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1年目 マトゥオーソ編
4. カリモロの街
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カリモロの街についたら、ギルドへ直行だ。ギルドには馬車を止めるスペースもあるので、そこに馬車を置いて、受付で宿を紹介してもらう。
ウィオはお金持ちだからどんな宿でも泊まれるんだけど、冒険者お断りの宿もあるし、使役獣も一緒に泊まれる宿は少ない。
オルデキアでは氷の騎士様の使役獣はお利口って広く知られていたから困らなかったけど、これからはそうもいかない。
「上級ランクで使役獣と泊まる食事が美味しくてお風呂がある宿となると、そうですね、ヒルダの宿でしょうか」
「馬車は預けられるか?」
「馬車止めはありませんので、商業ギルドに預けてください」
「分かった。それから、よさそうな依頼を選んでほしいんだが」
冒険者になってから、ウィオが自分で依頼を選んだことは数えるくらいしかなく、ギルドのおススメ依頼を受けていた。
最初は実力とは不釣り合いの初心者ランクだったので、あまり人気のない初心者ランクの依頼をギルドから紹介してもらっていた。ランクアップ試験を受けて、中堅ランクになってすぐ上級ランクと認められてからは、どんな依頼でも受けられるからこそ選ぶのが面倒で、急ぎの依頼などギルドが受けてほしいものを選んでもらっていた。
「依頼を受けず、カリスタの森で倒した魔物の素材を持ち込まれるのがいいと思います。ほとんどの素材を買い取りますので」
「分かった。そうする」
ここのギルドは依頼よりも素材の買取がメインになっているらしい。
この街からカリスタの森の入り口までは乗合馬車が出ていて、その終点に簡易宿泊所とギルドの出張所もある。
多くの冒険者は、森の中で野営するか簡易宿泊所に泊まるかして魔物の素材を集め、たまにこの街に戻ってきてちゃんとした宿に泊まって疲れを取るそうだ。
必要なことは全部聞いたので、馬車を預けて、宿に向かおう。
馬車にはウィオのお父さんやお母さんが持たせてくれた、オレのための日持ちする食べ物とか、オレのスカーフとか、オレを洗うために石鹸とかがたくさん載っている。
預けると盗まれる可能性もあるから自己責任なんだけど、馬車の入り口を開けられないようにオレが結界を張っておけば、金庫よりも安全だよ。オレの結界を壊せるのは、同じく神に連なるものだけだからね。
ギルドに紹介された宿に行くと、残念ながらお風呂のある部屋が空いていなかった。いい素材が手に入った冒険者が自分へのご褒美に泊まってるんだって。
オレたちはすぐカリスタ森に行っちゃうから、帰ってきたときに空いていることを祈ろう。
「使役獣と一緒の人には部屋での食事をお願いしています」
「食事は人と同じものを薄味で頼みたい」
「今日の夕食は間に合いませんので、明日の朝だけでよければ」
もう味付けちゃったってことだろうから、仕方ないね。
ちなみになんで部屋での食事かというと、以前に使役獣が他の人もご飯を食べているところで骨付き生肉をゴリゴリ言わせながら食べて苦情が殺到したことがあったから、それ以来食堂に使役獣は入れないルールになったんだそうだ。それはオレでもご遠慮したいから、その契約主が悪いね。
オレの寝床は、ウィオのベッドの隅っこだ。
ベッドが二つあるときは、片方をオレが使うこともあるんだけど、今日は一つしかない部屋なので、ウィオの枕の横がオレの寝場所。
オレは睡眠も実は必要ないんだけど、なんでか夜になると眠くなっちゃうんだよ。人の記憶に引きずられているのかもしれない。
でも必要になればずっと起きていられるから、監視はお任せあれ。
翌朝は、あいにくの曇り空だ。
宿の朝食は、いわゆるコンチネンタルブレックファストって言われるパンとハムとサラダとミルクみたいなメニューだった。シリアルはなかったけど。
ハムは塩気が強すぎるだろうってことで、オレには味付けしていないお肉を焼いてくれた。うまうま。
凝った料理じゃないけどお野菜は新鮮だし、昨日のウィオのご飯も美味しそうな匂いがしてたし、ここのご飯は今後も期待できる。
『この宿、当たりだったね』
「ああ。風呂のある部屋が空いてなかったのが残念だ」
『カリスタの森から帰ってくるのが楽しみ』
日頃の行いがいいから、きっと次に来るときは空いているはずだよ。
ギルドの乗合馬車は、街の門の前に集合だ。
森に泊まり込むためのテントや食料をもって集合場所へ行くと、たくさんの冒険者が馬車を待っていた。
「あんた見ない顔だな」
「オルデキアから来たばかりだ」
「一人か? 森を舐めないほうがいいぞ」
「分かっている」
オレがいる限り、ウィオが怪我をすることはないよ。
それに騎士団で討伐にも慣れているから、危険度の見極めもばっちりだよ。
部下の命がかかっているから、冒険者よりもそこはシビアだ。騎士は一人前になるまでお金がたくさんかかっているから、あんまりたくさん怪我させちゃうと降格させられるらしい。
今までどんな魔物と戦ったことがあるのかとか、その使役獣は何ができるんだとか、ウィオにたくさん質問してくるけど、ウィオが面倒くさそうにしていたら諦めてどっかに行った。
仲間のところであいつは無理だ、と言っているのがオレの性能の良い耳には聞こえたから、仲間に引き入れるかどうかの見極めだったらしい。
馬車が到着したので、ギルドカードを見せ、お金を払って乗り込む。
見た目は遊園地とかにある汽車型の車がひっぱっていくパークトレインみたいなものだけど、乗っているのがムサい冒険者ばっかりだから全然可愛くない。
ウィオの膝に座ってると周りの冒険者が見てくるから居心地悪いし、ずっとウィオと喋ってるとウィオが変な人だと思われちゃうし、お天気も微妙だから景色もあんまり楽しめないし、やることもないから着くまで寝ていよう。すぴー。
ウィオはお金持ちだからどんな宿でも泊まれるんだけど、冒険者お断りの宿もあるし、使役獣も一緒に泊まれる宿は少ない。
オルデキアでは氷の騎士様の使役獣はお利口って広く知られていたから困らなかったけど、これからはそうもいかない。
「上級ランクで使役獣と泊まる食事が美味しくてお風呂がある宿となると、そうですね、ヒルダの宿でしょうか」
「馬車は預けられるか?」
「馬車止めはありませんので、商業ギルドに預けてください」
「分かった。それから、よさそうな依頼を選んでほしいんだが」
冒険者になってから、ウィオが自分で依頼を選んだことは数えるくらいしかなく、ギルドのおススメ依頼を受けていた。
最初は実力とは不釣り合いの初心者ランクだったので、あまり人気のない初心者ランクの依頼をギルドから紹介してもらっていた。ランクアップ試験を受けて、中堅ランクになってすぐ上級ランクと認められてからは、どんな依頼でも受けられるからこそ選ぶのが面倒で、急ぎの依頼などギルドが受けてほしいものを選んでもらっていた。
「依頼を受けず、カリスタの森で倒した魔物の素材を持ち込まれるのがいいと思います。ほとんどの素材を買い取りますので」
「分かった。そうする」
ここのギルドは依頼よりも素材の買取がメインになっているらしい。
この街からカリスタの森の入り口までは乗合馬車が出ていて、その終点に簡易宿泊所とギルドの出張所もある。
多くの冒険者は、森の中で野営するか簡易宿泊所に泊まるかして魔物の素材を集め、たまにこの街に戻ってきてちゃんとした宿に泊まって疲れを取るそうだ。
必要なことは全部聞いたので、馬車を預けて、宿に向かおう。
馬車にはウィオのお父さんやお母さんが持たせてくれた、オレのための日持ちする食べ物とか、オレのスカーフとか、オレを洗うために石鹸とかがたくさん載っている。
預けると盗まれる可能性もあるから自己責任なんだけど、馬車の入り口を開けられないようにオレが結界を張っておけば、金庫よりも安全だよ。オレの結界を壊せるのは、同じく神に連なるものだけだからね。
ギルドに紹介された宿に行くと、残念ながらお風呂のある部屋が空いていなかった。いい素材が手に入った冒険者が自分へのご褒美に泊まってるんだって。
オレたちはすぐカリスタ森に行っちゃうから、帰ってきたときに空いていることを祈ろう。
「使役獣と一緒の人には部屋での食事をお願いしています」
「食事は人と同じものを薄味で頼みたい」
「今日の夕食は間に合いませんので、明日の朝だけでよければ」
もう味付けちゃったってことだろうから、仕方ないね。
ちなみになんで部屋での食事かというと、以前に使役獣が他の人もご飯を食べているところで骨付き生肉をゴリゴリ言わせながら食べて苦情が殺到したことがあったから、それ以来食堂に使役獣は入れないルールになったんだそうだ。それはオレでもご遠慮したいから、その契約主が悪いね。
オレの寝床は、ウィオのベッドの隅っこだ。
ベッドが二つあるときは、片方をオレが使うこともあるんだけど、今日は一つしかない部屋なので、ウィオの枕の横がオレの寝場所。
オレは睡眠も実は必要ないんだけど、なんでか夜になると眠くなっちゃうんだよ。人の記憶に引きずられているのかもしれない。
でも必要になればずっと起きていられるから、監視はお任せあれ。
翌朝は、あいにくの曇り空だ。
宿の朝食は、いわゆるコンチネンタルブレックファストって言われるパンとハムとサラダとミルクみたいなメニューだった。シリアルはなかったけど。
ハムは塩気が強すぎるだろうってことで、オレには味付けしていないお肉を焼いてくれた。うまうま。
凝った料理じゃないけどお野菜は新鮮だし、昨日のウィオのご飯も美味しそうな匂いがしてたし、ここのご飯は今後も期待できる。
『この宿、当たりだったね』
「ああ。風呂のある部屋が空いてなかったのが残念だ」
『カリスタの森から帰ってくるのが楽しみ』
日頃の行いがいいから、きっと次に来るときは空いているはずだよ。
ギルドの乗合馬車は、街の門の前に集合だ。
森に泊まり込むためのテントや食料をもって集合場所へ行くと、たくさんの冒険者が馬車を待っていた。
「あんた見ない顔だな」
「オルデキアから来たばかりだ」
「一人か? 森を舐めないほうがいいぞ」
「分かっている」
オレがいる限り、ウィオが怪我をすることはないよ。
それに騎士団で討伐にも慣れているから、危険度の見極めもばっちりだよ。
部下の命がかかっているから、冒険者よりもそこはシビアだ。騎士は一人前になるまでお金がたくさんかかっているから、あんまりたくさん怪我させちゃうと降格させられるらしい。
今までどんな魔物と戦ったことがあるのかとか、その使役獣は何ができるんだとか、ウィオにたくさん質問してくるけど、ウィオが面倒くさそうにしていたら諦めてどっかに行った。
仲間のところであいつは無理だ、と言っているのがオレの性能の良い耳には聞こえたから、仲間に引き入れるかどうかの見極めだったらしい。
馬車が到着したので、ギルドカードを見せ、お金を払って乗り込む。
見た目は遊園地とかにある汽車型の車がひっぱっていくパークトレインみたいなものだけど、乗っているのがムサい冒険者ばっかりだから全然可愛くない。
ウィオの膝に座ってると周りの冒険者が見てくるから居心地悪いし、ずっとウィオと喋ってるとウィオが変な人だと思われちゃうし、お天気も微妙だから景色もあんまり楽しめないし、やることもないから着くまで寝ていよう。すぴー。
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