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1年目 マトゥオーソ編
5. 初めてのグループ討伐
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森の中を歩いていたら、向こうから歩いてきたグループに声をかけられた。
「なあ、この先ちょっと面倒な魔物がいるんだが、協力してくれないか? オレたちはその魔物の皮を狙ってるんだ。代わりに他の魔物の素材は全部やるから」
「ルジェ、どうする」
『オレは構わないよ』
今まで他の冒険者と協力して討伐するってやったことなかった。でも複数人で協力して討伐するのは騎士団で慣れてるから大丈夫だよね。
それにこの辺りまで来てるってことはこのグループもそれなりに強いはずだから、何かあっても足手まといにはならないだろう。
一緒に森の奥へと歩いているんだけど、この人たちここの森で長く活動しているらしくって、魔物のいろんな情報を持っている。どの魔物の買取価格がいいとか、どの魔物が倒すのにかかる労力と買取価格を比べた時にコストパフォーマンスがよいかとか。
そういえば、そういうの全然調べていない。ウィオはお金に困ってないから、稼ぐために依頼を受けるという感覚がないんだ。坊ちゃんめ。
いろんな情報をもらいながら歩いていたら、先頭を進む人が止まった。
その先にけっこう大きめの魔物がいるので、それが目的の魔物かなと思ってたんだけど、そうみたいだ。
木の陰から見ると、サイのような見た目の大きな魔物がいる。確かに皮膚が硬そうだから、防具に使われるのかもしれない。
「いた。あいつだ。最初に一発大きい魔法をお見舞いしてくれるか? あいつは硬くて下手すると剣が欠ける」
「分かった。ルジェ、近くには人はいるか?」
『いないよ』
それを聞いて、ウィオは大きな氷の槍を数本作って、魔物のいるあたりに撃ち込んだ。
よし、行くぞ、とグループの冒険者が突っ込んでいくけど、もうすでにウィオの氷の槍で瀕死だ。時間もかからず苦労せずにすぐにとどめを刺した。
「ありがとよ。あんたのお陰で簡単に倒せたよ」
「でもリーダー、皮に傷が多い」
「そうだが、銀のが手伝ってくれなかったら倒せなかったんだから、文句言うな」
ウィオが槍で串刺しにしたために皮に傷がついたのが気に入らないらしい。
そんなの氷属性のウィオに頼むんだから、傷をつけたくないなら最初に言っておいてよね。
グループの人たちは魔物から素材をはぎ取るので、ここで分かれる。
当初の約束通り、ここに来るまでに倒した魔物の素材を全部くれた。一緒に行動するようになってから道中に出るのは尾羽がとても綺麗な鳥の魔物ばっかりだったので、扇がつくれそうなくらい羽根が集まった。
「手伝ってくれて助かった。気を付けて帰れよ」
「そっちもな」
別れ際に掛けられた声に返事をして、オレたちはもう少し森の奥に進むことにした。
ウィオがこの綺麗な羽根をもうちょっと集めたいんだって。じゃあ鳥の居場所を探してあげるよ。
森の中で鳥を追いかけまわしてたくさん羽根を集めたので、そろそろ街に戻ろう。
オレたちは森の中で寝泊まりしていた。
簡易宿泊所はただ屋根と井戸があるだけのところだ。屋根の下は混雑しているので、周りにテントを張っている人もいる。
オレの結界とウィオの水魔法があれば、簡易宿泊所に泊まる必要はないし、むしろ森の中のほうが人がいなくて快適だ。
でもそろそろお風呂に入りたいし温かいご飯が恋しい。
乗合馬車で街に戻り、まずはお風呂だ。
前にギルドで勧められた宿に行くとお風呂のついている部屋が空いていたので、三泊することにした。
お風呂はついてるけど、お湯の準備は別料金だ。
水はウィオが出せるけど温められないので、それはお金を払って魔法陣を借りる。そこに魔力を注ぐんだけど、それもお金を払ってお願いすることもできる。
冒険者も泊まれるランクの宿だとお風呂に入りたい人ばっかりじゃないので、良い仕組みだ。
ちなみにウィオは火魔法がほとんど使えない。氷の精霊に愛されているウィオは、火の精霊から嫌われている。火魔法を使おうとしても火の精霊が手を貸してくれないからすべて自前でやるしかない。それはとても効率が悪いので、火魔法がほとんど使えないとなるのだ。
お母さんが持たせてくれた石鹸で、ウィオがオレの身体を洗ってくれるけど、泡が灰色だ。森の中を走り回ってだいぶ汚れていたみたい。
ウィオのオレを洗う手つきはまだぎこちない。お屋敷にいるときは執事さんが洗ってくれていたんだけど、この旅に出るに当たってウィオが執事さんから習って洗えるようになった。でもまだ新米パパの手つきだ。
「かゆいところはないか」
『ないよ。ありがとう』
「流すから目を瞑れ」
目を閉じて耳を伏せると、頭の上からばしゃーっとお湯がかけられた。執事さんにちょっとずつかけましょうって注意されたのに、忘れちゃったのかな。まあ泡が洗い流せればなんでもいいんだけど。
それから何度かお湯をかけられて、大体流せたみたいだ。
プルプルしたいから離れてて。
ちなみにオレの毛は抜けない。この体は普通の狐のように見えて、実際は魔力の塊だ。毛が抜けたとしても、魔力を固定していられなくなった時点で消えてなくなる。
だから、いつも冬毛のもふもふなのだ。
「なあ、この先ちょっと面倒な魔物がいるんだが、協力してくれないか? オレたちはその魔物の皮を狙ってるんだ。代わりに他の魔物の素材は全部やるから」
「ルジェ、どうする」
『オレは構わないよ』
今まで他の冒険者と協力して討伐するってやったことなかった。でも複数人で協力して討伐するのは騎士団で慣れてるから大丈夫だよね。
それにこの辺りまで来てるってことはこのグループもそれなりに強いはずだから、何かあっても足手まといにはならないだろう。
一緒に森の奥へと歩いているんだけど、この人たちここの森で長く活動しているらしくって、魔物のいろんな情報を持っている。どの魔物の買取価格がいいとか、どの魔物が倒すのにかかる労力と買取価格を比べた時にコストパフォーマンスがよいかとか。
そういえば、そういうの全然調べていない。ウィオはお金に困ってないから、稼ぐために依頼を受けるという感覚がないんだ。坊ちゃんめ。
いろんな情報をもらいながら歩いていたら、先頭を進む人が止まった。
その先にけっこう大きめの魔物がいるので、それが目的の魔物かなと思ってたんだけど、そうみたいだ。
木の陰から見ると、サイのような見た目の大きな魔物がいる。確かに皮膚が硬そうだから、防具に使われるのかもしれない。
「いた。あいつだ。最初に一発大きい魔法をお見舞いしてくれるか? あいつは硬くて下手すると剣が欠ける」
「分かった。ルジェ、近くには人はいるか?」
『いないよ』
それを聞いて、ウィオは大きな氷の槍を数本作って、魔物のいるあたりに撃ち込んだ。
よし、行くぞ、とグループの冒険者が突っ込んでいくけど、もうすでにウィオの氷の槍で瀕死だ。時間もかからず苦労せずにすぐにとどめを刺した。
「ありがとよ。あんたのお陰で簡単に倒せたよ」
「でもリーダー、皮に傷が多い」
「そうだが、銀のが手伝ってくれなかったら倒せなかったんだから、文句言うな」
ウィオが槍で串刺しにしたために皮に傷がついたのが気に入らないらしい。
そんなの氷属性のウィオに頼むんだから、傷をつけたくないなら最初に言っておいてよね。
グループの人たちは魔物から素材をはぎ取るので、ここで分かれる。
当初の約束通り、ここに来るまでに倒した魔物の素材を全部くれた。一緒に行動するようになってから道中に出るのは尾羽がとても綺麗な鳥の魔物ばっかりだったので、扇がつくれそうなくらい羽根が集まった。
「手伝ってくれて助かった。気を付けて帰れよ」
「そっちもな」
別れ際に掛けられた声に返事をして、オレたちはもう少し森の奥に進むことにした。
ウィオがこの綺麗な羽根をもうちょっと集めたいんだって。じゃあ鳥の居場所を探してあげるよ。
森の中で鳥を追いかけまわしてたくさん羽根を集めたので、そろそろ街に戻ろう。
オレたちは森の中で寝泊まりしていた。
簡易宿泊所はただ屋根と井戸があるだけのところだ。屋根の下は混雑しているので、周りにテントを張っている人もいる。
オレの結界とウィオの水魔法があれば、簡易宿泊所に泊まる必要はないし、むしろ森の中のほうが人がいなくて快適だ。
でもそろそろお風呂に入りたいし温かいご飯が恋しい。
乗合馬車で街に戻り、まずはお風呂だ。
前にギルドで勧められた宿に行くとお風呂のついている部屋が空いていたので、三泊することにした。
お風呂はついてるけど、お湯の準備は別料金だ。
水はウィオが出せるけど温められないので、それはお金を払って魔法陣を借りる。そこに魔力を注ぐんだけど、それもお金を払ってお願いすることもできる。
冒険者も泊まれるランクの宿だとお風呂に入りたい人ばっかりじゃないので、良い仕組みだ。
ちなみにウィオは火魔法がほとんど使えない。氷の精霊に愛されているウィオは、火の精霊から嫌われている。火魔法を使おうとしても火の精霊が手を貸してくれないからすべて自前でやるしかない。それはとても効率が悪いので、火魔法がほとんど使えないとなるのだ。
お母さんが持たせてくれた石鹸で、ウィオがオレの身体を洗ってくれるけど、泡が灰色だ。森の中を走り回ってだいぶ汚れていたみたい。
ウィオのオレを洗う手つきはまだぎこちない。お屋敷にいるときは執事さんが洗ってくれていたんだけど、この旅に出るに当たってウィオが執事さんから習って洗えるようになった。でもまだ新米パパの手つきだ。
「かゆいところはないか」
『ないよ。ありがとう』
「流すから目を瞑れ」
目を閉じて耳を伏せると、頭の上からばしゃーっとお湯がかけられた。執事さんにちょっとずつかけましょうって注意されたのに、忘れちゃったのかな。まあ泡が洗い流せればなんでもいいんだけど。
それから何度かお湯をかけられて、大体流せたみたいだ。
プルプルしたいから離れてて。
ちなみにオレの毛は抜けない。この体は普通の狐のように見えて、実際は魔力の塊だ。毛が抜けたとしても、魔力を固定していられなくなった時点で消えてなくなる。
だから、いつも冬毛のもふもふなのだ。
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