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第2章 これはもしかしてデートなのでは?
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一通り私達は買い物を終え、道具屋の近くの食堂へと場所を移した。
せっかく街へと繰り出したのだ。
きちんとした食事をするくらいいいだろうと思うのだ。
確かに工藤やフィリアのことは私もアリーシャもお気にはなってはいるのだが、だからといって陰鬱な気持ちで過ごすのも違うような気がしていたのかもしれない。
だからだろうか。
二人してこの時間を笑顔で過ごしていた。
私達がやってきた場所はいかにも大衆食堂といったお店。
ウェイトレスのお姉さんも元気良く、居心地はよかった。
案内されたテーブルにつき、メニューを見るとかなりの種類の食べ物が書き記されていた。
私はモークのステーキというものをライス――もちろん大盛――と一緒に頼むことにした。
モークというのは何かの動物だろう。
アリーシャが言うには脂の豊富なこの世界ではごく一般的なお肉らしい。
出てきた物は牛肉とよく似ていた。
鉄板から飛び散る脂。肉汁の匂いはそれはもう食欲をそそられた。
肉厚で、頬張ると口の中でぶしゅりと肉汁が弾け、かなりの美味であった。
思わずライスと肉をがつがつと無心で食べ続けてしまう程には。
「――いい食べっぷりだな」
声にふと顔を上げると、アリーシャは私の食べている姿を見て微笑んでいた。
彼女はというと、パンに黄色い色のスープ。
コーンスープみたいなものだろうか。
「アリーシャはそんな物で足りるのか? ここで食べておかねば先々持たないぞ?」
「大丈夫だ。朝はしっかり食べたし、そもそも普段からこういう生活には慣れている」
そう言い再び破顔する。
お姫様がそんな事を言うのもどうかと思うが、やはり根っからの騎士なのだろう。
普段から厳しく自分を律する生活が身についているのだろうと思った。
「――しかし」
「ん?」
「改めて考えると贅沢だな。異世界に来てこんなに可愛いらしい一国のお姫様と昼間からランチとは」
「……なっ!?」
不意にそんな言葉が口をついて出た。
言っておいて自分でも何を言うのかと気恥ずかしくなる。
だがアリーシャの微笑む姿を見ていると、ごく自然にそんな気持ちになってしまったのだ。
アリーシャの顔がみるみる内に朱色に染まっていく。
なんとも……可愛らしい。素直にそう思ってしまっていた。
こういう部分は十六歳の女の子だ。
流石に私も目の前の女の子がこんな照れた表情をしているのを目の当たりにすると、全くの平静というわけにはいかなくなってしまう。
別にこんな台詞を言い慣れているというわけでは決してないのだ。
「か、勘違いしないでくれよ? わ、私達がいた世界はこのくらいの事はただの日常会話でだな……別に変な意味はないからな?」
苦しい言い訳だ。
声が上擦り震えているのが自分でもはっきりと分かる。
こんなのは嘘だと言っているようなものではないか。
私は自身も顔に熱を帯びる。耳まで赤くなっているだろう。
言わなければ良かったものを、自分まで余裕をなくしてしまった。
アリーシャもアリーシャで、赤い顔のまま落ち着かなく視線を辺りに彷徨わせている。
この空気、一体どうしたものか。
「――わ、分かっています。私が女性として魅力がそこまでないことは……」
俯きそう呟くアリーシャ。というかいきなりなんで敬語!?
「そ、そんなことはないっ! アリーシャは女性としてすごく魅力的だっ。それは私が保証するっ! でなければ自然に可愛いなどという言葉が出てくるはずがないのだっ」
「う……あ、うう……」
「あ……」
気づいたら何故か必死に弁解してしまっていた。
――やってしまった。
ますます気まずい……。
いや、だが、これは本心だからな?
私としてもそこまでアリーシャが自分に自信を持っていないとは意外で。
気がつけば全力で否定してしまっていたのだ。
今さら遅い。が、後悔はしていないかもしれない。
こんなアリーシャも可愛らしいし。
「――あの……私は、その……女性として本当にそんなに可愛いらしく映っているのでしょうか?」
「え?」
だから何で敬語なのだアリーシャさん?
それに急に萎らしくそんな事を言われてしまっては私もかなりどぎまぎしてしまうではないか。
「あ、いや! ハヤト、すまないっ! 今のは無しだ! 私も君達といてどうかしてしまったらしい! わ、忘れてくれ! いいな!」
そう言い話を強引に切り捨てるアリーシャ。
そんな彼女を見て、少し名残惜しいと思ってしまうのは私のわがままだろうか。
だがこのままでは私の心臓も持ちそうにない。
ここらで潮時かと私は咳払いを一つ、話題を他に移す事にする。
「アリーシャ、話は変わるが。良かったらなのだが、ヒストリア流剣術について教えてくれないか? アリーシャの戦い方で気になる点があるのだが、この機会に聞いても構わないだろうか?」
未だ頬がほんのり赤いアリーシャに、思いきってそう告げてみる。
実は前から気になっていたのだ。
せっかくの二人きりの機会なので聞いてみようと思ったのだ。
私も剣を用いて戦う以上、ヒストリア流剣術の話を聞けば何か参考になる事があるかもしれない。
それにアリーシャの戦い方をある程度理解出来ればこれからの戦いで作戦なども立てやすくなるのではないか。
浅薄かもしれないが、そんな打算的な気持ちもあった。
「うむ――な、なるほど……。承知した。私に答えられる事なら出来る限り答えよう」
アリーシャはようやく落ち着きを取り戻し、にこりと笑顔を浮かべる。
それに私は安堵の息を吐く。
思いの外快く承諾してくれた。
本当に、余計なことを言ってしまった。その辺は深く反省だ。
それは措いておいて、せっかくの機会だ。彼女の話をしっかりと聞いておきたい。
ならばと私は椅子に座り直し、改めて彼女を見たのだった。
せっかく街へと繰り出したのだ。
きちんとした食事をするくらいいいだろうと思うのだ。
確かに工藤やフィリアのことは私もアリーシャもお気にはなってはいるのだが、だからといって陰鬱な気持ちで過ごすのも違うような気がしていたのかもしれない。
だからだろうか。
二人してこの時間を笑顔で過ごしていた。
私達がやってきた場所はいかにも大衆食堂といったお店。
ウェイトレスのお姉さんも元気良く、居心地はよかった。
案内されたテーブルにつき、メニューを見るとかなりの種類の食べ物が書き記されていた。
私はモークのステーキというものをライス――もちろん大盛――と一緒に頼むことにした。
モークというのは何かの動物だろう。
アリーシャが言うには脂の豊富なこの世界ではごく一般的なお肉らしい。
出てきた物は牛肉とよく似ていた。
鉄板から飛び散る脂。肉汁の匂いはそれはもう食欲をそそられた。
肉厚で、頬張ると口の中でぶしゅりと肉汁が弾け、かなりの美味であった。
思わずライスと肉をがつがつと無心で食べ続けてしまう程には。
「――いい食べっぷりだな」
声にふと顔を上げると、アリーシャは私の食べている姿を見て微笑んでいた。
彼女はというと、パンに黄色い色のスープ。
コーンスープみたいなものだろうか。
「アリーシャはそんな物で足りるのか? ここで食べておかねば先々持たないぞ?」
「大丈夫だ。朝はしっかり食べたし、そもそも普段からこういう生活には慣れている」
そう言い再び破顔する。
お姫様がそんな事を言うのもどうかと思うが、やはり根っからの騎士なのだろう。
普段から厳しく自分を律する生活が身についているのだろうと思った。
「――しかし」
「ん?」
「改めて考えると贅沢だな。異世界に来てこんなに可愛いらしい一国のお姫様と昼間からランチとは」
「……なっ!?」
不意にそんな言葉が口をついて出た。
言っておいて自分でも何を言うのかと気恥ずかしくなる。
だがアリーシャの微笑む姿を見ていると、ごく自然にそんな気持ちになってしまったのだ。
アリーシャの顔がみるみる内に朱色に染まっていく。
なんとも……可愛らしい。素直にそう思ってしまっていた。
こういう部分は十六歳の女の子だ。
流石に私も目の前の女の子がこんな照れた表情をしているのを目の当たりにすると、全くの平静というわけにはいかなくなってしまう。
別にこんな台詞を言い慣れているというわけでは決してないのだ。
「か、勘違いしないでくれよ? わ、私達がいた世界はこのくらいの事はただの日常会話でだな……別に変な意味はないからな?」
苦しい言い訳だ。
声が上擦り震えているのが自分でもはっきりと分かる。
こんなのは嘘だと言っているようなものではないか。
私は自身も顔に熱を帯びる。耳まで赤くなっているだろう。
言わなければ良かったものを、自分まで余裕をなくしてしまった。
アリーシャもアリーシャで、赤い顔のまま落ち着かなく視線を辺りに彷徨わせている。
この空気、一体どうしたものか。
「――わ、分かっています。私が女性として魅力がそこまでないことは……」
俯きそう呟くアリーシャ。というかいきなりなんで敬語!?
「そ、そんなことはないっ! アリーシャは女性としてすごく魅力的だっ。それは私が保証するっ! でなければ自然に可愛いなどという言葉が出てくるはずがないのだっ」
「う……あ、うう……」
「あ……」
気づいたら何故か必死に弁解してしまっていた。
――やってしまった。
ますます気まずい……。
いや、だが、これは本心だからな?
私としてもそこまでアリーシャが自分に自信を持っていないとは意外で。
気がつけば全力で否定してしまっていたのだ。
今さら遅い。が、後悔はしていないかもしれない。
こんなアリーシャも可愛らしいし。
「――あの……私は、その……女性として本当にそんなに可愛いらしく映っているのでしょうか?」
「え?」
だから何で敬語なのだアリーシャさん?
それに急に萎らしくそんな事を言われてしまっては私もかなりどぎまぎしてしまうではないか。
「あ、いや! ハヤト、すまないっ! 今のは無しだ! 私も君達といてどうかしてしまったらしい! わ、忘れてくれ! いいな!」
そう言い話を強引に切り捨てるアリーシャ。
そんな彼女を見て、少し名残惜しいと思ってしまうのは私のわがままだろうか。
だがこのままでは私の心臓も持ちそうにない。
ここらで潮時かと私は咳払いを一つ、話題を他に移す事にする。
「アリーシャ、話は変わるが。良かったらなのだが、ヒストリア流剣術について教えてくれないか? アリーシャの戦い方で気になる点があるのだが、この機会に聞いても構わないだろうか?」
未だ頬がほんのり赤いアリーシャに、思いきってそう告げてみる。
実は前から気になっていたのだ。
せっかくの二人きりの機会なので聞いてみようと思ったのだ。
私も剣を用いて戦う以上、ヒストリア流剣術の話を聞けば何か参考になる事があるかもしれない。
それにアリーシャの戦い方をある程度理解出来ればこれからの戦いで作戦なども立てやすくなるのではないか。
浅薄かもしれないが、そんな打算的な気持ちもあった。
「うむ――な、なるほど……。承知した。私に答えられる事なら出来る限り答えよう」
アリーシャはようやく落ち着きを取り戻し、にこりと笑顔を浮かべる。
それに私は安堵の息を吐く。
思いの外快く承諾してくれた。
本当に、余計なことを言ってしまった。その辺は深く反省だ。
それは措いておいて、せっかくの機会だ。彼女の話をしっかりと聞いておきたい。
ならばと私は椅子に座り直し、改めて彼女を見たのだった。
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