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精霊の愛し子編
38. 魔法合戦
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いよいよ、ウィオと部隊長さんの試合だ。
でもオレが結界を張らないと始められないので、オレの興奮が収まるの待ちだったりする。
『見学者の前に壁を置く感じでいいかな? 上もいる?』
「観覧席の上は防いでくれ。騎士は自分で何とかするだろう」
『はい、できたよ』
「じゃあ行ってくる。興奮しすぎるなよ」
分かってるって。暴れるオレを押さえて疲れたお父さんから、二番目のお兄さんの腕の中に移動させられているのだ。次はきっと二番目のお兄さんが止めてくれるでしょう。
観覧席からウィオと部隊長さんが訓練場に降りていくのを尻尾を振って見送る。楽しみだなあ。
と思ったら、部隊長さんがオレの結界に阻まれて、訓練場に入れなかった。
「狐くん、魔法を通さない結界は人も通さないんじゃなかったかな?」
『忘れてた。ワオーン』
ミディルの森で魔物を通さない結界を作る実験に協力してくれた近衛団長さんに指摘されちゃった。
一回結界を解いて、部隊長さんが通ったところでもう一回結界を張りなおす。騎士団長さんがあきれてるけど、ちょっと興奮しちゃったから忘れただけだって。
オレがすねたのが分かったのか、お兄さんが頭をなでてくれるので、その手にすりすりしていたら、ウィオと部隊長さんの試合が始まった。最初は剣で戦うようだ。
ガキン、カキンと音を立てて剣を交えていたと思ったら、部隊長さんが剣に水をまとわせた。うねうねと波打つ水をまとった剣は生きているようだ。そんなことできるの!?
対抗して、ウィオも剣に氷をまとわせてすごく大きな剣に作り替えた。
それを見て、騎士たちからも歓声が上がる。どうやら騎士たちにも珍しいことみたいだ。
『騎士団長さん、あれできる?』
「魔力量だけでなく、あんなのをコントロールしながら戦えるのは、あの二人だけですよ」
ウィオが部隊長さんの剣を折るくらいの勢いでたたき込んだ一撃は、部隊長さんの剣にまとわりつく水が形を変えて氷を包み込んで止めた。
けれどその水が凍り始める。
「ウィオラスがカエルラの水を凍らせようとしていますね」
騎士団長さんが火の子に向けて解説してくれるけど、オレの目にはもうちょっと詳しく見えていて、部隊長さんに協力している水の精霊とウィオに協力している氷の精霊の力比べになっている。この場合、勝敗を分けるのは供給される魔力量で、その点ではオレの加護のあるウィオが圧勝だ。
力比べは分が悪いと思ったのか、部隊長さんがウィオの剣を払って一歩下がった。
次は水で作られたムチみたいなものがウィオの足元を襲って、体勢を崩したところに部隊長さんが斬りこんでいく。
ウィオも氷の矢を飛ばして抵抗しているんだけど、足元を狙いすましたムチと剣とのダブルの攻撃に、防御で手一杯みたいだ。
ウィオは物量で勝負とばかりに部隊長さんがいるあたりに雨のように氷の矢を降らせているんだけど、部隊長さんが頭上に水の膜を張って矢を防いでしまう。柔らかく矢を受け止めてからはじく水の膜はトランポリンみたいで面白くて、火の子が大喜びしている。
前に戦略で負けるって言ってたのはこういうことか。魔力の消費を抑えるために、すごく効率よく水の魔法を使っているんだ。
けれど、相手はオレの加護のおかげで今やほぼ魔力が無尽蔵なウィオだ。攻防が長く続けば、部隊長さんの魔力のほうが先に底をついてしまう。
オレはお兄さんの腕の中からするりと抜け出た。
「ルジェくん!」
『部隊長さんの援護に行ってくるね』
観覧席を駆け下りて、副隊長さんに駆けよる。
『副隊長さん、行くよ』
「ちびっこ?」
『このままじゃ部隊長さんが負けちゃうから、加勢に行くよ』
「ウィオラスはいいのですか?」
ウィオは負けないよ。神獣の加護は伊達じゃないんだ。むしろここまで戦った部隊長さんがすごい。
副隊長さんが通るところだけ結界を解いて一緒に中に入ると、二人が戦いを止めてこちらを見たので、部隊長さんの肩に乗って頬をぺろっとなめて魔力を回復させた。
「ちびっこが部隊長に加勢するってことなんで」
「ルジェ、裏切るのか?」
『これくらいのハンデがあっても負けないでしょ。頑張ってね』
走って観覧席に戻る。近くで見る臨場感もいいけど、上からのほうが全体が見えて楽しい。
そこからは、氷と水と火が飛び交う、ど派手な魔法合戦になった。
ウィオが氷の槍みたいなのを大量に降らせると、部隊長さんが水の膜でそれを全部止めて、その間に副隊長さんが火の矢をウィオに向けて放つ。水よりも火のほうがウィオの防御を突破しやすいので副隊長さんは攻撃を担っている。水と氷の精霊が、うるさい奴が来たみたいな感じで火の精霊を邪険にしているのが面白い。
副隊長さんが花火みたいに火の粉を大量に降らせて氷を溶かそうとしているけど、ウィオの氷が逆に火の粉を消していく。
部隊長さんが水の渦巻きでウィオを取り囲もうとすると、ウィオが内側から凍らせていって、最後は剣で斬ると、ぱりんと粉々に割れた。
相手を倒すっていうよりは魔法の派手さを競うみたいな戦いになってるけど、だからこそ見ごたえがあって、観覧席も騎士も大盛り上がりだ。
火の子も席から身を乗り出すようにしてみている。いずれ火の子も参戦したら、これどころじゃない魔法合戦になるね。
二対一の戦いではあるけどウィオの魔力量のごり押しには敵わなくて、ついに副隊長さんが魔力切れで膝をついた。第三部隊の騎士しかいないなら回復させてあげるんだけど、今やっちゃうとどうして魔力が回復したのか疑われちゃうからできない。
部隊長さんは魔力量が多いから、もともとどれくらいなのかを正確に把握している人はいないだろうし誤魔化せるけど、副隊長さんはそうもいかない。
最後はウィオが訓練場すべてを凍らせたうえで、部隊長さんに氷の剣を突き付けて終わった。
近衛団長さんの試合よりも大きな拍手と歓声が上がる。後半の魔法合戦がど派手だったから、みんなの興奮も最高潮だ。
ってことで、オレも行こう!
「あ、ルジェくん!」
『ウィオにおめでとうって言ってくる!』
再び観覧席を飛び降りて、結界を消して、ウィオに飛びついて、顔をべろんべろんになめる。
さすがウィオだね! カッコよかったよ! おめでとう!
『キャンキャンキャン! キャンキャン!』
「落ち着け」
『ギャン!』
無理だよ!
次は部隊長さんと副隊長さんを回復させてあげないと。
ウィオの腕から飛び降りようとしたら、お尻のあたりをがしっとつかまれたので、逆さの宙づりになってしまった。
『キャイン』
「狐くん……、大丈夫?」
逃れようと必死でもがくけど、どうにもできなくて、エア犬かきみたいになってる。
ひどいよウィオ、オレの扱いが雑すぎるでしょ。オレ、ウィオの可愛い飼い狐なのに。
「ウィオラス、さすがにそれは……」
「飼い主を裏切るとはどういうことかな? ルジェ」
『クウーン』
ごめんって。それでも圧勝したんだから、許してよ。
ウィオが火の子にいいところを見せようと張り切っていたから、見せ場を長くしただけだって。オレがウィオを裏切ったりするわけないでしょ。
----------
「近衛騎士団団長、神獣様にじっと見つめられたのだが、やはり私をお許しではないのだろうか」
「どういう風に見つめられたのですか?」
「お座りをして、つぶらな瞳で見つめながら首をかしげるような?」
「敵意はお持ちではないでしょう」(可愛いアピールでしょうね)
「神獣様はその、いつもあのようなご様子なのか?」
「いつもは思慮深く(……はないかもしれませんが)落ち着いていらっしゃいますよ。手合わせになると興奮されるようですね」
でもオレが結界を張らないと始められないので、オレの興奮が収まるの待ちだったりする。
『見学者の前に壁を置く感じでいいかな? 上もいる?』
「観覧席の上は防いでくれ。騎士は自分で何とかするだろう」
『はい、できたよ』
「じゃあ行ってくる。興奮しすぎるなよ」
分かってるって。暴れるオレを押さえて疲れたお父さんから、二番目のお兄さんの腕の中に移動させられているのだ。次はきっと二番目のお兄さんが止めてくれるでしょう。
観覧席からウィオと部隊長さんが訓練場に降りていくのを尻尾を振って見送る。楽しみだなあ。
と思ったら、部隊長さんがオレの結界に阻まれて、訓練場に入れなかった。
「狐くん、魔法を通さない結界は人も通さないんじゃなかったかな?」
『忘れてた。ワオーン』
ミディルの森で魔物を通さない結界を作る実験に協力してくれた近衛団長さんに指摘されちゃった。
一回結界を解いて、部隊長さんが通ったところでもう一回結界を張りなおす。騎士団長さんがあきれてるけど、ちょっと興奮しちゃったから忘れただけだって。
オレがすねたのが分かったのか、お兄さんが頭をなでてくれるので、その手にすりすりしていたら、ウィオと部隊長さんの試合が始まった。最初は剣で戦うようだ。
ガキン、カキンと音を立てて剣を交えていたと思ったら、部隊長さんが剣に水をまとわせた。うねうねと波打つ水をまとった剣は生きているようだ。そんなことできるの!?
対抗して、ウィオも剣に氷をまとわせてすごく大きな剣に作り替えた。
それを見て、騎士たちからも歓声が上がる。どうやら騎士たちにも珍しいことみたいだ。
『騎士団長さん、あれできる?』
「魔力量だけでなく、あんなのをコントロールしながら戦えるのは、あの二人だけですよ」
ウィオが部隊長さんの剣を折るくらいの勢いでたたき込んだ一撃は、部隊長さんの剣にまとわりつく水が形を変えて氷を包み込んで止めた。
けれどその水が凍り始める。
「ウィオラスがカエルラの水を凍らせようとしていますね」
騎士団長さんが火の子に向けて解説してくれるけど、オレの目にはもうちょっと詳しく見えていて、部隊長さんに協力している水の精霊とウィオに協力している氷の精霊の力比べになっている。この場合、勝敗を分けるのは供給される魔力量で、その点ではオレの加護のあるウィオが圧勝だ。
力比べは分が悪いと思ったのか、部隊長さんがウィオの剣を払って一歩下がった。
次は水で作られたムチみたいなものがウィオの足元を襲って、体勢を崩したところに部隊長さんが斬りこんでいく。
ウィオも氷の矢を飛ばして抵抗しているんだけど、足元を狙いすましたムチと剣とのダブルの攻撃に、防御で手一杯みたいだ。
ウィオは物量で勝負とばかりに部隊長さんがいるあたりに雨のように氷の矢を降らせているんだけど、部隊長さんが頭上に水の膜を張って矢を防いでしまう。柔らかく矢を受け止めてからはじく水の膜はトランポリンみたいで面白くて、火の子が大喜びしている。
前に戦略で負けるって言ってたのはこういうことか。魔力の消費を抑えるために、すごく効率よく水の魔法を使っているんだ。
けれど、相手はオレの加護のおかげで今やほぼ魔力が無尽蔵なウィオだ。攻防が長く続けば、部隊長さんの魔力のほうが先に底をついてしまう。
オレはお兄さんの腕の中からするりと抜け出た。
「ルジェくん!」
『部隊長さんの援護に行ってくるね』
観覧席を駆け下りて、副隊長さんに駆けよる。
『副隊長さん、行くよ』
「ちびっこ?」
『このままじゃ部隊長さんが負けちゃうから、加勢に行くよ』
「ウィオラスはいいのですか?」
ウィオは負けないよ。神獣の加護は伊達じゃないんだ。むしろここまで戦った部隊長さんがすごい。
副隊長さんが通るところだけ結界を解いて一緒に中に入ると、二人が戦いを止めてこちらを見たので、部隊長さんの肩に乗って頬をぺろっとなめて魔力を回復させた。
「ちびっこが部隊長に加勢するってことなんで」
「ルジェ、裏切るのか?」
『これくらいのハンデがあっても負けないでしょ。頑張ってね』
走って観覧席に戻る。近くで見る臨場感もいいけど、上からのほうが全体が見えて楽しい。
そこからは、氷と水と火が飛び交う、ど派手な魔法合戦になった。
ウィオが氷の槍みたいなのを大量に降らせると、部隊長さんが水の膜でそれを全部止めて、その間に副隊長さんが火の矢をウィオに向けて放つ。水よりも火のほうがウィオの防御を突破しやすいので副隊長さんは攻撃を担っている。水と氷の精霊が、うるさい奴が来たみたいな感じで火の精霊を邪険にしているのが面白い。
副隊長さんが花火みたいに火の粉を大量に降らせて氷を溶かそうとしているけど、ウィオの氷が逆に火の粉を消していく。
部隊長さんが水の渦巻きでウィオを取り囲もうとすると、ウィオが内側から凍らせていって、最後は剣で斬ると、ぱりんと粉々に割れた。
相手を倒すっていうよりは魔法の派手さを競うみたいな戦いになってるけど、だからこそ見ごたえがあって、観覧席も騎士も大盛り上がりだ。
火の子も席から身を乗り出すようにしてみている。いずれ火の子も参戦したら、これどころじゃない魔法合戦になるね。
二対一の戦いではあるけどウィオの魔力量のごり押しには敵わなくて、ついに副隊長さんが魔力切れで膝をついた。第三部隊の騎士しかいないなら回復させてあげるんだけど、今やっちゃうとどうして魔力が回復したのか疑われちゃうからできない。
部隊長さんは魔力量が多いから、もともとどれくらいなのかを正確に把握している人はいないだろうし誤魔化せるけど、副隊長さんはそうもいかない。
最後はウィオが訓練場すべてを凍らせたうえで、部隊長さんに氷の剣を突き付けて終わった。
近衛団長さんの試合よりも大きな拍手と歓声が上がる。後半の魔法合戦がど派手だったから、みんなの興奮も最高潮だ。
ってことで、オレも行こう!
「あ、ルジェくん!」
『ウィオにおめでとうって言ってくる!』
再び観覧席を飛び降りて、結界を消して、ウィオに飛びついて、顔をべろんべろんになめる。
さすがウィオだね! カッコよかったよ! おめでとう!
『キャンキャンキャン! キャンキャン!』
「落ち着け」
『ギャン!』
無理だよ!
次は部隊長さんと副隊長さんを回復させてあげないと。
ウィオの腕から飛び降りようとしたら、お尻のあたりをがしっとつかまれたので、逆さの宙づりになってしまった。
『キャイン』
「狐くん……、大丈夫?」
逃れようと必死でもがくけど、どうにもできなくて、エア犬かきみたいになってる。
ひどいよウィオ、オレの扱いが雑すぎるでしょ。オレ、ウィオの可愛い飼い狐なのに。
「ウィオラス、さすがにそれは……」
「飼い主を裏切るとはどういうことかな? ルジェ」
『クウーン』
ごめんって。それでも圧勝したんだから、許してよ。
ウィオが火の子にいいところを見せようと張り切っていたから、見せ場を長くしただけだって。オレがウィオを裏切ったりするわけないでしょ。
----------
「近衛騎士団団長、神獣様にじっと見つめられたのだが、やはり私をお許しではないのだろうか」
「どういう風に見つめられたのですか?」
「お座りをして、つぶらな瞳で見つめながら首をかしげるような?」
「敵意はお持ちではないでしょう」(可愛いアピールでしょうね)
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