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第五幕 散
散―1
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十二月一日。風も冷たくなり、冬の色がだいぶ濃くなってきたこの日、妖にとって節目の日であるらしい。
「あさぎ、そんなにそわそわしなくていいわよ」
「そうですわ。特に何が変わるわけでもありませんもの」
今日、妖の階級が二十年ぶりに更新されるのだ。それぞれの家の当主に自動で通達がされる。とはいえ、儀式的なもので、階級が変わることは皆無なので、前回から二十年経ったんだなあ、と思う程度らしい。明治以降に生まれている皆も、特に気にしている様子はないから、そういうものなのだろう。
「でも、気になるよ。周知を進めて、階級を上げることが、黄昏座の目標でしょ? 皆は気にならないの?」
「そういう意味では気になるわ。でも、階級はそう簡単には変わらないのよ。今までがそうだもの。気長に、次の更新では成果を出せればいいわ」
「あと二十年も先かー」
今、大部屋にいるのは、あさぎと凪と花音。広い部屋に三人だけなので、あさぎは、足を伸ばしてゆったりと座る。今日は、黄昏座はお休み。皆がのんびりと過ごしている。
「そういえば、あさぎの付けている髪飾り、可愛いわね。どこで買ったの?」
「これは、仲見世で。琥珀に……」
「まあ! 座長からの贈り物ですの!?」
花音が物凄い勢いで食いついてきた。凪も興味津々という様子で近寄ってくる。
「えっと、うん。仲見世に買い出しに行った時に、お礼だって」
「きゃー! 座長がそんなことをするなんて、意外ですわ。でもいいじゃないですのー」
「確かに意外だけど、割と最初からあさぎのことは気に入ってた節はあるわよね」
「そうですわね」
「あの、琥珀が贈り物って、そんなに意外?」
二人がずいっと顔を近づけてきて、大きく頷いた。あさぎは、たじろいで後ろに下がった。そんなになのか。
「琥珀は優しいけれど、他人に踏み込まないし、踏み込ませないわ」
「そうですわ。……でも、寧々さんとは少し雰囲気が違うような気はしますわ。そもそも、黄昏座が出来た時から一緒にいるんですわよね、確か」
琥珀と寧々は、そんなに前から一緒に。知らなかった。あさぎにとっては、一番近くて大切な存在でも、琥珀にとってはきっとそうじゃない。髪飾りに触れてみるが、答えが返ってくるわけでもない。
「もう、あさぎ可愛いですわー」
「へ?」
「自覚がないの? 今、寧々さんずるい、琥珀に会いたいって顔してたわよ。わたしが男だったら放っておかないのに」
慌てて顔に手を当てて、表情を戻す。というか隠す。凪が可愛いと言って抱きついてきて、続いて、花音にも抱きつかれて、もみくちゃにされる。そのうち、ごろんと三人とも畳の上に転がった。おかしくなって、声を上げて笑った。
「はははっ、何をしているのかしら」
「もうー、二人とも重いよ」
「重いなんて、失礼ですわー」
ふと、廊下を誰かが駆けてくる足音が聞こえた。ずいぶん慌てている様子だった。三人は起き上がり、何事かと足音を待った。
「大変やよ!!」
足音の主は寧々だった。息を切らして、今まさに走ってここまでやってきたようだった。
「どうしたんですか、寧々さん。そんなに慌てて」
「今日、階級が更新されたんは知っとるよな」
「それは知ってますけど」
「大変なことが起きたんよ。鎌鼬の階級が、丙族から乙族に上がったらしいんよ」
「え!」
「嘘っ!?」
「本当ですの!?」
その場にいた全員が、驚きの声を上げた。ついさっき、階級が上がることはまずないと話していたところではないか。ありえないことが、起こったようだ。
「あたしは、通達を見るのにたまたま立ち会っててんけど、本当に驚いたわ。明治になって一番の衝撃やわ……慌てて走ってきたんよ」
「本当なんですか。鎌鼬が乙族になったって」
「信じられへんけど、本当のことや」
皆が、唖然として言葉もなくしている。あさぎも驚いたが、ある可能性に気が付いた。
「これって、鎌鼬の芝居を黄昏座でやった影響なんじゃ……?」
「もし、そうやったとしたら、本当に、芝居で階級を上げれた、妖を救えたてことやろうか……」
寧々が、力が抜けて膝から崩れ落ちてしまった。喜びというよりは、安堵や解放感のような、そんな様子だった。
ふいに、表の方から声が聞こえてきたような気がする。それもたくさんの。今日は休みだから客は来ないはずなのだが。
「何だろう? 私、ちょっと見に行ってくるね」
「わたしも行くわね」
寧々のことは花音に任せて、あさぎと凪は、通路を走って表玄関へと急ぐ。
そこには驚きの光景が広がっていた。
「なに、これ」
表玄関には、たくさんの人たちが押し寄せていた。いや、全員が手の甲に紋がある。つまりはここにいるのは、全員が妖。一体何事なのか。
中から出てきたあさぎと凪を見つけると、群衆は、わあっと歓声を上げた。そしてなだれ込むように、二人を囲んだ。
「わあ、一体なんですか!」
「お、落ち着いてください」
それぞれが好き勝手に何かを言っているため、全然状況が分からない。すると、群衆のうちの一人に腕を掴まれ、懇願された。
「頼むよ。階級を上げてくれ。お願いだ」
「こっちが先に来たんだ。抜け駆けはやめてもらえるか」
あちこちで、救ってくれ、階級を上げたい、と聞こえてきた。だんだんと話が掴めてきた。この人たちは、鎌鼬の階級が上がったことを聞いてやってきたのだ。だが、こう一度に詰め寄られては、受け答えすら出来ない。首を動かして隣を見たが、凪も同じような状態のようだ。
「あの、一旦、離れて、落ち着いて……」
あさぎの声は、かき消されてしまう。
その時、よく通る声が群衆の向こう側から聞こえてきた。琥珀の声だ。
「凪! 歌え!」
「えっ、でも――」
「いいから」
一度は躊躇ったが、凪は決意したように頷いた。あさぎにだけ聞こえるように、耳をふさいで、と言った。あさぎは言われるがまま、両手で耳をふさいだ。
凪は、大きく息を吸うと、歌詞のない歌を一節、歌い上げた。耳をふさいでいたあさぎには、少ししか聞こえなかったが、透き通っていて、綺麗な歌声だった。だが、それを聞いた群衆が、一斉に言葉を発するのをやめ、立ちくらみを起こしたり、その場にしゃがみ込んだりしていた。
「もういいわよ」
凪があさぎに、そう言った。群衆はすでに立ちくらみから回復していたが、皆何が起こったのか、理解が追い付いていないようだ。これが、凪の、人魚の第六感。歌で気を乱すという。前に聞いた通り、効果はわずかだったが、もしこれがもっと強力なものだったらと考えると、鳥肌が立つ。
――パンッ
玄関に、手を打ち鳴らした音が響いた。視線はその音を立てた主に集まった。
「うちの役者たちに、詰め寄らないでいただきたい。話は、順に聞きますから」
琥珀が、その場の全員にゆっくりと語りかけるような口調で言い、群衆は落ち着いていった。あさぎと凪は、そのまま、玄関から客席まで、整列するように誘導していった。人数が多いから後日また来るという人も一定数いた。
整列を終えてから、あさぎは客席にいた琥珀に聞きに行った。これがどういうことなのかを。
「琥珀、これって」
「鎌鼬の、吉助だったか、あいつが、階級が上がったのは黄昏座のおかげだと、派手に言いふらしたらしい。それで、こうなったみたいだ」
「じゃあ、やっぱり黄昏座の芝居が、階級を上げたんだ! 凄いね」
「きっかけの一つに過ぎないだろうがな」
「でも、そのきっかけを作ったのは、琥珀たちでしょ」
「ああ、そうだな。これで、やっと……」
琥珀は安堵のような、解放感にも似た表情を見せた。さっき、寧々も同じような顔をしていたような気がする。何が、あるのか。聞きかけて、話してくれるまで、待つと決めたことを思い出す。
「琥珀、依頼したいって人、案内していいかしら?」
凪が客席にひょこっと顔を出した。
「ああ。人数が多いから、概要を聞くだけにして、後日また別に詳しく打ち合わせをする」
「分かったわ」
休みだったはずの、この日の黄昏座には依頼をしたいというたくさんの妖たちで溢れ、座員が総動員して話を聞くこととなった。忙しくて、てんやわんやだったが、これが嬉しい悲鳴というもの、と言いながら皆で働いた。
「あさぎ、そんなにそわそわしなくていいわよ」
「そうですわ。特に何が変わるわけでもありませんもの」
今日、妖の階級が二十年ぶりに更新されるのだ。それぞれの家の当主に自動で通達がされる。とはいえ、儀式的なもので、階級が変わることは皆無なので、前回から二十年経ったんだなあ、と思う程度らしい。明治以降に生まれている皆も、特に気にしている様子はないから、そういうものなのだろう。
「でも、気になるよ。周知を進めて、階級を上げることが、黄昏座の目標でしょ? 皆は気にならないの?」
「そういう意味では気になるわ。でも、階級はそう簡単には変わらないのよ。今までがそうだもの。気長に、次の更新では成果を出せればいいわ」
「あと二十年も先かー」
今、大部屋にいるのは、あさぎと凪と花音。広い部屋に三人だけなので、あさぎは、足を伸ばしてゆったりと座る。今日は、黄昏座はお休み。皆がのんびりと過ごしている。
「そういえば、あさぎの付けている髪飾り、可愛いわね。どこで買ったの?」
「これは、仲見世で。琥珀に……」
「まあ! 座長からの贈り物ですの!?」
花音が物凄い勢いで食いついてきた。凪も興味津々という様子で近寄ってくる。
「えっと、うん。仲見世に買い出しに行った時に、お礼だって」
「きゃー! 座長がそんなことをするなんて、意外ですわ。でもいいじゃないですのー」
「確かに意外だけど、割と最初からあさぎのことは気に入ってた節はあるわよね」
「そうですわね」
「あの、琥珀が贈り物って、そんなに意外?」
二人がずいっと顔を近づけてきて、大きく頷いた。あさぎは、たじろいで後ろに下がった。そんなになのか。
「琥珀は優しいけれど、他人に踏み込まないし、踏み込ませないわ」
「そうですわ。……でも、寧々さんとは少し雰囲気が違うような気はしますわ。そもそも、黄昏座が出来た時から一緒にいるんですわよね、確か」
琥珀と寧々は、そんなに前から一緒に。知らなかった。あさぎにとっては、一番近くて大切な存在でも、琥珀にとってはきっとそうじゃない。髪飾りに触れてみるが、答えが返ってくるわけでもない。
「もう、あさぎ可愛いですわー」
「へ?」
「自覚がないの? 今、寧々さんずるい、琥珀に会いたいって顔してたわよ。わたしが男だったら放っておかないのに」
慌てて顔に手を当てて、表情を戻す。というか隠す。凪が可愛いと言って抱きついてきて、続いて、花音にも抱きつかれて、もみくちゃにされる。そのうち、ごろんと三人とも畳の上に転がった。おかしくなって、声を上げて笑った。
「はははっ、何をしているのかしら」
「もうー、二人とも重いよ」
「重いなんて、失礼ですわー」
ふと、廊下を誰かが駆けてくる足音が聞こえた。ずいぶん慌てている様子だった。三人は起き上がり、何事かと足音を待った。
「大変やよ!!」
足音の主は寧々だった。息を切らして、今まさに走ってここまでやってきたようだった。
「どうしたんですか、寧々さん。そんなに慌てて」
「今日、階級が更新されたんは知っとるよな」
「それは知ってますけど」
「大変なことが起きたんよ。鎌鼬の階級が、丙族から乙族に上がったらしいんよ」
「え!」
「嘘っ!?」
「本当ですの!?」
その場にいた全員が、驚きの声を上げた。ついさっき、階級が上がることはまずないと話していたところではないか。ありえないことが、起こったようだ。
「あたしは、通達を見るのにたまたま立ち会っててんけど、本当に驚いたわ。明治になって一番の衝撃やわ……慌てて走ってきたんよ」
「本当なんですか。鎌鼬が乙族になったって」
「信じられへんけど、本当のことや」
皆が、唖然として言葉もなくしている。あさぎも驚いたが、ある可能性に気が付いた。
「これって、鎌鼬の芝居を黄昏座でやった影響なんじゃ……?」
「もし、そうやったとしたら、本当に、芝居で階級を上げれた、妖を救えたてことやろうか……」
寧々が、力が抜けて膝から崩れ落ちてしまった。喜びというよりは、安堵や解放感のような、そんな様子だった。
ふいに、表の方から声が聞こえてきたような気がする。それもたくさんの。今日は休みだから客は来ないはずなのだが。
「何だろう? 私、ちょっと見に行ってくるね」
「わたしも行くわね」
寧々のことは花音に任せて、あさぎと凪は、通路を走って表玄関へと急ぐ。
そこには驚きの光景が広がっていた。
「なに、これ」
表玄関には、たくさんの人たちが押し寄せていた。いや、全員が手の甲に紋がある。つまりはここにいるのは、全員が妖。一体何事なのか。
中から出てきたあさぎと凪を見つけると、群衆は、わあっと歓声を上げた。そしてなだれ込むように、二人を囲んだ。
「わあ、一体なんですか!」
「お、落ち着いてください」
それぞれが好き勝手に何かを言っているため、全然状況が分からない。すると、群衆のうちの一人に腕を掴まれ、懇願された。
「頼むよ。階級を上げてくれ。お願いだ」
「こっちが先に来たんだ。抜け駆けはやめてもらえるか」
あちこちで、救ってくれ、階級を上げたい、と聞こえてきた。だんだんと話が掴めてきた。この人たちは、鎌鼬の階級が上がったことを聞いてやってきたのだ。だが、こう一度に詰め寄られては、受け答えすら出来ない。首を動かして隣を見たが、凪も同じような状態のようだ。
「あの、一旦、離れて、落ち着いて……」
あさぎの声は、かき消されてしまう。
その時、よく通る声が群衆の向こう側から聞こえてきた。琥珀の声だ。
「凪! 歌え!」
「えっ、でも――」
「いいから」
一度は躊躇ったが、凪は決意したように頷いた。あさぎにだけ聞こえるように、耳をふさいで、と言った。あさぎは言われるがまま、両手で耳をふさいだ。
凪は、大きく息を吸うと、歌詞のない歌を一節、歌い上げた。耳をふさいでいたあさぎには、少ししか聞こえなかったが、透き通っていて、綺麗な歌声だった。だが、それを聞いた群衆が、一斉に言葉を発するのをやめ、立ちくらみを起こしたり、その場にしゃがみ込んだりしていた。
「もういいわよ」
凪があさぎに、そう言った。群衆はすでに立ちくらみから回復していたが、皆何が起こったのか、理解が追い付いていないようだ。これが、凪の、人魚の第六感。歌で気を乱すという。前に聞いた通り、効果はわずかだったが、もしこれがもっと強力なものだったらと考えると、鳥肌が立つ。
――パンッ
玄関に、手を打ち鳴らした音が響いた。視線はその音を立てた主に集まった。
「うちの役者たちに、詰め寄らないでいただきたい。話は、順に聞きますから」
琥珀が、その場の全員にゆっくりと語りかけるような口調で言い、群衆は落ち着いていった。あさぎと凪は、そのまま、玄関から客席まで、整列するように誘導していった。人数が多いから後日また来るという人も一定数いた。
整列を終えてから、あさぎは客席にいた琥珀に聞きに行った。これがどういうことなのかを。
「琥珀、これって」
「鎌鼬の、吉助だったか、あいつが、階級が上がったのは黄昏座のおかげだと、派手に言いふらしたらしい。それで、こうなったみたいだ」
「じゃあ、やっぱり黄昏座の芝居が、階級を上げたんだ! 凄いね」
「きっかけの一つに過ぎないだろうがな」
「でも、そのきっかけを作ったのは、琥珀たちでしょ」
「ああ、そうだな。これで、やっと……」
琥珀は安堵のような、解放感にも似た表情を見せた。さっき、寧々も同じような顔をしていたような気がする。何が、あるのか。聞きかけて、話してくれるまで、待つと決めたことを思い出す。
「琥珀、依頼したいって人、案内していいかしら?」
凪が客席にひょこっと顔を出した。
「ああ。人数が多いから、概要を聞くだけにして、後日また別に詳しく打ち合わせをする」
「分かったわ」
休みだったはずの、この日の黄昏座には依頼をしたいというたくさんの妖たちで溢れ、座員が総動員して話を聞くこととなった。忙しくて、てんやわんやだったが、これが嬉しい悲鳴というもの、と言いながら皆で働いた。
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