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メガネスーツ女子と未知との遭遇
頁19:職業とは 2
しおりを挟む「『認定、Certification』」
「長い」
「えぇ……」
基準はそこなのか?
「『認可、Authorization』『許可、permission』」
「なんでションばっかりなのぉぉ!!」
「えぇぇぇ………」
ションな事言われt…違う違う違う!! 今のは間違えたの!! 無し、無しだから!!
「なんで真っ赤になってるん??」
「ぃ、ぃぇ…」
「声ちっさ!? あ、まさか頭の中で『ションな事言われても』とか考えt」
「疾ッ!」
「ゥぱゴぇッ!?」
神速の裏拳が彼の額を弾いた。
遠くから嬉しそうな悲鳴が聴こえた。なんなのあの女子達。
「…ハッ!? オレちゃんは一体…?」
思い出される前に続ける。
「『免許、licence』」
「あ、今のなんかいいかも」
末尾がションじゃなければいいのか…。
「『証明、proof』」
「そ れ だ!! それがいい!」
反応を見るにかなりビビビッと来たらしい。
声に全角スペースが挟まっていた様にも聴こえたけど気のせいかしら?
「でも【戦闘向け職業】を意味する名称が『証明』ですか…? なんか変じゃ…」
「必ずしも意味と言葉を一致させる必要なんて無いでしょ? ここは元の地球じゃないんだしサ! この世界オリジナルのあだ名だって思えばいいジャン! オレはその響き好きだヨ♪」
…確かにそうだ。この世界はこの世界でのみ通じる独自の言葉を持ったっていいのだ。
「その感覚は大事ですね。いいんじゃないですか、決めてしまっても」
「ヨッシャ、お許しが出た☆」
承諾は不要なんですけどね。
「あ、【基本職】とやらの名称はどうします?」
「ふふん…。実はついでに思いついちゃってサ。すごくいいのがね!」
…なんと。
あんなにガチガチになる程苦手だったのが嘘みたいだ。やはり経験を積ませる作戦は成功だったか。
「では思い切って入力して下さい」
「おう!」
そう言うと彼は自分の本に齧りつく様に向き合い、指先でページの表面をつつく。
なんだ、不安はあったけれどやれば出来る人だったじゃないか。
出会いは色々血生臭いアレだったが…いつまでもそこに囚われてたら駄目だよね、お父さん。これからは彼に任せても大丈夫かもしれない。
───
ややあって。名称の設定変更を受けて私の本も強制召喚される。
私はそれを見越してギャラリーの女子達からは本が現れる瞬間が見えない角度を向いていた。隙は無い。
どれどれ…
《 世界設定/名称/戦闘職総称:プルーフ が世界に登録されました。》
【戦闘向け職業】って呼んでいたけれど正しく?は【戦闘職】なのか。
続いて書き込まれるシステムメッセージ。
《 世界設定/名称/プルーフ/共通基本職:新人君 が世界に登録されました。》
…。
……?
………!?
な…………っ!!??
「へへっ…。どうヨ、オレちゃんのセンスも中々っしょ…?」
鼻の下を人差し指でこすりながらドヤ顔をする。
「ア、ハイ、エエ、マア、ソーデスネ、イーンジャネ?」
「あれぇ!? なんかマシンっぽくね!?」
脳が一瞬、いや五瞬ほどフリーズした。フリーズしながらも、ひろしさんの台詞が虫食いを補完して脳内再生される。
『戦いは俺の日常よ。なんせ俺は…『新人君』だからな!』
台無し! 台無しですひろしさん!! 意味不明です!!!
こんなカミサマで本当に申し訳ございません!!
───お父さん、駄目だったこいつ。私がしっかり監視しないと。
(次頁/20へ続く)
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