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3 聖女に二言はありませんね?

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「こ、これはミカエリス様……!!!」

 スカートの中から飛び出してきた顔がそう呼んだ。彼の名前らしい。ミカエリス……なんかどこかで聞いたことがあるようなないような……イク寸前だったからもどかしいような。
 無意識に擦り合わせていた脚を大きな手が紳士的にがっちり掴んで片脚を肘にかけるように持ち上げた。

「え……あの……どちら様ですか……」
「おや。これはこれは、失礼いたしました。僕はミカエリスと申します。一応この国の王太子です」
「王太子!?」

 そういえばさっきまで私のスカートに失礼していた店員さんは床に跪いてからそくささと部屋を出て行ってしまった。
 待って待って、この人とふたりにしないでください。自己紹介よりも先にキスってどういうこと?私の世界なら捕まりますが?

 そこで私は今思い出さなくてもいいことをしっかり思い出してしまった。
 商談中に相手の地雷を踏み抜いてからその情報を知っていたことを思い出すみたいに――このひとだ。なんか神が言ってた合コン相手って。あれ??? そもそも合コンだっけ??? こんな初っぱなから破廉恥な合コンある??

「さて、続けましょう。ヒマリさんはここがお好きなようですね」

 そしてごく自然な流れで下着を横にズラし、主張していた突起をきゅっと摘み上げた。

「ひゃっ、ぁあっん!」
「なんて可愛らしい声で卑猥な喘ぎ方……素晴らしい。これはどうです? ぐりぐりされるのと、とんとんされるの、どちらがお好きですか?」

 ずっぽり突き立てられた二本の長い指がナカをぐちゅぐちゅ掻き回す。
 それから指で簡単に皮を剥かれた秘豆にキスをされて、そのまま口に含まれ下でちろちろと転がされる。

「ふぁっ……んぁあっ!」

 ミカエリスさんの熱い舌が別の生き物のように蠢いて秘豆を根元から擽るように弾いたかと思えば小刻みに吸われて声にならない声が喉の奥でヒュッと鳴った。
 ナカも外も同時に弄られて腰が崩れそうになるほど震えてしまう。
 なんで、なんで私の弱いところ知ってるの……!

「ぅっ、あぁあっ……む、むり、むりぃ! ぁっ、んん――っ!」

 腰が大きく跳ね上がって、大きな波に襲われた感覚があった。
 うそ……こんなに早くイクなんて……。

「気持ちよくなってくださったようで嬉しいです。ナカもトロトロのふわふわです」

 私の脚の間から顔を離した出会い頭クンニイケメンが紳士的な笑みを浮かべてベルトを外す音がした。
 ここまでくるといいかな……なんて思ってしまう程度には快楽に弱くてそこそこの貞操観念の自分がちょっと情けない。

「え!? や、やだぁっ! なんでっ、それっ」

 あ、うそ。ちゃんと理性とかガチガチの貞操観念があったみたいです、私。
 反り返っていた腰が逃げる。だって、ボロン、と秘所の上に飛び出してきたのは見たこともないほど大きな……え、凶器?

「おやおや。照れ隠しですか? 大丈夫ですよ、これだけ濡れていれば僕のくらい簡単に挿ります」

 にっににこの王子様スマイルを向けてくるイケメン――もとい変態。

「て、照れ隠しじゃないですよ! こ、こんなところで……っ」

 クンニは良くて挿入は駄目なのか、なんていうのはスルーしていこう。そんな細かいことを気にしている場合じゃない。

「これはこれは……全く、可愛らしい方ですね。自分から欲しいと仰ったではありませんか」
「は!?」

 いやいや、記憶にございませんが!?
 捏造しないでいただけますか!?

「ヒマリさん、貴女がご自身で『生がほしい』と仰ったんですよ」

 あっ。言いました。記憶にございました。
 両手を上に向けてやれやれ、と言わんばかりの白々しい演技をするミカエリスさんは嬉々として続ける。

「『生』生挿入の隠語です。酒と性はセットでがこの国の常識。なんて積極的な女性なのかと皆驚いたはずですよ。もちろん、聖女ともなればいくら積んででも、と思うのが当然ですが」

 ああそういえばそうでした――……いやいや知らんがな!
 初耳ですけど!?

「聖女に二言はよくありませんね」

 そこからまたキスをされて、突然の求婚から冒頭に至るわけで。

「せっ、せいじょっ?……えっ、というか妻ってなんですかこわ……っ」

 聖女。忘れてた。そうだ私そんなのだった。お得サービスじゃなさそうって気づいた瞬間記憶から抹消してた。

「んー……そうですねぇ。あっ、こんなこと言いたくはないのですが……」

 あ、これヤクザの笑い方だ。穏やかな口調と裏腹の、ドラマとかでよく見る獲物を狩る目。

「ヒマリさん、貴女ここの代金はどうするつもりだったのですか?」
「え?……あ!」

 今更だけどお金もってないじゃん! 乾杯したい気持ちでいっぱいだったのと、転生前はお財布に飲みに行くためのお金が入っていたため全く考えていなかった。
 焦る。それはミカエリスさんの「まあ、聖女様から代金を取ろうなんて考えるヤツはいませんけどね」なんて言葉は聞こえないほどに。

「では私に立て替えさせてください。ね。そうしましょう。」
「いやいや見ず知らずの人にそんなっ」

 あれだ。絶対後で大変なことになるやつ。限界社畜に売れるような臓器はないし、とんでもない利子がついて返金を求められても払える甲斐性も当然ない。いやだいやだ、終わりたくない。

「見ず知らずだなんて傷つきます……僕とヒマリさんの仲でしょう? さ、どうかミカエリスとお呼びください」
「いやいや何言って……」
「ミカエリスです」
「ミカ……エリス……さん」
「エリスだなんて。貴女がお望みならぜひそうお呼びください」

 なんか照れてすごく嬉しそうなんですど。

「聖力も何もかもがダダ漏れですね……お迎えに上がって本当に良かった。未来の花嫁をつまみ食いなどされてはたまりませんからね」

 何この人急にブツブツ言い出して怖いんですけど。

「す、すみません本当にもう……っ、この国のルールとか知らなくて……っだからそのっ」
「そうですよね。これから共に学んでいきましょう。僕の妻にはなっていただけますよね」
「いやなにいって……ぁんぅっ! ぁっ、擦ら、ないでっ! ひっ、ゃ」
 いやいや話聞いてくださいよ、と反論しようとした口は下半身を揺らされて喘ぎ声に変わってしまう。
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