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メガネスーツ女子とジャガイモとトイレ問題
頁49:祭壇とは 2
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「コヒュー……コヒュー……」
「シシバ、遅いんだけど」
運動不足カミサマが柔らかい草が低く生い茂る原っぱで五体投地している。何の草なのかは不明だ。芝っぽく見えない事も無いから芝で【提案】しておこうかしら。それにしても───
「ハァ…ハァ……、雪之進君…、凄い体力ですね……」
いくら運動に適していない服装だったとはいえ生前は運動は欠かさなかったのに。しかも僅かながら再生の恩恵にあずかっているというのに…完全に負けた。自分の年齢の半分の子に。
と言うか雪之進君、汗をかくどころか息も殆ど切らせていない。どういう身体構造しているんだろうか。
「…? 単に走っただけだろ。体力が関係あるの?」
「いえ…すいません…」
「何で謝るの?」
何となくです…。
「シシバ、目的の場所まであとどれくらい?」
「……」
返事をしようとして駄目だったのだろう。ガクガクと痙攣する腕で何とか【辞典】を持ち上げると震える手付きでページを開く。
「ァ………」
声ちっさ。何て言おうとしているのだろうか。聞き取る為に私は彼の元へ行こうと立ち上がる。
『おい!』
!?
突然聴こえた声に思わず身構える。雪之進君も瞬間的に矢をつがえて戦闘モードに移行していた。
けれど……声の主の姿が見つからない。
『どこを見ておる、こっちじゃこっち!』
高齢の方の口調ではあるものの妙に甲高い声…なんとなく低い所から…って!?
「ええっ!?」
「うわ」
衝撃の光景に思わず変な声が出た。
「ナ……ナニ…ドシタノ……」
背後から干からびた声が聞こえたけれどそれどころじゃない。
「新種の敵対生物か…」
雪之進君が矢を引き絞る。えっ、敵対生物って喋るのもいるの!?
確かに見た目は…ゴツゴツとした石の帽子を被り、身に纏う服?の至る所に砂利玉をくっつけているヴィクティ……いやいやどう見てもミニチュアサイズのお爺さんだ。ただあまりにも人類と比較して小さい。漬物石くらいの大きさの石に直立しているけれど恐らく身長20~30センチ程では無いだろうか。しゃがまなければ帽子の縁が邪魔で顔も見えない。
「雪之進君、ちょっと待って! ストップ!」
突然襲ってくる様子でもなく意思の疎通も可能そうな謎の生命体に流石に驚きはしたものの、異世界だしそういう存在もいるだろうと取り敢えず飲み込んだ。
「ミサキどいてそいつ殺せない」
「だからちょっと待って下さいってば!」
すると背後から物凄い抗議。
『カーーーーーーー! 言うに事欠いて敵対生物じゃと!? お前等の眼窩に収まっとるのはモザイクか!!』
とんでもない物が収まっていたらしい。
(次頁/49-3へ続く)
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