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メガネスーツ女子と死後?の世界
頁38:疑惑とは 2
しおりを挟む◇◆◇◆◇◆
「○▼※△☆▲※◎★……」
背後で不可解な音を発しながら泥酔カミサマが胃の内容物を逆噴射している。
トイレとは名ばかりのそのスペースは、一応表からは見えない様な構造で作られていた。最初に村を歩き回っていた時はここがそういうスペースだとは想像もしていなかった。(物置だと思っていた)
「…大丈夫ですか」
一応声だけは掛けておく。
「☆=¥!>♂×&◎♯£……」
ダメだったらしい。どんだけ詰め込んだんだろう。
トイレという言葉が登録されていないという以前に、名称未設定の状態でもトイレの様な施設が誕生している様子が無かった事から何となく想像はしていたけれど、成程…これは…。
四季がまだ存在していない件でも感じたが、この『トイレ問題』も順を間違えれば大変な事になるだろう。ただ片っ端から名前を付けていけばいいだけのミッションかと思ったが、実際は想像以上に様々な要素が絡み合うパズルの様な内容だった。
私達にこの作業をさせているちょ…ちょ…【超GOD】は本当は何をさせたいのだろうか。単に人類が滅びにくい星として発展させたいだけであるならばわざわざ人類が大量に死滅する要素だけでも取っ払ってしまえばいいのに。
これではまるで私達が失敗する可能性すら楽しんでいる様に思える。それこそゲーム感覚で──────え?
胸中で湧いた疑念に背筋が泡立つ。
いや、待て、それはあくまでも可能性に過ぎない。そうだと思い込んでしまえばこの先の選択肢を極端に狭めるだけだ。これはまだ自分の中にしまっておこう。
「いやぁ~…参ったマイッタ…。吐いてる感じもしないリバースとか何なん…?」
「そういう報告はいいです」
随分とやつれた顔で神々廻さんが出て来た。
「取り敢えず手と顔洗って下さいね」
「洗うって何で洗うのヨ」
「水に決まってるでしょう。本を出して【承諾】して下さい」
「あ、ナルホド」
そう言うと神々廻さんは自分の【本】を召喚し、システムメッセージのページを開く。
「おわぁ……これまた…大量に【提案】が溜まったネ…」
「あ、他の提案はまだ触らないで下さい。今は『水』だけにしましょう」
「うん…? まあいいか、了解。では、承★諾!」
声が大きい。なんでいちいち叫ぶんですか…。
私の【本】も召喚されると自動でページが開く。この自動召喚どうにかならないかしら。
《 個体名/大地:水 が承諾され、世界に登録されました。》
「あ、ごめん、ついでにコレも承諾!」
「え?」
《 個体名/製造品:食器類 が承諾され、世界に登録されました。》
食器類? 随分と大枠な括りだけれど…まあそれならば支障はないだろう。
彼が【承諾】したという事は私が【提案】したらしい。どこでだろう…思い出せない。
「ちょっと手洗うついでに水貰ってくるネ!」
私の返事を聞かずに神々廻さんは墓地の方へ走って行ってしまった。
「あっ…。もう…」
水の匂いがした。それは今し方彼が籠もっていた背後のスペースからだ。排泄物を構成する成分の内、水分のみが実体を得た影響だろう。それはある意味予想通りだった。
この先の選択次第で、この星の生物その物が生命体として『正しき姿』になるか『化け物』となるかが決まる。
そしてそれは…私達が決めるのだ。
(次頁/39-1へ続く)
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