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第2章 ピスタ襲来、限界を越えたその先に
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「くっ……!」
私はレッサーデーモンが放つヒートブレスを避けつつも、その熱風に目を背けて後退ってしまう。
いくら自身の周りの環境を精密に把握していても、やはり多勢に無勢。更に私の動きがまだまだ粗いというのも手伝って、先ほどから少しずつ隙を晒して攻撃を受け始めていた。
それでも真後ろから忍び寄るレッサーデーモンをユニコーンナックルの一突きで消滅させる。
今ので私が倒したレッサーデーモンの数は八。
もう少しで隼人くんと合わせて半数近く魔族を減らせたことになる。
だけど問題は私のマインドが大分消耗してしまっていること。
更に厄介なのは木の四級魔族の存在だ。
木の魔族は戦いが始まると自身の体である枝葉を網目状に伸ばし、投網のように私の動きを制限しようとしてくるのだ。
私の攻撃はそもそもが弱い。
魔族相手には致命傷となる攻撃を中々与えられないでいた。
そんなだから一体倒すのにもそれなりに打撃を何発もクリーンヒットさせなければならない。
そんな中木の魔族の攻撃を避けつつ、捕まらない進路を取りながら、目の前に立ち塞がるレッサーデーモンを叩く。そんな戦い方しかさせてもらえないでいたのだ。
それによって私は徐々に行き場を失いつつあった。
更にディバイン・テリトリーを張り巡らせ続けるのもきつくなってきて。正直このままでは詰みだ。
「そろそろ弱ってきたんじゃねーか?」
「!!」
今まで黙って戦いを見ていた狼の四級魔族が、スピードに乗って一気に私の目と鼻の先まで近づいてきた。
――速い。
顔には余裕の笑みを浮かべている。それがイライラを募らせる。
両肩を掴まれた。大きな顎で首筋に牙を立てるつもりだ。ヤバい。
「くっ! このおっ!!」
私は咄嗟に左手に付与した暴風で往なそうとするけれど、強靭なその肉体はびくともしなかった。
「くううっ……」
顎で噛みつかれる瞬間、私は何とか身を捻り、空へと逃れることには成功した。
けれど完全には避わしきれず、左手に傷を負ってしまう。
痛みが全身にまで駆け抜け、左手からは真っ赤な鮮血が吹き出す。
「へへへ……新鮮な人間の血は久しぶりだぜ」
そう言って狼の魔族は下卑た笑みを浮かべながら、牙に付着した私の血を舌舐めずりで飲み込む。
「――っ!?」
怖気が立って気持ち悪くなる。
けれどそんな私の反応すらコイツは戦いに利用するのだ。
一瞬の隙が出来た私に狼の魔族は中空に漂う私目掛けてジャンプしてきた。
「このっ! 変態狼!!」
咄嗟に牽制の風の刃を放つけれど、それを強靭な肉体の力だけで消滅させられて、更に追いすがってくる。
一瞬にして彼我の距離を詰められて、拳を振りかぶってきた。
「終わりだ! 女!」
両手でクロスガードしたというのに、とてつもない膂力だ。
息が止まって意識が飛ぶかと思った。
私はゴムボールのように彼方へと吹き飛ばされた。
「――ああっ……!」
数メートル先にレンガ造りの外壁が迫る。
私はたった一撃で大きなダメージを受けたのを自覚しながらも、ぎりぎりの所で踏ん張った。
既の所で何とか暴風を割り込ませ壁への激突を防ぐ。
壁に着地しながらも膝がかくんと折れて笑っている。口の中に鉄の味が広がっていく。
ガード越しでこの威力。まともに受けたらきっと一発でアウト。
私は壁に横向きに着地した状態のまま、狼の魔族を見据えた。
獲物を捉えんとする狡猾な笑みに私の心はうち震える。
こうやって人をいたぶったり、人を傷つけることに喜びを感じてきたのかと。
私と狼の魔族との間には、さらに三体のレッサーデーモンが立ち塞がり、一斉にヒートブレスを放ってきた。
三条の灼熱の奔流が私を飲み込まんと太い炎の柱へとその形状を変え迸る。
いよいよマインドも底をつきそうで、もう何度も技を繰り出せない。
おまけにこの熱量の攻撃。
こんなものを逸らそうとすればあっという間にすっからかんになる。
私は迫り来る魔族の凄まじい攻撃を目の前に、いよいよ覚悟を決めたのだ。
私はレッサーデーモンが放つヒートブレスを避けつつも、その熱風に目を背けて後退ってしまう。
いくら自身の周りの環境を精密に把握していても、やはり多勢に無勢。更に私の動きがまだまだ粗いというのも手伝って、先ほどから少しずつ隙を晒して攻撃を受け始めていた。
それでも真後ろから忍び寄るレッサーデーモンをユニコーンナックルの一突きで消滅させる。
今ので私が倒したレッサーデーモンの数は八。
もう少しで隼人くんと合わせて半数近く魔族を減らせたことになる。
だけど問題は私のマインドが大分消耗してしまっていること。
更に厄介なのは木の四級魔族の存在だ。
木の魔族は戦いが始まると自身の体である枝葉を網目状に伸ばし、投網のように私の動きを制限しようとしてくるのだ。
私の攻撃はそもそもが弱い。
魔族相手には致命傷となる攻撃を中々与えられないでいた。
そんなだから一体倒すのにもそれなりに打撃を何発もクリーンヒットさせなければならない。
そんな中木の魔族の攻撃を避けつつ、捕まらない進路を取りながら、目の前に立ち塞がるレッサーデーモンを叩く。そんな戦い方しかさせてもらえないでいたのだ。
それによって私は徐々に行き場を失いつつあった。
更にディバイン・テリトリーを張り巡らせ続けるのもきつくなってきて。正直このままでは詰みだ。
「そろそろ弱ってきたんじゃねーか?」
「!!」
今まで黙って戦いを見ていた狼の四級魔族が、スピードに乗って一気に私の目と鼻の先まで近づいてきた。
――速い。
顔には余裕の笑みを浮かべている。それがイライラを募らせる。
両肩を掴まれた。大きな顎で首筋に牙を立てるつもりだ。ヤバい。
「くっ! このおっ!!」
私は咄嗟に左手に付与した暴風で往なそうとするけれど、強靭なその肉体はびくともしなかった。
「くううっ……」
顎で噛みつかれる瞬間、私は何とか身を捻り、空へと逃れることには成功した。
けれど完全には避わしきれず、左手に傷を負ってしまう。
痛みが全身にまで駆け抜け、左手からは真っ赤な鮮血が吹き出す。
「へへへ……新鮮な人間の血は久しぶりだぜ」
そう言って狼の魔族は下卑た笑みを浮かべながら、牙に付着した私の血を舌舐めずりで飲み込む。
「――っ!?」
怖気が立って気持ち悪くなる。
けれどそんな私の反応すらコイツは戦いに利用するのだ。
一瞬の隙が出来た私に狼の魔族は中空に漂う私目掛けてジャンプしてきた。
「このっ! 変態狼!!」
咄嗟に牽制の風の刃を放つけれど、それを強靭な肉体の力だけで消滅させられて、更に追いすがってくる。
一瞬にして彼我の距離を詰められて、拳を振りかぶってきた。
「終わりだ! 女!」
両手でクロスガードしたというのに、とてつもない膂力だ。
息が止まって意識が飛ぶかと思った。
私はゴムボールのように彼方へと吹き飛ばされた。
「――ああっ……!」
数メートル先にレンガ造りの外壁が迫る。
私はたった一撃で大きなダメージを受けたのを自覚しながらも、ぎりぎりの所で踏ん張った。
既の所で何とか暴風を割り込ませ壁への激突を防ぐ。
壁に着地しながらも膝がかくんと折れて笑っている。口の中に鉄の味が広がっていく。
ガード越しでこの威力。まともに受けたらきっと一発でアウト。
私は壁に横向きに着地した状態のまま、狼の魔族を見据えた。
獲物を捉えんとする狡猾な笑みに私の心はうち震える。
こうやって人をいたぶったり、人を傷つけることに喜びを感じてきたのかと。
私と狼の魔族との間には、さらに三体のレッサーデーモンが立ち塞がり、一斉にヒートブレスを放ってきた。
三条の灼熱の奔流が私を飲み込まんと太い炎の柱へとその形状を変え迸る。
いよいよマインドも底をつきそうで、もう何度も技を繰り出せない。
おまけにこの熱量の攻撃。
こんなものを逸らそうとすればあっという間にすっからかんになる。
私は迫り来る魔族の凄まじい攻撃を目の前に、いよいよ覚悟を決めたのだ。
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