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間章2 椎名と工藤の腕試し
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私は工藤くんの戦いを遠巻きに眺めていた。
流石に金属人間に捕まった時は冷やっとしたけれど、それでも即座に自力で拘束から脱出し、終始危なげない攻防を繰り広げているといって差し支えないだろう。
私はしばらく工藤くんの戦いっぷりに目を向けていた。
あの砂の攻撃。工藤くんにしてはかなりいい感じ、よく考えられている。
柔軟な対応が出来るし攻撃へ転じるのにも隙が無い。
正直ちょっと悔しいと思ってしまうほどだ。
自然と私は表情を固くしてしまっていた。
いかんいかん。何悔しがってんの私。
彼は仲間だ。仲間である彼が強くなってこの先こんなに喜ばしくて嬉しいことはないじゃないか。
でもちょっぴり複雑な思いが胸の中で交錯しているのも確かだ。
私って案外負けず嫌いなのよね。
それでも私だってこの一週間で風の扱いには相当自信をつけた。
感知能力の範囲はかなり上昇したし、風を操って自身を空に浮かせたり、風の刃で敵を切り裂いたり。
工藤くんの土の能力に引けを取らないくらいには万能な能力だと思っている。
けれどそれでも問題が無いわけじゃない。
風の能力の課題は大きく二つ。
まず一つは、攻撃の際の燃費が悪いこと。
私の風による攻撃方法は大きく二つある。
風の刃と暴風だ。
特に後者は範囲を広げれば広げるほど疲れる。
それにそこまで攻撃力が高い訳でもないし。敵の数が多すぎる時の足止めくらいにしかならないのだ。
なので私は風を自身に纏わせる方法でこれを解消した。
自身の周り程度の範囲だと大して疲れもしないし、防御にも応用が利く。
あと暴風を纏わせると服が破けるというのも大きな理由となり、最終的に手や足だけに使用することにした。
「エンチャント・ストーム」
力ある言葉と共に私はそれぞれの腕に逆回転同士の暴風を纏わせた。
「はあっ!」
気合いの声と共に少し距離をおいた瞬間を狙い金属人間に肉薄。
「エンチャント・ストーム!」
技の名前をもう一度呟きながら金属人間の腕を攻撃。
べ、別に工藤くんに技の名前を聞かせたかったとかそんなんじゃないんだからね。
私はエンチャント・ストームで同じ場所を両手で攻撃することによって、一点に逆回転の負荷を懸け、結果それを破壊。
思ったよりもうまくいった。
やっぱ凄い私と自画自賛。
「おわっ!?」
私は金属人間への攻撃と同時に、ついでのように一旦工藤くんを連れて空へと避難した。
ここいらで一度インターバルの時間を持とうと思ったのだ。
おそらくだけど金属人間は基本肉弾戦しかしてこない。空の上なら何もしてこれないだろうと踏んでの行動だ。
私たちは十メートル程上昇してそこに留まった。
「もうっ! 冷や冷やさせるんだからっ」
私は改めて工藤くんに叱咤(しった)を飛ばす。
すると彼は力なく微笑んでぽりぽりと後ろ頭を掻いた。
「わりぃ。思った以上にあいつタフだった」
「まああなたも想像以上に馬鹿力だったけどね」
正直捕まった手を振りほどけるとは思っていなかった。
何の問題も起きなかったとはいえあの時はかなり胆(きも)を冷やしたものだ。
「あ~……。まあそりゃ、相当筋トレしたからなっ」
「は? 筋トレって。……それだけ?」
私は工藤くんの予想以上に快活な笑顔と、筋トレという言葉にぽかんとして口を開けてしまう。
「あー、やればやるほど面白いようにムキムキんなってくんだよ。途中から嬉しくてなって暇を見つけてはやってよ~」
何楽しくてしょうがないみたいな顔してんの? キモい。とは言わないでおく。
私ははたと工藤くんの体に視線を注ぐ。
言われればだいぶ逞しくなったように感じる。
それに触れている部分が硬くてがっしりしたように感じるのも気のせいではないということか。
この一週間ほとんど筋トレに当ててたのかしらコイツ。
いや、砂の力とか開発してるくらいだから流石にそんなことは無いだろうとは思うけど。
コイツなら呆気らかんとして砂の能力は筋トレしながら思い付いて、ぶっつけ本番で試してみたんだが思いの外うまくいった、とか言いそう。いやたぶんそうだ。
「そ……それよりさ……椎名」
「ん? 何よ」
そんな私の思考など知らぬ存ぜぬで、おどおどと少し挙動不審な様子で声を上げる工藤くん。
そう言えばちょっと前から落ち着きがない気がする。
「あの……当たってんだけど」
「……は?」
唐突にそう言われ、私は今一何の事が事情がうまく掴めない。
というかそもそも近い工藤くん。ってそれは私が空に連れ出したからからなんだけど。
私はそこでハッとなる。
そう言えば彼の腕を抱き抱えるようにして空に逃げてきたので、右腕にがっしり胸が当たってしまっているのだ。
今の工藤くんの発言はつまりそういうことなんだろう。
彼の挙動に沸々と湧き起こる怒りの感情。
「このっ! 死ねっ!」
「がはっ!!?」
私は咄嗟に彼を放り投げた。というか殴りとばした? あ、もちろん空に浮かせた状態にはしてあるわよ?
「で、変態工藤くん! そろそろ何とかするわよっ!?」
私は工藤くんを睨みつけ、一メートル程の距離に浮かせて話を再開する。
「へ……変態……。そ、そうだな。とりあえず椎名。俺をもっかい下ろしてくれ。作戦があんだよ」
「は?」
そうしてキョドりつつも、珍しく工藤くんが提案を申し出てきたのだ。
流石に金属人間に捕まった時は冷やっとしたけれど、それでも即座に自力で拘束から脱出し、終始危なげない攻防を繰り広げているといって差し支えないだろう。
私はしばらく工藤くんの戦いっぷりに目を向けていた。
あの砂の攻撃。工藤くんにしてはかなりいい感じ、よく考えられている。
柔軟な対応が出来るし攻撃へ転じるのにも隙が無い。
正直ちょっと悔しいと思ってしまうほどだ。
自然と私は表情を固くしてしまっていた。
いかんいかん。何悔しがってんの私。
彼は仲間だ。仲間である彼が強くなってこの先こんなに喜ばしくて嬉しいことはないじゃないか。
でもちょっぴり複雑な思いが胸の中で交錯しているのも確かだ。
私って案外負けず嫌いなのよね。
それでも私だってこの一週間で風の扱いには相当自信をつけた。
感知能力の範囲はかなり上昇したし、風を操って自身を空に浮かせたり、風の刃で敵を切り裂いたり。
工藤くんの土の能力に引けを取らないくらいには万能な能力だと思っている。
けれどそれでも問題が無いわけじゃない。
風の能力の課題は大きく二つ。
まず一つは、攻撃の際の燃費が悪いこと。
私の風による攻撃方法は大きく二つある。
風の刃と暴風だ。
特に後者は範囲を広げれば広げるほど疲れる。
それにそこまで攻撃力が高い訳でもないし。敵の数が多すぎる時の足止めくらいにしかならないのだ。
なので私は風を自身に纏わせる方法でこれを解消した。
自身の周り程度の範囲だと大して疲れもしないし、防御にも応用が利く。
あと暴風を纏わせると服が破けるというのも大きな理由となり、最終的に手や足だけに使用することにした。
「エンチャント・ストーム」
力ある言葉と共に私はそれぞれの腕に逆回転同士の暴風を纏わせた。
「はあっ!」
気合いの声と共に少し距離をおいた瞬間を狙い金属人間に肉薄。
「エンチャント・ストーム!」
技の名前をもう一度呟きながら金属人間の腕を攻撃。
べ、別に工藤くんに技の名前を聞かせたかったとかそんなんじゃないんだからね。
私はエンチャント・ストームで同じ場所を両手で攻撃することによって、一点に逆回転の負荷を懸け、結果それを破壊。
思ったよりもうまくいった。
やっぱ凄い私と自画自賛。
「おわっ!?」
私は金属人間への攻撃と同時に、ついでのように一旦工藤くんを連れて空へと避難した。
ここいらで一度インターバルの時間を持とうと思ったのだ。
おそらくだけど金属人間は基本肉弾戦しかしてこない。空の上なら何もしてこれないだろうと踏んでの行動だ。
私たちは十メートル程上昇してそこに留まった。
「もうっ! 冷や冷やさせるんだからっ」
私は改めて工藤くんに叱咤(しった)を飛ばす。
すると彼は力なく微笑んでぽりぽりと後ろ頭を掻いた。
「わりぃ。思った以上にあいつタフだった」
「まああなたも想像以上に馬鹿力だったけどね」
正直捕まった手を振りほどけるとは思っていなかった。
何の問題も起きなかったとはいえあの時はかなり胆(きも)を冷やしたものだ。
「あ~……。まあそりゃ、相当筋トレしたからなっ」
「は? 筋トレって。……それだけ?」
私は工藤くんの予想以上に快活な笑顔と、筋トレという言葉にぽかんとして口を開けてしまう。
「あー、やればやるほど面白いようにムキムキんなってくんだよ。途中から嬉しくてなって暇を見つけてはやってよ~」
何楽しくてしょうがないみたいな顔してんの? キモい。とは言わないでおく。
私ははたと工藤くんの体に視線を注ぐ。
言われればだいぶ逞しくなったように感じる。
それに触れている部分が硬くてがっしりしたように感じるのも気のせいではないということか。
この一週間ほとんど筋トレに当ててたのかしらコイツ。
いや、砂の力とか開発してるくらいだから流石にそんなことは無いだろうとは思うけど。
コイツなら呆気らかんとして砂の能力は筋トレしながら思い付いて、ぶっつけ本番で試してみたんだが思いの外うまくいった、とか言いそう。いやたぶんそうだ。
「そ……それよりさ……椎名」
「ん? 何よ」
そんな私の思考など知らぬ存ぜぬで、おどおどと少し挙動不審な様子で声を上げる工藤くん。
そう言えばちょっと前から落ち着きがない気がする。
「あの……当たってんだけど」
「……は?」
唐突にそう言われ、私は今一何の事が事情がうまく掴めない。
というかそもそも近い工藤くん。ってそれは私が空に連れ出したからからなんだけど。
私はそこでハッとなる。
そう言えば彼の腕を抱き抱えるようにして空に逃げてきたので、右腕にがっしり胸が当たってしまっているのだ。
今の工藤くんの発言はつまりそういうことなんだろう。
彼の挙動に沸々と湧き起こる怒りの感情。
「このっ! 死ねっ!」
「がはっ!!?」
私は咄嗟に彼を放り投げた。というか殴りとばした? あ、もちろん空に浮かせた状態にはしてあるわよ?
「で、変態工藤くん! そろそろ何とかするわよっ!?」
私は工藤くんを睨みつけ、一メートル程の距離に浮かせて話を再開する。
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