願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉

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書籍化記念

2. 配役

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 劇の打ち合わせのために、仕事の後、副隊長さんをお屋敷に招いた。

『ローランド王国の建国記でどうかな?』
「また、マイナーなところに行きましたね」
『やっぱり、仲間と力を合わせて魔物を倒すっていうのが盛り上がるでしょう』
「隊長がローランド王ですか?」
『ウィオは魔物でしょう。演技できないもん』
「……隊長がそれでいいなら」

 オレが勝手に決めちゃったけど、ウィオを見るとうなずいているから、やっぱり演技はないほうがいいみたいだ。副隊長さんも納得って顔をしている。
 ローランド王とその仲間、それに獅子ししは、セリフや演技が嫌じゃない人にしないと、本人が辛いだろうから、それは募集したほうがいいと思う。みんながみんな劇をやりたいわけではないはず。仕事で強制参加なのだから、無理せずできるものがいい。

『魔物役をたくさんにしたほうがいいと思うんだ』
「魔物役ですか。どういう魔物にするんですか?」
『なんでもいいよ。今回見せたいのは魔物じゃなくて戦闘だから』
「剣舞か?」
『訓練みたいに本気でやっちゃダメ?』

 戦闘職なんだから、訓練をそのまま見せればいいと思う。騎士に憧れる子どもたちなら、間違いなく血が騒ぐ。会場は屋外だから問題ないはずだ。それならみんなに見せ場ができるし、演技も考えなくていい。

「できますが、それって劇なんでしょうか?」
『やる人が劇と言えば劇だよ。戦闘の演技ですって言えばいいでしょう』
「まあ、たしかに」
『舞台の広さは足りる?』
「なんとか大丈夫でしょう」
『じゃあ、決まり。でも、怪我をすると子どもたちのトラウマになりそうだから、それだけは気をつけてね』

 登場人物と設定が大まかに決まったので、明日の訓練の後に、小隊のみんなから希望を聞いてもらえることになった。
 明日はオレもウィオについて騎士団に行こう。たまになら問題ないはず。


 翌日。訓練後、全員会議室に集まって会議だ。

「今年の建国祭の劇だが、題材はローランド王国建国記に決めた」
「ローランド王国っていつのだ?」
「この地に最初に国をつくった王朝だ」

 歴史が苦手な人はどこにでもいるらしい。ウィオも副隊長さんも、ああローランド王国ねって感じで分かっていたから、知っていて当然なのかと思ったけど、分からなかった人には親近感がわく。歴史って同じような名前ばっかりで、覚えられないよねえ。

「それで、七人はセリフがある。裏方が二人、残りの者は、魔物として戦闘だ。セリフがある役をやりたい者はいるか?」
「はい! 恋人に見に来てもらいたいので、かっこいい役がいいです!」
「じゃあローランド王だな」
「え? 隊長は?」
「隊長は魔物だ」

 みんな、隊長だからウィオが一番いい役と思っていたようだけど、ウィオに演技ができないことは分かっていたようだ。ウィオにお願いすると、きっとセリフを棒読みしちゃって、子どもたちが白けてしまう。

「魔物は、黒い服を来て、普通に剣で対戦するだけで、セリフも演技もない」
かぶり物は?」
「なしだ。そういう準備に時間がかかるものは今回すべてなしだ」

 それを聞いて、ほとんどの人が魔物を希望した。セリフも演技もないなら練習しなくていいから楽そうだ、という理由らしいから、この劇の当番自体、やりたくないのだろう。

 騎士の仲間のたて使いと弓使いは、副隊長さんが盾と弓が得意な人を勧誘したら、受けてくれた。
 他にもいいところを見せたいという理由で、馬の世話係と魔法使いに立候補してくれた二人がいるので、後はもう二人。

「だれか、賢者とローランド王の相棒である獅子をやらないか? 獅子は頭に絵を乗せるだけだ」
「副隊長はやらないんですか?」
「ちびっこの指名で、司会に決まっている」
「じゃあ、獅子はきつねっ子がやればいいと思います。動物だし」
「絶対子どもに受けるな。賛成!」

 え、オレ? 獅子ってライオンでしょう? オレはイヌ科で、ネコ科じゃないよ。それにオレの身体の大きさじゃ、獅子じゃなくて猫になっちゃうよ。
 オレが戸惑っているうちに、獅子はオレに決まってしまった。
 騎士団の出し物だけど、問題ないのかな? オレは騎士の使役獣だからいいのかな? 帰ったら一応お父さんに確認しておこう。オレの出演許可がでなければ、獅子の絵かヌイグルミを置いておけばいいよね。きっと何とかなる。

「賢者はしゃべらない設定にして、隊長がやりましょうよ」
「そうですよ。ウィオラス小隊なんだから、目立つ役にしましょう」
「そうだな。ちびっこも出ることですし、隊長も頑張ってください」
 
 小隊長のウィオがその他大勢の魔物というのはダメなようで、こちらも本人の意思に関係なく賢者に決まった。

 裏方も含めて、全部の配役が決まったので、台本作りを進められる。建国祭は一か月後だけど、途中で遠征が入らないとも限らないから、早めに仕上げよう。
 自分の演じる劇の脚本を書くんだから、オレのかっこいい見せ場をたくさん作ろう。やるぞー。
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