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照らしたものは
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リベラシオンを出てから一回も休まずに歩いているが、一向にヒラソルは見えてこなかった。それどころか他の街や集落なんかも見当たらず、ただひたすら砂埃が舞う岩山を進んでいる。
コリエンテに向かう時もそうだったが、緑がなく黄土色が続く風景はなかなかキツイものがあった。変わり映えがしないと今何処を歩いているのかも怪しくなってくる。
いくら鉱山の国とはいえもう少し緑も水もあると思っていただけに、アゲートの洗礼を受けている気分にまでなっていた。
「おかしいわよこれ……。地図ではもっと近かったじゃない……。」
「そうね~。もうすぐ日が暮れるし、一体どうなってるのかしら~……。」
「シンティアもうハチミツよりご飯が食べたい……。」
「まぁほら、地図なんていい加減なとこもあるしな。明日にはきっと着くだろ。」
文句しか出なくなってきたみんなを宥めつつ、そろそろキャンプができそうなところがないか辺りを見渡す。しかしどれだけ遠くを見ても川や木々、それどころか寝られそうな平らな場所さえ捉えることはできなかった。
「これこのままだとオレたちまさかの徹夜で歩く感じ?」
「まぁこんなところで寝たら朝口の中じゃりじゃりしてるだろうしな。寝不足で歩いた方がまだマッ……!」
「おいフィン!」
突然崩れた地面になすすべもなく俺は数メートル下へ落下した。急な出来事に格好良く着地などできる反射神経もなく、お尻から無様にも地面に叩きつけられた。顔からではなかったのがせめてもの幸いかもしれない。
(痛ぇ……。なんなんだよくそっ……。)
どこも怪我をしていないか軽く確認しながら俺は立ち上がった。一体どこに落ちたのかと前を向くが、薄暗くていまいちどういう場所なのかよくわからない。
なんとかしてみんなのところに戻らなければ、と上を向いたそのとき、複数の影が上から降ってくるのが見えた。
「っと! ふぅ、さすがオレ。かっこよく着地しただろ?」
「暗くてよく見えなかったわ。私の方がかっこよかったでしょうけど。」
「お姉さんが一番に決まってるわよ~!」
暗くてもわかる、みんなが降りてきたということが。正直今更一人で知らない場所を歩くのは心細いし、降りてきてくれて少し嬉しい。嬉しいが俺の心配より着地の格好良さで盛り上がっているのはなんなのか。
そういえばシンティアの声が聞こえないな、ともう一度上を見てみる。すると大きな布のようなものがふわふわとしながらゆっくり近づいてきた。
「え、なにそれシンティア。」
「パラシュートだよ! 何かのネタになるかなってこっそり買っておいたやつ!」
シンティアはそう言って自慢げに見せつけながら、器用にパラシュートをたたみ出した。まさか本来の使い方をするとは、と呟いているが一体どう使うつもりだったのだろう。
「しっかし暗いわね。ライトつけましょ。」
「まーたオレが輝いちまうのか。」
「光はお姉さんを放っておいてくれないのね~。」
何を言ってるのか理解に苦しむが、この騒がしさが今は少しだけありがたく感じた。
「うわなんだよここライトつけてもなんもわかんねえ! 闇がひたすら広がってやがる! このオレが、闇堕ちするっていうのか……?」
「私たちの輝きをものともしないなんて……。やるじゃない。」
やっぱり気のせいだったようだ。ありがたく感じるどころか何言ってるんだこいつら感が強すぎる。
そんな二人を尻目に俺はライトであちこち照らしてみた。確かにどこまでも闇が広がっており、風も感じないことから出口は遠そうだ。
あちこち照らしても壁も見えないあたり、かなり広がった空間なのだろう。どの方角へ行くと出口なのかもこれでは全く検討がつかない。
足元はと地面を照らすと、特に草や水もなく乾いた岩のように見えた。特に足元が悪いなんてこともなさそうだ。
とりあえず歩いてみないことには何もわからない、と歩き出そうとしたとき、シンティアがグルンっとすごい勢いで後ろを振り返った。
「ど、どうした、シンティア。」
「音。」
「音? 音がどうかしたのか?」
耳を澄ましても特に何か変わった音は聞こえてこない。聞こえるのはみんなの足音くらいだ。
「近づいてきてる。音。かなり大きい物。」
なんのことを言っているんだ、と思っていると微かにジーッという音が聞こえてきた。慌てて音のする方へライトを向けると、遠くにぼんやりと巨大な何かが近づいてきているのが見える。
「おいおいなんだよアレ……。」
「なんかでかい蜂みたいに見えるけど……。」
「あんなでかい蜂がいてたまるか! とりあえずここじゃあ暗くて戦えないし走って逃げるぞ!」
そう一斉に走り出すも、巨大な蜂のような何かはかなりの速さでこちらに近づいてきており、走り出して数分ですぐ後ろまで追い付かれてしまった。
ただこちらに来たかっただけで敵対視されていないというパターンだと嬉しいが、カチッカチッと牙のようなものを出して威嚇しているあたり戦うしかなさそうに感じる。
「オレ弓じゃん。ライト持ちながらって無理だから誰かライト頼むわ。」
「シンティアも銃だし無理だよ!」
「お姉さんは照らすより照らされたいから~。」
「そんなこと言ってる場合か! 来るぞ!」
そう言いながら俺はライトで蜂を照らした。いや俺も双剣だからこれではろくに戦えないのだが仕方ない。
(あぁどうかみんながうまいこと連携して早く倒せますように。)
片手に双剣の片方の剣、片手にライトという謎装備になりながら俺は蜂へと走り出した。
コリエンテに向かう時もそうだったが、緑がなく黄土色が続く風景はなかなかキツイものがあった。変わり映えがしないと今何処を歩いているのかも怪しくなってくる。
いくら鉱山の国とはいえもう少し緑も水もあると思っていただけに、アゲートの洗礼を受けている気分にまでなっていた。
「おかしいわよこれ……。地図ではもっと近かったじゃない……。」
「そうね~。もうすぐ日が暮れるし、一体どうなってるのかしら~……。」
「シンティアもうハチミツよりご飯が食べたい……。」
「まぁほら、地図なんていい加減なとこもあるしな。明日にはきっと着くだろ。」
文句しか出なくなってきたみんなを宥めつつ、そろそろキャンプができそうなところがないか辺りを見渡す。しかしどれだけ遠くを見ても川や木々、それどころか寝られそうな平らな場所さえ捉えることはできなかった。
「これこのままだとオレたちまさかの徹夜で歩く感じ?」
「まぁこんなところで寝たら朝口の中じゃりじゃりしてるだろうしな。寝不足で歩いた方がまだマッ……!」
「おいフィン!」
突然崩れた地面になすすべもなく俺は数メートル下へ落下した。急な出来事に格好良く着地などできる反射神経もなく、お尻から無様にも地面に叩きつけられた。顔からではなかったのがせめてもの幸いかもしれない。
(痛ぇ……。なんなんだよくそっ……。)
どこも怪我をしていないか軽く確認しながら俺は立ち上がった。一体どこに落ちたのかと前を向くが、薄暗くていまいちどういう場所なのかよくわからない。
なんとかしてみんなのところに戻らなければ、と上を向いたそのとき、複数の影が上から降ってくるのが見えた。
「っと! ふぅ、さすがオレ。かっこよく着地しただろ?」
「暗くてよく見えなかったわ。私の方がかっこよかったでしょうけど。」
「お姉さんが一番に決まってるわよ~!」
暗くてもわかる、みんなが降りてきたということが。正直今更一人で知らない場所を歩くのは心細いし、降りてきてくれて少し嬉しい。嬉しいが俺の心配より着地の格好良さで盛り上がっているのはなんなのか。
そういえばシンティアの声が聞こえないな、ともう一度上を見てみる。すると大きな布のようなものがふわふわとしながらゆっくり近づいてきた。
「え、なにそれシンティア。」
「パラシュートだよ! 何かのネタになるかなってこっそり買っておいたやつ!」
シンティアはそう言って自慢げに見せつけながら、器用にパラシュートをたたみ出した。まさか本来の使い方をするとは、と呟いているが一体どう使うつもりだったのだろう。
「しっかし暗いわね。ライトつけましょ。」
「まーたオレが輝いちまうのか。」
「光はお姉さんを放っておいてくれないのね~。」
何を言ってるのか理解に苦しむが、この騒がしさが今は少しだけありがたく感じた。
「うわなんだよここライトつけてもなんもわかんねえ! 闇がひたすら広がってやがる! このオレが、闇堕ちするっていうのか……?」
「私たちの輝きをものともしないなんて……。やるじゃない。」
やっぱり気のせいだったようだ。ありがたく感じるどころか何言ってるんだこいつら感が強すぎる。
そんな二人を尻目に俺はライトであちこち照らしてみた。確かにどこまでも闇が広がっており、風も感じないことから出口は遠そうだ。
あちこち照らしても壁も見えないあたり、かなり広がった空間なのだろう。どの方角へ行くと出口なのかもこれでは全く検討がつかない。
足元はと地面を照らすと、特に草や水もなく乾いた岩のように見えた。特に足元が悪いなんてこともなさそうだ。
とりあえず歩いてみないことには何もわからない、と歩き出そうとしたとき、シンティアがグルンっとすごい勢いで後ろを振り返った。
「ど、どうした、シンティア。」
「音。」
「音? 音がどうかしたのか?」
耳を澄ましても特に何か変わった音は聞こえてこない。聞こえるのはみんなの足音くらいだ。
「近づいてきてる。音。かなり大きい物。」
なんのことを言っているんだ、と思っていると微かにジーッという音が聞こえてきた。慌てて音のする方へライトを向けると、遠くにぼんやりと巨大な何かが近づいてきているのが見える。
「おいおいなんだよアレ……。」
「なんかでかい蜂みたいに見えるけど……。」
「あんなでかい蜂がいてたまるか! とりあえずここじゃあ暗くて戦えないし走って逃げるぞ!」
そう一斉に走り出すも、巨大な蜂のような何かはかなりの速さでこちらに近づいてきており、走り出して数分ですぐ後ろまで追い付かれてしまった。
ただこちらに来たかっただけで敵対視されていないというパターンだと嬉しいが、カチッカチッと牙のようなものを出して威嚇しているあたり戦うしかなさそうに感じる。
「オレ弓じゃん。ライト持ちながらって無理だから誰かライト頼むわ。」
「シンティアも銃だし無理だよ!」
「お姉さんは照らすより照らされたいから~。」
「そんなこと言ってる場合か! 来るぞ!」
そう言いながら俺はライトで蜂を照らした。いや俺も双剣だからこれではろくに戦えないのだが仕方ない。
(あぁどうかみんながうまいこと連携して早く倒せますように。)
片手に双剣の片方の剣、片手にライトという謎装備になりながら俺は蜂へと走り出した。
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