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メガネスーツ女子とジャガイモとトイレ問題
頁53:『仮』の意味とは 1
しおりを挟む駄目! これはダメです!! 少年の全身モザイクなんて!!!
作品のレーティングが上がりそうな光景に成人越えの我々は大慌てだった。それをお爺さんと雪之進君が『何で?』という目で見て来る。お爺さんはともかく雪之進君にそんな目で見られるなんてつらい!!
「神々廻さんなんで変更してないんですかアレ!!」
「『し』が多くね!? いや、その、トイレとかのアレで忘れてて…」
「馬鹿ぁ!!」
「ナニゆえそんなにショックなん!?」
ナニのせいでショックなんですよ!
そんな事口に出せるかっ!!
「これ、動きにくくて邪魔」
「え?」
ボソッと呟いたかと思ったら雪之進君が全身に纏ったモザイクを脱いだ。無駄にドキドキした。下には先程迄の服をちゃんと着ている。ひろしさんの時と同じだとは分かってはいるけれど背徳感が凄まじい。
どういう内部構造をしているのか全く分からない物体を完全に脱ぎ捨てると元の雪之進君に戻ってホッとした。
…でもそのセンシティブな物体はどうするんだろう。
「要らない。全部捨てる」
「え?」
彼が呟いた。誰に向かってなのかは分からない。が、呟いた言葉の意味はすぐに知れた。
脱ぎ捨てられたモザイク装備一式が、瞬時にして消え去ったからだ。
「ええ!?」「マジか!?」
「…? 何が?」
自分達の事は棚に上げておいて目の前で起きたまさかの現象に目を見張る我々を雪之進君とお爺さんがまたしてもキョトンと見ていた。
「神々廻さん…もしかして彼も虚空物置が使えるんですか?」
「イヤ分かんないヨ!? でででも確かに消えたよネ??」
まさか雪之進君は…我々側なのだろうか? いやしかし言葉などは【辞典】の未登録の制限を受けているし。
「『確実に要らない物を捨てた』だけだよ。なんで驚いてるの?」
「捨てる……?」
神々廻さんが何かピンと来たらしい。
「ナルホド、捨てたから消滅したのネ。そりゃそうだ!」
すいません、何言ってるのか分からない。
理解出来ないのを見透かされたのだろうか、神々廻さんが畳み掛けて来る。
「いや、『捨てる』と『無くなる』んだって。そういう物なのヨ!」
頭痛くなってきた。今更な世界だけど理解が追い付かない。彼が理解しているという事はゲームやファンタジーに絡むのだろうか。もういいや私もそれで…。
「それは置いておいて、仮合格という事でしたけれど今までと何か変化はあるのですか?」
気持ちを切り替えて現状の確認をする為にお爺さんに尋ねる。
(次頁/53-2へ続く)
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