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第4章 戦いを終えて
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「――要するに、だ」
「美奈の能力は生命を操る能力ってわけね?」
椎名が腕を組み、私の言葉を引き継いだ。
一夜明け、私達は朝簡単に食事を取った後、当てがわれた部屋へと集まっていた。
ここまで正直ドタバタとしていたし、美奈が回復し、四人揃ったのもようやくだったのだ。
皆で色々と今後の事も含めて話し合おうという事になった。
そんな中、お互いの能力について皆興味津々だったため、まずはその情報を共有し合っている所である。
「うん、たぶんだけど……そうなんじゃないかな。私が触れて力を注ぎ込んだ部分が急速に治っていくっていうか、そんな感じで」
美奈ははにかみながらそう答える。
彼女自身もそこには未だ不確定な部分があるようだ。
それでも結果的に傷を癒したという事実は変わらない。
回復魔法のように思っていれば問題は無いだろうと思う。
「でもさ……傷を治したのが私の生命力で治したってんならそれって簡単に言うと老けたってことじゃないの!?」
――ふむ。
美奈に真っ先に治療を受けたという椎名。
彼女の言葉を受けて改めて考えさせられる。
人の寿命には限りがあるのだ。
もし美奈が対象となる者の生命力を活性化させて治療を施す、という原理であるならば、それはある意味そう取れなくもない。
だが少し考え過ぎではないだろうか。
例えそうだとしても私達の年齢は十七、八。
そういった事をいちいち気にするような年齢でもあるまい。といった類いの事は口が裂けても言えないが。
「えっ……と……それは……どうなんだろ」
美奈は曖昧に言葉を濁す。
申し訳ないと思っているのか、本当に分からないのか、微妙なところだ。
「……ま、まあいいわ。とりあえずあんまり多用しない方がお互いのためなんじゃないかしら」
「まあいーじゃねえかっ! 皆黙ってても老けてくんだからよっ!」
「乙女に老けたとか言うんじゃないわよ! バカ工藤!」
「ぐえっ!? ……自分で言い出したんじゃん……」
椎名の肘鉄を食らう工藤を見て、私は彼の相変わらずの空気の読まなさに苦笑するのだった。
「はあ~……、まあいいわ。それより隼人くん、そろそろ説明してくれるかしら? あなたの能力について」
「あ、それなっ! 俺も間近で見てたけど、訳分かんねえと思ってたんだよ!」
「工藤くんが訳が分かってないのはいつもの事だと思うけど?」
「――うるせーっ!」
椎名は工藤を茶化しつつ、腕を胸の前で組みつつその眼差しは真剣そのものだった。
他の二人もやがて笑顔を潜め私の方を見た。
私は皆を見回し軽く頷いた。
「うむ。私の能力だが、簡単に言うと精神を操る能力なのだ」
「精神!? 何だそれ!?」
「ふむ、まあやっぱりってところかしら。隼人くんのあの感じ。魔族が隼人くんの攻撃でダメージを受けたことを考えても、そんなところかなあって思ってたけど」
椎名は得心がいったように顎に手を乗せ呟いていた。だが他の二人はそうでもない。
美奈ははてと小首を傾げて人差し指を頬に当てる。
その仕草がめちゃくちゃ可愛くて、一瞬何を話すか忘れそうになる。
「――ああそうだ。先ずは魔族についての私なりの考察についてから話そうと思うのだが、構わないか?」
「はいどうぞ」
私は順を追って説明していく事にする。
椎名以外の二人はぽかんと口を開けたままになっていたが、とにかく今は気にせず彼女に促されるまま話を続けていくことにした。
「美奈の能力は生命を操る能力ってわけね?」
椎名が腕を組み、私の言葉を引き継いだ。
一夜明け、私達は朝簡単に食事を取った後、当てがわれた部屋へと集まっていた。
ここまで正直ドタバタとしていたし、美奈が回復し、四人揃ったのもようやくだったのだ。
皆で色々と今後の事も含めて話し合おうという事になった。
そんな中、お互いの能力について皆興味津々だったため、まずはその情報を共有し合っている所である。
「うん、たぶんだけど……そうなんじゃないかな。私が触れて力を注ぎ込んだ部分が急速に治っていくっていうか、そんな感じで」
美奈ははにかみながらそう答える。
彼女自身もそこには未だ不確定な部分があるようだ。
それでも結果的に傷を癒したという事実は変わらない。
回復魔法のように思っていれば問題は無いだろうと思う。
「でもさ……傷を治したのが私の生命力で治したってんならそれって簡単に言うと老けたってことじゃないの!?」
――ふむ。
美奈に真っ先に治療を受けたという椎名。
彼女の言葉を受けて改めて考えさせられる。
人の寿命には限りがあるのだ。
もし美奈が対象となる者の生命力を活性化させて治療を施す、という原理であるならば、それはある意味そう取れなくもない。
だが少し考え過ぎではないだろうか。
例えそうだとしても私達の年齢は十七、八。
そういった事をいちいち気にするような年齢でもあるまい。といった類いの事は口が裂けても言えないが。
「えっ……と……それは……どうなんだろ」
美奈は曖昧に言葉を濁す。
申し訳ないと思っているのか、本当に分からないのか、微妙なところだ。
「……ま、まあいいわ。とりあえずあんまり多用しない方がお互いのためなんじゃないかしら」
「まあいーじゃねえかっ! 皆黙ってても老けてくんだからよっ!」
「乙女に老けたとか言うんじゃないわよ! バカ工藤!」
「ぐえっ!? ……自分で言い出したんじゃん……」
椎名の肘鉄を食らう工藤を見て、私は彼の相変わらずの空気の読まなさに苦笑するのだった。
「はあ~……、まあいいわ。それより隼人くん、そろそろ説明してくれるかしら? あなたの能力について」
「あ、それなっ! 俺も間近で見てたけど、訳分かんねえと思ってたんだよ!」
「工藤くんが訳が分かってないのはいつもの事だと思うけど?」
「――うるせーっ!」
椎名は工藤を茶化しつつ、腕を胸の前で組みつつその眼差しは真剣そのものだった。
他の二人もやがて笑顔を潜め私の方を見た。
私は皆を見回し軽く頷いた。
「うむ。私の能力だが、簡単に言うと精神を操る能力なのだ」
「精神!? 何だそれ!?」
「ふむ、まあやっぱりってところかしら。隼人くんのあの感じ。魔族が隼人くんの攻撃でダメージを受けたことを考えても、そんなところかなあって思ってたけど」
椎名は得心がいったように顎に手を乗せ呟いていた。だが他の二人はそうでもない。
美奈ははてと小首を傾げて人差し指を頬に当てる。
その仕草がめちゃくちゃ可愛くて、一瞬何を話すか忘れそうになる。
「――ああそうだ。先ずは魔族についての私なりの考察についてから話そうと思うのだが、構わないか?」
「はいどうぞ」
私は順を追って説明していく事にする。
椎名以外の二人はぽかんと口を開けたままになっていたが、とにかく今は気にせず彼女に促されるまま話を続けていくことにした。
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