衛に派遣分散させ、「南国」の弱体化を図ったのだ。
もちろん3国は「南国」を弱体化させるとは表明していない。
表向きは、先に述べたように「4国統一は「南国」に任せた」だ。
この提案に「南国」は了承。
当然ながら裏の事情は把握している。
そう……
3カ国は知らないのだ。
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