毒小町、宮中にめぐり逢ふ

鈴木しぐれ

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序章 ― 毒 ―

序章-1

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「不吉な娘」
「絶対に触れてくれるでないぞ」
「不気味な、毒小町め」

 身内から言われるそう言う言葉には慣れていた。慣れていても、それに全く傷つかない、ということではない。少しずつ、心をすり減らし、何も感じないように、その方が楽だから。
 彼女の髪や頬、その手にすら、誰も触れることは出来ない。毒小町であるがゆえに。

「幸せに、なりたい」

 その呟きすら、望んではいけない。


 ――――そう、思っていた。


 友人だと言ってくれる人、家族のように暮らしてくれる者、役割を与えてくれる方。
 そして、隣にいたいと想ってくれる人に巡り逢えるなんて、思ってもいなかった。



 これは、幸せになりたいと願う少女が、めぐり逢う物語。
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