瞼の裏にいる君

二人の出会い ep０

二人の出会い side詩奈

あーあ、ほんとついてないな。今日に限って、朝から罰走なのよ。うちの高校のテニス部では負けた次の日はグランド20周しないと練習に参加させてもらえない。だから、みんな朝練に自主的に行って走るんだけど…
こんなきちきちな電車に乗らないといけないなんて…
私の名前は田崎 詩奈しな、白菊学園に通う花のＪＫ！朝からテン下げだよ。とほほ。

電車の中は、男の人ばっか、女性専用車行けばよかったな。
え、噓でしょ。私、いま触られた？こわい怖い恐い、どうしよどうしよ。
ふと目が合った、男の子。この子にかけるしか…
「助けて」口パクで伝えた。お願い気づいて…

「おい、おっさん、何してんだよ」
よかった、気づいてくれて。ふと安心して、涙が出そうになる。
ダメよ、ダメ。泣くのは本当に悲しい時とうれしい時だけ、今はその時じゃない、必死に言い聞かせていると
駅員室についていた。

助けてくれた男の子が
「学校あるんで失礼します。」と。

え、行っちゃうの？
待て待て、お礼も言えてないぞ私。
急いでかけていって

「ありがと！助けてくれて」
振り返ってくれた男の子は県内トップの高校天智高校だった。
もたもた次に言う言葉を考えてたら、後ろを向いて、手を挙げながら歩いて行っちゃた。

名前も言わずに去っていくとかカッコよすぎかよ…
ん－、何か忘れている気が…