84 / 114
メガネスーツ女子とジャガイモとトイレ問題
頁40:星の名とは 2
しおりを挟む「どう、って…」
喧騒の只中の人々を遠めに見つめる彼。
「うん、ダサいよね」
「……ええと、馬鹿」
「また!?」
ガビーンという音が飛び出しそうな顔でこちらを見る。
「デザインはともかくとして…機能性が良くないんです。服としての最低限の雛形だけしか生み出されていないんだと思います」
「そういや服は認識出来てるよね。何でだろ」
「予想ですが…『人々は認識出来る』のと同じなのでは? 嫌な言い方をするのであれば、ミッション1において神々廻さんが生み出した人類は既にミッション2の対象から外れているか、もしくは今現在の世界の人と服は同一の物として誕生させられたのか…」
本当ならば元の地球の様に歴史があって人々はその命を子々孫々へ繋いで来た、と思いたいけれど…【辞典】によって支配されているこの星は或いは───
「ナルホド…メガネは顔の一部ですってのと同じ」
「違います。外せますから」
スイっと眼鏡を外して見せた。
「あ、そのまま」
「嫌です」
「そんなぁぁぁぁ」
また掛ける。
どちらも私でしょうに。男性の感覚はよく分からない。
「とまあ、脱線してしまいましたが、つまりはこの星の人々は気候の変動に対して基本である衣服での調整能力が不足している可能性があります。暑い国には暑い国なりの、寒い国には寒い国なりの装いや建築物が無ければ人は生きては行けないんです」
「てコトは…先に四季を【承諾】してこの星に気候が誕生した場合、春と秋くらいの気温の土地ならともかく真冬とかにイキナリなっちゃった土地の人達は…」
漸く話の意図が掴めた様だ。
「そう、意味も分からずに凍死するでしょうね、大勢」
理解が追い付いた神々廻さんが黙り込む。
「これはあくまでも一例にすぎませんし、意外に人々は死なないかもしれません。ですが希望的観測で試してみるにはあまりにもリスキーです。つまり、我々のミッションとは常に『そういう可能性』が隣にいる物だと肝に銘じて下さい」
神々廻さんに目だけで合図し、【辞典】を指差す。もう何を言わんとしてるかすぐに伝わるだろう。
《【ペナルティー】の中に『世界人口の一定数以上の減少』などが含まれている可能性もあります。声に出さないのはもし現在のペナルティー一覧にこの条件が含まれていなかった場合、会話を聴かれて後からちょ…ちょ…【超GOD】、に追加されるのを防止する為です。》
《 【OK印の妙なキャラ】 》
《うざ。》
《;ω;》
「そういう訳で、【承諾】については可能な限り話し合って進める様にしましょう」
「了か──────待て」
「えっ?」
(次頁/40-3へ続く)
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説


冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる