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メガネスーツ女子と死後?の世界
頁29:再訪と異変とは 1
しおりを挟む「神々廻さんはあのシステムメッセージ見ました?」
「え? どれ??」
他のページを調べていて追加されたメッセージに気付いていなかったのだろうか。
あ、その前に。
「(忘れなさい!!)」
記憶操作の弾丸を神々廻さんに打ち込んだ。
範囲は『シー!』と合図する直前から今の台詞の前辺りまでの検証実験の記憶。盗聴の件はいずれ話す事になるとは思うが今はまだ不確定要素が多すぎる。彼の性格上腹芸は恐らくは無理だろうから。
神々廻さんの記憶を消してもシュウさんは覚えていると思うが、彼は恐らくは私の狙いを理解してくれていると思いたい。怖いけど。
「この一文です」
何事も無かったかの様にしれっと話を続ける。
今後口に出す言葉の内容は逐一考える必要があるかもしれないが、恐らくは求められている天地創造を行う分には過度な干渉はされないだろう。変に意識し過ぎるとかえってボロが出るかもしれない。
「…はにゃ? お、おぅ?」
…ちょっと無理があったかしら?
私は自分の本と彼の本の同期機能を使って同じページを開かせ無理矢理会話を続けさせる。
「あれ? ナニコレ? カメラっぽいのとか動画機能追加されたの!?」
しまったああああああああ!!! その辺の下りもかあああ!!
しかし私はその焦りを微塵も顔には出さず、代わりにニッコリと微笑むと…
「何を言っているんですか? また人の話を聞いていなかったんですか? ねえシュウさん?」
シュウさんならば声に出さずとも神々廻さんと意思疎通が出来る。上手く丸め込んで下さい!
「え? あ? ───ああ、イッケネーソウダッタァー。ゴメーンゴメーン」
腐れダイコン役者再び。でもシュウさんありがとうございます…!
「それで、この『全滅によるペナルティーが『 』に科されます。』というメッセージなんですが…」
「何に対してどんなペナなんだろうネ? 空白のせいで分かんないよね」
「誰のせいですか…」
「サーセン」
はぁ、と溜め息一つ。
「この【全滅】という部分ですが、これは明らかに我々に対する表現だと思います。地上の人達が今後出現していくであろうダンジョンや日常的なシーンで敵対生物に襲われて亡くなる事は残念ながら増えていくでしょうが、その度にシステムメッセージが飛んで来たら管理者側の我々がパンクしてしまうし、この星の人々の日常の営みとなるそれら全ての責任を負う事は出来ません。故に、このペナルティーの原因は【我々の全滅】に対する物であると思われます」
「hmhm」
なんですかその子音…。
「このメッセージの前の部分ですが、我々はどうやら【創造者】・【編纂者】と称されている様ですね。そのままの意味で捉えるならば神々廻さんが【創造者】で私が【編纂者】でしょうけど」
「へんさんしゃ?」
金髪プリン神様が小首をかしげる。
やっぱり分からなかったか。
「編纂とは『色々な材料や素材を集め、整理又は加筆などして書物に纏める事』を意味します。辞典を作るという行為その物ですね」
「なる! 編集者ね!」
「編纂者です。編集者では意味が思い切り変わってしまいます」
「はい、ヘンサン」
誰だよ。
「話を戻しますが、この星にとっては神様ポジションである我々が地上にて死ぬという意味。予想するにそれなりの過失扱いなのではないでしょうか。しかし我々には今の所目立った変化は見受けられません。と言う事は、ペナルティーの矛先が向いているのは…」
この星のいずれか。
と言う前に神々廻さんが察したらしく、慌てて声を上げた。
「ひろしさんにペナ!?」
「なんで」
「だって『大陸一の猛者☆』ジャン!!」
「いや関係な」
「やばい…! こんな所で井戸端会議してる場合じゃ無いでショ!? 行くヨ!!」
私の腕をガシッと掴み立ち上がる。
「え? え??」
「どこでもゲート、オープン!!」
即座に開かれる薄墨を流した様な空間の裂け目。それが開かれるや否や私を引っ張って飛び込む。
「いっくぜぇぇぇぇぇ!!」
「ちょっとぉぉぉ!?」
(次頁/28-2へ続く)
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