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7章 クインス再訪編
8. 乗馬服
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クインスに帰ってきて最初の浄化の日。
今日の理沙は、乗馬服だ。オリンピックで見るあのカッコいい服だ。
理沙は動きやすいから乗馬服がお気に入りだ。ドレスは油断すると裾が足に巻き付くのよね。
「リサ様、お似合いですね」
「ありがとう。動きやすくてこの服好き」
理沙の乗馬服姿を始めてみたローズが褒めている。服装だけ見れば、馬で障害物も飛び越えられそうに見えるのよね。実際はリリーちゃんたちに一緒に乗せてもらうんだけど。
そういうローズも乗馬服だ。ローズは護身術もできると言っていたし、馬にも乗れるし、実はすごくハイスペックなんじゃないかな。
馬に乗るときの理沙の服は最初、動きやすさという点で騎士服にする予定だった。女性騎士の服のサイズを合わせるだけで、すぐに着ることができる。
でも騎士服だとどこに理沙がいるかが一目で分からないので警護しにくいという意見がでて、乗馬服に変わった。
カーラちゃんたちと並べば理沙だということは一目瞭然ではあるけれど、非常事態の混乱の中では見分けられない可能性があるというのだ。
そんな事態は起きてほしくないけど、何事も想定外に備えておくことは大切だ。
馬車で進めるところまでは馬車で行くので、私もそこまではついて行く。その先は、馬での移動で、私は邪魔になるだけなので街に引き返す。
でもこれは今日だけだ。今日何もなければ、明日からは街で見送ると、理沙と決めた。
「レイ君、理沙のことお願いね」
「命に代えましても」
「ローズ、貴女も気を付けてね」
「ありがとうございます」
カーラちゃんたちいつもの護衛騎士の面々もいるし、ジェン君たちが先回りして魔物がいないか確認してくれているらしいけど、心配なものは心配だ。
みんな無事に帰ってきてほしい。
理沙が馬に乗って、森のほうへと進んで行くのを、しばらく見送っていたけど、そろそろ見えなくなるころに、街へ帰りましょうと声をかけられた。ここだって魔物が来ないとは言い切れない。
「フィル君、貴方もあっちに行きたかったでしょう。ごめんね」
「私の仕事はマサコ殿の護衛ですよ。貴女に何かあれば、聖女様が悲しまれます」
イケメン騎士にニコッと笑って言われると、ときめきそうになるわ。イケメンってずるい。
「フィル君、冒険者ギルドに行きたいんだけど、無理かな?あ、もちろん今日じゃなくていいので、隊長さんに聞いておいてもらえる?」
「分かりました」
「理沙の警護に影響が出るようならいいの」
「依頼を受けられるのですか?」
「違うわ。もし知り合いがいたらと思ったの。ほら、トルゴードでも会ったから、ここにも誰かいるかもと思って」
理沙も行くとなると警護が大変だろうけど、私だけなら街のおばちゃんとして溶け込める自信があるわ。
トルゴードでばったりみどりくんに会ったことだし、ここのギルドにも知り合いがいるかもしれない。無謀な冒険者体験を助けてくれた彼らに、もし会えたらお礼が言いたい。
その日は何かをしようにも心配でソワソワしてしまって、結局ロニアと話をして時間を潰していた。
聖女様がお帰りになります、という連絡が来て、玄関まで出迎えに出る。昨日から泊まっているのは、この街の代官のお屋敷だ。
「お母さん、ただいま」
「お帰り。大丈夫だった?」
「うん」
クインスに戻ってきて初めての浄化だ。
浄化自体もだけど、移動とか、周りの人とか、理沙自身の気持ちとか、いろいろと心配だったけど、疲れているようではあってもとりあえずは何もなく帰って来ることができてよかった。
部屋に戻って、ロニアにお茶を入れてもらってゆっくりと話そう。
ローズもだけど、ロニアもお茶を入れるのがとても上手だ。侍女のたしなみらしいのだけど、カップを温めて、適温で十分に蒸らして、とその準備を進めるときの所作もきれいだ。
ロニアには、マサコ様はいろいろ端折りすぎるのがいけないんです、と言われてしまった。お茶が淹れ方でそんなに味が変わると思ってなかったというのもあるけど、それ以上に手間をかける気になれなかったというのが正しい。ほら、一人だと飲めたらそれで十分だし。
ゆったりとしたドレスに着替えた理沙は、ソファにすこしだらんと座っている。
「疲れたのね」
「馬に乗るのってやっぱり疲れる。明日はお休みって言われちゃった」
「そう。でも無理して倒れると、ほら、またベッドに軟禁されるわよ」
「あれは嫌だから、明日はちゃんと休む」
いろいろと制約がある中ではどうしても馬での移動距離が長くなるようで、様子を見ながら休息日を設けますとは言われていたけれど、初っ端から休みになってしまって理沙は少し納得がいかないようだ。もうちょっとできると自分では思っていたらしい。
「今までの倍は馬で走られたのですから、最後までよく頑張られましたよ」
「でもローズも平気そうだったし」
「自分で乗るのとはまた少し違いますから」
カーラちゃんが励ましてくれるけど、そういうものなのかしらね。
まあ私だったらきっと今頃ベッドまで運んでもらわないとならないような状況だったのは確かだわ。
「リサ様、マッサージをいたしましょうか。ほぐしておけば明日の辛さが違いますよ」
「理沙、やってもらいなさい。でも今日はローズも疲れているでしょうし、ロニア、お願いしてもいいかしら」
「私もそれくらいお仕事いたしませんとね。その後でローズさんにもしますよ」
何を言ってるの。今日は私の気を紛らわすための話し相手って言う重要な仕事をしてくれたわよ。
それにロニアにはいつも私の腰のマッサージをしてもらっているけどとっても上手。馬車の移動に耐えられているのは、体操とロニアのお陰だ。
この世界に腰にやさしい乗り物が登場するのはいつになるのかしらね。
今日の理沙は、乗馬服だ。オリンピックで見るあのカッコいい服だ。
理沙は動きやすいから乗馬服がお気に入りだ。ドレスは油断すると裾が足に巻き付くのよね。
「リサ様、お似合いですね」
「ありがとう。動きやすくてこの服好き」
理沙の乗馬服姿を始めてみたローズが褒めている。服装だけ見れば、馬で障害物も飛び越えられそうに見えるのよね。実際はリリーちゃんたちに一緒に乗せてもらうんだけど。
そういうローズも乗馬服だ。ローズは護身術もできると言っていたし、馬にも乗れるし、実はすごくハイスペックなんじゃないかな。
馬に乗るときの理沙の服は最初、動きやすさという点で騎士服にする予定だった。女性騎士の服のサイズを合わせるだけで、すぐに着ることができる。
でも騎士服だとどこに理沙がいるかが一目で分からないので警護しにくいという意見がでて、乗馬服に変わった。
カーラちゃんたちと並べば理沙だということは一目瞭然ではあるけれど、非常事態の混乱の中では見分けられない可能性があるというのだ。
そんな事態は起きてほしくないけど、何事も想定外に備えておくことは大切だ。
馬車で進めるところまでは馬車で行くので、私もそこまではついて行く。その先は、馬での移動で、私は邪魔になるだけなので街に引き返す。
でもこれは今日だけだ。今日何もなければ、明日からは街で見送ると、理沙と決めた。
「レイ君、理沙のことお願いね」
「命に代えましても」
「ローズ、貴女も気を付けてね」
「ありがとうございます」
カーラちゃんたちいつもの護衛騎士の面々もいるし、ジェン君たちが先回りして魔物がいないか確認してくれているらしいけど、心配なものは心配だ。
みんな無事に帰ってきてほしい。
理沙が馬に乗って、森のほうへと進んで行くのを、しばらく見送っていたけど、そろそろ見えなくなるころに、街へ帰りましょうと声をかけられた。ここだって魔物が来ないとは言い切れない。
「フィル君、貴方もあっちに行きたかったでしょう。ごめんね」
「私の仕事はマサコ殿の護衛ですよ。貴女に何かあれば、聖女様が悲しまれます」
イケメン騎士にニコッと笑って言われると、ときめきそうになるわ。イケメンってずるい。
「フィル君、冒険者ギルドに行きたいんだけど、無理かな?あ、もちろん今日じゃなくていいので、隊長さんに聞いておいてもらえる?」
「分かりました」
「理沙の警護に影響が出るようならいいの」
「依頼を受けられるのですか?」
「違うわ。もし知り合いがいたらと思ったの。ほら、トルゴードでも会ったから、ここにも誰かいるかもと思って」
理沙も行くとなると警護が大変だろうけど、私だけなら街のおばちゃんとして溶け込める自信があるわ。
トルゴードでばったりみどりくんに会ったことだし、ここのギルドにも知り合いがいるかもしれない。無謀な冒険者体験を助けてくれた彼らに、もし会えたらお礼が言いたい。
その日は何かをしようにも心配でソワソワしてしまって、結局ロニアと話をして時間を潰していた。
聖女様がお帰りになります、という連絡が来て、玄関まで出迎えに出る。昨日から泊まっているのは、この街の代官のお屋敷だ。
「お母さん、ただいま」
「お帰り。大丈夫だった?」
「うん」
クインスに戻ってきて初めての浄化だ。
浄化自体もだけど、移動とか、周りの人とか、理沙自身の気持ちとか、いろいろと心配だったけど、疲れているようではあってもとりあえずは何もなく帰って来ることができてよかった。
部屋に戻って、ロニアにお茶を入れてもらってゆっくりと話そう。
ローズもだけど、ロニアもお茶を入れるのがとても上手だ。侍女のたしなみらしいのだけど、カップを温めて、適温で十分に蒸らして、とその準備を進めるときの所作もきれいだ。
ロニアには、マサコ様はいろいろ端折りすぎるのがいけないんです、と言われてしまった。お茶が淹れ方でそんなに味が変わると思ってなかったというのもあるけど、それ以上に手間をかける気になれなかったというのが正しい。ほら、一人だと飲めたらそれで十分だし。
ゆったりとしたドレスに着替えた理沙は、ソファにすこしだらんと座っている。
「疲れたのね」
「馬に乗るのってやっぱり疲れる。明日はお休みって言われちゃった」
「そう。でも無理して倒れると、ほら、またベッドに軟禁されるわよ」
「あれは嫌だから、明日はちゃんと休む」
いろいろと制約がある中ではどうしても馬での移動距離が長くなるようで、様子を見ながら休息日を設けますとは言われていたけれど、初っ端から休みになってしまって理沙は少し納得がいかないようだ。もうちょっとできると自分では思っていたらしい。
「今までの倍は馬で走られたのですから、最後までよく頑張られましたよ」
「でもローズも平気そうだったし」
「自分で乗るのとはまた少し違いますから」
カーラちゃんが励ましてくれるけど、そういうものなのかしらね。
まあ私だったらきっと今頃ベッドまで運んでもらわないとならないような状況だったのは確かだわ。
「リサ様、マッサージをいたしましょうか。ほぐしておけば明日の辛さが違いますよ」
「理沙、やってもらいなさい。でも今日はローズも疲れているでしょうし、ロニア、お願いしてもいいかしら」
「私もそれくらいお仕事いたしませんとね。その後でローズさんにもしますよ」
何を言ってるの。今日は私の気を紛らわすための話し相手って言う重要な仕事をしてくれたわよ。
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