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メガネスーツ女子と未知との遭遇
頁24:想定外の助っ人とは 3
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「分岐か」
暫く洞窟内を進むと道が二手に分かれていた。途中何度か飛ぶ眼に遭遇したが、私が全て撃退した。
この人に任せると凄惨な倒し方になりそうだしあの図は精神的にしんどいので。
縮小地図では分岐の奥までは表示しきれない様だ。まあ範囲20メートルだし目視で最奥まで分からなければ縮小地図で分かる訳もないのだが。
「右」
特に悩んだ様子も無く『彼』はすたすたと進んで行ってしまう。
「ちょ、そんな考えも無しに…」
「考えて何か分かるのか? RPGはいつだって知らない場所の連続だろう。攻略する為に来たなら黙って進めばいい」
それは…確かに先がどうなっているか分からない以上はその通りかもしれないが…。
反論出来る材料も無いので再び後を追う。二手に別れる、という方法もあるが、正体不明の彼を放置する訳にもいかないし、そもそも知識ゼロの私が一人で進んで何かしらの展開があった場合に対処しきれない可能性も大いに考えられる。
ていうかこの人もこんな口調している割にゲーム好きなのだろうか。
「………あの」
「何だ今度は」
気まずい沈黙につい口を開いてしまった。話しかける内容も決めていないのに。
「…ええと……その…」
「内容を決めてから話せ」
「むぐ…」
その通りです。分かってます。どうした私。
「…はぁ。らしくないな、あんた」
「えっ?」
予想外な言葉に驚いた。
「コイツと話している時は正しさだなんだって景気よく御高説並べてるのに」
「御高説って…私はただ…」
御高説…に聞こえるのだろうか。だが少なくとも『彼』にはそう聞こえたのだろう。自分の考えを貫こうとするのはつまりは誰かの考えを押し退けるという事だ。
「俺はあんたの考えは受け入れられない。だがコイツは少なくとも理解しようとしているらしい。ならばそれでいいだろうが」
「え…?」
「元々決まりなんて存在していない。どいつか一人の意見が世界に満たされるなどあり得ない。なら俺は自分の好きな様に生き、あんたも好きな様に御高説を垂れ流せばいい。付いて行きたい奴は勝手に付いてくる。それだけだ」
……それはつまり。
いや、言葉にするのはまだやめておこう。
「あの…、名前は?」
「無い」
無いのか。まあ、存在的には仕方ないのか───
「向こうの法的には、な。どこかの馬鹿は勝手に『シュウ』と呼んでる。何が『これでお揃いだ』、なんだかな」
淡々と冷めた雰囲気の中に、一瞬だけ血が通った様な気がした。志雄、シュウ…成程。
この人はもしかして…
「行き止まりか」
「え?」
確かに道はそこで途切れている。縮小地図を見ても抜け道の類は無さそうだ。それにしても何と言うか…自然の岩盤に遮られて進めないと言うよりは『行き止まりにしたいからそれっぽい物並べて塞ぎました!』という手抜き突貫工事の様にも見えた。
「行き止まりには、お約束だ」
(次頁/24-4へ続く)
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