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3.5章 平民騎士の困惑の日々
6. 学び直し
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アクティの沼での護衛が終わって、俺は休暇も返上で敬語の特訓だ。
懐かしい騎士養成学校で敬語の授業を受けている。今の上司である聖女護衛隊隊長の「お前は童顔だから行けるだろう」の一言で学校に逆戻りだ。あまりにもひどいので最初からやり直してこいってことらしい。
だって、貴族と関わったら不興を買ってクビが飛ぶって聞いたから、とにかく避けてきたんだ。養成学校の同じクラスに貴族の坊ちゃんはいたけど、挨拶以外は話さなかったし。
第二騎士団に入れば、うっかり出世してお偉いさんと話すようなことがなければ敬語いらないって聞いてたのに、なんでこうなっちゃったんだよ。
参加する最初の授業では、敬語が使えないから学校に戻された現役の騎士と紹介されてしまった。
初日は現役の学生から距離を置かれていたのに、翌日からは仕事の話を聞きたい奴らが話しかけてくるようになって、ついでに俺の敬語にダメ出しをしてくれる。6年も先輩なのに、同年代に思われていそうだ。いいんだけどさ。
敬語の授業の先生には俺のおかげでみんなが授業を真面目に受けるようになったと感謝されているが、まったくもって嬉しくない。
でも学生たちには、授業は全部真面目に聞いとけ、と言いたい。
だって、ちゃんと聞こうが適当に終わらせようが授業料は一緒なんだ。もったいないだろうと、6年前の俺に言ってやりたい。
それに出来なくて困ることはあっても、出来て困ることは多分ない。今回こうやってタダで学び直せたのは、まあよかったのだろう。
「シーダ、今日の授業はどうだった?」
「今日は、要求の伝え方を教わりました。とても、勉強になります」
「だいぶ話せるようになったじゃないか。それが考えなくても口からスラスラ出るようになるまで頑張れよ」
考えながら話すから、つっかえつっかえになってしまうんだ。
護衛騎士の訓練所に戻って訓練の間も、俺だけ丁寧に話すようにと命令されている。護衛騎士はほとんどが貴族なので、俺がおかしな言葉遣いをしていると直してくれる。
最初はなんで平民がここに?って顔で見ていた奴らも、悪戦苦闘しているのが面白いらしくて、話しかけて来てはおかしいところを訂正するようになった。貴族ってすごいのな。こういうのを子どものころからやってるんだから、だから平民はって言われても仕方がない気がする。
今からは剣の訓練だ。襲撃者から護衛対象を守るといった第二ではやらない訓練だけど、身体を動かすのは楽しいから頑張ろう。
「10日後、聖女様のお披露目パーティーが開かれる。我々はパーティーでも聖女様の警護を引き続き担当するが、第二からの騎士は第二に戻って訓練だ」
あちこちの国から来る王族の前に俺たちを出すのはリスクが高いってことだろう。よかったー。
「シーダ、嬉しそうだな。特別に王族の皆様のお言葉遣いが聞ける場所に配置してやろうか?」
「隊長、ツツシンデ、断ります」
「それを言うなら、謹んでお断り申し上げます、だ」
くっ、難しい。意味が通じればいいじゃないの。
さらに第二に戻ってる間も敬語はちゃんと練習しろよと言われてしまった。しばらく解放されると思ったのに。
第二騎士団に戻り、午前中は学校、午後は騎士団での訓練というスケジュールで過ごしていたある日、団長から呼び出された。今度は何よ。
「お呼びと伺い、参りました」
「ずいぶん上達したな。近衛の隊長から頑張っていると報告を受けている。その調子で続けるように。それで、お前が瘴気を感じると言っていた件だが、第二の全員で聞いてみたところ、このリンドールが瘴気が見えるそうだ」
おお、見えるって俺よりすごくない?しかもリンドールって名前が長いから貴族じゃないかな?これは、お役御免の予感がするぞ。
「第三小隊のリンドールです。私はなんとなく霞んで見えます」
「第六小隊のシーダです。私は空気がまとわりつく気がします」
「お前たちには特別任務を与える。ウィマの森の瘴気の濃さの地図を作ってほしい。それぞれ数人の隊員とともに森を歩いて地図を作成するが、提出するまでお互いに見せ合うことは禁止する」
森の地図を渡されたが、地図の上からマス目が書かれていて、その区画の瘴気の濃さを5段階で記入していくのが任務だった。
ちなみにこの地図は、団長の奥さんの提案で作るらしい。よく分らんが優秀な人の考えることだから、きっと意味があるんだろう。
「あの、護衛は……」
「次の浄化の出発までにはまだ時間があるので、気にしなくていい」
え?ってことは、俺また浄化の旅の護衛に戻らなきゃいけないってこと?
「シーダ、お前に同行する隊員には貴族を当てるよう隊長に行っておく。リンドールも貴族だから、言葉遣いを直してもらうといい」
「……よろしくお願いいたします」
「心のうちを表情に出さない訓練も必要そうだな」
それくらい自由にさせてよ。
地図を作りに行った先で怪我をしたら、護衛に戻らなくていいなんてことにならないかな。怖くてわざと怪我する度胸なんてないんだけど。
はあ、宮仕えは楽じゃない。
次に家に帰ったときは妹に、ちょっと考え直したほうがいいんじゃないか、と伝えてみよう。
懐かしい騎士養成学校で敬語の授業を受けている。今の上司である聖女護衛隊隊長の「お前は童顔だから行けるだろう」の一言で学校に逆戻りだ。あまりにもひどいので最初からやり直してこいってことらしい。
だって、貴族と関わったら不興を買ってクビが飛ぶって聞いたから、とにかく避けてきたんだ。養成学校の同じクラスに貴族の坊ちゃんはいたけど、挨拶以外は話さなかったし。
第二騎士団に入れば、うっかり出世してお偉いさんと話すようなことがなければ敬語いらないって聞いてたのに、なんでこうなっちゃったんだよ。
参加する最初の授業では、敬語が使えないから学校に戻された現役の騎士と紹介されてしまった。
初日は現役の学生から距離を置かれていたのに、翌日からは仕事の話を聞きたい奴らが話しかけてくるようになって、ついでに俺の敬語にダメ出しをしてくれる。6年も先輩なのに、同年代に思われていそうだ。いいんだけどさ。
敬語の授業の先生には俺のおかげでみんなが授業を真面目に受けるようになったと感謝されているが、まったくもって嬉しくない。
でも学生たちには、授業は全部真面目に聞いとけ、と言いたい。
だって、ちゃんと聞こうが適当に終わらせようが授業料は一緒なんだ。もったいないだろうと、6年前の俺に言ってやりたい。
それに出来なくて困ることはあっても、出来て困ることは多分ない。今回こうやってタダで学び直せたのは、まあよかったのだろう。
「シーダ、今日の授業はどうだった?」
「今日は、要求の伝え方を教わりました。とても、勉強になります」
「だいぶ話せるようになったじゃないか。それが考えなくても口からスラスラ出るようになるまで頑張れよ」
考えながら話すから、つっかえつっかえになってしまうんだ。
護衛騎士の訓練所に戻って訓練の間も、俺だけ丁寧に話すようにと命令されている。護衛騎士はほとんどが貴族なので、俺がおかしな言葉遣いをしていると直してくれる。
最初はなんで平民がここに?って顔で見ていた奴らも、悪戦苦闘しているのが面白いらしくて、話しかけて来てはおかしいところを訂正するようになった。貴族ってすごいのな。こういうのを子どものころからやってるんだから、だから平民はって言われても仕方がない気がする。
今からは剣の訓練だ。襲撃者から護衛対象を守るといった第二ではやらない訓練だけど、身体を動かすのは楽しいから頑張ろう。
「10日後、聖女様のお披露目パーティーが開かれる。我々はパーティーでも聖女様の警護を引き続き担当するが、第二からの騎士は第二に戻って訓練だ」
あちこちの国から来る王族の前に俺たちを出すのはリスクが高いってことだろう。よかったー。
「シーダ、嬉しそうだな。特別に王族の皆様のお言葉遣いが聞ける場所に配置してやろうか?」
「隊長、ツツシンデ、断ります」
「それを言うなら、謹んでお断り申し上げます、だ」
くっ、難しい。意味が通じればいいじゃないの。
さらに第二に戻ってる間も敬語はちゃんと練習しろよと言われてしまった。しばらく解放されると思ったのに。
第二騎士団に戻り、午前中は学校、午後は騎士団での訓練というスケジュールで過ごしていたある日、団長から呼び出された。今度は何よ。
「お呼びと伺い、参りました」
「ずいぶん上達したな。近衛の隊長から頑張っていると報告を受けている。その調子で続けるように。それで、お前が瘴気を感じると言っていた件だが、第二の全員で聞いてみたところ、このリンドールが瘴気が見えるそうだ」
おお、見えるって俺よりすごくない?しかもリンドールって名前が長いから貴族じゃないかな?これは、お役御免の予感がするぞ。
「第三小隊のリンドールです。私はなんとなく霞んで見えます」
「第六小隊のシーダです。私は空気がまとわりつく気がします」
「お前たちには特別任務を与える。ウィマの森の瘴気の濃さの地図を作ってほしい。それぞれ数人の隊員とともに森を歩いて地図を作成するが、提出するまでお互いに見せ合うことは禁止する」
森の地図を渡されたが、地図の上からマス目が書かれていて、その区画の瘴気の濃さを5段階で記入していくのが任務だった。
ちなみにこの地図は、団長の奥さんの提案で作るらしい。よく分らんが優秀な人の考えることだから、きっと意味があるんだろう。
「あの、護衛は……」
「次の浄化の出発までにはまだ時間があるので、気にしなくていい」
え?ってことは、俺また浄化の旅の護衛に戻らなきゃいけないってこと?
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