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メガネスーツ女子とジャガイモとトイレ問題
頁49:祭壇とは 1
しおりを挟む「『祭壇』…? 祭壇って、確か…」
「戦闘職になる為のナントカのユルシを貰う場所でしょ!?」
「『星の赦し』ですね、確か」
「それそれ!」
以前検索で戦闘職について調べた時は名称が虫食いだったが、その部分には地名や集落の名称が入るという事か。
図らずも雪之進君の目的地が判明してしまったが、さてどうしようか。
「村の変化も気になりますが…雪之進君との約束もありますし…どうしますか?」
「そんなん決まってんでショ!」
やっぱりジャガイモだろうか。
「おーーーいユッシーーー!! こっちゃこーーーい!!!」
「…何」
雪之進君が音も無く現れる。気配を消すのを意識している訳ではないのだろう。訓練で自然と身に付いたのか。
「オマエ、戦闘職になりたいんだろ? その為に必要な場所が見つかったから行くぞ!」
「…本当?」
なんと! 自分の事を後回しにするなんて。
冷めた少年の瞳にほんの少し光が差した気がした。
うーん、神々廻さんの人物像予想を外しまくる私って実は相当捻くれているのではないだろうか。…自覚は少しあるけれど。
「ああ、オレちゃん確かにクズ野郎だけど約束は絶対に……いやそんなに破ったりしないゼ!」
「…半クズなんだね」
「辛辣!?」
だとすると私も半捻くれなんだろうな。
「それよりユッシー何歳?」
「13歳。何で?」
「オッケー、まずは最低条件クリアだな。戦闘職は13歳未満オコトワリなんだってサ」
「そうなんだ…。良かった」
13歳にしてあの能力…。平和な村で育った少年とは思えない。身体的能力も戦闘に関するセンスも、敵対生物と言えども躊躇い無く命を奪える覚悟も。
強制的に経過した一年間は厳密には事実のみの経過だった。ひろしさんは怪我をしたという状態を与えられ、亡くなった人々は理不尽だが死という状態を押し付けられた。雪之進君も同じ様に設定を与えられたに過ぎない筈だ。けれども体や感覚は戦闘に対応出来るように強化されている。
現実の時間を経過させずに生命体を変化させる…。【辞典】とは一体何なのだろうか。そのシステムを行使している側ではあるが時々恐ろしくなる。
「よっしゃ、膳は急げって言うしこの勢いでチャチャッと行こうぜ! そんなに遠くないみたいだし」
「分かった」
そして男二人は駆け出した。私を置いて。この流れ三度目なんですけど…まあ雪之進君が一緒なら心配無いか。
恐ろしくなっている私に対して神々廻さんは完璧に便利ツール扱いなんだろうな。大陸地図を開いたまま走ってるし。
所で───多分だけど『善は急げ』の文字間違ってないかしら。
(頁49-2へ続く)
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