8 / 51
キスはルールに含まれます(3)
しおりを挟む
全く話が噛み合わない。一見無邪気な瞳の奥が獰猛な肉食獣のようにギラついているから余計恐ろしい。
「違います! そうだ! ルールを決めませんか? 婚約者とはいえまだ未婚なわけですし……その、万が一があっては……」
魔法使いと人間の間に子供ができるのか分からないが、万が一それが原因で帰れないなんてことになるのは避けたい。
ピンっと立てた指が震えてしまう。
「ん? ああ、子供で縛るつもりはないけど……そうだなあ、添い寝くらいは許される?」
「は、はいっ」
添い寝なら――と頷くと、エルバートは他には? と言わんばかりの笑みを向けてきた。
確かに、この提案には彼の利益はなにもない。気が変わったと断られる前にとソフィーは矢継ぎ早に続けた。
「例えばキスはエルバート様のお好きなときにする……というのはどうでしょうか」
すでにファーストキスも済ませている。
一度してしまえば、二度も三度も同じだと思ったけれど、エルバートの反応は予想よりも大げさなものだった。
「さすがソフィー! 名案だね! じゃあ、ルールは①毎日の添い寝。②キスは僕がしたいときに。③ソフィーから求めるまで子作りはしない。だね」
なんだか色々追加されている気がするけど。シンデレラの姉としてこれ以上の策はないだろう。
「はい。お願いします」
決意を込めて見上げてから、エルバートの瞳に映った自分がどう見ても睨んでいるようにしか見えず、慌てて目を反らした。
気分を害してルールを改悪される可能性があるし、なによりそんなつもりはなかったという弁解は一切通用しないのも身をもって知っている。決意の色は一瞬で畏怖に塗り替えられた。
「ソフィーの綺麗な瞳が強気な熱を持つの、僕好きだよ」
妙に甘い声で囁かれ、腰を抱かれて引き寄せられる。反らした顎を掴まれて、視線が絡まった。
吸い込まれそうなほど蠱惑的な瞳に見つめられると、困惑から思考が停止して動けない。そのまま唇が重ねられて、食むように弄ばれる。
「っ……んっ」
「違います! そうだ! ルールを決めませんか? 婚約者とはいえまだ未婚なわけですし……その、万が一があっては……」
魔法使いと人間の間に子供ができるのか分からないが、万が一それが原因で帰れないなんてことになるのは避けたい。
ピンっと立てた指が震えてしまう。
「ん? ああ、子供で縛るつもりはないけど……そうだなあ、添い寝くらいは許される?」
「は、はいっ」
添い寝なら――と頷くと、エルバートは他には? と言わんばかりの笑みを向けてきた。
確かに、この提案には彼の利益はなにもない。気が変わったと断られる前にとソフィーは矢継ぎ早に続けた。
「例えばキスはエルバート様のお好きなときにする……というのはどうでしょうか」
すでにファーストキスも済ませている。
一度してしまえば、二度も三度も同じだと思ったけれど、エルバートの反応は予想よりも大げさなものだった。
「さすがソフィー! 名案だね! じゃあ、ルールは①毎日の添い寝。②キスは僕がしたいときに。③ソフィーから求めるまで子作りはしない。だね」
なんだか色々追加されている気がするけど。シンデレラの姉としてこれ以上の策はないだろう。
「はい。お願いします」
決意を込めて見上げてから、エルバートの瞳に映った自分がどう見ても睨んでいるようにしか見えず、慌てて目を反らした。
気分を害してルールを改悪される可能性があるし、なによりそんなつもりはなかったという弁解は一切通用しないのも身をもって知っている。決意の色は一瞬で畏怖に塗り替えられた。
「ソフィーの綺麗な瞳が強気な熱を持つの、僕好きだよ」
妙に甘い声で囁かれ、腰を抱かれて引き寄せられる。反らした顎を掴まれて、視線が絡まった。
吸い込まれそうなほど蠱惑的な瞳に見つめられると、困惑から思考が停止して動けない。そのまま唇が重ねられて、食むように弄ばれる。
「っ……んっ」
27
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。
そんな彼に見事に捕まる主人公。
そんなお話です。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
【完結】呪いを解いて欲しいとお願いしただけなのに、なぜか超絶美形の魔術師に溺愛されました!
藤原ライラ
恋愛
ルイーゼ=アーベントロートはとある国の末の王女。複雑な呪いにかかっており、訳あって離宮で暮らしている。
ある日、彼女は不思議な夢を見る。それは、とても美しい男が女を抱いている夢だった。その夜、夢で見た通りの男はルイーゼの目の前に現れ、自分は魔術師のハーディだと名乗る。咄嗟に呪いを解いてと頼むルイーゼだったが、魔術師はタダでは願いを叶えてはくれない。当然のようにハーディは対価を要求してくるのだった。
解呪の過程でハーディに恋心を抱くルイーゼだったが、呪いが解けてしまえばもう彼に会うことはできないかもしれないと思い悩み……。
「君は、おれに、一体何をくれる?」
呪いを解く代わりにハーディが求める対価とは?
強情な王女とちょっと性悪な魔術師のお話。
※ほぼ同じ内容で別タイトルのものをムーンライトノベルズにも掲載しています※
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる