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最終章 最強部長はロードレースでも最強を目指す
第88話 誤算
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木野さんと別れた後も、平地の高速巡行が苦手な選手が次々に脱落していった。
暫く走った所で、遂に先頭集団の速度が落ちた。
サイコンの走行距離を確認する……今走っている平地区間の残りは大体13kmだな。
周囲の景色を確認すると、街路樹が後方になびいている。
結構強めの向かい風が吹いているようだ。
先頭集団の速度が落ちたのは、向かい風の影響で、逃げていた選手が先頭集団に捕まったからだろう。
向かい風は収まっていないようだが、先頭集団は時速40kmを維持している。
先頭付近の選手がローテーションしながら速度を維持しているのだろう。
単独では時速35kmを維持する事も厳しだろうから、木野さんの先頭集団復帰は絶望的だと思う。
単純にタイムアタックした場合、私より木野さんの方が速いだろう。
だが、レースの場合は先頭集団に残れるかどうかで、結果がが変わる。
他の脱落した選手と第2集団を結成して、追いかけられれば戻ってこれる可能性がある。
だが、他の選手も平地が苦手な選手しかいないから厳しいだろう。
チーム内では私と木野さんの実力が劣っている。
私は平地と下りが得意で、ヒルクライムが苦手。
木野さんはヒルクライムが得意で、平地と下りが苦手。
目標の年末レースでチームプレーするなら、私達二人のレベルアップが必須だな。
そんな風に考え事をしているうちに、先頭集団内で2回目の山岳地帯に突入した。
ここは約6kmの短めの上り区間。
ここで遅れる事は出来ない。集団後方で淡々と上り続ける。
そして苦手な10%区間、ここも余裕だ。
腰を上げて一気に加速して登り切る。
かけたパワーは900W8秒、5分のインターバルで回復可能だ。
急坂を乗り切った後も、淡々と走ってスプリントパワーの回復を待つ。
だが、5分立たずに再び急坂区間が現れる。
どうするか?
この山岳区間はコースの中間地点。
まだ力を温存する必要があるだろう。
最初の山岳地帯同様にある程度頑張って、下りで追いつく作戦でいこう。
今回はスプリントパワーを使わず上り続ける。
加速で追いかけなかった分、少しづつ先頭集団から離されていく。
「おいおい、大丈夫か? 遅れ始めてるぞ」
「また、下りで追いつく作戦か? 先に行って待ってた方が良いか?」
「大丈夫ですよ北見さん。後で追いつくから、先に行っててくれ利男」
「厳しいな……集団を追わなきゃ駄目だ!」
厳しいな?
師匠の予想外の提案に驚く。
一体どうしたのだ?
最初のヒルクライム区間でも問題はなかったハズだが?
「どうして集団を追わないと駄目なんですか? 無理して集団を追いかける方が厳しいと思うのですが」
「この長さの上りで遅れるようだと勝ち目がない」
「まぁ、同感だな」
北見さんも師匠と同じ考えか。
短い距離の上りで遅れるようでは勝負にならない事は理解しているが、まだ追いつくチャンスはあると思うのだが。
「またまた下りで追いつけばいいじゃないの。速いんだろ下り。それじゃダメなのか?」
利男が質問した。
彼も私と同じで、師匠と北見さんの考えに疑問を持ったのだろう。
「上り区間が短い分、下り区間も短い。追いつくだけの時間的余裕はない」
「それに、先頭集団には、さっきの平地区間で高速巡行していたメンバーしか残っていないんだぜ。下りでもたつく事は期待しない方がいいぜ」
師匠と北見さんの説明は納得だ。
6kmの下り区間なんて直ぐに通過出来てしまう。
木野さんのような、ヒルクライムが得意だけど、下りが苦手な選手は先ほどの平地区間で先頭集団から脱落している。
先頭集団に残っている約30名は、レース前半を生き残った猛者なのだ。
得意な下りで追いつけば良いなんて甘い考えで追える相手ではない。
だが、今更頑張った所で、苦手なヒルクライムで先頭集団を追える力は無い。
「先に行って下さい。遅れたのは、私の実力不足が原因です」
「残念だが先頭集団に残れるのは、ここまでか……先行ってるぜ」
「それでも、俺は信じてるぜ。追いつけよ猛士!」
北見さんと利男が加速して、先頭集団を追いかけた。
「俺は最後まで走りをチェックするからな。師匠としてね。先頭集団から遅れたからって、無様な走りはしないでくれよ」
「宜しくお願いしますよ師匠。元々実力が足りていない事は理解している、それでも先頭集団を追うと決めて参加してますからね。諦めてはしないさ!」
「それは楽しみだ。今日は猛士さんの全力を見せてもらうのが目的で参加したのだからな」
師匠が私の後ろを走る。
私の走りをチェックしてくれるのだろう。
目指すは仲間が待つ場所。
この先の頂上には、応援に来てくれた南原さんとひまりちゃんの二人が待っている。
応援に来てくれた二人に、カッコ悪い走りは見せられない。
本当は先頭集団で走る姿を見せたかったのだがな。
暫く走った所で、遂に先頭集団の速度が落ちた。
サイコンの走行距離を確認する……今走っている平地区間の残りは大体13kmだな。
周囲の景色を確認すると、街路樹が後方になびいている。
結構強めの向かい風が吹いているようだ。
先頭集団の速度が落ちたのは、向かい風の影響で、逃げていた選手が先頭集団に捕まったからだろう。
向かい風は収まっていないようだが、先頭集団は時速40kmを維持している。
先頭付近の選手がローテーションしながら速度を維持しているのだろう。
単独では時速35kmを維持する事も厳しだろうから、木野さんの先頭集団復帰は絶望的だと思う。
単純にタイムアタックした場合、私より木野さんの方が速いだろう。
だが、レースの場合は先頭集団に残れるかどうかで、結果がが変わる。
他の脱落した選手と第2集団を結成して、追いかけられれば戻ってこれる可能性がある。
だが、他の選手も平地が苦手な選手しかいないから厳しいだろう。
チーム内では私と木野さんの実力が劣っている。
私は平地と下りが得意で、ヒルクライムが苦手。
木野さんはヒルクライムが得意で、平地と下りが苦手。
目標の年末レースでチームプレーするなら、私達二人のレベルアップが必須だな。
そんな風に考え事をしているうちに、先頭集団内で2回目の山岳地帯に突入した。
ここは約6kmの短めの上り区間。
ここで遅れる事は出来ない。集団後方で淡々と上り続ける。
そして苦手な10%区間、ここも余裕だ。
腰を上げて一気に加速して登り切る。
かけたパワーは900W8秒、5分のインターバルで回復可能だ。
急坂を乗り切った後も、淡々と走ってスプリントパワーの回復を待つ。
だが、5分立たずに再び急坂区間が現れる。
どうするか?
この山岳区間はコースの中間地点。
まだ力を温存する必要があるだろう。
最初の山岳地帯同様にある程度頑張って、下りで追いつく作戦でいこう。
今回はスプリントパワーを使わず上り続ける。
加速で追いかけなかった分、少しづつ先頭集団から離されていく。
「おいおい、大丈夫か? 遅れ始めてるぞ」
「また、下りで追いつく作戦か? 先に行って待ってた方が良いか?」
「大丈夫ですよ北見さん。後で追いつくから、先に行っててくれ利男」
「厳しいな……集団を追わなきゃ駄目だ!」
厳しいな?
師匠の予想外の提案に驚く。
一体どうしたのだ?
最初のヒルクライム区間でも問題はなかったハズだが?
「どうして集団を追わないと駄目なんですか? 無理して集団を追いかける方が厳しいと思うのですが」
「この長さの上りで遅れるようだと勝ち目がない」
「まぁ、同感だな」
北見さんも師匠と同じ考えか。
短い距離の上りで遅れるようでは勝負にならない事は理解しているが、まだ追いつくチャンスはあると思うのだが。
「またまた下りで追いつけばいいじゃないの。速いんだろ下り。それじゃダメなのか?」
利男が質問した。
彼も私と同じで、師匠と北見さんの考えに疑問を持ったのだろう。
「上り区間が短い分、下り区間も短い。追いつくだけの時間的余裕はない」
「それに、先頭集団には、さっきの平地区間で高速巡行していたメンバーしか残っていないんだぜ。下りでもたつく事は期待しない方がいいぜ」
師匠と北見さんの説明は納得だ。
6kmの下り区間なんて直ぐに通過出来てしまう。
木野さんのような、ヒルクライムが得意だけど、下りが苦手な選手は先ほどの平地区間で先頭集団から脱落している。
先頭集団に残っている約30名は、レース前半を生き残った猛者なのだ。
得意な下りで追いつけば良いなんて甘い考えで追える相手ではない。
だが、今更頑張った所で、苦手なヒルクライムで先頭集団を追える力は無い。
「先に行って下さい。遅れたのは、私の実力不足が原因です」
「残念だが先頭集団に残れるのは、ここまでか……先行ってるぜ」
「それでも、俺は信じてるぜ。追いつけよ猛士!」
北見さんと利男が加速して、先頭集団を追いかけた。
「俺は最後まで走りをチェックするからな。師匠としてね。先頭集団から遅れたからって、無様な走りはしないでくれよ」
「宜しくお願いしますよ師匠。元々実力が足りていない事は理解している、それでも先頭集団を追うと決めて参加してますからね。諦めてはしないさ!」
「それは楽しみだ。今日は猛士さんの全力を見せてもらうのが目的で参加したのだからな」
師匠が私の後ろを走る。
私の走りをチェックしてくれるのだろう。
目指すは仲間が待つ場所。
この先の頂上には、応援に来てくれた南原さんとひまりちゃんの二人が待っている。
応援に来てくれた二人に、カッコ悪い走りは見せられない。
本当は先頭集団で走る姿を見せたかったのだがな。
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