願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉

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学園編

冬の番外編 大雪 3

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 翌日も雪が降り続いているのでギルドへ向かうと、また同じ場所の雪かき担当になった。
 昨日きれいに雪かきしたところには、また雪がたっぷり積もっている。毎日雪かきしないと、下の方が固まって余計に大変になるから、むだに思えてもするしかないらしい。オレはほとんど雪の降らない地域に住んでいたので、雪かきの大変さは知らないんだ。

「お、狐、今日はマフラーしてんのか」
『キャン』

 いつもの薄手のスカーフではなく、端っこにぽんぽんがついているもこもこの赤色のマフラーだ。昨日お庭の雪の上を走り回るオレを見たお母さんが、手編みで作ってくれた。どこにいるのか分かるように、雪にもオレの毛にも映える色だ。このマフラーを汚さないように、今日はやんちゃは出来ない。ラッセルなんてもってのほかだ。もしかして、オレを大人しくさせるために、このマフラーなのかな。
 ということで今日は、邪魔にならないところに座って、みんなを応援しよう。がんばれー。

 ウィオたちを応援したり、門の内側を除雪している門番さんを応援したりしていたら、街の中から雪をたんまり積んだそりをひく冒険者たちが出てきた。

「その雪、どうしたんだ」
「街の中に置き場がないから、門の外に捨ててこいって」
「火魔法を使える奴は何やってるんだ」
「魔力切れっすよ」

 火魔法を使える人が解かして蒸発させているけれど、雪が多すぎて追いつかないために、街の中に除雪した雪を置く場所がなくなってしまったのだ。火魔法といえば。

『副隊長さん、大丈夫かなあ』
「ヴィンセントは王城内の除雪だろう」

 副隊長さんは魔力がそこまで多くないので、魔力切れになっていないか心配だよ。この雪を解かしているのなら、回復してあげたほうがいいかも。

『オレ、ちょっと行ってくる』
「ルジェ、勝手に王城に入ったら討伐されるぞ」
『キュゥーン』

 冗談だよね? オレ、神獣だから討伐されないよね?
 でもオレの正体を知らない騎士からすればオレはただの幻獣だから、許可なく侵入したら追いかけ回されるかもしれない。雪の王城での追いかけっこはとっても楽しそうだけど、後から事態を知ったお父さんに迷惑をかけちゃいそうだから、チャレンジするのはやめておこう。
 副隊長さんが心配だなあと思っていたら、見覚えのある人が通りかかった。

『部隊長さん!』
「おや、狐くん。雪かきのお手伝いかな?」
『うん。部隊長さんは?』
「街道の除雪の指揮の手伝いで、目途が立ったから報告のために城に戻るところですよ」
『じゃあ、オレも連れていって。副隊長さんの魔力切れが心配なんだ』

 ネウラから王都に戻ってきている部隊長さんは、人手が足りないのでお手伝いに駆り出されているらしい。防寒具に身を包んでいても、相変わらず王子様っぽい。周りにいる騎士と同じ服装なのに、なぜか高貴な雰囲気をまとって見えるのだ。
 オレのお願いを聞いた部隊長さんとウィオの話し合いの結果、お城の中では部隊長さんの言うことをちゃんと聞く条件で、お城に連れていってもらえることになった。ウィオはここに残って雪かきだ。副隊長さん、待っててね。


「おかえり、な……さい?」
「このマフラーは気にしなくていい。ヴィンセント小隊長はどこにいる?」
「先ほど第一からの要請で、中央宮殿へ向かわれましたが」
「一段落したら戻るように伝えてくれ。それから、城内にいるフォロン侯爵に使いを出してほしい。奥方お気に入りの毛皮のマフラーを騎士団で預かっている、と」
「はい」

 お城の騎士団の建物に着いたけれど、副隊長さんは謁見の間がある建物の除雪に行っているらしい。そこまでオレを連れていくのは、色んな人の目に触れて騒ぎになりかねないから副隊長さんを呼び戻して、オレがお城に入っていることをお父さんにも知らせてくれた。
 周りに見られないように透明狐になって、こっそり副隊長さんのところまで行ってもいいんだけど、お城の魔法防御を破ると面倒な問題になりそうだからやめておく。

「団長、カエルラです。戻りました」
「入れ。街道はどうだった? って、その首の、なんでここに……」

 副隊長さんが戻ってくるまで時間があるから、まずは騎士団長さんに顔見せだ。たまにウィオの訓練についてくる以外ではお城に寄り付かないオレの登場に、騎士団長さんが動揺している。

「大門の前で除雪をしているウィオラスに会ったところ、ヴィンセントの魔力切れを心配して、マフラーを貸してくれました。今フォロン侯爵に使いを出しています」
「お、おお。ありがとうございます? でいいのか? いいんだよな?」

 オレは今マフラーだから、しゃべれない。挨拶もしなくて、ごめんね。
 何も言わないオレに、存在をなかったことにしたのか、騎士団長さんは気を取り直して、部隊長さんと街道の除雪状況や騎士の配置について話を始めた。
 この建物にはあまり人の気配がない。この大雪の中では魔物であっても人であっても襲撃してくるのも大変そうだから、王城の警備は最低限にして、雪かきに総動員しているんだろう。
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