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メガネスーツ女子とジャガイモとトイレ問題
頁48:トイレが生まれた日とは 2
しおりを挟むそれってどうしても叫ばなきゃダメなんでしょうか。ノリがいまいち分からない。
《 CPを消費し、世界に指定文化:トイレ を誕生させました。現在の世界との関係性を調整をしました。》
トイレとの関係性の調整って。もう字面が変。
でもこれで取り敢えずは生理現象による問題の一つが片付いた筈。【辞典】によって改変されているとしたらスタ・アトの村の様子も変化しているかもしれない。ただ、恐らくは『トイレの原型』が生まれた程度だと考えておいた方がいいだろう。あくまでもここは異世界なのだから。
「これであの光景ともオサラバか…」
感慨深げに呟いているけれどあなたその光景で吐きそうになっていたじゃないですか。元に戻してやろうかしら。
現在地がどの辺なのかと何気なく大陸地図のページをめくるとちょっとした変化に気付いた。
「神々廻さん、これ見て下さい」
「え、どうかしたノ?」
近付いてくる神々廻さんに開いた私のページを見せる。
「この川の名前も付けられるようになってます」
「マジっすか」
マジっす。
雪之進君はこの川はそんなに大きくは無いと言ってはいたものの、大陸地図上では東部の平野まで続くかなり長く大きな川に見えた。
「どうします? 今ここで名前考えますか?」
「うーーーーーーーーーーん………」
眉間に何本も皺を入れて考え込む名付け神様。
「デカい……激しい……そして結構長い………ならば……ヨシ!!」
自分の【辞典】を呼び出し勢い良くページを開く彼。
嘘、もう決めたの!?
名付けが苦手だからという建前で私を召喚したくらいなのにこの変化…。自分のアイデアだけで問題なく名前を決められるのであるならば私がサポートする必要なんて要らないのではないか。
…あれ、どうして残念な気持ちになっているのだろう、私。
ええいそんな訳あるか。頭をぶんぶんと振って否定する。
「OK、決定!!」
空中に固定した【辞典】の見開きをタン、と軽く叩くと名称が決定されたらしく、私の【本】もシステムメッセージのページに勝手に切り替わった。
《 世界設定/名称/地形/リ・ファスタ:ダイス・プロン川 が世界に登録されました。》
おお、何と言うか異世界っぽい。分からないけど。名付け方が上達している証拠だろうか。
「独自の名称がスラスラと思い浮かぶのはゲームなどでファンタジー世界に触れてきた時間の長さゆえですかね」
「え? あ、ああ…うん、そうカモね」
どうして命名直後は微妙な反応を示すのだろうか? まさか本当は満足していないとか…だとしたらいい加減そうに見えて実は相当真摯に取り組んでいるという事だろう。
「あのサ…、キミ本当に………いややっぱナンデモナイっす」
「??」
なんなんだろう。追求した方がいいのかしら。でもがっついていると思われたくも無いから彼が話してくれるまでは敢えて聞かないでおこう。
「これだけ範囲の大きい物の名前を付けたんだし、もしかしたら…ホラ来た!」
「え?」
手元の【辞典】に目を落とす。丁度システムメッセージのページだ。そこに新たに追記されていく文字。
《 『ダイス・プロン川』が世界に登録された事により、既踏破区域周辺オブジェクト『スタ・アトの祭壇』が解放されました。》
(次頁:49-1へ続く)
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