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29.「自分で挿れてみて?」※
しおりを挟む国王の部屋を訪ねた理由はロルフに説明した。けれど、王太子への言葉の意味は誤魔化した。いわば『ロルフ救済同盟』のようなものだ。彼はきっと、なにか鍵になるものを知っているのだろう。
(初恋の人、ロルフ様の存在は私の生きる糧だった。今度は私が彼を救いたい)
そんな彼は少し子供っぽいところがある。
私より四歳も年上なのに拗ねるとあからさまに顔に出てしまうところとか。
意外と嫉妬深いところとか。
「ンッ……ぁ……ロ、ルフ様、もう……っ」
「もっと? ニーナは指が好きだな」
膣内の指が弱いところを小刻みに擦り上げられ、腰が震える。
ロルフに支えられた膝の裏はもう力が入らない。絶頂寸前で何度も止められていれば耳に息を吹きかけられるだけで大袈裟なほど反応してしまう。
「指じゃ、なくて……っ」
真っ赤になった顔をふるふると横に振るニーナをロルフは愉しげに見つめる。
分かりきっているのに「なにが?」とでも言いたげな表情で見下ろされると羞恥心でシーツの中に顔を埋めざるを得ない。
どうしてほしいのか。どこに触れて欲しいのか、この人は全部暴いているのに悶える自分を見て遊んでいるのだ。
「隠れないで可愛い顔をみせてくれ。誰に抱かれているのか分からなくなってしまうだろう」
ああ。やっぱり拗ねてる。
「ロルフ様以外の方とこんなこと……っ わかってるくせに……!」
意地悪だとしてもそんな言い方をされれば少し傷つく。仕返しに拗ねたふりをしてそっぽを向くと大きな手で優しく頬を包まれた。
「……俺だって不安になる。ニーナは女神のように優しくて可愛いからな」
綺麗な蒼い瞳で見つめられて恥ずかしげもなく真顔で囁かれてニーナの体温は一気に上昇した。そのままこの男の甘さに溶かされてしまいそうだ。
蕩かすような甘さを舌に乗せて数え切れないほどのキスが降ってくる。
この人は知れば知るほど私に甘い。……私も、この人を甘やかしたい。
「あの……そのっ、ロルフ様、引かないで……いただけますか?」
「ん?」
額にキスを落とされながらロルフが耳を傾けてくれる。ニーナは恥ずかしさを押し殺して真っ赤な顔を見られないようにロルフの耳元で囁いた。
「私もロルフ様を気持ちよくしたいです……」
言ってしまった。積極的に男性に迫るなんてはしたないと思われただろうか。でもニーナは本当にロルフにも気持ちよくなってほしいと常々思っていた。自分が彼に触れられる度、心臓が跳ね上がるほど嬉しいし、蕩けるほど気持ちがいいのだ。
愛する人にも同じ気持ちになってほしい。
意を決して言ったのに、ロルフはニーナの髪を撫でていた手を止めてしまってなにも反応がない。……引かれてしまった? と恐る恐る顔を覗くと、口元を抑えて顔を赤くするロルフがいた。多分、自分も相当真っ赤だとは思うけれど、いつも飄々としているロルフも耳まで真っ赤だ。こんな彼は初めて見た。
「まさか君からそんなことを言ってもらえるとは思ってもなくて……どうしたらいいかと……いつもの俺の妄想かと……」
いつもの妄想ってなんだろう。爽やかな顔をしていつも彼がなにを考えているのか、ちょっと、いや、だいぶ気になる。
けれど質問タイムにはいる前に、身体をひょいっと持ち上げられて、座ったロルフの膝の上におろされる。向き合って抱き合う体制になり、内腿に硬い熱がずりっと当たった。
熱い吐息と、熱と色気の滴るような視線を向けられてニーナは不安げにロルフを伺う。
この体勢。ものすごく恥ずかしい。内腿の間に擦れる熱を見ることができない。
「ロルフ様……?」
どうすればいいんだろう。いつもなら、この体勢になった時点で繋がっているしロルフが下から優しく揺らしてくれるのだ。「痛くないか?」「苦しくないか?」そう過保護なほどニーナの様子を窺いながら、蕩けていく様子を嬉しそうに見つめていて……。
「ニーナ、自分で挿れてみて」
「えっ……じ、自分で……」
「いつも俺がやっているみたいに……いやか?」
しゅんっと目を伏せるロルフにニーナは慌てて頷いた。だけど、直視するのはあまりに恥ずかしすぎるし、どうすればいいのか戸惑っているとロルフの手がニーナの腰を支え、蜜口に熱の先端を宛がった。
「んあっ!……ぁッ………」
散々焦らされていた膣内は十分過ぎるほど濡れていて、受け入れた熱に喜悦するように締め付ける。恐る恐る、ゆっくりと腰をおろしていくと、お腹の奥まで彼を受け入れているのだと実感させられて腰が震えてしまう。
「そのまま腰をおろして……そう、上手だ」
一体、どこまで受け入れることができているのだろう。それすら分からなくて、ただ腰をおろすと奥にある気持ちいいところに当たってしまいそうで怖かった。
(今、奥をとんとんってされたら……私……っ)
「ほら、あと少しだ。力を抜いて……あまり可愛い反応をされると我慢できなくなる」
目が合った途端、たまらないと言わんばかりの顔をしたロルフに胸の突起を吸われ、なんとか立てていた膝をすくわれた。膝の支えを失った身体は体重に任せて一気にロルフの熱を飲み込んでしまう。
ずくんっと刺激が襲って、波のように飲み込まれる。膝が震えて、爪先が痛いほど張った。熱くて重い快感に捕らわれて逃げられない。
「――――ッ、アッあ! ……んやっ、ロルフ様ッ……だめっ、まだ……っ」
しかもそのままロルフはニーナを抱きしめたまま抽挿を開始した。ニーナは果てたばかりで身体に力もはいらない。ようやく与えられた絶頂に身体は震えているのに、登ったところから降りて来られない。ずっと、ずっと続けて果てている感覚。
「これっ、こ、わいっ……ロルフ様っ、また私ばっかり……やあっ」
「ああ。気持ちいいな。君が折角欲しがってくれたが我慢できなかった……ナカ、とろとろで凄く気持ちいい……」
子供がなにかに夢中になるみたいに、必死に抱きしめられると胸がきゅんっと締め付けられてしまう。私も、この男にはびっくりするほど甘いらしい。
快楽が続いて、苦しいはずなのに嬉しいなんて変だ。でも、彼の熱が自分の膣内で硬さを増しているのが分かると身体反応してしまう。
言葉より素直に蠕動する蜜壺が彼に甘えて、ロルフの熱を締め付ける。
「沢山焦らしたからな……いい子だ。奥トントンしような」
「ひっ、ァ、……ぁ……!」
ロルフの熱が一段と大きくなって、ニーナの一番弱いところだけを突き上げ絶頂へと誘っていく。彼に覚えさせられた快楽を辿るように身体は何度目かの絶頂を簡単に迎えた。
ロルフもそれに続くように、甘く痺れる膣内で抽挿の速度を上げる。
「君のためなら何でもする。どうか俺を頼ってくれ。……愛してる」
囁かれた愛と深いキスを飲み込んで、同時にお腹の奥に熱を感じた。
肩で息をしながら、くたりとロルフの胸板にもたれかかると愛しそうに両腕で抱きしめられた。
人を助けてばかりのこの人を救いたい。この人との……未来がほしい。
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