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第2章 覚醒
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洞窟の中は思ったより広かった。
魔物の棲みかと言うから狭い所にわんさかいる感じも想像していたのだが、どうやらダンジョンのような造りになっているらしい。
人工の穴ではないようなので、複雑な迷路のようにはなっていないとは思うのだが。
これは少々骨が折れそうだ。
後不思議な事に洞窟内は思った以上に明るかった。
よく見ると岩の所々に苔のようなものが生えていて、それが薄明るく発光しているようなのだ。
私も視界の点については考えが及んでいなかったため、助かったと言えばそうなのだが。
もしかしたら村長のネムルさんも、その点については初めから問題が無いと分かっていたため、別段気にも止めていなかったのかもしれない。
「椎名。何か感じたらすぐに教えてくれ」
「もちろんだよ。でも何かあっても椎名ちゃんがぱぱっと片付けちゃうから安心して?」
油断は禁物だとは思うが、最早ギャグでも何でもない椎名の物言いに私は苦笑するしかなかった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
しばらく奥に進むと道が二つに分かれていた。
「どうやら最初の分岐点のようだな」
「うーん。よくわからないけど、左のような気がする」
椎名は暫し思案した後、洞窟の左側を指差してそんな事を言った。
「お前そんなこともわかんのかよ?」
「椎名、何か根拠はあるのか?」
「んー。確信はないけど、左の道の方が風が動いてる感じがするの。多分奥まで続いてるんじゃないかなって」
――なるほど。
そういう事ならばそれなりの説得力がある。
何の根拠も無しにがむしゃらに進むよりはよっぽど良い。
今は椎名の感覚を頼りにした方が良さそうだ。
「うむ。では左の道へ行ってみよう。駄目なら引き返せばいいのだからな」
やはり風の動きを感知できるというのは距離的な制限はあれどかなり便利だ。
今回の洞窟探索にしても、ここまでの道のりにしても、この力に相当助けられている。
洞窟の中の道はほぼ一本道で、入り口から一貫して回りが岩に囲まれた道が続いていた。
それにしても、思っていた以上の奥行きだ。
今となってはさっきの分岐点の反対側がどうなっていたのか少しは確かめるべきだったかもしれない。
それにマッピングなども全くしていない。
迷う程の道程では無いが私達は考え無し過ぎるのではないか。
一抹の不安が頭を過ったがここからどう改善していくか考えがある訳でも無く。
結局出来る事と言えばそろそろ目的の場所に着いてくれる事を願うばかりであった。
「しかしなんもねーな。魔物が出てくる訳でもねーし」
鉄の剣を鞘から抜いて構えた状態の工藤が、辺りを見回しながら、ため息のような声をあげた。
確かに魔物の棲みかとは聞いていたが、未だに一度たりとも魔物とは遭遇していない。
もしかしたらさっきの通路を右に行けば魔物の巣窟へ繋がる、とかそういう可能性もあったのだろうか。
「まあ、何もないに越したことはないんだからいいじゃない」
前を歩く椎名がほんのちらとこちらを振り返り答えた。
そんなほんの一瞬の気の弛みが招いた出来事だった。
ボンッ!!!
「きゃっ……!!」
突然地面の中からとてつもないスピードで何かが出現した。
その物体は椎名目掛けて突っ込んできて、なんと彼女の右肩に見事命中してしまったのだ。
魔物の棲みかと言うから狭い所にわんさかいる感じも想像していたのだが、どうやらダンジョンのような造りになっているらしい。
人工の穴ではないようなので、複雑な迷路のようにはなっていないとは思うのだが。
これは少々骨が折れそうだ。
後不思議な事に洞窟内は思った以上に明るかった。
よく見ると岩の所々に苔のようなものが生えていて、それが薄明るく発光しているようなのだ。
私も視界の点については考えが及んでいなかったため、助かったと言えばそうなのだが。
もしかしたら村長のネムルさんも、その点については初めから問題が無いと分かっていたため、別段気にも止めていなかったのかもしれない。
「椎名。何か感じたらすぐに教えてくれ」
「もちろんだよ。でも何かあっても椎名ちゃんがぱぱっと片付けちゃうから安心して?」
油断は禁物だとは思うが、最早ギャグでも何でもない椎名の物言いに私は苦笑するしかなかった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
しばらく奥に進むと道が二つに分かれていた。
「どうやら最初の分岐点のようだな」
「うーん。よくわからないけど、左のような気がする」
椎名は暫し思案した後、洞窟の左側を指差してそんな事を言った。
「お前そんなこともわかんのかよ?」
「椎名、何か根拠はあるのか?」
「んー。確信はないけど、左の道の方が風が動いてる感じがするの。多分奥まで続いてるんじゃないかなって」
――なるほど。
そういう事ならばそれなりの説得力がある。
何の根拠も無しにがむしゃらに進むよりはよっぽど良い。
今は椎名の感覚を頼りにした方が良さそうだ。
「うむ。では左の道へ行ってみよう。駄目なら引き返せばいいのだからな」
やはり風の動きを感知できるというのは距離的な制限はあれどかなり便利だ。
今回の洞窟探索にしても、ここまでの道のりにしても、この力に相当助けられている。
洞窟の中の道はほぼ一本道で、入り口から一貫して回りが岩に囲まれた道が続いていた。
それにしても、思っていた以上の奥行きだ。
今となってはさっきの分岐点の反対側がどうなっていたのか少しは確かめるべきだったかもしれない。
それにマッピングなども全くしていない。
迷う程の道程では無いが私達は考え無し過ぎるのではないか。
一抹の不安が頭を過ったがここからどう改善していくか考えがある訳でも無く。
結局出来る事と言えばそろそろ目的の場所に着いてくれる事を願うばかりであった。
「しかしなんもねーな。魔物が出てくる訳でもねーし」
鉄の剣を鞘から抜いて構えた状態の工藤が、辺りを見回しながら、ため息のような声をあげた。
確かに魔物の棲みかとは聞いていたが、未だに一度たりとも魔物とは遭遇していない。
もしかしたらさっきの通路を右に行けば魔物の巣窟へ繋がる、とかそういう可能性もあったのだろうか。
「まあ、何もないに越したことはないんだからいいじゃない」
前を歩く椎名がほんのちらとこちらを振り返り答えた。
そんなほんの一瞬の気の弛みが招いた出来事だった。
ボンッ!!!
「きゃっ……!!」
突然地面の中からとてつもないスピードで何かが出現した。
その物体は椎名目掛けて突っ込んできて、なんと彼女の右肩に見事命中してしまったのだ。
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小説家になろうにて4年以上連載中の作品です。https://ncode.syosetu.com/n2034ey/続きが気になる方はこちらでも読めますのでどうぞ。ブクマや感想などしていただけるととても嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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