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仮面騎士の甘くない新婚生活
1. 新婚生活の前に
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結婚はしないでこのまま騎士として一生を終えるんだろうなと思っていたが、縁あって結婚することになった。
お相手は隣国ローズモス王国を挟んで向こうの国、ボターニ王国の公爵令嬢ナスターシャだ。
とても優秀だが少し変わり者と事前に聞いていたが、実際に会ってみると、なんというか変わり者のレベルが違った。令嬢らしくないとか、男性のようだとかではなく、想像力が豊かすぎて理解がちょっと追い付かない。頭が良すぎるのだろうか。天才はなんとかと紙一重と言うし。
私はトルゴード王国のウィロウ公爵家次男ジェンシャン。騎士団に所属している。
私の父であるウィロウ公爵はトルゴード王国の宰相、兄が父の後を継ぐので、私は身体を動かすのが好きだったこともあって騎士団に入った。
そして魔物の討伐中に顔に傷を負った。傷跡は残ったが生活に支障はなく、仕事にも復帰した。だが、その傷ゆえに婚約者も決まらず、このまま独身で過ごすんだろうと騎士団で気ままに過ごしていた。
ナスターシャ嬢が私の婚約者になったのは、彼女の父であるボターニ王国のグローリ公爵が、私の婚約者にどうかと言って下さったからだった。
ナスターシャ嬢の姉であるレリチア様は、隣国ローズモス王国国王の側妃となられた。その際にナスターシャ嬢も女官としてローズモスの王宮に入る話もあったが、とても優秀だという彼女の能力を活かすためにはトルゴードのほうが向いているだろう、というグローリ公爵の親心だった。
トルゴードは、実力があれば女性でも平民でも官吏になれる。
それは、かつて瘴気が蔓延し、魔物が大量発生した際の政策を始まりとする。人手が足りなくなり、それまで貴族の男性のみで占められていた職に積極的に女性と平民も迎え入れた。そうしなければ国が回らないほどだったと伝わっている。
だがその時、平民は文字を書ける者のほうが少ないような状況だったので、その平民の職業訓練のために作られたのが養成学校だ。
現在、近隣諸国で女性が官吏になれる国は他になく、平民にも平等にチャンスが与えられているのも珍しい。そのため、他の国からわざわざこの国に越してくる人もいて優秀な人材が集まるため、この制度は今に続いている。
現在養成学校は、官吏、薬師の他に、医師と騎士と4校になり、貴族も通う高等教育の場に変わった。
兄と弟、弟の妻は官吏養成学校、私は騎士養成学校の出身だ。
養成学校は16歳から20歳が入学できるが、通常16歳で試験を受けて入学する。かなりの難関なので、16歳で合格できない者は翌年受けてもなかなか合格できないので、16歳で入学するものが多い。
官吏養成学校は、国の官吏になるためには必ず卒業しなければならない。ほとんどが官吏になるがならなくてもいい。領主となる貴族の嫡男や、領の役人になるものも通う。
薬師養成学校は、ここを卒業しなくても薬師にはなれるが、卒業すると薬師として一人前と認められ、多くは研究所の研究員になる。だがとにかく狭き門で、まず合格できない。
ナスターシャ嬢は、母の勧めでこの国に来てすぐに官吏養成学校と薬師養成学校を受験し、両方ともに合格した。
官吏と薬師の養成学校に、同時に合格するなど前代未聞だったので、ナスターシャ嬢は一躍有名になった。
養成学校は1年以上試験対策を行ってやっと合格できるところだ。しかも試験内容はその分野の知識なので、求められるものは全く異なる。
官吏と騎士の同時合格は今までにも何例かあったが、それは騎士の試験内容が官吏を簡単にしたものだからだ。騎士は戦闘能力も見られるので、官吏養成学校に合格できるもので剣が得意だと騎士養成学校にも合格できる。
けれど、官吏と薬師では分野が違いすぎる。
ナスターシャによると、官吏は女官となるべく身に着けた知識、薬師は趣味だそうだ。
それを聞いて私が思ったのは、ナスターシャはやっぱり変人だな、だった。
兄上と弟は、ナスターシャに官吏養成学校に行って、ゆくゆくは領の運営を助けて欲しいと言っていた。けれど母の「ジェンシャンと結婚してくれた人にこれ以上望むことなどないので、好きなことをなさい」という言葉に引き下がった。その言葉に地味に傷ついたのは内緒だ。
ボターニでは女性は薬師になれないのに、それでも薬師養成学校に入学できるくらいに知識も技術も身に着けたくらいだから、薬師養成学校に行くのだろうと皆思っていた。
けれど予想に反して、ナスターシャは官吏養成学校を選んだ。理由を聞くと、調べたいことがあるからと言うことだった。
母が自分のやりたいことをやっていいのだと何度も伝えたが、官吏養成学校に行くという意志は変わらなかった。
お相手は隣国ローズモス王国を挟んで向こうの国、ボターニ王国の公爵令嬢ナスターシャだ。
とても優秀だが少し変わり者と事前に聞いていたが、実際に会ってみると、なんというか変わり者のレベルが違った。令嬢らしくないとか、男性のようだとかではなく、想像力が豊かすぎて理解がちょっと追い付かない。頭が良すぎるのだろうか。天才はなんとかと紙一重と言うし。
私はトルゴード王国のウィロウ公爵家次男ジェンシャン。騎士団に所属している。
私の父であるウィロウ公爵はトルゴード王国の宰相、兄が父の後を継ぐので、私は身体を動かすのが好きだったこともあって騎士団に入った。
そして魔物の討伐中に顔に傷を負った。傷跡は残ったが生活に支障はなく、仕事にも復帰した。だが、その傷ゆえに婚約者も決まらず、このまま独身で過ごすんだろうと騎士団で気ままに過ごしていた。
ナスターシャ嬢が私の婚約者になったのは、彼女の父であるボターニ王国のグローリ公爵が、私の婚約者にどうかと言って下さったからだった。
ナスターシャ嬢の姉であるレリチア様は、隣国ローズモス王国国王の側妃となられた。その際にナスターシャ嬢も女官としてローズモスの王宮に入る話もあったが、とても優秀だという彼女の能力を活かすためにはトルゴードのほうが向いているだろう、というグローリ公爵の親心だった。
トルゴードは、実力があれば女性でも平民でも官吏になれる。
それは、かつて瘴気が蔓延し、魔物が大量発生した際の政策を始まりとする。人手が足りなくなり、それまで貴族の男性のみで占められていた職に積極的に女性と平民も迎え入れた。そうしなければ国が回らないほどだったと伝わっている。
だがその時、平民は文字を書ける者のほうが少ないような状況だったので、その平民の職業訓練のために作られたのが養成学校だ。
現在、近隣諸国で女性が官吏になれる国は他になく、平民にも平等にチャンスが与えられているのも珍しい。そのため、他の国からわざわざこの国に越してくる人もいて優秀な人材が集まるため、この制度は今に続いている。
現在養成学校は、官吏、薬師の他に、医師と騎士と4校になり、貴族も通う高等教育の場に変わった。
兄と弟、弟の妻は官吏養成学校、私は騎士養成学校の出身だ。
養成学校は16歳から20歳が入学できるが、通常16歳で試験を受けて入学する。かなりの難関なので、16歳で合格できない者は翌年受けてもなかなか合格できないので、16歳で入学するものが多い。
官吏養成学校は、国の官吏になるためには必ず卒業しなければならない。ほとんどが官吏になるがならなくてもいい。領主となる貴族の嫡男や、領の役人になるものも通う。
薬師養成学校は、ここを卒業しなくても薬師にはなれるが、卒業すると薬師として一人前と認められ、多くは研究所の研究員になる。だがとにかく狭き門で、まず合格できない。
ナスターシャ嬢は、母の勧めでこの国に来てすぐに官吏養成学校と薬師養成学校を受験し、両方ともに合格した。
官吏と薬師の養成学校に、同時に合格するなど前代未聞だったので、ナスターシャ嬢は一躍有名になった。
養成学校は1年以上試験対策を行ってやっと合格できるところだ。しかも試験内容はその分野の知識なので、求められるものは全く異なる。
官吏と騎士の同時合格は今までにも何例かあったが、それは騎士の試験内容が官吏を簡単にしたものだからだ。騎士は戦闘能力も見られるので、官吏養成学校に合格できるもので剣が得意だと騎士養成学校にも合格できる。
けれど、官吏と薬師では分野が違いすぎる。
ナスターシャによると、官吏は女官となるべく身に着けた知識、薬師は趣味だそうだ。
それを聞いて私が思ったのは、ナスターシャはやっぱり変人だな、だった。
兄上と弟は、ナスターシャに官吏養成学校に行って、ゆくゆくは領の運営を助けて欲しいと言っていた。けれど母の「ジェンシャンと結婚してくれた人にこれ以上望むことなどないので、好きなことをなさい」という言葉に引き下がった。その言葉に地味に傷ついたのは内緒だ。
ボターニでは女性は薬師になれないのに、それでも薬師養成学校に入学できるくらいに知識も技術も身に着けたくらいだから、薬師養成学校に行くのだろうと皆思っていた。
けれど予想に反して、ナスターシャは官吏養成学校を選んだ。理由を聞くと、調べたいことがあるからと言うことだった。
母が自分のやりたいことをやっていいのだと何度も伝えたが、官吏養成学校に行くという意志は変わらなかった。
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